講演・口頭発表等 - 田中 尚人
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Stenotrophomonas maltophilia 基準株と biovar2 群の再分類のための比較ゲノム解析 国際会議
小川 泰地、久富 敦、志波 優、藤田 信之、田中 尚人
日本農芸化学会2022年度大会 2022年03月
開催年月日: 2022年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
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環境試料へのシデロフォア添加によるバイオフィルム形成および構成菌種の特性 国際会議
久富 敦、志波 優、藤田 信之、田中 尚人
日本農芸化学会2022年度大会 2022年03月
開催年月日: 2022年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
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比較ゲノムによる Cutaneotrichosporon cavernicola の交配型遺伝子座の解析 国際会議
栢森 綺音、青木 敬太、志波 優、藤田 信之、杉田 隆、高島 昌子、田中 尚人
日本農芸化学会2022年度大会 2022年03月
開催年月日: 2022年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
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肥満モデルマウスにおける Lactobacillus paracasei K71 加熱死菌体摂取が腸内細菌叢へ及ぼす影響 国際会議
志波 優、伊藤 さとみ、松本 雄宇、鈴木 司、井上 順、石毛 太一郎 、熊谷 武久、藤田信之、山本祐司、田中尚人
日本農芸化学会2019年度大会 2019年03月
開催年月日: 2019年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
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生分解性プラスチックの河川微生物叢への影響 国際会議
田中 尚人、門屋 亨介、石井 大輔、藤田 信之、田口 精一
日本農芸化学会2019年度大会 2019年03月
開催年月日: 2019年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
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微生物群集解析による生分解性プラスチックの河川への影響 国際会議
門屋 亨介、田中 尚人、藤田 信之、石井 大輔、田口 精一
日本農芸化学会2019年度大会 2019年03月
開催年月日: 2019年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
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乳酸菌株を分離するための基本 招待あり 国際会議
田中尚人
日本乳酸菌学会2018年度秋期セミナー 2018年11月
開催年月日: 2018年11月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
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Antagonistic abilities of food originated yeasts against 4 plant pathogenic fungi 国際会議
PO HSUAN LIN, AKIRA TSUJI, NAOTO TANAKA, KEIKO T. NATSUAKI
The International Society for Aoutheast Asian Agriculture Sciences 2018年10月
開催年月日: 2018年10月
記述言語:英語 会議種別:口頭発表(一般)
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Diversity of Nitrogen-Fixing Bacteria Associated with Yams (Dioscorea spp.) 国際会議
MICHEL OUYABE, HIDEHIKO KIKUNO, NAOTO TANAKA, PACHAKKIL BABIL, HIRONOBU SHIWACHI
Tropentag 2018, International Research on Food Security, Natural Resource Management and Rural Development 2018年09月
開催年月日: 2018年09月
記述言語:英語 会議種別:口頭発表(一般)
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有用乳酸菌株の情報公開
田中 尚人,鈴木 智典,冨田 理,梶川 揚申,内野 昌孝,五十君 靜君,岡田 早苗
日本微生物資源学会第22回大会 2015年09月
開催年月日: 2015年09月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:とりぎん文化会館
乳酸菌資源を活用するため,乳酸菌に対して社会的に期待される「食の安全」・「おいしさ」・「健康」に関連する性状を調べ,その情報を発信することでカルチャーコレクションとして資源を有効活用するモデルケースを構築することを目的とする.
保存株に対して以下の情報収集を行っている.
食の安全:バクテリオシン産生能を対象とする.現在,多数のL. sakei 株において抗菌スペクトルの異なる株が認められている.
おいしさ:風味形成のファクターとしてバニリン合成と n-ヘキサナール分解に着目し,各性状を調べる.現段階ではバニリンの前駆体として供したフェルラ酸を分解する株が数多く認められている.
健康:プロバイオティクス特性,免疫調節作用と GABA 産生に着目した.プロバイオティクス特性の性状としては,酸耐性・胆汁酸耐性・ムチン接着性を検討する.すでに菌株間では酸・胆汁酸耐性およびムチン接着性に違いがみられ,各菌株における潜在的なプロバイオティクス特性の違いを示唆する結果が得られている.また,プロバイオティクスの安全性を評価する指標として薬剤耐性の判定も行っている.免疫調節作用を推定する指標としてIL-12誘導能を調べたところ,全ての菌株に誘導能はあり,その活性はほぼ同等と考えられた.同時に免疫調節作用に影響すると考えられる細胞表層の細胞壁テイコ酸やその他多糖構造の情報も収集している.一方,GABA 産生能については供試菌株の約20% に認められ,過去に報告のある菌株と同等の産生能の株も存在した.
【情報発信】
保存菌株の性状項目は84件あり,データは数値データ及び文字データとし,Web でキーワード検索できる基本的なシステムを構築した. -
カルチャーコレクションからの乳酸菌株情報発信の試み
田中 尚人,鈴木 智典,冨田 理,梶川 揚申,内野 昌孝,五十君 静信,岡田 早苗
日本乳酸菌学会泊まり込みセミナー 2015年05月
開催年月日: 2015年05月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:淡路島
微生物資源として魅力的な乳酸菌だが、その評価は目的に応じた一面的な評価がほとんどである。しかし、菌株に対して多様な機能を評価して潜在的な有用性を見いだし、あらたな応用につなげることはこれまでなかった乳酸菌株の高付加価値化を生み出すことにつながる。乳酸菌の分離操作が一般化され多様な乳酸菌の収集は比較的容易な時代である一方、微生物資源の宝庫として期待される国外からの乳酸菌の獲得およびその利用については生物多様性条約・名古屋議定書により今後制限されると思われる。そのためすでに国内外の試料から分離し保存されている乳酸菌株の活用が期待され、多様性評価や応用利用には必要不可欠な有用性の評価手法、スクリーニング手法の技術開発等による乳酸菌株の高付加価値化が重要になると考えられる。
本研究では我々が長年に渡って国内外から分離し保存している乳酸菌株に対して、社会的に乳酸菌に期待される「安全」・「おいしさ」・「健康」に関連する性状を調べ、網羅的な分析によって高付加価値を付与し、カルチャーコレクションとしてその情報を発信するモデルケースの構築を目的とする。発表ではその第一ステップの結果について紹介した。 -
Lactobacillus paracasei における脱アセチル化酵素サーチュインの機能解析
新 穂高,郭 宜羚,田中 尚人,岡田 早苗,遠藤 明仁,宮地 竜郎,中川 純一
2015年度日本農芸化学会年次大会 2015年03月
開催年月日: 2015年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:岡山
サーチュインは真核生物において環境ストレスやカロリー制限などに対して応答反応を引き起こす脱アセチル化酵素である。大腸菌においてはタンパク質のアセチル化が過酸化水素や熱に対する耐性能に影響を与えることが知られているが、プロバイオティクスとして注目される乳酸菌でのサーチュインの役割は未だ不明である。そこで、脱アセチル化酵素サーチュインの標的タンパク質の探索および細胞内におけるサーチュインタンパク質の局在解析といった観点から、乳酸菌におけるサーチュインの役割を解明した。
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宮古島のマングローブに生息するカビの分布とセルロース分解能の検討
菊地 淳史,田中 尚人,梶川 揚申,佐藤 英一,岡田 早苗
日本微生物資源学会第21回大会 2014年09月
開催年月日: 2014年09月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:東京農業大学
マングローブの生態系において微生物は分解者として重要な役割を担っているとされる。高温、汽水域という特殊な環境に生息し、 強固な構造の葉を分解する性質はバイオマス利用に有用であると考えられる。しかし、マングローブに生息するカビに関する報告は少ない。そこで、カビの菌叢解析、セルロース分解能の検討を行うことで環境中での分布と微生物資源としての有用性を明らかにした。
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Genome analysis of fructophilic lactic acid bacteria (好フルクトース乳酸菌のゲノム解析) 国際会議
Naoto Tanaka
アジア乳酸菌学会・フィリピン乳酸菌学会合同大会 2014年09月
開催年月日: 2014年09月
記述言語:英語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:フィリピン
近年、グルコースよりフルクトースを生育基質として好む乳酸菌 fructophilic Lactic Acid Bacteria (fructophilic LAB) の存在が報告されている1)。その1つである Fructobacillus 属細菌は花や果実に生息し他の fructophilic LAB とは大きく異なる性質を有することが知られている。それは、グルコースを基質とした際にフルクトースやピルビン酸、酸素等の生育基質以外の生育因子を必須とするという性質や、培養条件によらずエタノールを産生せず酢酸を産生するという性質である2)。本属細菌と近縁のヘテロ発酵型乳酸菌は一般に乳酸と共にエタノールも産生する。乳酸菌の糖代謝によるエタノールの産生は NAD/NADH の酸化還元バランスの維持のために重要な役割を果たしているが、エタノールを産生しない本属細菌は独特の糖代謝経路や酸化還元のバランス維持機構を有することが考えられた。そこで、ゲノム解析により本属細菌の糖代謝の特性を検討し、乳酸菌の新たな応用利用への可能性を探ることとした。
Fructobacillus 属の 5 種 (F. durionis, F. ficulneus, F. fructosus, F. pseudoficulneus, F. tropaeoli) の各基準株のドラフトゲノム配列を決定し、近縁の Leuconostoc 属の公開ゲノムとの比較ゲノム解析により Fructobacillus 属の糖代謝経路の特性を調べた。その結果、本属のゲノムは Leuconostoc 属が保持するヘテロ型乳酸発酵に関連する遺伝子の一部が欠失していた。欠失遺伝子の多くは同化反応などにリンクする反応系の遺伝子(transketolase や pyruvate dehydrogenase 遺伝子)で、さらにその遺伝子がコードしている酵素の基質を ATP 産生に利用する反応系は存在した。糖代謝の中間産物のアセチルリン酸の利用も同様で、Leuconostoc 属ではアセチルCoA を介しエタノールを産生して NAD/NADH の酸化還元バランスを維持する反応系と ATP 産生を伴う酢酸産生系に利用されるが、Fructobacillus 属は後者の遺伝子のみを保持していた。
