MISC - 上原 巌
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上原 巌
現代林業 704 1 - 6 2025年01月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:速報,短報,研究ノート等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
森林の再生のこころみは市民レベルで始まることも多い。本報では、九州の山林でおこなった森福連携のワークショップの様子を報告した。ワークショップの内容は、ヒノキ林で間伐された丸太の搬出作業である。ごくありふれた山林での作業が福祉と融合すると作業療法やリハビリテーションになり、さらには福祉サービスにもつながる事例といえる。
ワークショップがおこなわれたのは、福岡県八女市の70年生のヒノキ林である。地元の森林を管理するNPOの山村塾と柳川市の社会福祉NPO法人「宝箱」との協働でおこなわれた。同地における協働活動はすでに数年間にわたって行われている。間伐作業や除伐作業をおこない、用材として使われない劣勢木などは玉切りし、軽トラックに積み込む。これらの一連の流れが、発達障害を抱えている各施設利用者の作業療法やリハビリテーションになる。また、搬出された丸太や枝葉は、福祉施設の薪ボイラーに供され、施設の給湯や暖房、入浴介助サービスなどにいる。いわば森林の福祉利用が、地域の森林と複業種の人材によっておこなわれている。
ワークショップの翌日は、八女市の同じ林地にて、山村塾、宝箱の両職員を対象としてのワークショップをおこなった。内容は、森林カウンセリングと森林整備についてである。森林カウンセリングでは、「心地よい場所」「好きなもの」を探したり、最近の良かったこと、悪かったことなどを自己開示しあったりした。森林作業では、放置され、雑然とした林地の整備手法について、実地にプロットを設けての研修をおこなった。両方のワークショップを行ううちにいつしか参加者には共感性が生まれた。
「森林の癒し」は、特別な森でなくとも、どこでも可能である。大上段に振りかぶらず、ごく小面積の等身大の大きさからすすめ、体感されていくことが肝要である。 -
上原 巌
東京農大 東日本支援プロジェクト 2024年度 成果報告書 1 ( 1 ) 8 - 9 2025年01月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:速報,短報,研究ノート等(大学,研究機関紀要) 出版者・発行元:東京農業大学
1.はじめに 相馬地方の放置林での間伐による植生再生
東京農業大学・東日本支援プロジェクトでは、2019年から相馬地方森林組合に作業委託をし、各地の私有林において間伐を実施してきた。2019年10月は相馬市今田地区のスギ林(36年生:立木密度3000本/ha、平均樹高11m、平均DBH 20㎝)、2020年12月には南相馬市原町区のヒノキ林(32年生:立木密度3500本/ha、平均樹高12m、平均DBH 15㎝)、2021年12月には相馬市玉野地区のコナラ、クリ等を主林木とする広葉樹二次林(立木密度3500本/ha、平均樹高17m、平均DBH 25㎝)、2022年12月には南相馬市小高区のヒノキ若齢林(約20年生:立木密度2000本/ha、平均樹高8m、平均DBH 14cm)において、それぞれ50%の強度間伐を行った。それらの間伐の結果、各林分の相対照度が向上し、新生の樹木の実生が確認された。そこで、本年度は、そのすべての間伐地における植生調査をおこなった。
2.方法
各林分において、間伐半年後に再度相対照度の測定をおこない、間伐前後の比較をおこなった。ただし、相馬市玉野地区の広葉樹二次林においては相対照度の測定は実施しなかった。2024年6~10月に、それぞれの林分において、10m×10m(1a)の調査区を4か所ずつ設け、林床の植生調査を実施し、実生の樹種、樹高、林床被覆度を調べた。
3.結果と考察
①間伐前後の相対照度の変化
いずれの調査区においても本数間伐率で50%の間伐を実施したが、各林分で相対照度の向上にはばらつきがみられた。32年生のヒノキ林では間伐後の相対照度は20%未満にとどまり、20年生のヒノキ林では、大きな向上が認められた。
これらのことから、やはり早期における間伐の実施が望まれることが示された。
②林床植生の変化
