論文 - 鈴木 貢次郎
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福島県のサクラの巨木
藤田さとみ,東中祐美子,金澤弓子,鈴木貢次郎,濱野周泰,染郷正孝
樹木医学研究 15 2010年09月
担当区分:責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
国内でもサクラの巨木が多い福島県を調査対象地として,その種や形状,生育場所,健全度を報告した.エドヒガン(Prunus pendula f. ascendens)とシダレザクラ(P. pendula f. pendula)が著しく多く,その他には,オオヤマザクラ(P. sargentii),ヤマザクラ(P. jamasakura),カスミザクラ(P. verecunda)3本,アカツキザクラ(Prunus ×compta),イヌザクラ(P. buergeriana),ウワミズザクラ(P. grayana)がみられた.また雑種(園芸種)といわれているサトザクラ(P. lannesiana cv.)とソメイヨシノ(P. × yedoensis)が数本みられた.シダレザクラに比べて,エドヒガンの方が幹周の大きいものが多かった.ヤマザクラの1本のみ700cmを越えたが,オオヤマザクラとあわせてその他は全て600cm未満であった.カスミザクラ,アカツキザクラ,イヌザクラ,ウワミズザクラは400cm以下,ソメイヨシノは500cm以下であった.サトザクラは全て株立ちであった.サクラの巨木は盆地の標高1,000m以下の川沿いに多く生育していた.県内東側(通称:浜通り)には,サクラの巨木が少なく,シダレザクラとヤマザクラが数本みられたのみであった.県内内陸部(通称:中通り)の福島盆地と郡山盆地のほぼ中央にある阿武隈川とその支流近くにエドヒガンとシダレザクラの巨木が多かった.県内西側(通称:会津地方)では中通りに比べてシダレザクラは少なく,オオヤマザクラ,ヤマザクラが多い傾向を示した.
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実生にみるエドヒガンの立ち性型と枝垂れ型
齋藤真吾,金澤弓子,鈴木貢次郎,濱野周泰,染郷正孝
樹木医学研究 15 48 - 49 2010年09月
担当区分:責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
シダレザクラ(Prunus pendula Maxim. f. pendula (Makino)Ohwi)は,ウバヒガン(エドヒガン,P. pendula Maxim. f. ascendens (Makino) Ohwi)の1変種で,これと枝が垂れ下がる点が異なるだけであること(牧野富太郎1962),シダレザクラの種子を播くとシダレザクラ,エドヒガン,その中間性のものを発生する(上原敬二1961)ことをシダレザクラの実生個体の樹形でみた.216個体の実生の樹形を写真撮影によって調べ,分類した結果,枝垂れ型が立ち性型(エドヒガン)の一変種にすぎないことを裏付けることができた.
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Seed germination and dispersal strategy of Trillium apetalon (Trolliaceae): a typical teperate woodland perennial in Japan 査読あり
Kojiro Suzuki and Shoichi Kawano
Plant Species Biology 25 231 - 239 2010年09月
担当区分:筆頭著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
エンレイソウ(Trillium apetalon) の種子発芽の環境条件と,子葉から第一葉(幼芽)の発生までの生活史について調べた。子葉から第一葉(幼根)が現れるまで,1.子葉が現れるのは種子散布後約半年で,その時種皮に覆われた状態である,引続き2.幼根が現れる,3.子葉が消える,その後,4.幼芽(第一葉)が現れる,5.幼根から2番目の幼根が現れるという段階を得た。種子散布後,約半分がその年内に発芽し,残りは翌年以降に断続的に発芽した。光の有無は発芽に影響しなかった。また乾燥によって発芽力を失う種子であった。これらの結果からエンレイソウ種子が散布される場所のリターの重要性を述べた。
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山梨県内におけるサクラの巨木の種とその生育場所及び生育状態
金澤弓子・東中祐美子・小林伸二・斉藤真吾・鈴木貢次郎・濱野周泰・染郷正孝
樹木医学研究 14 ( 1 ) 9 - 14 2010年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