Fructobacillus 属がフルクトースやピルビン酸、酸素といった生育因子を利用して NAD/NADH の酸化還元バランスを維持するための酵素遺伝子を保持するかゲノム情報から調べたところ、mannitol-2-dehydrogenase, lactate dehydrogenase, NADH oxidase の各遺伝子を保持していた。これらは Leuconostoc 属も同様に保持していた。
以上のゲノム解析により、Fructobacillus 属の糖代謝は他のヘテロ発酵型乳酸菌よりも ATP を効率的に産生する機構となっており、NAD/NADH の酸化還元バランス維持は菌体外の因子に依存的であることが明らかとなった。これはフルクトースなどが豊富な生息環境が影響していると考えられる。また、この特性は特別な機能の獲得によるものではなく進化の過程で近縁の乳酸菌の一部の遺伝子が欠失した結果であることを明らかにした。 -
乳酸菌株資源の高付加価値化に向けて
田中 尚人,鈴木 智典,冨田 理,梶川 揚申,内野 昌孝,佐藤 英一,五十君 靜君,岡田 早苗
日本微生物資源学会第21回大会 2014年09月
開催年月日: 2014年09月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:東京農業大学
乳酸菌はヒトが食料とする諸原料にはほぼその生息が認められ、種レベルばかりでなく株レベルでの多様性の広さは過去の多くの研究で明らかにされてきた。乳酸菌の食品への応用利用は数多く、例えば酸性化やバクテリオシンによる保存性向上、プロバイオティクス効果による健康効果、物質生産による風味向上などがある。微生物資源として多様な乳酸菌だが、現在は伝統的に著名な乳酸菌が主に用いられ、また目的に応じた一面的な研究がなされ、一つの機能に関連する項目のみで資源としての評価がされている。しかし、一菌株に対して多様な機能を評価して潜在的な有用性を見いだし、あらたな応用につなげることはこれまでなかった乳酸菌株の高付加価値化を生み出すことも期待できる。現在では乳酸菌の分離操作が一般化され、多様な乳酸菌の収集は比較的容易な時代であり、今後は分離株の多様性評価法やスクリーニング手法の開発が必要になる考えられる。
そこで本研究では、乳酸菌がもたらす食品の保存性、健康効果、風味向上に着目し、NRIC に保存されている乳酸菌株のこれらに関連する性状を網羅的に解析し、保存株に高付加価値を付与するモデルケースの構築を目的とする。乳酸菌株の各種性状はデータベース化し、使用目的に則した性状を抽出し、適した菌株を提示できるシステムを開発した。 -
酸性飲料より分離された新規 Alicyclobacillus 属の分類学的研究
中野 千紗,高橋 尚人,田中 尚人,岡田 早苗
日本微生物資源学会第21回大会 2014年09月
開催年月日: 2014年09月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:東京農業大学
Alicyclobacillus属菌は低いpHかつ高温で発育する有芽胞菌であることから、好熱性好酸性菌や耐熱性好酸性菌と呼ばれ、果実飲料や野菜飲料などの酸性飲料の変敗菌として知られている。中でもAlicyclobacillus acidoterrestrisは飲料製品の常温流通温度で発育し、グアイアコールの生成により薬品様の異臭を発生させることから、酸性飲料の重要な制御対象菌とされている。本研究では、酸性飲料より分離されたグアイアコールを生成する分離株4F株について分類学的研究を行い、Alicyclobacillus属の新種であることを見出したのでその内容について報告した。
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タイ発酵食品から分離した乳酸菌3新種について
宮下 美香,Yukpham, P., Chaipitakcholatarn, W., Malimas, T., 杉本 昌子,吉野 真由美,鎌倉 由紀,Potacharoen, W., Tanasupwat, S., 田中 尚人,中川 恭好,鈴木 健一朗
日本微生物資源学会第21回大会 2014年09月
開催年月日: 2014年09月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:東京農業大学
NITEバイオテクノロジーセンター(NBRC)では、熱帯地域の微生物遺伝資源の保存と持続可能な利用のため、タイのBIOTECとの間で包括的覚え書きを締結して共同研究を行ってきた。年間を通じて高温多湿なタイ王国は食材が豊富で、様々な発酵食品が存在する。これらタイの発酵食品に由来する乳酸菌の多様性解析を進める中で、分類学的に新規と考えられる4株(NB53、NB446、NB702、NB834)が見つかったので報告する。
分離株4株はそれぞれ異なる発酵食品(Pla-jom、Pla-som、魚の発酵食品;Tuaw jeaw、大豆の発酵食品;Mum、肉の発酵食品)から分離された。16S rRNA遺伝子塩基配列の解析結果から、4株ともにLactobacillus plantarumに最も近縁で、NB53とNB834とL. plantarumの16S rRNA遺伝子塩基配列相同性は98.9%、NB446とNB702とは98.7%だった。またNB53とNB834、NB446とNB702はそれぞれ同一の配列だった。dnaK、rpoA、およびpheS遺伝子配列では、分離株4株と近縁な既知種との相同性は低く、系統解析では独立した位置を占めた。NB446とNB702はこれらの遺伝子配列でも互いに高い相同値を示した(dnaK、99.1%;rpoA、100%;pheS、99.7%)。一方NB53とNB834では互いに比較的低い相同値を示した(dnaK、 96.3%;rpoA、98.5%;pheS、96.4%)。DNA-DNA相同性試験の結果、4株と近縁な既知種の相同性は全て70%以下だった。分離株同士ではNB446とNB702は85%の相同性を示したが、他の組み合わせでは全て70%以下の相同性だった。加えてMALDI-TOF MS解析、化学分類学的性状および表現性状試験の結果において近縁種と識別することが可能だったことから、分離株4株をLactobacillus属の3新種、Lactobacillus plajomii sp. noV., Lactobacillus modestosalitolerans sp. noV.、Lactobacillus tuawjeawii sp. noV.として提案した。 -
Fructobacillus 属乳酸菌の特徴と糖代謝
浅沼 開,及川 容,田中 尚人,梶川 揚申,遠藤 明仁,佐藤 英一,岡田 早苗
2014年度日本農芸化学会年次大会 2014年03月
開催年月日: 2014年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:明治大学
Fructobacillus属5種の基準株を供試菌株として用いた。また、Leuconostoc mesenteroidessub sp. mesenteroidesNRIC 1541Tを比較対象として用いた。グルコースを基質とした培地に細胞外因子として酸素・フルクトース・ピルビン酸を加えた培地で培養し、HPLCを用いて代謝産物測定を行った。その結果、Fructobacillus属においてピルビン酸添加GYPでは乳酸:酢酸=3:1、フルクトース添加GYPでは乳酸:酢酸:マンニトール=1:1:2、GYP好気条件では乳酸:酢酸=1:1となった。このことから、Fructobacillus属は過去に報告されたマンニトール発酵に類似した発酵形式2)を持っており、本来エタノール生産によって再生するNADを各細胞外因子を用いて再生していることが示唆された。この反応に関与すると考えられる酵素の酵素活性を測定したところ、各種酵素活性を保持していることが判明した。これらを踏まえ、代謝経路の予測を行うためにゲノム解析を行った。この結果、エタノール合成経路を保持していないことが明らかとなったことから、Fructobacillus属の糖代謝においてNADの再生を細胞外因子に依存していることが強く示唆され、さらにグルコース1molから生産されるATPは通常のヘテロ発酵乳酸菌の2倍である2molのATPであることが予想された。そこで、予想代謝経路と実際の生育を比較するため、YATPを用いた。YATPを算出した結果、全ての株及び培養条件時においてYATPの基準とされる10.5付近の値を示した。このことから、Fructobacillus属の代謝経路において生産されるATPは2molであることを強く裏付けた。以上のことから総合的に考察すると、Fructobacillus属乳酸菌は菌体内のNADHを細胞外因子を用いてNADに再生し、エタノールを生産せず、ヘテロ発酵乳酸菌でありながらグルコース1molから2molのATPを生産する。従って本属乳酸菌はこれまでに報告の無い糖代謝経路に従うことを明らかにした。
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乳酸菌における細胞壁テイコ酸の分布
佐々木 織江,梶川 揚申,田中 尚人,佐藤 英一,岡田 早苗
2014年度日本農芸化学会年次大会 2014年03月
開催年月日: 2014年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:明治大学
すんき漬から分離した乳酸菌Lactobacillus plantarum19株を用い、細胞壁テイコ酸(WTA)の構造を調べ、グリセロール型3タイプ、リビトール型3タイプ〔それぞれの糖アルコールに結合するグルコースのモル数やグルコースからなる二糖類の種類(nigeroseやkojibiose)により〕、合計6タイプが存在することを明らかにした(1)。これは同一菌種内でWTAの構造多様性を明らかにした初めての報告である。WTAは糖アルコールとリン酸から構成される酸性多糖であり、菌体の生育に重要な成分であると考えられている。これまでの研究で、WTAは細胞形態維持や陽イオン吸着などの役割を果たすと言われている。
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Lactobacillus plantarum の免疫調節作用に関わる因子の探索
長井 遼太,浜村 南実,福井 雄一郎,菅沼 大行,梶川 揚申,田中 尚人,佐藤 英一,岡田 早苗
2014年度日本農芸化学会年次大会 2014年03月
開催年月日: 2014年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:明治大学
近年、乳酸菌はプロバイオティクスとして多様な保健効果が期待され、中でも免疫学的機能について関心が集まっている。乳酸菌による免疫調節作用については様々な研究がなされ、因子として細胞壁成分や多糖体などの報告があるものの、未だ分子レベルでの詳細なメカニズムは充分に明らかにされていない。本研究ではプロトプラスト表層に存在するリポテイコ酸(LTA)に着目し、IL-12産生誘導能に差がある菌株のリポテイコ酸の構成と保有量について比較することにより、IL-12誘導能に差を生じさせる要因を検討することとした。
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乳酸菌の長寿遺伝子 Sirtuin homologue とストレス応答
新 穂高,田中 尚人,志波 優,吉川 博文,岡田 早苗,遠藤 明仁,宮地 竜郎,中川 純一
2014年度日本農芸化学会年次大会 2014年03月
開催年月日: 2014年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:明治大学
乳酸菌の環境ストレス耐性に関わる遺伝子制御機構を解析するアプローチとして、ヒトなど真核生物で「長寿遺伝子」とされているSirtuinに着目した。Sirtuinは環境ストレスやカロリー制限などに対して応答反応を引き起こすヒストン脱アセチル化酵素である。乳酸菌にはその祖先と考えられるホモログがあるが、ヒストンを持たない原核生物における役割は不明である。そこで、Lactobacillus paracasei菌をモデルとして、本遺伝子と乳酸菌にとってストレスになる腸管での胆汁酸に対する耐性との関連を中心にSirtuin homologueタンパク質の発現制御を解析し、乳酸菌の環境ストレス応答とそれに関わる遺伝子発現制御の関係を解明した。
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Lactobacillus delbrueckii subsp. delbrueckii TUA4408L が発酵豆乳中に産生する粘性物質の解析
伊藤 千浩,塩見 直希,田中 尚人,梶川 揚申,佐藤 英一,岡田 早苗
2014年度日本農芸化学会年次大会 2014年03月
開催年月日: 2014年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:明治大学
