Papers - YAYOI Obata
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Maturation of mouse fetal germ cells in vitro(体外培養におけるマウス胎仔生殖細胞の成長) Reviewed
Obata Y, Kono T, Hatada I.
Nature 418 ( 6897 ) 497 - 498 2002.08
Authorship:Lead author Language:English Publishing type:Research paper (scientific journal)
全能な受精卵を作出するためには、生殖細胞形成過程における核のリプログラミングが必須である。ここでは、妊娠12.5日のマウス胎仔に由来する雌の始原生殖細胞が、体外培養によって減数分裂やゲノムインプリンティングなどのリプログラミングを完了することが示された。さらに、これらの体外培養卵子は、核移植および体外受精を経て産仔へと発生することが示された。体外培養で卵子形成に成功した初めての報告となった。
DOI: 10.1038/418497a
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A microarray-based method for detecting methylated loci(メチル化部位を検出するためのマイクロアレイ法) Reviewed
Hatada I, Kato A, Morita S, Obata Y, Nagaoka K, Sakurada A, Sato M, Horii A, Tsujimoto A, Matsubara K.
Journal of Human Genetics 47 ( 8 ) 448 - 451 2002.08
Language:English Publishing type:Research paper (scientific journal)
DNAメチル化の差異を検出する新しいマイクロアレイを開発し、ここで報告した。CpGアイランドのメチル化は遺伝子発現の制御に機能していることから、DNAメチル化の差異が遺伝子発現の差異として検出されることを示した。
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Nuclear competence for maturation and pronuclear formation in mouse oocytes(マウス卵母細胞における核の成熟能と前核形成能) Reviewed
Bao S, Obata Y, Ono Y, Futatsumata N, Niimura S, Kono T.
Human Reproduction 17 ( 5 ) 1311 - 1316 2002.05
Language:English Publishing type:Research paper (scientific journal)
十分な成長を遂げた卵子は、性腺刺激ホルモンの作用によって第二減数分裂中期へと成熟し、受精後、卵子由来の雌性前核と精子由来の雄性前核を形成する能力を持つ。核移植技術を用いると、種々の成長ステージの卵子から第二減数分裂中期卵子を作出することができるが、これらは正常な前核形成能を持たず、前核形成率はドナー卵子の成長に伴い向上することが明らかにされた。前核形成に必要な因子は、卵子成長過程で徐々に蓄積されるものと考えられた。
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Unregulated expression of the imprinted genes H19 and Igf2r in mouse uniparental fetuses(マウス片親性胚におけるH19/Igf2の遺伝子発現非制御) Reviewed
Sotomaru Y, Katsuzawa Y, Hatada I, Obata Y, Sasaki H, Kono T
Journal of Biological Chemistry 277 ( 14 ) 12474 - 12478 2002.04
Language:English Publishing type:Research paper (scientific journal)
母方アリルからのみ発現するインプリント遺伝子、H19およびIgf2rは、母親由来のゲノムのみからなる単為発生胚では正常な受精胚の2倍の発現量になることが予測される。しかし、実際にはH19およびIgf2rがそれぞれ13倍および5倍の発現量に及んでいることが明らかにされた。インプリント遺伝子の適正な発現量制御に、父母のゲノムのトランス(異所)作用機構が必要であると考えられた。
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Imprinting of a small nucleolar RNA gene on mouse chromosome 12(マウス12番染色体上の小分子RNA遺伝子のインプリンティング) Reviewed
Shimoda M, Morita S, Obata Y, Sotomaru Y, Kono T, Hatada I.
Genomics 79 ( 4 ) 483 - 486 2002.04
Language:English Publishing type:Research paper (scientific journal)
この論文では、新規のインプリント遺伝子MBⅡ-343が単離されたことを報告した。この遺伝子は母方アリルからのみ発現し、C/D-boxを持つ低分子核小体RNA(snoRNA)で、RNAスプライシングに寄与する可能性が示唆された。また、マウスでは12番染色体に位置し、ヒトでは14番染色体上に相同な配列が存在することが示された。
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Maternal primary imprinting is established at a specific time for each gene throughout oocyte growth(母方一次インプリンティングは卵母細胞成長過程において各遺伝子特異的な時期に確立する) Reviewed
Obata Y, Kono T.