山梨県内に生育するサクラ属の巨木(本報では幹周300cm以上を目安とし,一本桜と呼ぶ)の樹種や形状,生育地,一本桜に纏わる信仰や故事伝承の有無を調べた。エドヒガンが最も多く,続いてシダレザクラが多かった。シダレザクラの本数は,エドヒガンの約半数であった。ヤマザクラが1本みられた。一本桜の生育場所を地図に示したところ,盆地の,特に標高150~950mの山の麓付近の川沿いに多く生育していた。1000mを超える高山,または都市部に近い平地では少なかった。調査したサクラの分布の様子は,主要河川が幹,支流が枝になり,それらに一本桜が葉になって付いているように,全体では1本の木のようなものが描かれた。根元にコンクリート構造物や舗装路がある一本桜は,健全度が劣る傾向を示した。一本桜には,神木として信仰対象となっているものや,故事伝承をもつものが多く,地元の生活に深く密着していた。一本桜は,地域の生物資源になるだけではなく,その他の植物や人の住環境の指標として重要であることが示唆された。
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種子発芽特性からみたナガミヒナゲシの日本の生育地
吉田光司・金澤弓子・鈴木貢次郎・根本正之
雑草研究 54 ( 2 ) 67 - 70 2009年07月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
ナガミヒナゲシが国内で急速に気化している原因を,実験によって求めた種子発芽特性から考察した.野外の播種実験の結果,6月の種子散布後,散布当年の秋季と翌春に多くの出芽をみた.次に室内で異なる温度と水分条件に貯蔵した種子を定期的に取出す発芽試験を行った.その結果,①種子を湿潤・暖温条件に2~3ヶ月間貯蔵してから5℃で発芽させた場合,②湿潤・暖温条件に3ヶ月間貯蔵した後に湿潤・冷温条件に半月~1ヶ月間貯蔵してから10~20℃で発芽させた場合,③30℃/10℃の変温条件で発芽させた場合に高い発芽率を示した.試験から得られたナガミヒナゲシの発芽条件から国内の分布を説明できた.
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サクラ属種子の発芽に及ぼす温度と光,水分条件
金澤弓子・鈴木貢次郎・染郷正孝・濱野周泰
櫻の科学・日本櫻学会 14 11 - 19 2009年03月
担当区分:責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
サクラ節主要属に位置するカンヒザクラ,ヤマザクラ,オオシマザクラと,カンザクラ,及びオオシマザクラ雑種の種子発芽について調べた。これらの種子を屋外の土壌中に採取直後から1~1ヶ月半の間埋めてから5℃に置いたところ,オオシマザクラ雑種の種子は100%発芽し,続いてカンザクラが約70%の発芽率を示した。その他のオオシマザクラ,ヤマザクラの種子発芽率は50%以下となり,特にカンヒザクラは20%程度しか発芽しなかった。高発芽率を示したオオシマザクラ雑種の種子の大きさ(長径や短径)は,カンヒザクラよりも若干小さく,ヤマザクラ,オオシマザクラより若干大きかった。このオオシマザクラ雑種の種子発芽には,温度条件の影響が大きいことが窺われた。採取直後から5・10・15℃の恒温においても発芽するが,約20℃の湿潤条件に3ヶ月置いてから5℃におくと高発芽率を示し,速く発芽した。また高発芽率を示す温度条件であれば,光の有無はあまり影響しないこと,種子の乾燥や高温(30℃)に長期間置いた場合,発芽力を失うことがわかった。以上の結果から自然環境下では,サクラ属の多くの種子は,散布後,夏季の約20~25℃の暖温を経て,その後の秋季~冬季の低温で発芽するものと考えられた。
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日本列島におけるナガミヒナゲシ(Papaver dubium L.)の生育地の拡大
吉田光司・根本正之・鈴木貢次郎・藤井義晴
雑草研究 53 ( 3 ) 134 - 137 2008年10月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
地中海地方に多く生育し,外来(帰化)植物であるナガミヒナゲシ(Papaver dubium L.)について,帰化した当初(1980年代)から10年間隔の国内の生育地を文献,インターネット情報,現地調査によって比較した。ナガミヒナゲシは,都市を原点に,関東以南から瀬戸内海地方にわたる降雨量の少ない地域に多く,生育地を広めていることがわかった。
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低含水率に調整したマユミ種子の発芽促進
福永健司・五宝千嘉・鈴木貢次郎