36年生のスギ林では31樹種の実生が確認され、32年生のヒノキ林では47樹種、20年生のヒノキ林では41樹種、広葉樹二次林では52樹種の実生がそれぞれ確認された。いずれの林分においても、コシアブラ、ヤマウルシなどのパイオニア種、陽樹が共通して多かった。このことから、間伐後の各林地においては遷移の初期段階にあることがうかがえる。また、各林分とも、鳥散布または風散布の樹種が多いことが特徴的であった。バラ科やカエデ類、つる性木本植物の実生も数多く確認された。林床の植生被覆度としては、スギ、ヒノキ林では低く、広葉樹二次林では高かった。しかしながら、いずれの林分においても実生の上長成長は1m以下のものがほとんどであった。
これらの結果から、スギ、ヒノキ林では、今なお林冠欝閉による低照度の影響が考えられ、さらなる追加間伐が必要であると思われる。とりわけヒノキ林の場合は、日光を遮る独特の樹冠が形成されるため、単純な本数による間伐率よりも、実際の林冠、樹冠の適正な配置による密度コントロールの方が重要である。当面は、この間伐の実施によって、林冠および林間の空間を開け、風散布、鳥散布などを、また埋土種子の発芽を同時に促していくことが得策であると考える。
植生的には、クリ、コナラ、ミズナラなどのブナ科をはじめ、ホオノキ、コブシ、カエデ類などの有用広葉樹が数多くみられた。また、貴重種のメグスリノキやクロモジなどの薬木もみられ、珍しい樹種では、おそらくタヌキによる種子散布と思われるゴールデンキウイも確認された。
今後は林床に発現したこれらの実生の育成をおこない、針広混交林の造成とともに、林床植生の有効活用をはかることが当面の課題である。
※本年度は、これまでの4回の間伐の実施後、林地に放置されている間伐丸太を、地元福島の小学校での木工作の教材に有効活用する企画を予定していた。しかしながら、あらためてそれらの放置丸太(n=20)の放射性セシウムを分析したところ、1500ベクレル前後の数値が検出され(2024年9月)、本企画は断念することとなった。数年後には、これらの間伐丸太の有効活用もぜひ実現をしていきたい。 -
「森福連携」の萌芽 査読あり
上原 巌
森林技術 991 24 - 28 2024年11月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本森林技術協会
農業と福祉の連携、協働を指す言葉として、「農福連携」という言葉がある。高齢者施設や障害者施設の方々が農地に出かけて、野菜や草花を育てる。そんな風景がその代表例である。農福連携は、就労支援や収益にも寄与している。農業と福祉は親和性が高く、その歴史も長い。その基盤には、植物と人間の親和性、相性の良さがある。
それでは、林業と福祉の「林福連携」はどうだろうか?あらためて言うまでもなく、林業は極めて危険度の高い作業をともない、高度な技術体系を要する営みである。その技術には一生をかけて練度を高めていく必要があり、福祉関係者のみならず、一般の方にとってもハードルが高い世界である。しかしながら、部分的には関与できるレベルのものもある。例えば、丸太の剥皮や種子採集、シイタケづくりなどの作業は幼児から高齢者まで取り組むことができる。また、森林にはもとより保健休養や風致の効果、作用がある。その景観をはじめ、芳香や山菜など様々なアメニティも有する。林業と福祉の連携では敷居が高いものの、森林と福祉の連携、「森福連携」であれば、意外に実行可能なことは多い。
そこで、本報では、この森林と福祉の融合、地域の森林を活用した福祉との協働についての各地における事例を報告し、今後の可能性を論じた。 -
上原 巌
現代林業 700 1 - 6 2024年09月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:速報,短報,研究ノート等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
全国各地でナラ枯れ(カシノナガキクイムシによる糸状菌の伝播)の被害拡大が報告されている。被害木の対策としては、伐倒して林外へ搬出、焼却することが現在でも最善策であるとされている。しかし、その材の利用法についてはまだ報告例が少ない。そこで今回は、その被害木の有効活用として、チップ化、堆肥利用をしている横浜市の取り組みの事例を報告した。
全国でナラ枯れが広がり、コナラをはじめ、シラカシやマテバシイ、スダジイなど、ブナ科の樹木の枯死被害が各地でみられている。過去にもナラ枯れが発生した例はみられていたものの、その際には薪として利用していたことでその拡大が防げていたのではと推察される。被害木の利用としては、健全な部位のカスケード利用などもすでに着手されている。しかしながら、カスケード利用されない被害木や端材などにはどのような利用方法があるだろうか?