Journal of Biological Chemistry 277 ( 7 ) 5285 - 5289 2002.02
Authorship:Lead author Language:English Publishing type:Research paper (scientific journal)
これまで、非成長期卵子のゲノムが後生的な遺伝子修飾(インプリンティング)を欠如していることが示されてきた。ここでは、卵子のインプリンティングがいつ確立するのか明らかにするため、種々の成長ステージの卵子と十分成長した卵子から単為発生胚が作出され、インプリント遺伝子の発現解析が行われた。その結果、本来、精子由来アリルからのみ発現するPeg1,Peg3,Surpn,Zuf127,NDNおよびImpact遺伝子は、単為発生胚の作出に用いたドナー卵子の成長に伴い、発現が徐々に抑制されていき、卵子成長過程の後期に全ての遺伝子がインプリンティングを完了することが明らかにされた。
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Identification of a new imprinted gene, Rian, on mouse chromosome 12 by fluorescent differential display screening(蛍光ディファレンシャルディスプレイスクリーニングによる新規インプリント遺伝子マウス12番染色体Rianの同定) Reviewed
Hatada I, Morita S, Obata Y, Sotomaru Y, Shimoda M, Kono T.
Journal of Biochemistry 130 ( 2 ) 187 - 189 2001.08
Language:English Publishing type:Research paper (scientific journal)
父母のゲノムを持つ正常な受精胚、母親由来のゲノムのみからなる単為発生胚、そして父親由来のゲノムのみからなる雄核発生胚における遺伝子発現の差異を蛍光標識ディッファレンシャルディスプレイ法により体系的にスクリーニングし、5つのインプリント遺伝子を単離した。そのうちの1つは、マウス第12番染色体上に位置し、母方アリルからのみ発現する新規のインプリント遺伝子であることが明らかとなり、Rianと命名された。
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Disruption of imprinted expression of U2afbp-rs/U2af1 gene in mouse parthenogenetic fetuses(マウス単為発生胚におけるU2afbp-rs/U2af1遺伝子のインプリント発現の崩壊) Reviewed
Sotomaru Y, Kawase Y, Ueda T, Obata Y, Suzuki H, Domeki I, Hatada I, Kono T.
Journal of Biological Chemistry 276 ( 28 ) 26694 - 26698 2001.07
Language:English Publishing type:Research paper (scientific journal)
この論部では、正常な受精胚において父方アリルからのみ発現するインプリント遺伝子、U2afbp-rs遺伝子が、母親由来のゲノムのみからなるマウス単為発生胚で活性化されることを報告した。インプリント遺伝子の発現制御の崩壊は、遺伝子構造の変化(DNase Iの感受性の差異)という形でも確認され、U2afbp-rs遺伝子の母方アリルにおける発現抑制には、父親由来のゲノムが必須であることが示唆された。
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Imprint switching for non-randam X-chromosome inactivation during mouse oocyte growth(ランダムでないX染色体不活性化のためのマウス卵母細胞成長過程におけるインプリンティングの切換え) Reviewed
Tada T, Obata Y, Tada M, Goto Y, Nakatsuji N, Tan S, Kono T, Takagi N.
Development 127 ( 14 ) 3101 - 3105 2000.07
Language:English Publishing type:Research paper (scientific journal)
哺乳類の雌の細胞では、1本のX染色体を不活化し、もう1本のX染色体を活性化することによって、X染色体上に存在する遺伝子の発現量が雄の細胞と等しくなるように補正している。マウスでは、胎仔で父母由来のX染色体が無作為に不活化される一方、胎盤では父親由来のX染色体が優位に不活化される。この論文では、非成長期卵子と十分成長した卵子ゲノムを非成長期卵子と十分成長した卵子ゲノムを持つマウス単為発生胚の胎盤において、非成長期卵子由来のX染色体が優位に不活化されていることを示した。不活化されていることを示した。不活化されるX染色体の選択機構とは、卵子成長過程を通過したX染色体が胎盤での不活性化から逃れる機構を獲得することによって生じることが明らかにされた。
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Post-implantation development of mouse androgenetic embryos produced by in vitro fertilization of enucleated oocytes(除核卵母細胞の体外受精により作出した雄核発生胚の着床後の発生) Reviewed
Obata Y, Ono Y, Akuzawa H, Kwon OY, Yoshizawa M, Kono T.
Human Reproduction 15 ( 4 ) 874 - 880 2000.04
Authorship:Lead author Language:English Publishing type:Research paper (scientific journal)
除核した未受精卵の体外受精により精子由来ゲノムしか保持しない二倍体雄核発生胚を作出し、M16あるいはCZB培地で培養した際の発生能を比較解析した。その結果、胚盤胞期への発生率は、CZB培地で有意に高く、しかし、妊娠9.5日胚への発生率はM16倍地で有意に高かった。総体的にはM16倍地が適しており、着床後の核型解析でXX胚対XY胚が1対2の理論値で得られることが雄核発生胚では初めて示された。
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Epigenetic modifications necessary for normal development are established during oocyte growth in mice(正常な胚発生に不可欠な後成的遺伝子修飾はマウス卵母細胞成長過程で確立する) Reviewed
Bao S, Obata Y, Carroll J, Domeki I, Kono T.