日本緑化工学会誌 34 ( 1 ) 63 - 68 2008年09月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
マユミ(Euonymus sieboldianus Blume)の種子は,長期貯蔵のためには低温湿潤条件下に置くのが有効と考えられているが,湿潤条件下では種子の腐敗が生じやすい。そのため,種子含水率を腐敗しない程度と思われた21.3 %まで乾燥させて貯蔵を試みたが,発芽率が下がった。発芽率低下の原因に二次休眠によることが考えられるため,低温(0±1℃)や暖温(1日あたり25℃8時間と15℃16時間)の湿層処理,ジベレリン(GA3)処理を,単用あるいは組み合せて行った。その結果,低下したマユミの種子発芽率は,特に低温湿層処理3ヶ月間とジベレリン処理の組合せによって高めることができた。低温湿層処理やジベレリン処理それぞれの単用や,低温湿層処理2ヶ月間とジベレリン処理に暖温湿層処理を組み合せた場合は発芽率は向上しなかった。また500 ppmと100 ppm に比べて1,000 ppmのジベレリン処理濃度で発芽率が高まった。
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長期間冠水したジャノヒゲ(Ophiopogon japonicus)の根の形態的特性
鈴木貢次郎,井出美奈子,中村幸恵
日本芝草学会 36 ( 2 ) 105 - 108 2008年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
ジャノヒゲが長期間冠水下で生育できる理由について調べた。長期間冠水したジャノヒゲの根の断面を観察したところ,イネを冠水した時にできる通気組織を観察した。また,ジャノヒゲの植物体全てを冠水したり根系部のみを浸水し,これらを明条件と暗条件に置いて水中の溶存酸素量を測定した結果,明条件下で水中の溶存酸素量が増えた。ジャノヒゲの根には,根系での呼吸が行われにくい時,葉茎部の光合成作用によってつくられた酸素を運ぶ通気組織がつくられたものと考えられた。
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ヤマモモ(Myrica rubra) の種子発芽習性からみた生育環境と増殖法
濱野周泰・高松匠也・鈴木貢次郎
社団法人環境情報科学センター ( 21 ) 2007年11月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
ヤマモモの種子発芽に及ぼす温度や光条件,種子寿命について調べ,生育・種子発芽環境や種子増殖法について考察した。‘瑞光’と‘森口’,‘千葉産’,‘横浜産’の4種の最も発芽率の高い温度は,15℃前後であった。自生地の温量指数によれば,1年のうち約5~6ヶ月間が15.0~17.5℃であった。この値と実験室内における発芽温度・期間がほぼ一致した。光発芽性種子であり,乾燥短命種子であった。無処理は発芽率は約45%であり,発芽までに180日を要したが,ジベレリン(GA3)処理によって100ppmでは約90日で発芽を開始し,約180日で70%の発芽率に達した。
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Seed longevity of Hosta sieboldiana and H. albomarginata 査読あり
鈴木 貢次郎
ISTA(International seed testing association),Seed Symposium ABSTRACTS, ( 14 ) 2007年05月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(国際会議プロシーディングス)
日本産のギボウシ属は,園芸用,緑化用に世界中で利用されている。交配種も多く,原種を多く有する日本では,その遺伝資源の保存は重要な任務であると考える。遺伝資源の保存のために用いる種子材料についてその発芽習性や種子の寿命について調べた。その結果,ギボウシ種子は短命であること,高温で早く発芽し低温で遅く発芽するなど,ヤナギ科の種子と極めて似た習性をもつもとが明らかになった。
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臨海埋立地の(超)高層住宅地域における住民参加による計画・設計・施工の近隣公園
高柳裕則,清家省二,塚田和男, 鈴木貢次郎
日本造園学会/造園技術報告集 ( 4 ) 2007年04月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