本事例は、横浜市内の街路樹の被害木や剪定枝が集まる、同市緑区にある「緑のリサイクルプラント」(横浜市グリーン事業協同組合)のこころみである。横浜市では、市内の街路樹、公園樹などの枯死木、風倒木、被害木、剪定枝、伐根などを集め、チップ化、堆肥化するこころみを20年以上前よりおこなってきた。そこで、このプラントにおいては、従来の手法を継承し、2020年度より、市内のナラ枯れ被害木も有効活用して、チップ化、堆肥化を進めている。
コナラ、シラカシなどのブナ科のナラ枯れ被害木は搬入ののち、その小割り作業から始まり、細断・チップ化、発酵という工程が踏まれ、60~70℃の温度で4か月間かけて発酵し、堆肥にされている。費用対効果としては、1トンのナラ枯れ被害木から、処理費用を差し引き、生チップにした場合は17,450円の収益、堆肥にした場合は18,780円の収益が試算されている。
ナラ枯れ被害木においては、カスケード利用できることが好ましいが、チップ化、堆肥化も資源の循環上、有効な一つの選択肢であり、活用方法である。さらにチップは一定量があれば、パーティクルボードなどにも利用できる。
ナラ枯れは現在においてもパンデミック的な流行を見せているが、基本的な対処は、常日頃から適切に立木を伐り、利用することだ。そんな基本的なこともナラ枯れ被害木の利用をしていて再認識するところである。 -
<連載>森林と健康 森林浴、森林療法のいま 第32回 福祉団体および小学生との森林療法のワークショップ 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 448 4 - 11 2024年09月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
コロナ禍も落ち着きを見せ、日常の生活も元通りのローテーションで動くようになってきた。森林においても以前のように人々の姿が見られるようになり、森林浴、森林療法もまた通常運転に戻ってきている。「いまはコロナだから」と言って避けられてきたワークショップや研修会なども再開されている。
本報では、関東地方の私有林にて、森林作業を中心としたワークショップを東京都内の社会福祉の団体(就労支援)がおこなった事例(本誌2020年5月号 No.396の続編である)と、小学校の特別支援学級の生徒さんが近隣の森林公園に出かけた事例を報告した。 -
<連載>森林と健康 森林浴、森林療法のいま 第31回 九州の山林での「森福連携」 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 447 4 - 9 2024年08月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
森林環境には保健休養や風致の効果、作用があり、林内には景観をはじめ、芳香や山菜など様々なアメニティがある。
森林・林業と福祉の連携、協働、融合は敷居が高い印象があるけれども、案外身近でできることなのではないだろうか。
本報では、福岡県八女市の山林における「森福連携」の事例を紹介した。 -
障がい者・高齢者の保健休養活動及びレクリエーションによる 森林空間利用促進事業 令和5年度 森林林業振興助成事業成果報告書
木下喜博、古賀和子、高山範理、上原 巌
障がい者・高齢者の保健休養活動及びレクリエーションによる 森林空間利用促進事業 令和5年度 森林林業振興助成事業成果報告書 1 37 - 64 2024年06月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:機関テクニカルレポート,技術報告書,プレプリント等 出版者・発行元:一般社団法人 全国森林レクリエーション協会
障がい者や身体的機能の低下がみられる高齢者が森林空間において保健休養活動やレクリエーションを実施する場合、プログラム実行の担い手となる人材が不可欠である。そこで本年度の事業では、障がい者や高齢者についての理解のあるプログラム実行の担い手を養成することも目的とした。対象は、医療、福祉、介護、学校教育関係者のように、日常的に介助等で障がい者や高齢者に接している専門家およびボランティアである。高齢者、障がい者の森林空間を利用した保健休養活動を実施するワークショップを、西日本と東日本の双方で5回開催し、人材育成を行った。
(1)福岡県八女市黒木町でのワークショップ①(令和6年2月実施)