微生物は発酵食品において様々な物質を産生し、味・香り・形・物性等に関与することが知られている。その一例として、長野県の伝統的な発酵食品である「すんき漬け」より分離されたLactobacillus delbrueckii sub sp. delbrueckiiTUA4408Lは菌体外粘性多糖(Extracellular polysaccharide:EPS)を産生し発酵豆乳に粘性と曵糸性を付与することが報告されている。一般に乳酸菌の産生する菌体外多糖は、バイオフィルムの骨格として菌体保護の役割を果たしている。応用利用の面でEPSは、免疫調節作用や食品に程よい粘性を付与する効果や離水防止効果があると知られている。中でも粘度付与については食感特性を研究するうえで注目されている。粘性を付与する際の構造特徴としては分子量の大きさ、構成単糖、分枝の有無など様々あり、これらの要因が食品成分と網目構造を形成することで生じる。そこで、本研究はL. delbrueckiisub sp. delbrueckiiTUA4408Lの発酵豆乳中で産生するEPSの構造や諸性質ついて報告した。
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Lactobacillus plantarum の菌体構成成分がIL-10産生誘導に及ぼす影響
奥津 雄太,長井 遼太,星子 浩之,梶川 揚申,田中 尚人,佐藤 英一,岡田 早苗
2013年度日本農芸化学会年次大会 2013年03月
開催年月日: 2013年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:東北大学
長野県の伝統発酵食品「すんき漬け」から分離されたL. plantarum 13株とヒト由来単球性白血病細胞であるTHP1細胞を用いてELISA法にてIL-10産生誘導の評価を行った。その結果、菌株間でIL-10産生誘導に差がみられた。その中からIL-10産生誘導の高い株としてL. plantarumSNK24、低い株としてL. plantarum SNK1を選抜した。選抜株の総菌体(Cell)から、細胞構造を維持した細胞壁(ICW)、ペプチドグリカン(PG)、WTA、細胞内容物(PP)の各菌体画分を調製しIL-10を測定した。その結果、各菌体画分の中でICWが最も活性が高く、活性が異なる要因として細胞壁が重要であることを示唆された。次に細胞壁成分の一つであるWTAの関与を明らかにするため、WTAを除去したICW画分(脱WTA・ICW)を調製しICWと比較した。その結果、脱WTA・ICWでIL-10産生誘導が大きく低下した。また、WTA単体では活性が少ないことから、IL-10産生誘導においてWTAは細胞壁に必要な因子であることが考えられる。さらに、細胞壁がなぜ活性が異なる要因になるのかを明らかにするため、N-Acetylmulamidase(M1酵素)を用いて菌体の消化耐性について検討した。L. plantarum 13株のCellとICW を用いてM1酵素による溶菌酵素耐性試験とIL-10測定を行った。その結果、CellとICWにおいてM1酵素の消化率とIL-10産生誘導との間で負の相関を示した。そのためIL-10産生誘導において溶菌酵素耐性の強い細胞壁を持つ菌株程、高い活性を示すことが示唆された。その事から菌体の細胞壁の量及び厚さの違いによって、活性差が生まれているのではないかと考えられる。以上の結果から活性が異なる要因として、細胞壁構造の違いが関与している可能性が示唆された。
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キシラン利用菌Amphibacillus xylanusの網羅的手法を用いた代謝経路の解析
望月 大地,新井 俊晃,田中 尚人,志波 優,藤田 信之,佐藤 純一,川崎 信治,新村 洋一
2013年度日本農芸化学会年次大会 2013年03月
開催年月日: 2013年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:東北大学
酸素の供給(好気性菌)と除去(嫌気性菌)が不要なバイオマス利用を目指して、新規キシラン資化菌を分離し、新属新種Amphibacillus xylanusと命名した1)。本菌は、呼吸鎖やheme -catalase, 各種peroxidaseを欠如するにもかかわらず、強力な酸素吸収能を有し、好気性と嫌気性の両条件下で同等の良好な生育を示した1)。このような性質は簡便な培養を可能とし、バイオマス利用の低コスト化が期待できることから、我々は本菌の代謝経路の解明を試みている。これまでに我々は代謝産物解析と酵素活性解析よりNADH oxidase(Nox)-AhpC(Prx)を酸素代謝の中心とした代謝経路を推定した 2)。本発表では、ゲノム解析データを基に基礎代謝遺伝子を同定し、同定した基礎代謝系遺伝子のノーザン解析とRNA-seq解析、更に酸素代謝のキーエンザイムと推定されるNox-Prxに着目し、本酵素系の微生物界における分布と系統分類学的な解析結果を報告した。
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Lactobacillus gasseri JCM1131T に見出された新規なリポテイコ酸の構造
白石 宗,横田 伸一,森田 直樹,吹谷 智,冨田 理,田中 尚人,岡田 早苗,横田 篤
2013年度日本農芸化学会年次大会 2013年03月
開催年月日: 2013年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:東北大学
リポテイコ酸 (LTA) は、グラム陽性細菌の主要な表層構成因子の一つであり、一般的にグリセロールリン酸 (GroP) を繰り返し単位とするポリマーと糖脂質から成り、糖脂質の部分で細胞膜にアンカーされている。LTAの構造を明らかにすることは、宿主との相互作用を理解する上で重要であり、特にプロバイオティクスは、LTAの免疫刺激を介した免疫賦活作用が報告されているにも関わらず、これらのLTAに関する情報は不十分である。その中でもLactobacillus gasseriは、プロバイオティクスとして利用される腸管由来の乳酸菌であり、口腔や腟、尿や血液などからも分離され、ヒトとの密接な関連が推測される。しかし、本菌種のLTAは全く解析されていない。そこで我々は、L. gasseriと宿主との相互作用をより深く知るために、L. gasseri JCM1131TのLTAの構造を報告した。
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ラッカセイ種皮ポリフェノールのBacillus cereusに対する抗菌作用の検証
小澤 恵実,田村 倫子,田中 尚人,矢口 行雄,笠原 浩司,村 清司,荒井 綜一
2013年度日本農芸化学会年次大会 2013年03月
開催年月日: 2013年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:東北大学
DNAマイクロアレイ解析の結果、カセイ種皮より単離した三量体プロシアニジンのエピカテキン・エピカテキン・カテキン(EEC)が細胞壁の生合成や細胞膜の物質輸送に影響を与えている可能性が示唆された。そこで、細胞壁生合成に関与するペニシリン結合蛋白質(PBP)の遺伝子発現をリアルタイムRT-PCRで解析したところ、EEC添加においてその遺伝子発現が上昇し、10分後よりも30分後の方がより発現量が増加した。さらにB。subtilisで知られている細胞表層ストレスに応答するLiaRS 二成分制御系に依存するLiaIHに相同な遺伝子の発現についても、PBP遺伝子と同様にEEC添加により発現の上昇が認められた。以上の結果から、EECは細胞膜に存在するタンパク質と結合し、細胞壁の生合成を阻害することでB。cereusの生育を抑制することが推察される。また、EECは細胞膜に存在するトランスポーターと結合し、物質の取込を阻害している可能性が考えられた。
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Stenotrophomonas maltophiliaのシデロフォアに関する研究
泉 裕己,伊藤 千浩,梶川 揚申,田中 尚人,佐藤 英一,岡田 早苗
2013年度日本農芸化学会年次大会 2013年03月
開催年月日: 2013年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:東北大学
臨床、海洋、植物由来の異なる環境から分離されたS. maltophilia 7株を用いてシデロフォア産生を確認した。その結果、すべての株でシデロフォアの産生を確認した。次にシデロフォアの構造タイプを決定した。構造タイプの決定には、S. maltophiliaゲノム公開株からcatecholate typeのシデロフォア合成系が確認されたため、その判別に用いられるArnow assay法を用いた。その結果、臨床由来の株であるS. maltophilia IAM 12423T以外のすべてにおいてcatecholate typeであることが明らかとなった。また、S. maltophilia IAM 12423Tは実験の結果、上記のcarboxylate、hydroxamate typeのどちらかに属すると推測された。加えて、他の臨床株がcatecholate typeに属することから分離源によるシデロフォアタイプに相関性はみられないことが分かった。以上より多くの株がcatecholate typeのシデロフォアを産生する事から、その中でも安定的に生育するS. maltophilia KMM 349を選抜し、シデロフォアの単離精製を行った。単離精製では、catecholate typeシデロフォアが持つcis-diol構造に着目し、catecholamineの分離精製に用いられるboronate affinity gelとreverse phase-HPLCにより精製した。
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乳酸菌のサーチュインホモログとコール酸耐性および飢餓応答の関係
新 穂高,吉田 裕哉,田中 了慈,藤村 朱喜,田中 尚人,岡田 早苗,中川 純一
2013年度日本農芸化学会年次大会 2013年03月
開催年月日: 2013年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:東北大学
コール酸存在下の生育では、Lactobacillus casei 1917株、1981株、0644株の順にコール酸耐性が高い事が明らかになった。更にレスベラトロール処理した菌株はコール酸耐性能が上昇し、スラミン処理した菌株はコール酸耐性能が減少することが示された。全ゲノム解析から、3株全てがサーチュインを保有しており、1981株においてはLactobacillus rhamnosus型のサーチュイン配列も見出され、2つのサーチュインを保有していることが示された。精製された組換えL. casei型サーチュインタンパク質は脱アセチル化活性を有し、レスベラトロールで賦活化されスラミンで阻害された。この酵素反応の至適温度はヒトのSIRT1が37°Cであるのに対し、45~50°Cであった。また、コール酸ストレスを受けた乳酸菌のサーチュインホモログの発現量は直後に一旦低下するが、3時間後には急増した。さらに、培地の炭素源濃度を減少させた飢餓ストレス下においても発現量が増加した。これらの事は,コール酸及び飢餓ストレスに対し、サーチュインが何らかのストレス応答に関与していることを示唆した。
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乳酸菌のペニシリン結合タンパク質と胆汁酸耐性
服部 正寛,黒瀬 猛,新 穂高,藤村 朱喜,田中 尚人,岡田 早苗,中川 純一
2013年度日本農芸化学会年次大会 2013年03月
開催年月日: 2013年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:東北大学
Lactobacillus casei菌3株のPBPsバンドパターンは、高分子PBPである105 kDa、93 kDa、83kDa、74 kDa、69 kDa、58 kDaについては同じであった。一方、低分子PBPを比較すると24 kDaは3株とも同じであったが、加えて0644株では更に21.5 kDaのバンドが確認され、1981株、及び1917株においては19.5 kDaのバンドが確認された。また、コール酸含有培地で生育させると、58 kDa、24 kDa、21.5 kDa及び19.5 kDaのPBPが経時的に変動する事を見出した。これらの結果は動物由来の株と植物由来の株で細胞壁合成に差があるという可能性、また、PBPsの発現が胆汁酸ストレスに誘導されて変動する可能性を示した。
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Stenotrophomonas maltophilia が産生するシデロフォアのタイプについて
泉 裕己,田中 尚人,佐藤 英一,岡田 早苗
日本微生物資源学会第19回大会 2012年06月
開催年月日: 2012年06月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:かずさアカデミアホール
臨床、海洋、植物由来の異なる環境から分離されたS. maltophilia 7株を用いてシデロフォア産生を確認した。その結果、すべての株でシデロフォアの産生を確認した。次にシデロフォアの構造タイプを決定した。構造タイプの決定には、S. maltophiliaゲノム公開株からcatecholate typeのシデロフォア合成系が確認されたため、その判別に用いられるArnow assay法を用いた。その結果、臨床由来の株であるS. maltophilia IAM 12423T以外のすべてにおいてcatecholate typeであることが明らかとなった。また、S. maltophilia IAM 12423Tは実験の結果、上記のcarboxylate、hydroxamate typeのどちらかに属すると推測された。