千葉県浦安市の海浜地区にある高層住宅団地内において、2004年10月、約1.79haの近隣公園を竣工した(2005年5月開園)。海浜地区にありながら、この園内には流れ、水田が施工されている。土壌は砂であるため,ビオトープの施工時の水の処理や盛土材の降雨による流出対策に苦慮した。一方公園の計画・設計から施工段階に至るまで住民参加のワークショップを行った。その結果、①周辺の公園に遊具があるので、当公園には遊具を設置しない,②盛土を行い起伏を多くつける、③スケートボードエリアを施工する,④住民管理のバラ園を施工する等の住民ならではの意見を多く取り入れることができた。また、田植えとその後の稲刈りを工期中に住民と共に試みた。
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Responses of Liriope platyphylla F.T. Wang & T.Tang and Ophiopogon japonicus (L.f.) Ker Gawl. seeds to desiccation
K.Suzuki, M.I.Daws and H.W.Pritchard
Seed Science and Technology, ( 35 ) 129 - 133 2007年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
園芸,緑化に多く用いられるヤブランとジャノヒゲの種子は,乾燥によって発芽力を失うといわれている。しかし,その耐性は,両種が近縁でありながら異なり,ヤブランはジャノヒゲに比べて乾燥に耐える。そのcritical point は,ジャノヒゲは28%M.C.,ヤブランは10%M.C.であった。またジャノヒゲの発芽力は,種子含水率が約40%で最も高くなり,これ以上より高くなったり,低くなったりすると,発芽力が低下することがわかった。これらの結果からヤブランは,Recalcitrant Ⅱ,ジャノヒゲはRecalcitrant Ⅲのカテゴリーになることがわかった。
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人工地盤における土壌下層部の温度変化に及ぼす植栽形態の影響
佐原まり子,濱野周泰,鈴木貢次郎
日本緑化工学会誌 32 ( 1 ) 2006年09月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
近年ますます期待が高まっている屋上緑化の環境形成効果について調べた。本報では特に人工構造物の表面(土壌下層部)の温度に及ぼす植栽形態の違いの影響を夏季と冬季にわたって調べた。その結果と外気温や日照時間,降水量,土壌含水率等とを比較し,土壌下層部に影響を及ぼす要因について考察した。土壌下層部の温度の平衡には低木を植栽することによって生じる遮光の効果が大きく影響することが明らかとなった。
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The relations between cherry trees (Genus Prunus) designated as Natural monument and regional culture seen in Japan
Chikayasu Hamano, Kojiro Suzuki and Masataka Somego
Journal of Landscape Architecture in Asia Volume 2, Japanese institute of Landscape Architecture, Chinese society of Landscape Architecture, Korean institute of Landscape Architecture 2006年08月
担当区分:筆頭著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
日本の国花であるサクラには天然記念物として登録されているものが477本に達する。その中には樹齢100年から300年に達するものが多い。中には700~800年を経たもの,さらに1000年を超え,最長2000年に達するサクラもあげられている。登録されている天然記念物のサクラには,エドヒガンやシダレザクラ,ヤマザクラなどがあげられた。これらは地域のシンボル的役割を担っているものが多く観光資源としても近年大きな価値が問われている。
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巻機山(上越地方)における植生復元工後の植生動態
桑山直子・鈴木貢次郎・麻生恵・根本正之
東京農業大学農学集報 49 ( 3 ) 2004年12月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要)
