講演・口頭発表等 - 阿部 尚樹
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Q-TOF LC/MS Positive/Negative ION Mode を相補的に活用したパリトキシン新規同族体Ostreocin-Bの迅速構造解析 国際会議
内田秀明、寺島健仁、阿部尚樹、浮穴学宋、安元健
第58回天然有機化合物討論会 2016年09月
開催年月日: 2016年09月
記述言語:日本語 会議種別:シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
開催地:東北大学百周年記念会館川内萩ホール・川内北キャンパス
渦鞭毛藻Ostreopsis siamensis が産生するOstreocin-D (OstD: C129H219N3O53)はパリトキシン (C129H223N3O54) の同族体で、巨大で複雑な構造を持つ有毒物質である1, 2。Ostreopsis siamensis はOstDの他にも複数のパリトキシン同族体を産生しているが、その多くの構造は未決定であり化学構造の解明は有機化学的観点で興味深く、また毒性は化学構造に依存することから保健・環境・食品衛生の観点からも非常に注目される。第56回の本討論会ではTOF LC/MSを用いて、既報論文3ではQ-TOF LC/MSを用いて、新規パリトキシン同族体の平面構造の解析を報告した。しかし、TOF MS測定結果は精度に劣り重要なイオンの確認が困難であり、Q-TOF MS測定結果は大きなフラグメントイオンは帰属できたが、細部構造を確認するイオンが観測できず構造決定の証拠は不完全であった。今回はそれらの結果を応用し、新規パリトキシン同族体であるOstreocin-B (OstB) の迅速構造解析に挑戦した。OstBはOstDの副成分として単離されたが、微量試料かつ、Jの観測し難い部分構造のため構造決定には至らなかった経緯がある。すでに構造決定がされていたOstD のQ-TOF プロダクトイオンスペクトル帰属結果をテンプレートにすることで、わずか10 ppm程度の溶液からOstBの構造を明らかにするとともに、細部の部分構造を確認できる多数の新規プロダクトイオンを観測できたので報告する。
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ハーブや食用きのこに含まれる機能性成分が薬物代謝酵素に与える影響 招待あり
阿部尚樹
日本ハーブ療法研究会 第3回学術集会 2015年12月 日本ハーブ療法研究会
開催年月日: 2015年12月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:東京農業大学世田谷キャンパス
ハーブや食用茸の中には、生体調節機能を示すものが数多く知られていることから、機能性食品としても積極的に用いられているものもある。これらの中には、生薬や漢方薬の成分として使用されるほど強い生理活性を示すものもあることにより、食事として摂取する場合においても病態に対する予防や治療効果を期待して取り入れるヒトも少なくない。このようなヒトの場合には、何らかの疾病に対して既に投薬治療を受けていることも多く、ハーブや食用茸中の機能性成分と医薬品と間の相互作用についても、十分に考慮する必要がある。ここでは、生理活性が報告されている数種類のハーブや食用茸の機能性成分が示した、薬食相互作用を引き起こす可能性のあるCYP阻害活性について紹介する。
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Vialinin A アナログ誘導体を分子プローブとして用いた細胞内標的タンパク質の同定とTNF-α放出阻害作用の解析 国際会議
阿部尚樹、吉岡泰淳、叶躍奇、岡田潔、谷口佳代子、菅谷紘一、小野瀬淳一、高橋俊哉、越野広雪、矢島新、矢嶋俊介
第54回天然有機化合物討論会 2012年09月
開催年月日: 2012年09月
記述言語:日本語 会議種別:シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
開催地:東京農業大学世田谷キャンパス
ツブイボタケ(Thelephora vialis)は、中華人民共和国において食用として最も好まれる茸の一種であることに加え、腰腿の疼痛治療など薬用にも用いられる茸である。我々は、中国雲南省昆明食用菌研究所より購入したツブイボタケ乾燥子実体から抗体刺激ラット好塩基球系培養細胞RBL-2H3からの炎症性サイトカイン腫瘍壊死因子(TNF)αの放出を10-11 Mのレベルという極低濃度で阻害し、かつ、臨床で使用される免疫抑制剤タクロリムスなど既存の薬剤とは異なる活性発現パターンを示すvialinin類を新規化合物として単離・構造決定し、その全合成についても報告してきた。今回我々は、vialinin A (1)をリード化合物として活性アナログ5’,6’-dimethyl-1,1’:4’,1”-terphenyl-2’,3’,4,4”-tetraol (DMT, 2) を合成し、さらに、クリックケミストリーにより2を蛍光及びビオチン標識化した分子プローブを用いることにより、その細胞内での挙動並びにDMT標的タンパク質を明らかにしたのでこれを報告する。加えて、siRNAを用いたRNA干渉によりDMT標的タンパク質の発現抑制とTNF-α放出阻害作用との関連性を強く示唆する結果を得ることができた。関節リウマチ(RA)などのTNF-α関連疾患に対する新たな治療法発見に繋がる可能性を提供するこの結果についても合わせて報告する。
