論文 - 中村 隆俊
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Oxidation-reduction potentials of tropical peat as a factor controlling the distribution of forest communities in wetland of central Kalimantan
Yabe, K. and Nakamura, T.
Proceedings of the International Symposium on Land Management and Biodiversity in Southeast Asia (143-147) 2003年03月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(国際会議プロシーディングス)
インドネシアカリマンタン中央部に広がる湿性林の成立要因について、地下水位・土壌酸化還元電位・栄養塩類との関係から調査した。熱帯湿地における樹木の進出や森林構造の発達にとって、土壌の酸化還元特性は冷温帯と同様に重要な環境要因のひとつであることが明らかとなった。
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Reduced soil contributes to the anomalous occupation of dwarf community in N-richer habitats in a cool-temperate mire 査読あり
Nakamura, T. Yabe, K., Komatsu, T. & Uemura, S.
Ecological Research 17 109 - 117 2002年07月
担当区分:筆頭著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
放牧されている湿原において、土壌酸化還元電位(Eh)と水位、土壌水養分環境を調査した。生産性の低い群落では極めて高い地下水窒素濃度が観察され、生産性の高い群落でむしろ低かった。各群落の分布はEhと窒素、カリ、pHで統計的に説明でき、Eh・窒素・水位は互いに相関した。これらのことから、放牧による過剰な窒素供給と冠水によって還元土壌環境が形成され、その環境が高生産性種の生育・分布を抑制していることが明らかとなった。
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Ecological gradients of north Japanese mires on the basis of hydrochemical features and nitrogen use traits of Carex species(博士論文)
中村 隆俊
北海道大学農学研究科学位論文 2002年03月
記述言語:英語 掲載種別:学位論文(その他)
湿原保全のための基礎的研究として、水文化学環境と植物の養分利用との関係を明らかにし、湿原植生分布機構に関する理解の深化を目的とした。スゲ属植物6種の優占群落を対象に、水位、水質及び各種の窒素利用特性(N利用効率, N滞留時間, N生産性)を調べた。スゲ属植物の窒素利用特性と立地のpH環境・N環境との関係は、両環境軸で包括的に説明される湿原植生分区分の一般モデルを生態生理学的に裏付け、因果的な解釈を与えた。
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Variation in nitrogen use traits within and between five Carex species growing in the lowland mires of northern Japan 査読あり
Nakamura, T. Uemura, S. & Yabe, K.
Functional Ecology 16 67 - 72 2002年
担当区分:筆頭著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
湿原性スゲ属植物の窒素生産性(A)、植物体内での窒素滞留時間(MRT)、窒素利用効率(NUE)の関係を調べた。酸性環境・貧窒素環境に分布する低生産的な種のNUEとMRTは、弱酸性環境・富窒素環境に分布する生産的な種よりも高い値を示した。弱酸性環境に生育するスゲのNUEとMRTは土壌水窒素濃度と負に相関したが、酸性環境に生育するスゲのNUEとMRTは窒素濃度に関わらず高かった。湿原の酸性度は、植物の生態的な挙動・分布戦略を支配していた。
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Base mineral inflow in a remnant cool-temperate mire ecosystem 査読あり
Yabe, K. and Nakamura, T.
Ecological Research 17 601 - 614 2002年
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
都市部に孤立した湿原のミズゴケ群落を保全するため、水文化学的環境要因の平面分布と季節変化を調査した。統計解析から、ミズゴケ群落の出現被度が土壌水のMg・Ca濃度, EC値と負に相関することを示した。これらの環境要因はいずれも隣接する市街地から流れ込む汚水成分であった。EC値の平面分布と季節変化は、湿原内の水と汚水成分の流路を指し示した。水文化学環境要因の面的解析は、ミネラルの拡散メカニズムとミネラルの流入による植生へのインパクトを明らかにした。
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Hydrochemical regime of fen and bog in north Japanese mires as an influence on habitat and above-ground biomass of Carex species 査読あり
Nakamura, T., Uemura, S. & Yabe, K.
Journal of Ecology 90 1017 - 1023 2002年
担当区分:筆頭著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
6種の湿原性スゲ属植物の分布パターンと地上部バイオマスと水文化学環境との関係を調べた。土壌水pHが種間の生育環境の違いを区別する最も重要な要因であることを示し、次に全溶存態窒素(TDN)濃度が種の立地環境を特徴づけていることが明らかとなった。pHとTDNに沿った各種の分布パターンは、二つの主要な生態的傾度を明らかにした。即ち、pHによるfen植生とbog植生の区分、TDN濃度はFen, Bog内の地上部バイオマスの傾度を表現した。
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冷温帯歌才湿原におけるイボミズゴケの生育する水文化学環境
矢部和夫、中村隆俊、河内邦夫
ランドスケープ研究 (64, 549-552) 2001年06月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
ミズゴケの生育環境を推定するために、水文化学変量と群落分布の関係を分散分析によって明らかにし、環境要因間の関係を因子分析によって明らかにした。群落分布は、1)水位、2)pHと塩類濃度、及び3)栄養塩と鉄の濃度といった要因群によって規定されていた。ミズゴケに対する最適範囲は-10.5?0.0cm(最高水位)、4.44?4.67(pH)および0.938?1.156mg/L(総窒素)であった。ミズゴケはこれらの条件が同時に満たされた場合にだけ優占すると推察された。
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排水路と国道がミズゴケ湿原生態系に与えた影響
矢部和夫、中村隆俊、河内邦夫、高橋興世
ランドスケープ研究 (62, 557-560) 1999年06月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
黒松内湿原の水文化学特性について保全生態学的見地から調査・評価を行った。湿原内部の水質はpH4.3?4.7であり、伝導度は4.4?5.2mS/mであった。一方、国道沿はpH5.3以上、伝導度は8mS/m以上であり、多量のCaとNaを含んでいた。塩類汚染は国道から15mまでの部分にとどまり代償植生の分布範囲も国道沿いに限られていた。一方、排水路の近傍で優占するササ群落下の伝導度とpHは湿原中部と変わらず、栄養塩に富んだ排水路内の水の浸入はなかった。
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「Effect of excess nitrogen supply on the formation of anaerobic soil and distribution of Iris setosa tussocks in pasture land of Tohfutsu marsh, northernmost Japan(修士論文)」
中村 隆俊
東京農業大学生物産業学研究科修士論文 1998年03月
記述言語:英語 掲載種別:学位論文(その他)
富栄養状態にある湿原において、低生産性の矮小群落がなぜ発達するのかを、土壌酸化還元電位(Eh)との関係から調べた。群落生産性と地下水窒素濃度とは負の相関関係にあり、Ehとは正相関が認められた。泥炭湿原では窒素制限状態にある土壌微生物の活性(呼吸)が、大量の窒素供給により著しく高まると考えられた。その活性上昇が湿原の過湿土壌条件下で生じたため、酸素供給が著しく不足し還元土壌環境が生じたと推察された。
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濤沸湖畔における植生分布に影響する環境要因について
中村隆俊、小松輝行
北海道草地研究会報 (31, 42-46) 1997年05月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
網走濤沸湖畔における植生分布に影響を及ぼす主要な環境要因を、植生被度を用いた主成分分析結果と地下水位、地下水質、土壌Ehとの関係から考察した。解析の結果、植生と最も強い対応関係にある環境要因として、平均地下水位とECが抽出された。これらのことから、濤沸湖畔の植生分布に影響を及ぼしているのは、地下水位の違いと海水の影響程度の違いによる複合的な環境傾度であると考えられた。