地元のNPO法人山村塾が柳川市の社会福祉法人宝箱からの依頼を受け森林療法の実践に取り組んでいる。ヒノキ林における作業療法として、林床の整備活動を実施した。除伐作業後、刈り取られた常緑の案木は80㎝の長さに切りそろえ束ね、軽トラックの荷台に積み込まれ、福祉施設の薪ボイラーで燃焼され、暖房等に利用される。森林療法を含め、森林の福祉サービスの一環であるともいえ、「森福連携」ともいえる。
(2)福岡県八女市黒木町のワークショップ②(令和6年5月実施)
再度、福岡県八女市の山林において、柳川市の社会福祉法人宝箱の利用者及び職員、山村塾の職員、ボランティアが参加してワークショップを実施した。70年生のヒノキ林において、間伐された丸太の搬出作業を実施した。
(3)福岡県八女市黒木町のワークショップ③(令和6年5月実施)
翌日、山村塾及び宝箱の両職員を対象として森林カウンセリングと森林作業のワークショップを開催した。
(4)埼玉県飯能市での福祉団体との森林療法ワークショップ
都区内の社会福祉法人の利用者を森林療法の対象者として、NPO法人MORI MORIネットワークの皆様とワークショップを実施した。ワークショップでは被害木の間伐を行った。伐り出したスギ丸太からはコースター作りを行った。また、枝葉からは芳香水を制作した。今回は、ミカン科のコクサギの葉から抽出したアロマウォーターが最も好評であった。森林で一日過ごした参加者は普段の施設では見られないほど穏やかな表情をされた方が多く見られた。
(5)小学校の児童との森林療法ワークショップ
特別支援学級に通い、発達障害などを抱えている子どもたちと、小学校の近くにある森林のある公園でワークショップを開催した。樹皮を触って樹種ごとの違いを感じてみる、ドングリの実を探す、大地に寝そべって樹冠を眺める、木陰でお茶を飲むんどの体験した。担任の先生方からの話を事後に聴くと、普段見られない姿が見られ、驚いたとのことであった。 -
上原 巌
現代林業 697 1 - 6 2024年06月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:速報,短報,研究ノート等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
「里山」「雑木林」というと、地域林、田舎のイメージがある。しかしながら、都市部の住宅街の中でもその名残りは見られるところがある。本報では人口92万人を抱える世田谷区の住宅街に残る里山、御料林での市民体験会の様子を報告した
成城三丁目緑地
東京は閑静な住宅街の成城の地に、かつての里山の名残りがある。「成城三丁目緑地」の名称で、現在は地元の世田谷トラストが管理をしている樹林がその例である。30㎞以上に連なる国分寺崖線の一角に位置し、古代の多摩川が削った段丘地形となっている。段丘からはところどころに湧水も見られ、石器時代、縄文時代の遺跡も発掘されている。瀟洒な成城の地は、有史以前より、人々が暮らす場であったのだ。
その成城三丁目緑地で、世田谷区主催の里山散策&森林療法の体験会が開催された。定員は30名。抽選でほぼ同数の方が落選した。里山は都市部の方々に人気があることがうかがえる。この地は、かつては皇室の御料林であり、戦後は林野庁が管理する林地でもあった。コナラ、クヌギ、クリなどの高木とヒノキ、アカマツ、そしてテーダマツなどの高木がそれを物語っている。また、当地は、世田谷区内では2番目の湧水量があり、サワガニ、オケラをはじめ、豊かな生物相がみられる。
しかしながら、その参加者のほとんどが、今回初めてこの緑地に入ったとのことであった。「いつも眺めてはいても、入ったことがない」との意見が大半を占め、この言葉は、そのまま今の私たち日本人の言葉そのものであるのかも知れない。森林は身近にあっても遠い存在になってしまっているのである。けれどもまた、その初体験の方々も、「こんなにいい場所が身近にあったことを全く知らなかった」「初めてなのに、懐かしい」などの感想を口にする。つまり、いまどきの市民と森林の関係には、相互を近づける何らかのきっかけが必要なのである。そして、このことは林業についても同様である。これからも森林と市民がより良い形で近づいていく方策も模索していきたい。 -
<連載>森林と健康 森林浴、森林療法のいま 第30回 医療法人ふらて会 社会福祉法人 ふらて福祉会(2) 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 442 9 - 12 2024年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
北九州市の地域病院と社会福祉施設における森林療法の導入の事例を報告した。