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対馬のせんだんご製造工程における微生物叢
熊谷 浩一,田中 尚人,佐藤 英一,岡田 早苗
日本微生物資源学会第19回大会 2012年06月
開催年月日: 2012年06月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:かずさアカデミアホール
「せんだんご」はサツマイモを原料とした長崎県対馬地方固有の伝統発酵食品である。せんだんごはスライスまたは破砕したサツマイモを数ヶ月間発酵させた後、多量の水で洗浄して浮遊物や着色物質が除かれた白色沈殿物を丸め団子状とし、ヒトの鼻形に成型し、乾燥させたものである。せんだんごを基に作られる「ろくべえ麺」は、原料であるサツマイモからは想像し得ないコンニャクに似た独特な食感を有し、この食感は原料サツマイモ粉からは得られないとされている。せんだんご製造工程中には糸状菌などの繁殖が見られ、これらの微生物はデンプンや繊維質を部分的に分解することでろくべえ麺の食感形成に関与していると考えられる。しかし、せんだんご製造に関わる微生物について、研究報告がこれまでに無いのが現状である。そこで、本研究では4年間にわたり現地を調査し、培養法によりせんだんご製造工程中の微生物叢を調べた。その結果、せんだんご製造工程から多くの微生物が分離され、主要微生物群は、糸状菌ではMucor属、Penicillium属、酵母ではCandida属、一般細菌ではBacillus属、Paenibacillus属であった。
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ラッカセイ種皮ポリフェノールの抗菌作用の検証と関与する遺伝子発現のDNAマイクロアレイ解析
小澤 恵実,田村 倫子,田中 尚人,矢口 行雄,村 清司,荒井 綜一
2012年度日本農芸化学会年次大会 2012年03月
開催年月日: 2012年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:京都大学
ラッカセイポリフェノールPSE はグラム陽性細菌5株に対して抗菌作用を示したが、グラム陰性細菌に対しては抗菌作用は見られなかった。特にグラム陽性細菌のB。cereusに対して強い抗菌作用を示した。さらに、PSE より単離した主要ポリフェノールの二量体および三量体プロシアニジンについて、B。cereusに対する抗菌活性試験を行ったところ、両者に抗菌作用が認められたが、IC50は二量体プロシアニジンが 0.2 mg/ml、三量体プロシアニジンが 0.02 mg/ml であり、三量体プロシアニジンの方が強い抗菌作用を示した。B。cereus での抗菌作用発現時の DNA マイクロアレイ解析では、三量体プロシアニジン添加後 10 分でトリプトファン、ヒスチジンなどのアミノ酸代謝に関与する遺伝子の発現が大きく上昇し、添加後 30 分ではさらにグリコーゲン代謝、脂肪酸代謝に関与する遺伝子の発現が上昇した。一方、添加後 10 分では糖代謝に関与する遺伝子の発現が減少し、30 分ではさらに ATP 合成、プリン、ピリミジン代謝に関与する遺伝子の発現が減少し、菌の生命過程への致死的影響の実態が示唆された。
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せんだんご製造工程中におけるデンプン分解微生物の解析
熊谷 浩一,岡 大貴,田中 尚人,佐藤 英一,岡田 早苗
2012年度日本農芸化学会年次大会 2012年03月
開催年月日: 2012年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:京都大学
供試菌株としてカビは過去に分離・選抜されたPenicillium sp. 38-1及び40-6の2株を用いた。細菌は、過去に分離した164株を用い、サツマイモデンプン含有寒天培地・15°Cにて培養後、ヨウ素添加によるハロ形成の確認によりデンプン分解細菌を選抜した。デンプン分解細菌を同液体培地・15°Cにて培養後、培養上清を回収し、薄層クロマトグラフィー(TLC)によりデンプン分解産物の検出パターン解析を行い、各パターンから細菌の代表株を1株ずつ選抜し供試菌株とした。各代表株により発酵させたデンプンの分子量分布を検討するため、同液体培地・15°Cにて培養後、分解によって生じるデンプンを回収し、ゲルろ過法にて解析した。デンプン分解細菌を15株選抜し、TLCにより3パターンのデンプンの分解が確認された。各パターンからBacillus sp.4-1、Paenibacillus sp.37-2及び10-10を代表株として選抜した。せんだんごデンプンの分子量分布は、サツマイモデンプンと比較して、高分子量のアミロペクチン(F1,F2画分)の割合が減少し、低分子量(F3画分)の割合が増加していることから、アミロペクチンが分解されていることがわかった2)。供試菌株により発酵させたデンプンの分子量分布では、Penicillium sp. 38-1はF1画分の割合が、Penicillium sp. 40-6ではF2画分の割合が減少した。また、Bacillus sp.4-1、Paenibacillus sp.37-2及び10-10は、F1,F2画分の割合が減少し、F3画分の割合が増加した。以上の結果より、選抜した菌株は、アミロペクチンを分解し、せんだんごデンプンの分子量分布に類似する分解パターンを示すことが示唆された。
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Lactobacillus plantarumの免疫調節作用に関わる因子の探索
杉浦 雅彦,奥津 雄太,信田 幸大,田中 尚人,佐藤 英一,保井 久子,岡田 早苗
2012年度日本農芸化学会年次大会 2012年03月
開催年月日: 2012年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:京都大学
マウスマクロファージ様細胞 J774.1 を用いて、新たに長野県の伝統発酵食品「すんき漬け」から分離した Lactobacillus plantarum の菌株間において菌体による IL-12 (p40) 誘導能の違いが認められた。その中から IL-12 (p40) 誘導能が高い株の SNK1、低い株の SNK47 を供試菌株として選抜した。次に、選抜株の ICW と pp をそれぞれ調製し、各々の画分の IL-12 (p40) 誘導能を測定した。その結果、両株とも ICW では活性に差はなく、pp では活性もなかった。しかし、ICW に pp を混合した場合は活性が高くなることが確認された。そしてさらにいずれの株の ICW も菌体での活性が高かった SNK1 の pp を含む混合物で活性が高く、一方の SNK47 の pp を含む混合物と比べ IL-12 (p40) 誘導能に差が認められた。以上のことから、菌株間の活性差がpp 由来であることが示唆された。
pp は主に DNA、RNA、タンパク質を含有している。そこで、以下の方法で pp の中の活性要因の探索を行った。まず、SNK1、SNK47 から調製した pp に対して DNase、RNase、protease の各酵素処理を行い、それぞれを DNase-pp、RNase-pp、Protease-pp として作製し、これらを前述と同様に ICW と混合試験した。また、SNK1、SNK47 の菌体から DNA、RNA、タンパク質の疎精製物を抽出し、同じく ICWとの混合試験を行った。その結果、両株共に RNase-pp において IL-12 (p40) 誘導能が最も低下し、さらに抽出物においては RNA 画分において最も IL-12 (p40) 誘導能が上昇した。以上の2つの結果から、菌株間の活性差は RNA に起因する可能性が考えられた。 -
Lactobacillus delbrueckii subsp. delbrueckii TUA4408Lによる発酵豆乳中の粘性物質について
吉田 早希,江草 信太郎,田中 尚人,佐藤 英一,都築 公子,本多 芳孝,岡田 早苗
2012年度日本農芸化学会年次大会 2012年03月
開催年月日: 2012年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:京都大学
伝統発酵食品‘すんき漬け’から分離された乳酸菌Lactobacillus delbrueckiisub sp.delbrueckiiTUA4408Lで豆乳を発酵させると独特な粘性と曵糸性を持つ発酵豆乳ができる。乳酸菌が産生する粘性物質としては菌体外多糖(EPS)がある。EPSは、抗腫瘍や免疫調節等の生理作用、また食品のテクスチャー改善や離水防止作用が注目され、食品への利用が試みられている。TUA4408L 株による発酵豆乳においてもEPSが独特な物性に影響を及ぼしていると考えられるが、豆乳に粘性を付与する乳酸菌由来の物質の報告はこれまでにない。そこで本研究ではTUA4408L 株が豆乳中に産生する粘性物質の特性を明らかに
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Stenotrophomonas maltophilia の Biovar II 群の分類学的研究
黒川 祐菜,田中 尚人,飯野 隆夫,小迫 芳正,大熊 盛也,佐藤 英一,岡田 早苗
2012年度日本農芸化学会年次大会 2012年03月
開催年月日: 2012年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:京都大学
Biovar II 群 7 株とその近縁種および S. maltophilia 基準株を用いて表現型・化学分類学的試験を行った。その結果、Biovar II 群は表現型においては D-sucrose や inulin など 11 種の糖類発酵性および α-glucosidase 活性がないこと、菌体脂肪酸においてはiso-C16:0 や iso-C15:0、iso-C12:0 3-OH が存在することなど、S. maltophilia 基準株と異なる性質であることが明らかになった。そして、表現型は Simple matching 法、化学分類学的試験は Euclid 法にてクラスター解析したところ、Biovar II 株は両試験とも 16S rRNA 遺伝子系統解析と同様に他種とクラスターを形成することが確認された。 次に、Biovar II 株と S. maltophilia 基準株および近縁種との DNA-DNA hybridization を行った。その結果、JCM 1981 は近縁種である S. terrae DSM 18941T と、現在同種の指標とされる 70 %を超える相同性を示した。さらに IAM 12672 は試験を行ったすべての株との相同性が 30 ~ 59 %と低かったことから、新種の可能性が高いことが確認された。これにより、Biovar II 内には複数種が混在することが示唆された。
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Lactobacills delbrueckii の伸長細胞の構造解析
石塚 和子,稲葉 達也,田中 尚人,佐藤 英一,岡田 早苗
2012年度日本農芸化学会年次大会 2012年03月
開催年月日: 2012年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:京都大学
V.B12の欠乏により伸長した細胞を、V.B12添加の培地に移すことで細胞の増殖が確認されたことから、伸長細胞は死滅していないということが確認された。電子顕微鏡観察では、伸長細胞の表層構造などが明確になったのとともに、細胞壁の厚さが不均一であり、内部構造についても変化が認められた。蛍光顕微鏡観察では、細胞膜単位での分裂が起きていないことが示唆され、また、核様体の複製及び分配も起きていないことが確認された。一方で細胞伸長点は通常と同様に中 心 の ま ま合 成 自 体 は 行 わ れて お り 、 細 胞 の 伸長 は 進 行 し て い たこ と か ら、L. delbrueckiiのこの細胞伸長は、分裂の機能は停止しているが、細胞壁合成機構は停止しないという、分裂調節系がアンバランスな状態にあることに起因する現象であることが考えられた。そこで分裂関連遺伝子として知られるftsZ, mreB,divIVAの発現解析を行なったが、通常細胞、伸長細胞ともに発現が確認された。このことから、これら遺伝子の転写ではなく、コードしているタンパク質や、その他の調節因子の変化が細胞伸長に影響していると考えられた。
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Lactobacillus delbrueckii のTMP合成に与えるビタミンB12 の影響
林 徳彦,西前 七緒,田中 尚人,佐藤 英一,岡田 早苗
2012年度日本農芸化学会年次大会 2012年03月
開催年月日: 2012年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:京都大学