1980年から植生復元工が行われてきた巻機山の山頂付近(標高 1,700~1,967m)に調査区を設け、植生復元工後の植生動態について調査した。その結果、施工時の播種工(法)や株移植に用いた植物材料に関わりなく,植生復元工後の植生は、1.御機山からニセ巻機周辺(標高 1,800~1,900m)に多くみられたショウジョウスゲ-ヌマガヤ群落、2.池塘等の湿地付近に多くみられたミヤマイヌノハナヒゲ-ヌマガヤ群落,3.標高 1,900m以上の山頂付近に多くみられたヌマガヤ-ヒロハノコメススキ群落の3タイプに分けることができた。またショウジョウスゲ-ヌマガヤ群落ではショウジョウスゲが年数を経過した区で増加する等、自然植生の構成種が植生復元工の成否の指標となるべく知見を得た。
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ヤブラン亜科4種1栽培種の冠水抵抗性の比較
中村幸恵,鈴木貢次郎,近藤三雄
東京農業大学農学集報 49 ( 3 ) 2004年12月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要)
ヤブラン亜科の1栽培品種と4種,計5系統を供試植物として冠水抵抗性の違いについて比較した。冠水状態においた供試植物の生存率や葉数,根数,葉長,新芽数等の測定結果から,ジャノヒゲ,またはチャボリュウノヒゲ>ノシラン>オオバジャノヒゲ>ヤブランの順で冠水抵抗性があると判断できた。また冠水抵抗性に劣るヤブランやオオバジャノヒゲを冠水し,その水中に人為的に空気を送ると,枯死する個体が少なくなり,生育している個体の生体重や茎数,葉数の値が空気を送らない時に比べて大になった。これらの結果から冠水抵抗性の系統間差異の原因を考察した。
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‘熱海桜’の遺伝的特性
染郷正孝・鈴木貢次郎・北島厚之・山本紀久
櫻の科学,財団法人日本さくらの会 ( 11 ) 2004年11月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(その他学術会議資料等)
静岡県熱海市内にある古くから植栽された‘熱海桜’について、生理・形態的特性と花粉特性を調べて,その品種の成因などを検討した。開花期や、落葉特性、花、葉の形態の調査によれば2003年では1月10日より開花がみられ、同年2月28日まで約44日間の開花期間が観察された。落葉期も遅い性質から、休眠の浅いことが開花を早める要因と考えられた。また花粉粒径曲線の分析結果から熱海市内にある海浜公園、来宮、糸川、水口、伊豆山の‘熱海桜’は,同一のクローンとみなされた。さらに‘熱海桜’の成因は既往のカンザクラ(カンヒザクラとヤマザクラの自然雑種)に属する雑種の品種と同定された。
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Cold-induced germination promotion in Hemerocallis dumortieri var. esculenta and H. fulva var. littorea seeds
Kojiro Suzuki, Hiroko Nakajima and Chikayasu Hamano
CAB International,The Biology of Seeds: Recent Research Advances,405-412 406 - 412 2003年09月
担当区分:筆頭著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
日本海側に多く生育するゼンテイカ(別名ニッコウキスゲ)と太平洋側の特に海岸線に多いハマカンゾウの種子発芽特性について,実験的に比較究明した。ニッコウキスゲは湿った土壌,ハマカンゾウは海岸線の比較的乾燥した場所に多く生育するが,両種子共,乾燥によって発芽力を失うこと,低温湿潤下に数ヶ月置くことによって発芽率が向上することなどが明らかとなった。種子発芽に関しては生育環境の違いによって異なる事があまりみられなかった。
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露地栽培したキダチアロエの生育に及ぼす都市気候の影響
根本正之,村山英亮,鈴木貢次郎
社団法人環境情報科学センター 環境情報科学 別冊 ( 15 ) 2001年12月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
キダチアロエの栽培環境と生育状況の聞き取り調査に基づき,東京都内における露地栽培の可能範囲とその生育特性を明らかにした。聞き取り調査は都心の蒲田より西方向へ,世田谷,府中,八王子,青梅の各地域を中心に行った。その結果都心から西部地域に向かうのに従い,露地栽培の越冬個体の割合は減少し,八王子以西では確認されなかった。また2001年1月の寒波と積雪のみられた後,屋外で越冬がみられる府中,世田谷,蒲田の3地域で凍害調査をした。その結果これらの低温障害が発生する年は蒲田地域のみで露地栽培が可能となることがわかった。