本事例研究は、財団法人 日本森林林業振興会より「令和4年度障害者高齢者の森林の保健休養モデル事業」の研究助成を受けおこなった。 -
<連載>森林と健康 森林浴、森林療法のいま 第29回 医療法人ふらて会 社会福祉法人 ふらて福祉会(1) 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 441 8 - 14 2024年02月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
高齢化社会は現在のわが国における特徴であり、高齢者の健康づくりもまた一つの課題となっている。多くの高齢者が何らかの疾患や体調不良を抱え、自らの健康に不安を感じ、また第二の人生を社会福祉施設で過ごすという高齢者も珍しくない。このような状況下で、今回は地域病院と社会福祉施設の敷地内に数haの森林を持ち、患者さん、利用者さんの保健休養に活用している事例を報告した。
なお、本事例は、財団法人 日本森林林業振興会より「令和4年度障害者高齢者の森林の保健休養モデル事業」の研究助成を受けおこなった。 -
上原 巌
現代林業 2024年2月号 1 - 6 2024年01月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国
海岸からはげ山に至るまで、植樹活動が全国各地で行われている。植樹は、緑化、造林目的だけでなく、いまや森林、樹木と一般の人々をつなぎ、意識を高める意義も持っている。本報では、国民的なアイドルともいえるサザエさんも参加した植樹ツアーの様子を報告した。
秋晴れの2023年10月28日(土)、埼玉県秩父市にて、住宅メーカーの伊佐ホーム主催、林野庁後援による植樹ツアーが開催された。特別ゲストは国民的なアイドルでもあるサザエさんとその一家で、ツアーの名称も「サザエさん森へ行く 植樹ツアーin秩父2023」であった。出発は、横浜の元町中華街駅、終点は、西武秩父駅である。
植樹ツアーには、修学前の幼児から80代の女性まで、スタッフを入れて百余名が参加をした。「森は海の恋人」のように表現されることがある。今回は秩父の森と横浜の海をむすんで行われた。その昔、秩父や飯能の山林から伐り出された木々、木材は荒川流域を下り、江戸に運ばれた。同時に、秩父の養蚕から生まれた生糸も横浜港に運ばれ、海外に輸出された時代もあったのだ。今回はその森と海の歴史もサザエさん一家と振り返りながらの植樹活動となった。
植樹されたのは、地元秩父の山林でみられる、ケヤキ、ミズナラ、クマシデ、ヤマグワなどの25種、計400本の苗木。一人4本ずつ、かつての森林公園跡地に植栽された。植栽後はコナラを中心とした広葉樹二次林にて、林床に横たわっての休養時間と、林床の実生を探すアクティブな時間の双方をもうけた。
現在、全国各地で様々なタイプの植樹活動が行われている。主伐後の通常の植樹のほか、津波被害地などの災害復興の植樹、記念植樹、慰霊植樹などもおこなわれている。そこでもう一歩。森林と市民をむすびつけ、さらに意識を高めていくための植樹である。今回はサザエさんという特別な存在の力を借りたが、それでも子どもたちは植樹をし、森の中で遊ぶだけでも十分に楽しい様子であった。もちろん下刈りなどの保育作業は待っており、不可欠だ。けれども、まずは「楽しめる植樹」、「遊べる植樹」「親しんでもらう植樹」も、市民の意識づけの導入段階では必要なのかも知れない。そんなことを今回の植樹ツアーに参画して考えた次第である。
※2025年6月、秩父市では66年ぶりに天皇皇后両陛下をお招きしての全国育樹祭が開催される予定である。 -
森林の環境回復 放置された森林の新陳代謝をはかるこころみ
上原 巌
東京農大 東日本支援プロジェクト 東京農大:復興から地域創生への農林業支援プロジェクト 2023年度 成果報告書 1 7 - 8 2024年01月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 出版者・発行元:東京農業大学
1.はじめに 相馬地方の放置林における間伐実施のこころみ