V.B12 定量用合成培地を基礎培地とし、V.B12 添加(V.B12+)、無添加 (V.B12-)を作成した。さらに KEGG を参考に V.B12 が関わると考えられた TMP 合成の中間体としてthymidine, thymine, 5-methylcytosine を選抜しそれぞれの培地に添加した。培養後の生育を吸光度 (O。D。660nm) にて測定した結果、 V.B12+ ではすべて 0.8 以上となり、 V.B12- においては thymidine 添加培地でのみ 1.3 と V.B12+ と同等以上の生育を示した。一方 V.B12- のthymine, 5-methylcytosine 添加においては生育が見られなかった。また細胞長においてもV.B12+ のすべては平均が 10㎛ 未満、 V.B12- の thymidine 添加では一部伸長した細胞が見られるが平均は同じく 10㎛ 未満であるのに対し、他の V.B12- では 20㎛ となった。この事からV.B12 は TMP 合成経路において特に thymine から thymidine を合成する反応に影響している事が考えられた。
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Lactobacillus plantarumにおける細胞壁テイコ酸糖修飾遺伝子の解析
磯貝 夏海,田中 尚人,佐藤 英一,岡田 早苗
2012年度日本農芸化学会年次大会 2012年03月
開催年月日: 2012年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:京都大学
L.plantarumWCFS1の公開ゲノム上から、既知のテイコ酸糖修飾遺伝子であるtagEやtarMと相同性の高い遺伝子を探索した結果、L.plantarumには糖修飾遺伝子として、他菌種とに見られない多数のホモログ(tagE1~tagE6)が存在することが確認された。各遺伝子のアミノ酸配列より機能ドメインを予測したところ、6遺伝子全てに糖転移活性ドメインと機能未知のDFU1975ドメインの存在が認められた。この特徴は、tagEやtarMと非常に類似していることから、tagE1~tagE6はテイコ酸に対する糖修飾遺伝子である事が強く示唆された。そこで、tagE1~tagE6の発現量をqRT-PCRにより定量し、菌株間での比較を行った。その結果、全ての菌株で発現の低い遺伝子や、テイコ酸の構造タイプ間で発現量の大きく異なる遺伝子が複数確認された。このような発現量に差が認められた遺伝子がテイコ酸の糖修飾に違いをもたらしていると考え、発現ベクターへのクローニングの後、遺伝子の高発現系を構築した。取得した各遺伝子の高発現株よりテイコ酸を抽出・精製し、核磁気共鳴法(NMR法)を用いた構造解析を行ったところ、細胞壁テイコ酸の糖修飾の位置への変化は認められなかった。よって、L.plantarumにおけるテイコ酸は、6つの糖修飾遺伝子の発現量の制御ではなく、他の因子の影響によりその構造が決定されていると考えられた。
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乳酸菌のコール酸耐性へのResveratrolの効果及びサーチュインホモログの解析
新 穂高,藤村 朱喜,田中 尚人,岡田 早苗,中川 純一
2012年度日本農芸化学会年次大会 2012年03月
開催年月日: 2012年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:京都大学
検討対象として3株のLactobacillus casei株、即ち、チーズ由来NRIC 0644株、サトウキビワイン由来NRIC 1917株、コンポスト由来NRIC 1981株(以下NRIC省略)を用い、MRS培地に終濃度0.2~5.0 mMのコール酸を添加し、生育への影響を検討した。その結果、5.0 mMのコール酸濃度では1917株、1981株、0644株の順にコール酸耐性が高い事が明らかになった。一方、これら3株の全ゲノム配列を解析したところ、3株全てがサーチュインホモログを保有することが明らかになった。L. casei3株に存在するサーチュインホモログ配列の相同性は非常に高く、更に1981株においてはLactobacillus rhamnosus型のサーチュインホモログ配列についてもその存在が見出され、1981株が0644株、1917株とは異なり、2つのサーチュインホモログを保有していることが示された。次に、コール酸耐性能獲得にエピジェネティック制御が関与するかを検討するため、サーチュインの賦活剤として報告されている、Resveratrolを乳酸菌に作用させ、コール酸添加MRS培地中での生育を観察した。その結果、Resveratrol未処理のものと比較し、良好な生育が観察され、コール酸耐性能が向上したことが示された。これらの結果は、乳酸菌でも真核生物のエピジェネティック制御に類似の環境応答機構が存在する可能性を示唆していると考えられる。そこで、それぞれのサーチュインホモログ遺伝子をクローニングし、大腸菌発現系を用いて組換えタンパク質を生産し、アフィニティ―カラムで精製した。その結果、L. casei 3株のサーチュインホモログはSDSPAGEによって29kDaの単一バンドとして検出された。また、1981株のL. rhamnosusサーチュインホモログは34kDaの単一バンドとして検出された。
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Lactobacillus gasseri JCM1131T のリポテイコ酸 : 胆汁酸適応への関与
白石 宗,冨田 理,田中 尚人,吹谷 智,森田 直樹,横田 伸一,岡田 早苗,横田 篤
2012年度日本農芸化学会年次大会 2012年03月
開催年月日: 2012年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:京都大学
腸管内に生息するLactobacillus gasseriはプロバイオティクスとして実際に利用される乳酸菌である。我々はL. gasseri JCM1131Tの胆汁酸に対する適応現象を発見した。胆汁酸適応とは、胆汁酸の主な構成成分であるコール酸を非致死濃度 (4 mM) 含む培養液に、細胞を短時間(30分) 暴露させることで、致死濃度 (15 mM) のコール酸ストレスに対して耐性を獲得する現象である。我々は、この適応現象のメカニズムの解明を目指し、適応現象に細胞膜脂質が関与することを明らかにしている。本研究では細胞膜に結合する細胞表層多糖であるリポテイコ酸 (LTA) に着目した。LTAは、一般的にグリセロールリン酸ユニットで構成される主鎖を持ち、細胞膜の糖脂質を介して結合する。また、表層電荷の要因にもなり、LTAの構造の一部を修飾変化させることで、表層電荷を調節し、電荷を持つ抗菌物質への物理的防御として機能すると報告される。本研究ではマイナス電荷を持つコール酸への適応現象とLTAの関与を明らかにした。
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Fructobacillus 属細菌の糖代謝解析
及川 容,田中 尚人,佐藤 英一,岡田 早苗
2012年度日本農芸化学会年次大会 2012年03月
開催年月日: 2012年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:京都大学
Fructobacillus属の5 種の各基準株を供試菌株とした。また近縁種のLeuconostoc mesenteroidessub sp. mesenteroidesNRIC 1541Tを比較対象株として用いた。グルコースを基質とした培地(GYP培地)に過去に報告された生育因子(フルクトース、ピルビン酸、酸素)を加え、各供試菌株の代謝産物をHPLCにより測定した。その結果、Fructobacillus 属においてピルビン酸添加GYPでは乳酸:酢酸=3:1、フルクトース添加GYPでは乳酸:酢酸:マンニトール=1:1:2、GYP好気条件では乳酸:酢酸=1:1となった。このことは、GYP嫌気条件下で本属細菌はNADHからNAD+への再生が不十分なために生育しないと考えられているが、各因子の添加により余剰となったNADHを酸化しているためこのような結果が得られたと予想された。したがって、菌体内の糖代謝は菌体外の因子の還元反応と関連性があると推察された。そこで、菌体外の因子の還元反応に関与すると考えられる酵素の活性測定を行った。その結果、この還元反応にはNADH の酸化反応が伴うことが明らかとなった。以上のことより、糖代謝の過程で行われる酸化還元反応と併せて菌体外の因子を用いた酸化還元反応も行われ、これにより菌体内の酸化還元バランスの保持が行われていることが示唆された。また、本属細菌の特徴である菌体外の因子に依存的な生育はこのような機構によるものであると考えられた。
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好フルクトース乳酸菌 Fructobacillus 属の分離
田中 尚人,及川 容,佐藤 英一,岡田 早苗
2012年度日本農芸化学会年次大会 2012年03月
開催年月日: 2012年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:京都大学
2010年春から2011年冬にかけて関東地方を中心とした地域から、花や果実等のサンプル計739点を採取し実験に供した。過去に報告された方法1)を参考に、採取したサンプルから好フルクトス乳酸菌の分離を試みた。フルクトスを基質とする FYP 集積培地で培養した後、培養液を FYP 固体培地に画線塗沫しクリアゾンを形成したコロニを選抜株とした。各選抜株をグルコスを基質とした GYP 液体培地およびフルクトスを基質とした FYP 液体培地に植え継ぎ、嫌気条件下で培養した。そして、GYP 液体培地での生育が FYP 液体培地に比べ弱い 18 株を好フルクトス乳酸菌として選抜した。さらに、これらを16SrRNA遺伝子系統解析により簡易同定したところ、9 株はFructobacillus 属 (F. fructosus 4株、F. pseudoficulneus 2株、F. ficulneus 2株、F. tropaeoli 1株)、7 株は好フルクトス乳酸菌として報告のあるL. kunkeei2)と高い相同性を示した。他はL. brevis, L. sanfranciscensisであり、いずれもヘテロ発酵型乳酸菌であった。
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Stenotrophomonas maltophilia のメロペネム耐性
田中 尚人,志波 優,鈴木 智典,吉川 博文,岡田 早苗,宮崎 智,菅原 秀明
2010年度日本農芸化学会年次大会 2010年03月
開催年月日: 2010年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:東京大学
Stenotrophomonas maltophilia IAM 12672のゲノムドラフト配列はIllumina Genome analyzer IIにより決定し、MiGAPによりアノテーションを付加した。比較解析の結果、予測された亜鉛の輸送系では2株の間で排出トランスポーターに違いが認められた。また、K279aでは亜鉛との関連について報告のある親鉄蛋白質のTonB依存型トランスポーターがmbl 遺伝子上流に存在した。株間のMPM耐性の違いはこれらの違いに起因している可能性が考えられた。
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Lactobacillus plantarum による免疫調節作用に関する研究
奥野 潤一,冨田 理,増田 健幸,保井 久子,田中 尚人,佐藤 英一,内村 泰,岡田 早苗
2010年度日本農芸化学会年次大会 2010年03月
開催年月日: 2010年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:東京大学
Lactobacillus plantarum をモデルとして、桿状保持細胞壁(ICW)を調製し、同 様に試みたところ、超音波で破砕した細胞壁破砕物は活性がなくなるが、ICW には活性 があり、PP と合わせることで相乗効果が見られた。以上の試験において、マクロファー ジ用 J774A。1 を用い IL-12 を測定する in vitro 評価系を導入したところ、マウスパイエル 板の試験系の再現性が見られた。
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対馬伝統醗酵食品せんだんごに生息する微生物の菌叢解析
熊谷 浩一,田中 尚人,佐藤 英一,内村 泰,岡田 早苗
2010年度日本農芸化学会年次大会 2010年03月
開催年月日: 2010年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:東京大学
せんだんご発酵工程中、浸漬・発酵工程より一般細菌、酵母、カビの分離を行った結果、カビは発酵の工程のみ確認された。このことから、カビによりデンプンや食物繊維が分解され低分子量化していると考えられた。そこで、カビについて検討した結果、年度や地域によらず、主にPenicillium属やMucor属が生息しており、デンプン分解能を有することから、これらカビがサツマイモデンプンの分解に関与していると考えられた。