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食品研究とケミカルバイオロジー 食材由来の生体調節機能物質を例にして 招待あり
阿部尚樹
食品ニューテクノロジー研究会 20114月例会 2011年04月 食品ニューテクノロジー研究会
開催年月日: 2011年04月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(招待・特別)
開催地:アキバプラザ
近年、「食と健康」という観点から日常摂取する食品に大きな関心が向けられ、精力的な研究により食の三次機能といわれる生体調節機能をになう食品成分が生活習慣病、老化、さらには自己免疫性疾患の予防、場合によっては治療にも有効であることが明らかになりつつある。本演題では、ケミカルバイオロジー的解析手法とこれを用いた食品中の生体調節機能物質による生体調節機構の解析例について紹介する。
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中国産食用茸に含有される生体調節機能物質のケミカルバイオロジー解析 招待あり
阿部尚樹
第86回 日本栄養・食糧学会 関東支部シンポジウム 2010年12月 (社)日本栄養・食糧学会 関東支部
開催年月日: 2010年12月
記述言語:英語 会議種別:シンポジウム・ワークショップ パネル(指名)
開催地:東京農業大学18号館
食材(フードマテリアル)として世界中で好まれている茸は、かびや酵母などと同じ真菌類の一種であり、他の食材には見られない多様な化学構造を有する特異な生理活性物質を含有している。中華人民共和国・雲南省は世界的な茸の産地として知られ、600〜800種の茸が自生しているとも言われており、日本の食用茸以外にも数多くが食材として用いられている。これらの茸に含有される生理活性物質は、その化学構造に起因する特異的な標的分子に対して作用することにより生体調節機能を示している可能性があり、また、新たな生命現象のメカニズム解明のプローブともなりうることから、ケミカルバイオロジー的手法によるメカニズム解析を目指した。
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中国産食用茸ツブイボタケ(Thelephora vialis)含有新規物質vialinin類による強力な腫瘍壊死因子(TNF)-α発現阻害活性メカニズムの解析 招待あり 国際会議
阿部尚樹
藪田セミナー「天然有機化合物を起点とした化学生物学の新展開」—市原メモリアルシンポジウムー 2010年06月
開催年月日: 2010年06月
記述言語:日本語 会議種別:シンポジウム・ワークショップ パネル(指名)
ツブイボタケに含有されている抗炎症性成分を明らかにすることを目的として研究を開始し、抗酸化活性を有する化合物として新規物質vialinin Aを含むp-terphenylを基本骨格とする化合物と新規物質vialinin BおよびCを含むdibenzofuranを基本骨格とする化合物をそれぞれ複数単離した。ラット好塩基球系培養細胞であるRBL-2H3細胞を用いた抗体刺激によるTNF—α発現阻害試験に供したところ、特にvialinin AとBはIC50値0.09 nMおよび0.02 nMという強い阻害活性を示した。さらに、vialinin類の強力なTNFーα発現阻害活性のメカニズムを明らかにするため、蛍光発色団を導入した誘導体を合成、活性を有する化合物は、細胞内に存在することを示した。一方、 vialinin A処理によりRBL—2H3細胞中でどのような変化が起こっているかを明らかにするため、それぞれ転写・翻訳ならびに代謝物レベルでの変化をそれぞれのオーム解析手法並びにRT—PCR、フローサイトメーターなどにより網羅的に検討した結果、vialinin類は低濃度では細胞内でTNF—αの細胞膜への輸送を阻害している可能性が示唆された。
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強力なTNF-α産生阻害活性を有する天然p-テルフェニル類の合成研究 国際会議
叶躍奇、小野瀬淳一、吉川邦衛、阿部尚樹、(他3名)
第50回天然有機化合物討論会 2008年10月
開催年月日: 2008年10月
記述言語:日本語 会議種別:シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
開催地:福岡国際会議場
中国産食用茸ツブイボタケ乾燥子実体より新規物質として単離した強力な腫瘍壊死因子(TNF)α阻害物質vialinin Aをセサモールを出発原料として11段階、総収率28%で全合成した。類似の合成戦略に基づきatromentin、ganbajunin D及びEの全合成も達成した。一方、文献記載のganbajunin Cの全合成を行った結果は、ganbajunin Cの構造訂正が必要であることを示唆した。
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中国産食用茸ツブイボタケ由来vialinin類によるTNF-α産生阻害作用 国際会議
梅本裕之、塩光映、(他5名)、阿部尚樹、吉川邦衛
日本農芸化学会2008年度大会要旨集(於名城大学) 2008年03月