東京農業大学・東日本支援プロジェクトでは、2011年より相馬地方の森林に複数の定点観測地を設け、継続的に放射性セシウムの測定を行ってきた。その定点モニタリングの結果、2018年頃より観測地の樹木の枝葉などの採集サンプルからは、セシウム134(半減期約2年)、137(半減期約30年)ともに検出されないケースが少しずつ増えてきている。自然種子散布による広葉樹、針葉樹の実生では、その双方が検出されない個体の増加もみられるようになってきた。これらの結果をふまえ、2019年からは相馬地方森林組合に作業委託をし、各地の私有林において間伐を実施してきた。2019年10月は相馬市今田地区のスギ林(36年生)、2020年12月には南相馬市原町区のヒノキ林(32年生)、2021年12月には、相馬市玉野地区のコナラ、クリ等を主林木とする広葉樹二次林においてそれぞれ間伐を実施した。いずれも50%の強度間伐を行ったところ、林床の相対照度が向上し、新生の樹木の実生が確認された。
2.ヒノキ林における間伐の実施と林床照度、植生の変化
これまでの間伐実施の結果をふまえ、2022年12月に南相馬市小高区のヒノキ若齢林(約20年生)において間伐を実施した。実施した林分の平均樹高は約8m、平均胸高直径は約12㎝であった。
間伐実施半年後の2023年6月に林床の相対照度を測定したところ、間伐前の約6%から間伐後は約37%と飛躍的に林内の明るさが改善された。
これに伴って、間伐実施半年後の2023年6月および9月の2回に分けて同林床の植生調査を行ったところ、40樹種以上の新生の樹木実生が確認され、その発生状況および成長スピードは、2020年に間伐を実施した原町区の30年生のヒノキ林よりも旺盛であった。ウルシ、コシアブラ、ホオノキ、ハリギリなどの陽樹のパイオニア樹木をはじめ、シデ類、カエデ類などの風散布樹木、そしてサクラ類、ガマズミなどの鳥散布樹木が確認された。コブシ、クロモジなどの薬用樹木も発生し、これらの樹種構成の多様性は2021年に間伐を実施した相馬市の広葉樹二次林の状況とほぼ同レベルであった。これらの実生の発生には、埋土種子の発芽のみならず、間伐による自然散布樹木の導入効果もうかがえる。福島にとって、キノコ原木としても有用なコナラ、クリの発生が数多く見られたが、ヒノキ林分の周囲に広葉樹林はなかったため、これらは、主に動物による種子散布であると思われる。また、発生した実生の中では、クリの成長が特に著しく、中には、1mを越える個体もみられた。現在、日本各地で放置されたスギ、ヒノキ林床の貧弱な植生によって、土壌流亡や土砂災害が発生しているが、今回の間伐によって発生したこれらの樹木はその災害防備の効果を持つことも期待される。
3.放射性セシウムの測定
本年度も本年度も植生調査とあわせて実生樹木枝葉や林床土壌を採取し、その放射性セシウムの測定もおこなった。森林土壌では、深さ5㎝からのサンプルからは約10万ベクレルのセシウム137が検出された。しかしながら、深さ10㎝の土壌層になると4000ベクレルと、約20分の1以下にその数値は急減した。このことから、小高区の当地の森林土壌においても、放射性セシウムはその表層に滞留していることがうかがえる。林地の落葉層は約13,000ベクレル、コシアブラの実生は約25,000ベクレルと高かったが、ヒノキやコナラの実生はいずれも1000ベクレル前後であった。
4.各研修会の実施
2023年度は、5月に福島県県立相馬高校にて学校訪問型の農学サマースクールを実施し、6月には同高校にて相双地区の高校の理科の先生方対象の研修会を、9月には、小高区の間伐実施のヒノキ林にて、相馬地方森林組合の若手職員職員対象の研修会を実施した。相馬高校では、近隣の相馬神社、馬稜公園にみられる樹木の解説や採集、また樹形の観察などをおこない、理科の先生方にも教材研究の一環として同様の研修会を実施した。相馬地方森林組合の皆様方には、連年の間伐実施の御礼とともに、各森林調査の手法や、林床植物の解説と若齢ヒノキ林における間伐実施の効果について説明をおこなった。研修会では、山林所有者の方のお話を拝聴することもでき、有意義であった。
5.今後の相馬地方の山林における展望
今後の相馬地方における森林再生の施業方策としては、林内の放射性セシウムのモニタリングを継続して行いつつ、間伐による高木の伐採とその萌芽更新による若返り、新陳代謝をはかり、開空度と林床照度を高めることによって樹木の天然更新(風散布、動物散布等)を促進し、針広混交林を形成していく手法が考えられる。
これからも継続して相馬地方の森林保育、森林保全作業に携わっていきたい。 -
熊本県、福岡県の山間部での森林療法の研修会 <連載>森林と健康 -森林浴、森林療法のいま- 第28回 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 437 4 - 10 2023年10月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
