論文 - 野口 敬夫
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製粉産業及び飼料産業における企業行動と安定供給に向けた課題 招待あり
野口敬夫
日本フードシステム学会『フードシステム研究』 30 ( 3 ) 134 - 148 2023年12月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本稿は、製粉産業及び飼料産業における企業行動と安定供給に向けた課題について明らかにすることを目的とする。企業行動をアップグレーディングの概念から考察すると、製粉産業や飼料産業では主に「工程の高度化」に重点が置かれてきた。具体的には、原料調達の多様化や原料輸送の効率化、製造工場の統廃合、銘柄の集約化、商品の直接配送や直接販売などによってコスト削減が進められてきた。しかし、原料、製造、販売過程において、これ以上の大幅な合理化は難しい。そのため価格高騰への対応は容易ではなく、国の支援が不可欠となる。国には総合的な調整と状況に応じた柔軟な対応が求められる。
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農協系統による牛肉のバリューチェーンの構造分析 査読あり
野口敬夫
日本農業市場学会「農業市場研究」 32 ( 1 ) 31 - 42 2023年06月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本稿は農協系統による牛肉のバリューチェーンの構造を分析した。農協系統組織は委託販売や預託取引,直営の繁殖・肥育牧場による肉牛供給,肉牛の増頭助成を実施し,生産者の支援や地域の生産基盤維持に取り組んでいる。一方,全農県本部は,資本出資している処理業者や系列の卸売・加工会社と連携することで,実需者ニーズに対応した商品の製造・販売を進めている。また,付加価値を形成するために,農協系統組織は生産や処理・加工におけるコスト削減,多様な消費者ニーズに対応した牛肉生産と差別化,近接の事業部門の拡大などを進展させている。
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フェアトレードにおけるバリューチェーンの構造分析―フェアトレード認証紅茶を中心に― 査読あり
野口敬夫・安江紘幸・大室健治・間々田理彦・下口ニナ・河野洋一・原温久
食料・農業・農村経済学会「農村研究」 ( 136 ) 1 - 17 2023年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本稿では,紅茶に焦点をあて,フェアトレードにおけるバリューチェーンの構造分析を行った。特に,グローバル・バリューチェーン分析の統治構造の概念に基づき,考察を行った。茶葉の栽培・製造,出荷段階では,「拘束型」や「統合型」の統治構造がみられ,シッパーが統治主体となる。フェアトレード認証基準を遵守するために,茶園に対するシッパーの調整力や交渉力が要求される。茶葉の調達,製品加工,販売段階では,「モジュラー型」の統治構造がみられ,日本のフェアトレード認証事業者が統治主体となる。フェアトレード認証基準が含まれるため,取引はやや複雑になるが,フェアトレード認証事業者は実需者ニーズを踏まえた調達,製品加工,販売を行っている。
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アメリカ─日本の飼料穀物・配合飼料バリューチェーンにおける日系商社グループの構造分析 査読あり
野口敬夫・内山智裕・西嶋亜矢子・磯田宏・八木浩平
食料・農業・農村経済学会「農村研究」 ( 135 ) 15 - 31 2022年10月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本稿では,アメリカ-日本の飼料穀物・配合飼料バリューチェーンにおける日系商社グループの構造について検討した。穀物ビジネスでは,基本的に差別化による高付加価値化が困難なため,スケールメリットの発揮によるコスト削減が収益性を高める手段となる。そこで,日系商社は中国へ進出して販路開拓を図る一方,アメリカにおいて穀物集荷・輸出会社の統合を進め,穀物取扱量を拡大させている。また,代替性が高い配合飼料についても付加価値の創出は難しく,競争力の向上にはコスト削減が要求される。そのため,飼料会社は原料調達の多角化,大規模生産者との直接取引,大ロットによる直接配送等を進めている。
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植物油製造業を取り巻く環境の変化と競争優位の獲得 査読あり
八木浩平・林瑞穂・佐野友紀・野口敬夫
食料・農業・農村経済学会「農村研究」 ( 135 ) 1 - 14 2022年10月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
貿易自由化による輸入拡大が懸念される品目の一つが,植物油である。本稿では,油糧作物や植物油,植物油粕の商品特性や社会的技術条件を整理し,今後の植物油輸入拡大の誘因と障壁を整理する。その上で,中長期的に起こり得る植物油輸入等の近年の環境変化に対して,植物油製造業がどのような方策で競争優位の維持,獲得へ取り組んでいるかを,経営戦略論の知見から捉えたい。 結論では,近年の環境変化として,貿易自由化に伴う植物油輸入は国内での搾油の利益がより大きく,また保管用のタンクが十分でないためすぐには起こりにくい一方,植物油粕の需要者である畜産部門の推移が注視すべき分野の一つである点を整理した。また,原料の安定調達が喫緊の課題である点を確認した。その上で植物油製造業は,産業内の協調的な競争関係の構築や,構造改革,高付加価値油の需要創出,多角化,海外展開,植物油輸入へ対応可能な設備投資に取り組んでいた。
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エシカル消費に対する消費者の認知状況と購買行動の特徴 査読あり
原温久・間々田理彦・安江紘幸・下口ニナ・野口敬夫・河野洋一・大室健治