開催年月日: 2008年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
抗原刺激したRBL-2H3細胞中でのvialinin類による炎症性サイトカインTNF-αおよびIL-4の産生阻害活性を検討し、vialinin類がTNF-α産生に対し特異的に強い阻害活性を示すことを明らかにした。また、細胞内でリン酸化タンパク質Sykの発現阻害が認められた。
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新規ソルビシリノイド5-epihydroxyvertinolideに関する研究(2)-生合成メカニズム研究- 国際会議
菅谷紘一、寺澤隆範、(他6名)、阿部尚樹
日本農芸化学会2008年度大会要旨集(於名城大学) 2008年03月
開催年月日: 2008年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
Trichoderma sp. USF-2690におけるポリケチド生合成経路解明のの重要な生産物である5-epihydroxyvertinolideの13Cラベル実験を行った。その結果予想したとおりの切断反応が起こっていることが示されたことから、ポリケチド鎖の酸化修飾という前例のない反応機構の存在が強く示唆された。
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天然p-テルフェニル類の有機化学的研究 国際会議
叶躍奇、小野瀬淳一、吉川邦衛、阿部尚樹、(他3名)
日本農芸化学会2008年度大会要旨集(於名城大学) 2008年03月
開催年月日: 2008年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
Suzukiカップリングを鍵反応としてアトロメンチンの全合成を達成した。
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新規ソルビシリノイド5-epihydroxyvertinolideに関する研究(1)-精製単離および構造決定- 国際会議
菅谷紘一、越野広雪、(他5名)、阿部尚樹
日本農芸化学会2008年度大会要旨集(於名城大学) 2008年03月
開催年月日: 2008年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
Trichoderma sp. USF-2690によりヘキサケチド生理活性物質ソルビシリノイド類の生合成過程で生産されると予想される5-hydroxyvertinolideを培養液を用いてDAD検出器により探索したところ、予想に反し、5位水酸基の立体化学の異なる新規物質5-epihydroxyvertinolideを単離、その絶対構造を含め構造決定した。
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中国産アシベニイグチ乾燥子実体中の生理活性物質に関する研究 国際会議
松尾直樹、黄ギョクテイ、(他4名)、阿部尚樹
日本農芸化学会2008年度大会要旨集(於名城大学) 2008年03月
開催年月日: 2008年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
中国産アシベニイグチ乾燥子実体中の生理活性物質として抗酸化活性を示す variegatic acid および xerocomic acid を同定し、さらにI型アレルギーモデルであるRBL-2H3細胞からの脱顆粒抑制についても検討した。
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Trichoderma sp. USF-2690の生産するソルビシリノイド類及びビソルビシリノイド類の抗アレルギー活性に関する研究 国際会議
鈴木淳、菅谷紘一、(他4名)、阿部尚樹、吉川邦衛
日本農芸化学会2008年度大会要旨集(於名城大学) 2008年03月
開催年月日: 2008年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
Trichoderma sp. USF-2690培養液から単離した生理活性物質bisorbicillinol、sorbicillin、およびbisvertinoloneのI型アレルギーモデルであるRBL-2H3細胞からの脱顆粒抑制について検討し、IC50値によりその活性を評価した。
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食品中の生理活性物質による薬物代謝酵素阻害活性 国際会議
黄ギョクテイ、松尾直樹、(他6名)、阿部尚樹、吉川邦衛
日本農芸化学会2008年度大会要旨集(於名城大学) 2008年03月
開催年月日: 2008年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
CYP3A4を用いた阻害活性スクリーニングにより、中国産食用茸アシベニイグチおよびアミタケ乾燥子実体中に強い阻害活性を示す物質の存在を確認し、構造解析によりvariegatic acid、 xerocomic acid および atromentic acidを同定し、それぞれの化合物が示すCYP3A4に対する阻害活性をIC50値で評価した。