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Lactobacillus delbrueckii の細胞生長に及ぼすビタミンB12の影響
西前 七緒,田中 尚人,佐藤 英一,内村 泰,岡田 早苗
2010年度日本農芸化学会年次大会 2010年03月
開催年月日: 2010年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:東京大学
Lactobacillus delbrueckii は生育に必須なビタミンB12が不足すると増殖せず数十μm に伸長し、B12添加で伸長細胞は分裂し通常細胞の長さ(5μm)に戻る。伸長細胞は構造的特徴から、分裂に関連する隔壁形成や核様体複製などをしていないと考えられたが、伸長時の細胞壁合成点は通常細胞と同じであった。また、両細胞の主要な分裂関連遺伝子の発現に差異はなかった。したがって、伸長細胞は細胞壁合成し分裂が再開可能な状態を維持しているが、分裂はB12が関与する構造体の合成系に影響されていると考えられた。
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Lactobacillus plantarum 種内における細胞壁テイコ酸の構造多様性と合成遺伝子の比較解析
冨田 理,田中 尚人,佐藤 英一,内村 泰,降旗 一夫,額田 恭郎,岡田 早苗
日本乳酸菌学会2009年度大会 2009年07月
開催年月日: 2009年07月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:ベルクラシック甲府
細胞壁テイコ酸のRibitol鎖合成遺伝子と推測されたispD・lp_1817・tagB1・tagB2の機能を明らかにするためL. plantarum NCIMB 8826を用いてGlycerol鎖合成遺伝子のノックアウトを試みた。その結果、形質転換体から一次組換え体を得ることができたが、数回の継代培養のみでほぼ全てのコロニーが野生株へ戻ったことから、WTA合成遺伝子はL. plantarumの生存において必須な遺伝子であると推測された。次に、異なるWTA構造をもつL. plantarum 6株を供試菌株とし、Glucose修飾に関するtagE1∼ 6とgtcA1∼ 3についてPCR法・RT-PCR法・シークエンス解析を行い、遺伝子の存在確認とその発現の有無、塩基配列を解析した。その結果、tagEの一部にトランスポゾンの挿入や内部配列の欠落、フレームシフト変異による終止コドンの挿入がみられ、機能していないことが確認されたため、これらの変異がtagEの機能の発現を左右していると考えられた。すなわち、複数存在するtagEの中でも、どのtagEが変異するかによりGlucose残基の配置の違いに影響を与えていることが考えられた。また、これらのtagEとgtcAは変異が生じている部位を除けば、Glycerol型WTA株・Ribitol型WTA株に関わらず菌株間での塩基配列の保存性が非常に高かった。これらのことからL. plantarumのWTA構造は、複数保存されているtagEに塩基配列の変異が生じることにより、多様化しているのではないかと考えられた。
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乳酸菌細胞壁の変異原物質吸着部位に関する研究
畠山 誉史,田中 尚人,佐藤 英一,内村 泰,岡田 早苗
日本乳酸菌学会2009年度大会 2009年07月
開催年月日: 2009年07月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:ベルクラシック甲府
我々の身の回りには多くの変異原物質が存在し、常に遺伝子変異の危険性に曝されているため、現在抗変異原性の重要性が着目されている。その一つに乳酸菌が挙げられ、吸着による変異原吸収抑制を主とした様々な抗変異原性の研究がこれまでに行われてきた、しかし、現象面ではいくつかの報告例はあるものの、吸着部位を始めとする詳細はいまだ不明なことが多い。よって当研究室では乳酸菌の抗変異原性を明らかにすべく、吸着の面から様々な研究を行ってきた。今回の報告では、乳酸菌の菌体構成成分に着目し吸着部位を検証した。供試菌株五種の菌体構成成分(菌体内容物画分、粗細胞壁画分、細胞壁画分、ペプチドグリカン画分〉と四つのヘテロサイクリックアミンを用いてHPLCによって吸着活性を調べた。TrpLP−1ではペプチドグリカン画分が最も吸着活性が高く、ほかの変異原物質では細胞壁画分に吸着活性が高い結果が多く得られた。この傾向は多くの供試菌株で共通していた。さらに、ベプチドグリカン画分をリゾチム(ペプチドグリカン分解酵素)で処理し、その吸着活性を調べたところ消失したことから、Trp−P−1の吸着部位はペプチドグリカンであることが確定的になった。
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ビタミンB12バイオアッセイ用乳酸菌株のスクリーニング
田中 尚人,冨田 理,岡田 早苗
日本ビタミン学会第61会大会 2009年05月
開催年月日: 2009年05月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:京都学園大学
供試菌株には ATCC 7830に相当する NRIC 1682および独自に分離収集した L. delbrueckii 38株を用いた。供試菌株の中からビタミンB12要求性が高く、かつ生育がビタミンB12濃度に依存的である株をスクリーニングするため、分析マニュアルに記載されている操作を基本に適宜シアノコバラミン を含むビタミンB12定量用培地での生育測定 (波長 600nm)を行った。その結果、 0-150 pg/2.5ml の濃度の範囲で再現性も含め良好な TUA 4404L と TUA 4665L の 2 株を選抜した。次に、2 株の検量線を単回帰、対数用量を用いた単回帰、ロジスティック回帰モデルで作成し、各回帰線の精度や再現性を統計的に評価した。また、確度を添加回収試験により検討した。その結果、TUA 4404Lのロジスティック回帰モデルによる回帰線が 0-60 pg/2.5mlの範囲で直線性が高くかつ安定していた。以上から、ビタミンB12バイオアッセイの新規指示菌として TUA 4404L を提案する。
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有用乳酸菌株の産業利用と知財
岡田 早苗,中野 美佳,田中 尚人,西村 充,御船 昭
日本微生物資源学会第16回大会 2009年05月
開催年月日: 2009年05月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:大阪大学
東京農業大学菌株保存室は、日本を含む東〜東南アジア各国の伝統発酵食品(ほとんどが植物原料)に関わる乳酸菌を長年に亘り(1980 年〜)収集してきた。保存乳酸菌株は現在、約 5,000 株あり、それぞれの分離源データ、表現性状データ(約 60 項目)、16S rDNA シークエンスデータと共に情報整理され保存されている。 近年、野菜ジュースや豆乳など植物素材を原料とした発酵飲料製造にも乳酸菌の利用が急速に拡がっている。植物素材を発酵原料とする場合は、乳の発酵に使われる乳酸菌では適さず、植物質が原料となった発酵食品に由来する乳酸菌(=「植物性乳酸菌」)が適している。さらに「植物性乳酸菌」は健康保持(感染予防や免疫調節など)に関わる素材としても注目され、その活用度はますます高まっている。その知的財産権について発表した。
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樹液の乳酸菌フローラの解析
入澤 友啓,金子 祐太郎,田中 尚人,岡田 早苗
2009年度日本農芸化学会年次大会 2009年03月
開催年月日: 2009年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:福岡国際会議場
樹液を試料とした集積培地により31株の分離菌株を得た。分離菌株のほとんどがLeu。 mesenteroidesで、Lactobacillus属は少数であった。このLactobacillus属について表現性状試験を行った結果、運動性を有していた株が3株含まれていた。この3株について16S rRNA遺伝子塩基配列に基づく系統解析を行ったところL. salivarius 系統群に属しL. mali とL. satsumensisに近縁であった。また本菌株はG+C含量は38 mol%であり、L. mali NRIC 1692T、L. satsumensis NRIC 0604TとのDNA-DNA相同性はいずれも低い相同性を示したことからこれらを新規乳酸菌であると位置づけ、”Lactobacillus lacrimicola “と命名し、現在Int J Syst Evol Microbiolに投稿・提唱中である。
さらに、本研究で用いた集積培地に集積された乳酸菌をPCR-DGGEにて検出した。するとEnterococcus casseliflavasやLeuconostoc mesenteroides がサンプルに共通して検出された。また、サンプルによってはLactobacillus buchneriやLactobacillus hilgardiなども検出された。このように培養法と分子生物学的手法により樹液中に多様の乳酸菌が生息していることが明らかになった。 -
乳酸菌細胞壁の変異原物質吸着部位に関する研究
畠山 誉史,田中 尚人,佐藤 英一,内村 泰,岡田 早苗
2009年度日本農芸化学会年次大会 2009年03月
開催年月日: 2009年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:福岡国際会議場
我々の身の回りには多くの変異原物質が存在し、常に遺伝子変異の危険性に曝されているため、現在抗変異原性の重要性が着目されている。その一つに乳酸菌が挙げられ、吸着による変異原吸収抑制を主とした様々な抗変異原性の研究がこれまでに行われてきた、しかし、現象面ではいくつかの報告例はあるものの、吸着部位を始めとする詳細はいまだ不明なことが多い。よって当研究室では乳酸菌の抗変異原性を明らかにすべく、吸着の面から様々な研究を行ってきた。今回の報告では、乳酸菌の菌体構成成分に着目し吸着部位を検証した。供試菌株五種の菌体構成成分(菌体内容物画分、粗細胞壁画分、細胞壁画分、ペプチドグリカン画分〉と四つのヘテロサイクリックアミンを用いてHPLCによって吸着活性を調べた。TrpLP−1ではペプチドグリカン画分が最も吸着活性が高く、ほかの変異原物質では細胞壁画分に吸着活性が高い結果が多く得られた。この傾向は多くの供試菌株で共通していた。さらに、ベプチドグリカン画分をリゾチム(ペプチドグリカン分解酵素)で処理し、その吸着活性を調べたところ消失したことから、Trp−P−1の吸着部位はペプチドグリカンであることが確定的になった。
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サイトカイン誘導能に関わる Lactobacillus plantarum 細胞壁の役割
奥野 潤一,冨田 理,入澤 友啓,保井 久子,増田 健幸,田中 尚人,佐藤 英一,内村 泰,岡田 早苗
2009年度日本農芸化学会年次大会 2009年03月
開催年月日: 2009年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:福岡国際会議場
Lactobacillus plantarum をモデルとして、免疫調節作用の活性の発現に必要な細胞画分を特定した。無傷の細胞(Cell)、ペプチドグリカン(PG)、テイコ酸(WTA)、細胞内容 物であるプロトプラスト(PP)の IFN-γをマウスパイエル板の試験系で測定したところ、 Cell は高いが分画すると活性は下がった。
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バニリンを産生する乳酸菌の検索
佐々木 和佳子,入澤 友啓,田中 尚人,佐藤 英一,岡田 早苗
2009年度日本農芸化学会年次大会 2009年03月
開催年月日: 2009年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:福岡国際会議場
焼酎、サワーブレッド、せんだんごを分離源とする供試菌株15種102株の内、せんだんご分離株であるLactococcus lactis SEN10-10およびLactococcus lactis SEN14-10において、フェルラ酸の減少とバニリンの産生が確認された。これらの結果を受け、焼酎製造への実用に向けて生育温度試験、初発pH試験、アルコール耐性試験を行った。その結果、それぞれの生育範囲はLactococcus lactis SEN10-10では、温度10~42℃、アルコール濃度0~5%、pH5.5~8.5で、Lactococcus lactis SEN14-10では、温度10~37℃、アルコール濃度0~5%、pH5.0~8.5であった。
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Studies on slower-growing Lactic Acid Bacteria (生育緩慢乳酸菌について) 国際会議
Tomohiro Irisawa, Naoto Tanaka, Sanae Okada S.