実践総合農学会「食農と環境」 ( 30 ) 61 - 68 2022年10月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本研究では,エシカル消費の認知度に関する調査結果を踏まえた後,まず属性別に違いがみられるか否かを明らかにした。次に,エシカル消費の認知度と消費者行動の関連性等について(言葉を知らずとも国民がエシカル消費行動をとっているか否かについて)明らかにした。
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エシカルフードチェーンアプローチを適用した農福連携の事例分析 査読あり
間々田理彦・安江紘幸・河野洋一・野口敬夫・原温久・下口ニナ・大室健治
実践総合農学会「食農と環境」 ( 30 ) 49 - 54 2022年10月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本研究では農福連携を「Ethical Food Chain、以下、EFC」として包括的に捉えることで、生産者側(農福)と消費者側の双方がwin-winとなるような農福連携のあり方を検討した。本研究で事例としたY福祉会における分析の結果から農産物生産や加工品製造は、利用者のQOLの向上という明確な理念にもとづくものであることから、動機としての倫理観に依拠した行動であることが明らかとなった。一方で農産物を出荷するルートによっては小売店側の姿勢からEFCとして構築されているとはいえない状況もあった。ただし、地域の農業者(農家)との強い信頼関係の元での連携、加工事業による農家所得の向上、人への配慮として従事者のQOLの向上への高い意識、消費者の評価等から、賃金やラベルの問題等いくつか課題はあるものの、Y福祉会の農福事業は十分に「エシカル的」フードチェーンとして成立していると判断できよう。
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地域における協同のネットワーク形成の論点 招待あり
野口敬夫
日本協同組合学会「協同組合研究」 40 ( 1 ) 23 - 25 2020年06月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(研究会,シンポジウム資料等)
日本協同組合学会の2000年代以降の春大会・秋大会での議論や意見を踏まえ、地域における協同ネットワーク形成の論点を提示した。
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アメリカ・日本間における 粗飼料サプライチェーンの構造分析―農協系統に焦点をあて― 査読あり
野口敬夫
食料・農業・農村経済学会「農村研究」 128 1 - 17 2018年10月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本稿では日本の農協系統に焦点をあて,アメリカ・日本間における粗飼料サプライチェーンの構造について分析した。農協系統はアメリカ現地に農場・倉庫の設置,トラックの所有など粗飼料生産・流通における設備投資の強化や,取扱規模の拡大に重点を置いた事業再編を進め,高品質な乾草やヘイキューブの安定調達,価格メカニズムの把握・調整,スケールメリットによるコスト削減に努めている。
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乳用種の販売拡大における中規模食肉卸売企業の取り組みに関する一考察-大阪府のD企業を事例として- 査読あり
郭万里・菊地昌弥・野口敬夫
食料・農業・農村経済学会「農村研究」 126 16 - 26 2018年03月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本研究では乳用種を取り扱う中規模の食肉卸売業者のマーケティング活動に焦点をあて、その牛肉販売にあたって高需要品に位置する内臓の取扱いが寄与しているかを解明することを目的とした。
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熟成肉による新需要創造のための企業行動とその成果 査読あり
菊地昌弥・古屋武士・野口敬夫・細野堅治
食料・農業・農村経済学会「農村研究」 120 11 - 22 2017年03月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本研究は輸入牛肉の増加が危惧されるなか、その対応策を検討することを目的とした。
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褐毛和種の産地流通における卸売機能の実態と課題―高知県「土佐あかうし」の事例― 査読あり
野口敬夫・岸上光克・菊地昌弥
日本農業市場学会「農業市場研究」 25 ( 2 ) 36 - 42 2016年09月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本稿では、褐毛和種産地の高知県における卸売業者の事業戦略と課題を検討した。高知県では褐毛和種の枝肉価格が上昇するともに、格付実績の向上がみられる。こうしたなか、卸売業者は褐毛和種の取扱いを増加させるとともに、県外の高級志向のレストランに焦点をあてた販売戦略を進めている。
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日本短角種の大規模産地の供給力の回復に関する一考察―岩手県岩泉町を対象に― 査読あり
菊地昌弥・野口敬夫・岸上光克
食料・農業・農村経済学会「農村研究」 ( 122 ) 10 - 21 2016年03月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本研究は、日本有数の短角牛の大規模産地である岩手県岩泉町を事例に大規模産地でも供給力の回復が確認されるか否かを解明するとともに、その結果と先行研究の成果を踏まえて構造変化が生じている可能性を検討した。