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Trichoderma sp.USF2690株の生産する生理活性物質sorbicillinoidの生合成研究 国際会議
菅谷紘一、小野瀬淳一、吉川邦衛、阿部尚樹(他7名)
第49回天然有機化合物討論会 2007年09月
開催年月日: 2007年09月
記述言語:日本語 会議種別:シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
開催地:札幌コンベンションセンタ)
13Cラベル実験により化学的に不安定なsorbicillinolがsorbicillinやoxosorbicillinolなどのsorbicillinoid類生合成前駆体であることを実験的に証明した。また、推定生合成経路における想定生合成中間体から存在が予想される5-hydroxyvertinolideを探索する過程においてそのエピマーである新規物質5-hydroxyvertinolideを単離構造決定しその生合成経路を13Cラベル実験により推定した。
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食用茸Fuscoporia obliqua菌核中の生理活性物質に関する研究 国際会議
金谷麻理絵、松尾直樹、小野瀬淳一、吉川邦衛、阿部尚樹
日本農芸化学会2007年度大会要旨集(於東京農大) 2007年03月
開催年月日: 2007年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
生理機能が注目されているモンゴル産食用茸Fuscoporia obliqua(チャーガ)の菌核中から強い抗酸化活性を示す化合物を単離し、その化学構造を4-(3,4-dihydroxyphenyl)-3-(E)-butan-2-oneであると同定した。
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Umu試験におけるplasmid pSK1002保有量とumu遺伝子の発現量 国際会議
菅野慎二、安永勝昭、及川剛、岩戸久未子、小野瀬淳一、阿部尚樹、吉川邦衛
日本農芸化学会2007年度大会要旨集(於東京農大) 2007年03月
開催年月日: 2007年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
umu試験において重要なbeta-galactosideseの発現量を含有プラスミド数との関連性をmRNAの発現量から検討し、活性試験における適正保有プラスミド数を推定した。
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中国産食用茸ツブイボタケ由来vaialinin類の抗アレルギー作用 国際会議
謝春、小野瀬淳一、吉川邦衛、阿部尚樹(他9名)
日本農芸化学会2007年度大会要旨集(於東京農大) 2007年03月
開催年月日: 2007年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
抗酸化物質として単離したvialinin Aが抗体刺激ラット好塩基球系培養細胞RBL-2H3細胞における脱顆粒並びに炎症性サイトカイン産生を阻害することを明らかにし、さらに、アレルギー状態でのヘルパーT細胞のTh1/Th2バランスの偏りをを正常に戻す働きがあることを示唆した。
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ポリケチド生理活性物質sorbicillinoiid類の生合成研究 国際会議
菅谷紘一、越野広雪、鈴木淳、立柄晃、久田麻衣子、荒川忠春、廣田陽、小野瀬淳一、吉川邦衛、阿部尚樹
日本農芸化学会2007年度大会要旨集(於東京農大) 2007年03月
開催年月日: 2007年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
13Cラベル酢酸を培地中に添加することにより得られた13Cラベルsorbicillinolを再度培地中に添加することによりsorbicillinol起点としてoxosorbicillinol、sorbicillinが生合成される経路の存在を明らかにし、またsorbicillinoid2量体であるbisvertinoloneがsorbicillinolとoxosorbicillinol各1分子より生合成されることを明らかにした。
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中国産イボタケ科食用茸由来新規抗酸化物質vialinin Bの抗アレルギー作用 国際会議
謝 春、片山恵代、高橋由香、越野広雪、江角保明、小野瀬淳一、吉川邦衛、阿部尚樹
日本農芸化学会2006年度大会要旨集(於京都女子大) 2006年03月
開催年月日: 2006年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
食用茸由来の新規抗酸化物質であるvialinin Bの抗アレルギー活性を検討した。アレルギー反応の指標として抗体刺激したラット好塩基球培養細胞MBL-2H3細胞からの脱顆粒反応(<beta>-hexosaminidasの放出)並びに炎症性サイトカインTNF-<alpha>とIL-4の産生に対する阻害活性を検討した。結果としてすべての反応、特にTNF-<alpha>の産生に顕著な阻害効果を示した。