The 9th Symposium on Lactic Acid Bacteria 2008年09月
開催年月日: 2008年09月
記述言語:英語 会議種別:ポスター発表
開催地:オランダ
生育緩慢な乳酸菌を複合型から分離することは、寒天培地上での生育の早い微生物の生育領域占領すなわちコロニー形成により困難である。そのため、生育の早い微生物を抑制するため、活性の高い状態で効果の高い抗生物質を培地に添加することで、緩慢に生育する乳酸菌のみコロニーを形成しやすい状態にするための培地条件を検討し、緩慢に乳酸菌を分離する方法を確立した。
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Phenotypic and phylogenetic diversity of plant origin lactic acid bacteria (植物性乳酸菌の表現性状と進化的多様性について) 国際会議
Naoto Tanaka, Hideaki Sugawara, Sanae Okada
The 9th Symposium on Lactic Acid Bacteria 2008年09月
開催年月日: 2008年09月
記述言語:英語 会議種別:ポスター発表
開催地:オランダ
東京農業大学菌株保存室では、長年にわたり発酵食品などから約 4,000 株の植物性乳酸菌株を独自に分離・保存し、さらに各株の約60項目の表現性状データにより同定してきた。これらの分離株の一部はすでに産業的に利用されているように、微生物資源として高いポテンシャルが期待される。本研究では 16S rRNA 遺伝子配列のデータを加えた解析により、乳酸菌分離株を再整理することにした。 分離株の 16S rRNA 遺伝子配列は定法により決定、blast program により相同解析した。約 2,400 株の16S rRNA 遺伝子配列解析の結果、7 割の株は表現性状に基づく同定と属レベルで一致した。配列解析をした分離株は 13属からなり、Lactobacilus 属が一番多く 5 割を占めていた。本属で最も多かった系統群は L.plantarum group であった。本発表では各属の分離株の、生育温度や pH, 炭素源の資化能などの表現性状データによる種同定と種内多様性などについても報告する。
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Structural diversity of teichoic acid isolated from the cell wall of Lactobacillus plantarum (Lactobacillus plantarum の種内細胞壁テイコ酸の多様性) 国際会議
Satoru Tomita, Naoto Tanaka, Eiichi Satoh, Tai Uchimura, Kazuo Furihata, Tomoo Nukada, Sanae Okada
The 9th Symposium on Lactic Acid Bacteria 2008年09月
開催年月日: 2008年09月
記述言語:英語 会議種別:ポスター発表
開催地:オランダ
細胞壁テイコ酸(WTA)はグラム陽性菌の細胞壁に含まれる糖アルコールとリン酸からなる酸性多糖であり、乳酸菌においても細胞壁の主要な成分である。WTA は多様な機能をもつほか、株レベルで構造が異なることが知られているが、その詳細な構造の研究はほとんど行われてこなかった。そこでWTA構造の種内多様性を明らかにすることを目的とし、WTAを豊富に含むLactobacillus plantarum種内のWTAの成分と構造を解析した。その結果L. plantarumのWTAは糖アルコール成分の違いによりGlycerol型とRibitol型に大別されるだけでなく、主鎖の修飾成分であるGlucose残基の配置に違いがあることが明らかになった。
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緩慢乳酸菌の選択的分離法の確立
入澤 友啓,田中 尚人,岡田 早苗
日本乳酸菌学会2008年度大会 2008年07月
開催年月日: 2008年07月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:麻布大学
生育緩慢な乳酸菌を複合型から分離することは、寒天培地上での生育の早い微生物の生育領域占領すなわちコロニー形成により困難である。そのため、生育の早い微生物を抑制するため、活性の高い状態で効果の高い抗生物質を培地に添加することで、緩慢に生育する乳酸菌のみコロニーを形成しやすい状態にするための培地条件を検討し、緩慢に乳酸菌を分離する方法を確立した。
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機能性を有する乳酸菌の細胞壁テイコ酸の構造解析
冨田 理,田中 尚人,保井 久子,額田 恭郎,佐藤 英一,内村 泰,岡田 早苗
日本乳酸菌学会2008年度大会 2008年07月
開催年月日: 2008年07月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:麻布大学
細胞壁テイコ酸(WTA)はグラム陽性菌の細胞壁に含まれる糖アルコールとリン酸からなる酸性多糖であり、乳酸菌においても細胞壁の主要な成分である。WTA は多様な機能をもつほか、株レベルで構造が異なることが知られているが、その詳細な構造の研究はほとんど行われてこなかった。そこでWTA構造の種内多様性を明らかにすることを目的とし、WTAを豊富に含むLactobacillus plantarum種内のWTAの成分と構造を解析した。その結果L. plantarumのWTAは糖アルコール成分の違いによりGlycerol型とRibitol型に大別されるだけでなく、主鎖の修飾成分であるGlucose残基の配置に違いがあることが明らかになった。
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保存乳酸菌株の再整理
田中 尚人、菅原 秀明、岡田 早苗
日本農芸化学会2008年度大会 2008年03月
開催年月日: 2008年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:名城大学
東京農業大学菌株保存室では、長年にわたり発酵食品などから約 4,000 株の植物性乳酸菌株を独自に分離・保存し、さらに各株の約60項目の表現性状データにより同定してきた。これらの分離株の一部はすでに産業的に利用されているように、微生物資源として高いポテンシャルが期待される。本研究では 16S rRNA 遺伝子配列のデータを加えた解析により、乳酸菌分離株を再整理することにした。 分離株の 16S rRNA 遺伝子配列は定法により決定、blast program により相同解析した。約 2,400 株の16S rRNA 遺伝子配列解析の結果、7 割の株は表現性状に基づく同定と属レベルで一致した。配列解析をした分離株は 13属からなり、Lactobacilus 属が一番多く 5 割を占めていた。本属で最も多かった系統群は L.plantarum group であった。本発表では各属の分離株の、生育温度や pH, 炭素源の資化能などの表現性状データによる種同定と種内多様性などについても報告する。
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Weissella cibaria の過酸化水素生成機構 (第2報)
佐藤 匠,鈴木 毅人,川崎 信治,新村 洋一,遠藤 明仁,田中 尚人,佐藤 英一,内村 泰,岡田 早苗
2008年度日本農芸化学会年次大会 2008年03月
開催年月日: 2008年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:名城大学
乳酸菌 Weissella cibaria が好気条件下かつ酢酸ナトリウム存在下で過酸化水素を産生する機構について報告した。その原因は過酸化水素発生型の NADH オキシダーゼであることを酵素学的に明らかにした。この酵素の発見は乳酸菌では初めてであり、これまでにない乳酸菌の酸素適応の機構解明の手がかりとなりうる。
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緩慢乳酸菌の選択的分離法の確立
入澤 友啓,遠藤 明仁,田中 尚人,岡田 早苗
2008年度日本農芸化学会年次大会 2008年03月
開催年月日: 2008年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:名城大学
生育緩慢な乳酸菌を複合型から分離することは、寒天培地上での生育の早い微生物の生育領域占領すなわちコロニー形成により困難である。そのため、生育の早い微生物を抑制するため、活性の高い状態で効果の高い抗生物質を培地に添加することで、緩慢に生育する乳酸菌のみコロニーを形成しやすい状態にするための培地条件を検討し、緩慢に乳酸菌を分離する方法を確立した。
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乳酸菌株の変異原物質吸着の定量的解析による吸着能の評価
畠山 誉史,田中 尚人,佐藤 英一,内村 泰,岡田 早苗
2008年度日本農芸化学会年次大会 2008年03月
開催年月日: 2008年03月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:名城大学
植物質発酵食品から分離された乳酸菌(Lactobacillus plantarum SNJ81, Lb。 fermentum SNA41, Lb。 parabuchneri SNC91, Lb。 delbrueckii SNK64, and Leuconostoc mesenteroides sub sp. mesenteroides 10D-2)の食品由来の変異原物質における吸着能を検証した。食品由来の変異原物質は肉や魚のこげなどから検出されるヘテロサイクリックアミン(2-amino-1-methyl-6-phenylimidazo [4,5-b] pyridine (PhIP), 2-amino-3,8-dimethylimidazo [4,5-f] quinoxaline (MeIQx), 2-amino-9H-pyrydo [2,3-b] indole (AαC),3-amino-1,4-dimethyl-5H-pyrido [4,3-b] indole (Trp-P-1) and 2-amino-3,4-dimethylimidazo [4,5-f] quinoline(MeIQ))を用いた。乳酸菌のヘテロサイクリックアミン吸着能は様々であった。使用したヘテロサイクリックアミンの中で、Trp-P-1 が最も高く吸着された。そして死菌体に同等の吸着能を有しており、さらには人工消化液存在下でも吸着能を有していた。乳酸菌の変異原物質吸着に関する研究のほとんどは乳由来の乳酸菌を用いた報告である。本研究では、新規分離原として植物質発酵食品であるすんきに着目し、これまで検証されて来なかった植物質由来の乳酸菌を用いて高い変異原物質吸着能を有することが明らかとなった。
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G-InforBIO: An integrated suite for genomics (統合ゲノム解析ツール G-InforBIO) 国際会議
Naoto Tanaka, Talkashi Abe, Satoru Miyazaki, Hideaki Sugawara
20th IUBMB International Congress of Biochemistry and Molecular Biology and 11th FAOBMB Congress 2006年06月
開催年月日: 2006年06月
記述言語:英語 会議種別:ポスター発表
開催地:京都
数多くの原核生物および真核生物のゲノム情報は国際塩基配列データベース (INSD, DDBJ/EMBL/GenBank) から公開され簡単に入手できる。このゲノム情報を手がかりに生物学的研究を進めていくためには、容易にゲノム情報を扱える環境を整えることが必要である。我々が開発した G-InforBIO は INSD から公開されているゲノム情報を中心に端末のパソコン上で効率的に統合・解析できるツールであり、フリーソフトウェアとして提供されている (http://www。wdcm。org/)。本ツールの主な機能は、アノテーション情報の編集、配列データの相同性解析とクラスタ解析である。解析プログラムは現在 9 種類搭載されている。これらの機能を利用することで、近縁種間の比較ゲノム解析やゲノムを対象とした遺伝子単位などの配列断片の網羅的解析など、ゲノム情報を活用することが可能である。昨年度の本大会ではG-InforBIO を利用した原核生物ゲノムの比較解析について発表した
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比較ゲノム解析ツール「G-InforBIO」
田中 尚人,阿部 貴志,宮崎 智,菅原 秀明
第8回ワークショップ「微生物ゲノム研究のフロンティア」 2006年03月
開催年月日: 2006年03月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:かずさアカデミアホール
数多くの原核生物および真核生物のゲノム情報は国際塩基配列データベース (INSD, DDBJ/EMBL/GenBank) から公開され簡単に入手できる。このゲノム情報を手がかりに生物学的研究を進めていくためには、容易にゲノム情報を扱える環境を整えることが必要である。我々が開発した G-InforBIO は INSD から公開されているゲノム情報を中心に端末のパソコン上で効率的に統合・解析できるツールであり、フリーソフトウェアとして提供されている (http://www。wdcm。org/)。本ツールの主な機能は、アノテーション情報の編集、配列データの相同性解析とクラスタ解析である。解析プログラムは現在 9 種類搭載されている。これらの機能を利用することで、近縁種間の比較ゲノム解析やゲノムを対象とした遺伝子単位などの配列断片の網羅的解析など、ゲノム情報を活用することが可能である。昨年度の本大会ではG-InforBIO を利用した原核生物と真核生物ゲノムの比較解析について発表した
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ゲノム情報活用ツール「G-InforBIO」
田中 尚人、阿部 貴志、宮崎 智、菅原 秀明
第28階日本分子生物学会 2005年12月
開催年月日: 2005年12月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:ヤフードーム
数多くの原核生物および真核生物のゲノム情報は国際塩基配列データベース (INSD, DDBJ/EMBL/GenBank) から公開され簡単に入手できる。このゲノム情報を手がかりに生物学的研究を進めていくためには、容易にゲノム情報を扱える環境を整えることが必要である。我々が開発した G-InforBIO は INSD から公開されているゲノム情報を中心に端末のパソコン上で効率的に統合・解析できるツールであり、フリーソフトウェアとして提供されている (http://www。wdcm。org/)。本ツールの主な機能は、アノテーション情報の編集、配列データの相同性解析とクラスタ解析である。解析プログラムは現在 9 種類搭載されている。これらの機能を利用することで、近縁種間の比較ゲノム解析やゲノムを対象とした遺伝子単位などの配列断片の網羅的解析など、ゲノム情報を活用することが可能である。昨年度の本大会ではG-InforBIO を利用した原核生物ゲノムの比較解析について発表した