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秋田県における日本短角種の供給力の回復傾向とその要因―かづの牛の産地マーケティングの事例― 査読あり
菊地昌弥・野口敬夫・安部新一
食料・農業・農村経済学会「農村研究」 ( 120 ) 15 - 26 2015年03月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本稿は短角牛の主産地が低迷している状況において、近年供給力が回復傾向にある秋田県を対象に、その実態と要因をマーケティング的視点から解明することを目的とした。
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褐毛和種の供給における産地の新たな取組みとその成果―高知県「土佐あかうし」の事例― 査読あり
野口敬夫,菊地昌弥,安部新一
日本農業市場学会「農業市場研究」 24 ( 1 ) 54 - 60 2015年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本研究では、褐毛和種産地の高知県における卸売業者の事業戦略と課題を検討した。高知県では土佐和牛ブランド推進協議会による生産・販売支援や赤身肉の消費者ニーズの拡大等のなかで、褐毛和種の枝肉価格が上昇するともに、格付実績の向上がみられる。
こうしたなか、卸売業者は褐毛和種の取扱いを増加させているが、特に販売価格が安定する格付の高い枝肉の仕入を拡大させる動きがみられる。また、卸売業者は販売戦略として農畜産業コンサルタント会社が企画する飲食店シェフ向けイベントを活用し、取引先の新規開拓を進めている。とりわけ褐毛和種の希少性、特徴・価値を認識し、高値販売が可能な高級差別化志向のレストラン等との取引を拡大させている。 -
Developing and maintaining the jidori locally produced chicken brand in the face of international competitio 査読あり
Takao Noguchi
Jounal of Rural Community Studies ( 118 ) 61 - 72 2014年03月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
This research investigates the promotion of jidori chicken meat and brand management in the face of international competition in the chicken meat industry.
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国際競争下の養豚産業における系統農協の差別化対応に関する考察-岩手県の取組みを事例として 査読あり
野口敬夫・菊地昌弥
日本農業市場学会「農業市場研究」 22 ( 4 ) 62 - 68 2014年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本稿では国際競争下の養豚産業における差別化対応について、系統農協の取組みを中心に検討した。事例として取り上げた岩手県では、全農岩手県本部を基点をとし、系統農協の組織体制を活かした銘柄豚生産が進められている。今後、小規模農家については販売先の細やかなニーズに対応した小回りの利く銘柄豚生産や、消費者への認知を高めるための販売促進・宣伝活動よる銘柄豚プレミアム価格の向上が課題である。
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採卵種鶏の輸入及び国内供給を担う輸入販売会社の事業展開 査読あり
野口敬夫
食料・農業・農村経済学会「農村研究」 ( 117 ) 1 - 12 2013年09月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本稿では,採卵種鶏の輸入及び国内供給を担う輸入販売会社の事業展開について検討した。日本で種鶏供給の大部分を担う輸入販売会社は,採卵鶏の供給安定化を図るため主として原種鶏を輸入し,加えて2007年からは,原々種鶏の輸入も開始している。また,銘柄卵生産が拡大するなか,通常の白玉鶏よりも赤玉鶏の販売が拡大している。さらに,疾病リスクの低減を目的として,直営農場の集約化や,HACCPにもとづいた衛生管理手法の導入がみられる。
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海外ハイブリッド種豚供給における種豚会社の事業展開と現段階 査読あり
野口敬夫
食料・農業・農村経済学会「農村研究」 ( 115 ) 70 - 81 2012年09月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本稿では海外ハイブリッド種豚供給における種豚会社の事業展開と現段階を検討した。海外ハイブリッド種豚会社は,主に大規模な肉豚生産者を中心に種豚を供給しており,直営農場や契約農場の規模拡大を進めている。また,海外ハイブリッド種豚会社は,種豚生産コストや物流コストの削減,そして,疾病リスクの低減を目的として,種豚場やAI(人工授精)センターの分散,原種豚の販売,AI用精液の販売などに力点を置いている。
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アメリカからの飼料穀物輸入と日本の配合飼料供給における系統農協の現状と課題 査読あり
野口敬夫
食料・農業・農村経済学会「農村研究」 ( 113 ) 39 - 52 2011年11月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
系統農協の飼料穀物輸入と配合飼料供給の歴史的展開を把握した上で,2000年代後半の状況変化のなか,系統農協が協同組合組織としてアメリカからの飼料穀物輸入や日本での配合飼料供給についてどのように事業対応を進めているのかについて明らかにした。