Biology of Reproduction 62 ( 3 ) 616 - 621 2000.03
Language:English Publishing type:Research paper (scientific journal)
非成長期卵子から作出された受精卵は、卵子成長過程で行われる後生的な遺伝子修飾の欠如により妊娠初期で致死となる。ここでは、種々の成長ステージの卵子から受精卵が作出され、その発生能が解析された。その結果、幼齢マウスでは卵子が直径60-69マイクロメートル、そして成熟マウスでは卵子が直径50-59マイクロメートルにまで成長すると、後生的な遺伝子修飾を完了し、受精後、妊娠満期までの発生支持能を獲得することが明らかとなった。
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Parthenogenetic activation of mouse oocytes by strontium(ストロンチウムによるマウス卵母細胞の単為性活性化) Reviewed
Yoshimizu T, Obata Y, Carroll J, Kono T.
Journal of Mammalian Ova Research 15 ( 3 ) 146 - 152 1998.10
Language:English Publishing type:Research paper (scientific journal)
この論文では、ストロンチウムによるマウス未受精卵の活性化方法を検討した。1.7 mMストロンチウムを含む培地中でCD-1およびB6CBF1マウスの未受精卵を培養すると、前者は5分間の浸責で80%以上が、後者は30分間の浸責で90%以上が活性化されることが明らかとなった。また、活性化された単為発生卵は、CD-1マウスの場合58%が、B6CBF1マウスの場合93%が胚盤胞期にまで発生することが示された。
DOI: 10.1274/jmor.15.146
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Disruption of primary imprinting during oocyte growth leads to the modified expression of imprinted genes during embryogenesis(卵母細胞成長過程で確立する一次インプリンティングの欠如は胚発生過程におけるインプリント遺伝子の発現を改編する) Reviewed
Obata Y, Kaneko-Ishino T, Koide T, Takai Y, Ueda T, Domeki I, Shirosishi T, Ishino F, Kono T.
Development 125 ( 8 ) 1553 - 1560 1998.04
Authorship:Lead author Language:English Publishing type:Research paper (scientific journal)
非成長期卵子と十分成長した卵子ゲノムを持つマウス単為発生胚は、十分成長した卵子ゲノムのみからなる単為発生胚より3日も発生を延長する。ここでは、本来、精子由来アリルからのみ発言するインプリント遺伝子、Peg1,Peg3およびSnrpnが非成長期卵子ゲノムを持つ単為発生胚で発現していることを示した。非成長期卵子ゲノムが後生的遺伝子修飾(メチル化=インプリント)を欠如しているために、インプリント遺伝子の発現抑制が生じず、あたかも精子ゲノムのように機能していることを報告した。
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Epigenetic modifications during oocyte growth correlates with extended parthenogenetic development in the mouse(卵母細胞成長過程における後成的遺伝子修飾はマウス単為発生胚の発生延長と関係している) Reviewed
kono T, Obata Y, Yoshimzu T, Nakahara T, Carroll J.
Nature Genetics 13 ( 1 ) 91 - 94 1996.05
Authorship:Lead author Language:English Publishing type:Research paper (scientific journal)
哺乳類の正常な胚発生には父母のゲノムが必須であり、マウス単為発生胚は妊娠9.5日で致死となる。ここでは、卵子形成過程の途上にある非成長期卵子と十分に成長を遂げた卵子のゲノムを持つマウス単為発生胚が妊娠13.5日まで発生すること、また、非成長期卵子と精子のゲノムから作出された受精卵は、妊娠初期で致死となることが報告された。こうした発生能改変は、卵子成長過程で行われる後生的遺伝子修飾(メチル化)の欠如によるものと結論づけられた。
DOI: 10.1038/ng0596-91
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Activation of mouse oocytes by transferring a nucleus from fertilized embryos(受精卵の核移植によるマウス卵母細胞の活性化) Reviewed
Obata Y, Kono T.
Journal of Reproduction and Development 42 ( 3 ) 179 - 184 1996.04
Authorship:Lead author Language:English Publishing type:Research paper (scientific journal)
マウス受精卵が2細胞期胚に発生したとき、その核を、未受精卵に核移植すると、移植された未受精卵はまるで受精卵のように活性化される。ここでは、移植された核の経時的変化を観察するとともに、この核移植卵のヒストンH1キナーゼ活性について解析し、核移植卵が受精卵と同様の機構によって活性化されることを示した。
DOI: 10.1262/jrd.42.179