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G-InforBIO: Integrated system for comparative genome analysis (比較ゲノム解析ツール G-InforBIO) 国際会議
Naoto Tanaka, Satoru Miyazaki, Hideaki Sugawara
The 13th International conference, The International Society for Computational Biology 2005年06月
開催年月日: 2005年06月
記述言語:英語 会議種別:ポスター発表
開催地:デトロイト
近年、細菌ゲノムを中心とした配列データおよびアノテーション情報が国際塩基配列データベース (INSD) を介して大量に公開されるようになってきた。ゲノム情報が蓄積されるにつれ、近縁種との比較解析がゲノム研究の主力となることは間違いないが、現在はそのための支援ツールの開発があまり進んでいない。そこで我々は、INSD に公開されているゲノム情報を利用した比較解析を可能としたツール「G-InforBIO」を開発した。このツールは以下の機能が備わっている。1, Feature View:ゲノム上の遺伝子配列情報(シンテニー)をグラフィカルに表示2, Alignment View: Megablast による 2 ゲノム間の相同性検索およびその結果をグラフィカルに表示3, VS Genome:ゲノムを subject とした核酸およびアミノ酸配列の blast 相同性検索4, Blastclust: Blastclust (blast score-based single-linkage clustering) による核酸およびアミノ酸配列のクラスタリング解析5, ClustalW:核酸およびアミノ酸配列の系統解析6, ゲノム情報の管理・編集G-InforBIO ではタブ区切りのテキストファイルからもデータが読み込めるのでオリジナルのゲノムデータを公開データと比較して解析することも可能である。ポスターセッションでは実データによる解析とその考察について議論したい。G-InforBIO は WFCC-MIRCEN World Data Centre for Microorganisms のサイト (http://www/wdcm。org/) からダウンロードできる。
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Effects of zinc accumulation on antibiotic resistance of Stenotrophomonas maltophilia (亜鉛による Stenotrophomonas maltophilia の薬剤耐性への影響) 国際会議
Naoto Tanaka, Satoru Miyazaki, Hideaki Sugawara
105th General Meeting, American Society of Microbiology 2005年06月
開催年月日: 2005年06月
記述言語:英語 会議種別:ポスター発表
開催地:アトランタ
Stenotrophomonas maltophilia は自然環境や臨床に幅広く生息している。 臨床株では幅広いスペクトラムの β-lactam 系抗生物質の耐性細菌として報告があり, 本細菌特有の β-lactamase (L1:亜鉛型, L2:セリン型) がその耐性に関与している。 また, 我々は以前に S. maltophilia が細胞内に亜鉛を顆粒状に吸蔵することを見出した。そこで, 環境および臨床由来の S. maltophilia 株の, 特に亜鉛依存性 L1 型 β-lactamase に注目し, 薬剤耐性と亜鉛吸蔵との関連について検討した。 供試菌株には環境由来 3 株,臨床由来 3 株を使用した。 環境株 1 株 (IAM 12672) を除き, 5 株は 5 mM 以上の亜鉛に対して耐性を示し, 定常期には乾燥菌体 1 mg あたり約 10 μg の亜鉛を顆粒状に吸蔵することを ICP 発光分光分析および EDS 付透過型電子顕微鏡で確認した。 次に, ディスク拡散法により供試菌株の 6 種類の抗生物質に対する耐性を検討した。 その結果, 臨床株は多くの薬剤に強い耐性を示し, 逆に環境株は多くに感受性を示した。 しかし環境株のうち 2 株は, 亜鉛を吸蔵させると L1 型 β-lactamase の好適基質であるカルバペネム系に対して耐性を示すようになった。 そこで, 環境株の本酵素の活性をカルバペネム系のメロペネムの分解測定により検討したところ, 3 株とも本酵素の活性があり, IAM 12672 株は反応液に亜鉛を加えることで大幅に活性が上昇した。 したがって, 亜鉛の蓄積能を持つ 2 株は細胞内亜鉛濃度が L1 型 β-lactamase 活性に十分となり耐性を示すが, 蓄積能のない IAM 12672 株は潜在的に耐性機能がありながら, 細胞内亜鉛濃度が不十分であるため感受性を示すと考えられた。 よって, S. maltophilia の亜鉛の吸蔵は L1 型 β-lactamase 活性に効果的であると考えられた。
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Stenotrophomonas maltophilia のβ-ラクタマーゼ活性について
田中 尚人,宮崎 智,菅原 秀明
日本微生物資源学会第12回大会 2005年06月
開催年月日: 2005年06月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:かずさアーク
Stenotrophomonas maltophilia は自然環境や臨床に幅広く生息している。 臨床株では幅広いスペクトラムの β-lactam 系抗生物質の耐性細菌として報告があり, 本細菌特有の β-lactamase (L1:亜鉛型, L2:セリン型) がその耐性に関与している。 また, 我々は以前に S. maltophilia が細胞内に亜鉛を顆粒状に吸蔵することを見出した。そこで, 環境および臨床由来の S. maltophilia 株の, 特に亜鉛依存性 L1 型 β-lactamase に注目し, 薬剤耐性と亜鉛吸蔵との関連について検討した。 供試菌株には環境由来 3 株,臨床由来 3 株を使用した。 環境株 1 株 (IAM 12672) を除き, 5 株は 5 mM 以上の亜鉛に対して耐性を示し, 定常期には乾燥菌体 1 mg あたり約 10 μg の亜鉛を顆粒状に吸蔵することを ICP 発光分光分析および EDS 付透過型電子顕微鏡で確認した。 次に, ディスク拡散法により供試菌株の 6 種類の抗生物質に対する耐性を検討した。 その結果, 臨床株は多くの薬剤に強い耐性を示し, 逆に環境株は多くに感受性を示した。 しかし環境株のうち 2 株は, 亜鉛を吸蔵させると L1 型 β-lactamase の好適基質であるカルバペネム系に対して耐性を示すようになった。 そこで, 環境株の本酵素の活性をカルバペネム系のメロペネムの分解測定により検討したところ, 3 株とも本酵素の活性があり, IAM 12672 株は反応液に亜鉛を加えることで大幅に活性が上昇した。 したがって, 亜鉛の蓄積能を持つ 2 株は細胞内亜鉛濃度が L1 型 β-lactamase 活性に十分となり耐性を示すが, 蓄積能のない IAM 12672 株は潜在的に耐性機能がありながら, 細胞内亜鉛濃度が不十分であるため感受性を示すと考えられた。 よって, S. maltophilia の亜鉛の吸蔵は L1 型 β-lactamase 活性に効果的であると考えられた。
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国際塩基配列データベース登録微生物 ORF の統一的再評価
田中 尚人,宮崎 智,菅原 秀明
第24回日本微生物系統分類研究会 2004年11月
開催年月日: 2004年11月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:ヤクルト研修センター
国際塩基配列データベース INSD に登録されているゲノム情報の評価とアノテーション手法の開発について報告した。Glimmer2と RBSfinder により予測された全 CDS (例外的 CDS 2017 件含む) は 858,653 件 であり、登録データの 367,218 件 の約 2.3 倍であった。予測 CDS のうち、アミノ酸配列の相同性解析の結果、既知の配列とモチーフに対して相同性の高いたんぱく質をコードしていると考えられる CDS は 299,433 件で、うち 291,217 件 が登録データと一致し、本解析で新規 CDS と推定されたのは 8,216 件あった。一方、既知の配列と比較しても検出されにくい種特異 CDS の可能性がある予測 CDS は 80,280 件であった。予測 CDS のうち、残り 478,940 件はオーバーラップなどの解析結果から疑わしい CDS と判断し棄却した。したがって、上記の 299,433 件と 80,280 件を合わせた 379,713 件を確定 CDS とした。確定 CDS の中で新規 CDS に着目し、比較解析による検証を行い、ホモロジーやシンテニーの面からも十分存在が認められる結果を得た。以上の結果から、本研究のプロトコルはゲノム解析に適したものであると考えられ、ゲノムデータについては統一した条件下での再アノテーションにより、新たな結果が得られる可能性が十分あり、ゲノム研究には必要なことであると考えられる。
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Stenotrophomonas maltophilia の亜鉛吸蔵の特徴 国際会議
田中 尚人,宮崎 智,菅原 秀明
第10 回国際微生物株保存会議 2003年10月
開催年月日: 2003年10月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:つくば研究交流センター
金属は生物にとって欠かせない物質であり、生物は細胞内のこの濃度の微妙なバランスを保つために様々な輸送機構を有している。さらに、有害な重金属耐性機構に関わる排出についても知られており、金属応答のひとつである輸送機構は分子レベルまで解明されてきている。 生物の金属応答については他にも、表層の吸着 (メタロチオネイン)や金属含有顆粒形成なども知られているが、いまだ輸送機構のように詳細は明らかにされていない。 そこで、亜鉛を顆粒状で吸蔵すると報告a) のあった Stenotrophomonas maltophilia の金属吸蔵について検討することで、金属応答について新たな知見を得ることを目的とした。 供試菌株として、IAM 1566, IAM 12423, IAM 12672, JCM 1976 を使用した。これらのうち、JCM 1976 (水田由来) と IAM 12423 (口腔ガン組織由来) が 10 mM ZnCl2 に対して耐性を示した。そこで、亜鉛存在下で培養した両株の顆粒形成およびその顆粒成分をEDS 付き透過型電子顕微鏡により調べた結果、亜鉛を含む電子密度の高い顆粒 (直径最大約 100 nm) の存在が認められた。この顆粒はポリリン酸顆粒のようにストレス解放による分解はされない傾向にあった。 亜鉛顆粒形成が他の細菌でも行われるか調べるため亜鉛耐性細菌をスクリーニングし、上述と同様に観察したが、分離した 4 株とも細胞内に亜鉛を蓄積しなかった。 以上のことから、亜鉛耐性機構のある S. maltophilia 株には、分離源に関係なく亜鉛を蓄積する能力があり、一般の耐性細菌には見られないこの亜鉛蓄積の現象は興味深い。
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分類同定を目的とした電子的ワークベンチ InforBIO の応用
田中 尚人,宮崎 智,菅原 秀明
第55回日本生物工学会 2003年09月
開催年月日: 2003年09月
記述言語:英語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:熊本大学
乳酸菌は自然界のあらゆる所に生息し、糖から乳酸を産生するのを基本として多様な性質をもった細菌である。乳酸菌の研究には長い歴史があり、データは蓄積されていながらも、大量の多面的な性状データを活用した簡便な同定手法がまだ十分確立されていない。そこで InforBIO を利用してデータベースおよび乳酸菌同定システムを構築し、発酵食品などから分離された乳酸菌と推定された株を同定して、InforBIO の分類学的なツールとしての有用性を検証することにした。(方法および結果)乳酸菌データベースの項目として形態的、生理的、および化学分類学的性状を含む 75 項目を InforBIO に設定した。乳酸菌は属または一部の種において同定のためのキーとなる性状が存在するので、これまでに確立された分類体系にしたがい、乳酸菌同定 Binary Tree (二分木) を構築した。構築した二分木により 405 の分離株を解析した結果、Lactobacillus 属、Streptococcus 属、Pediococcus 属、Leuconostoc 属などと同定され、一部は種レベルの同定もしくは複数の候補への絞り込みも出来た。同定の結果をマニュアルによって確認したところ信頼性の高い結果であった。本手法は一度に大量の株を同定できる点でも極めて有用であるといえる。また、データ不十分で同定出来ない場合には、どのデータが必要か提示することも可能である。 InforBIO における乳酸菌のデータベースは項目の追加および二分木の編集が容易で、将来的な分類体系の変化に対しても同定システムとして十分対応しううるツールである。
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InforBIO による乳酸菌の分類と同定
田中 尚人,宮崎 智,菅原 秀明
日本乳酸菌学会2003年度大会 2003年07月
開催年月日: 2003年07月
記述言語:日本語 会議種別:口頭発表(一般)
開催地:麻布大学
構築した二分木により 403 の分離株を解析した結果、種レベルの同定もしくは複数の候補への絞り込みが可能であった。同定の結果をマニュアルによって確認したところ信頼性の高い結果であった。今回の分離株の中には性状による分別の困難な Lactobacillus plantarum または L. pentosus に絞り込まれた株が多かった。これらをデンドロ解析した結果、2 つの大きなクラスタを形成した。そこで、両クラスタを形成する株間の分別性状を InforBIO により検討したところ、二分木の項目には含まれていないリトマスミルクの酸性化能および脱色能が有為な分別性状であることが明らかとなった。以上のように、InforBIO は同定だけではなく分類学的情報を提供する有効な乳酸菌分類同定システムであると評価できた。 InforBIO における乳酸菌のデータベースは項目の追加および二分木の編集が容易で、将来的な分類体系の変化に対しても分類同定システムとして十分対応しうるツールである。