2022年は、「森林浴」という言葉が提唱されてから、ちょうど40年の節目の年にあたる。ちなみに森林浴という言葉を1982年に提唱されたのは、時の林野庁長官の秋山智英さんであった。当時、私は長野県の高校3年生で、森林浴という言葉がつくられた時のことも覚えている。この頃、森林散策をはじめとした森林関係の番組やニュースが多かったと記憶している。何らかのブームが起きる時にはマスコミも連動するものなのだ。これは現在でも同様である。
森林浴という言葉が提唱された7年後の1999年、今度は私が日本森林学会で「森林療法」という言葉を提唱した。この森林療法という言葉が生まれてからも20余年の年月が流れたが、その後、「森林セラピーⓇ」という登録商標や各地での保養ビジネスも派生した。
森林浴と森林療法は今日では同列で扱われることが多い。実際、両者には重なる部分も多い。では、森林浴と森林療法の違いとは何だろう?それは端的にいえば、森林浴は、単純に各地の森林を楽しむことである。それに対し森林療法は、あくまでも「療法」の一つである。対象者があり、何がしらの目的があり、その目的に応じての然るべき森林があって、対象者別の適切なプログラムが準備され、効果がはかられる、という違いがある。
数年間続いているコロナ禍の影響もあり、現在、各地でその森林療法が見直され、導入をはかる地域が増えている。けれども、「どのように森林療法を始めればいいのかわからない」「自分たちの山林でも森林療法は可能なのだろうか」などの基本的な疑問を抱く地域もいまなお数多い。
そこで本報では、2022年3月に、九州は熊本県上益城郡甲佐町、福岡県八女市黒木町の里山を活用した森林療法の研修会の事例を紹介した。なお、この研修会にあたっては、日本森林林業振興会の研究助成を受けた。 -
上原 巌
現代林業 687 ( 1 ) 1 - 6 2023年08月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
全国各地で、地域の森林を活用した保健休養、森林療法のこころみが始まっている。特に高齢化社会は現在のわが国における特徴であり、高齢者の健康づくりもまた一つの課題となっている。多くの高齢者は何らかの疾患や体調不良を抱え、自らの健康に不安を感じ、また第二の人生を社会福祉施設で過ごす高齢者も珍しくない。このような状況下で、今回は地域病院と社会福祉施設の敷地内に数haの森林を有し、患者、利用者の保健休養に活用している事例を報告した。
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福島の高校生とのサマースクール <連載 第27回>森林と健康 -森林浴、森林療法のいま- 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 434 4 - 10 2023年07月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
東京農大の東日本支援プロジェクトでは、2019年より、「農学サマースクール」と題して、地元の高校生を対象に、夏休みの期間を利用して体験型の出前講座をおこなっている。身近なにいるイノシシやサル、タヌキなどの野生生物を赤外線カメラで調べたり、農地で昆虫を捕まえたり、その土壌を調べるなどのいくつかのプログラムを準備し、その中でも筆者は、「森林も人間も健康に」という講座を担当している。内容は、南相馬市内の身近な樹林地を散策し、その林床の自然散布の樹木を見つけたり、その枝葉からアロマウォーターを作成するなどの体験学習である。
本報では、その福島での高校生サマースクールの様子を紹介した。
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地域の森林におけるアメニティ ー田中林業(東京都檜原村)- 招待あり
上原 巌
山村の地域資源としての森林空間と有用植物の活用の事例 1 33 - 35 2023年06月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:速報,短報,研究ノート等(大学,研究機関紀要) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
東京都檜原村の田中林業における森林アメニティの取り組みについて報告した。
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上原 巌
現代林業 2023年4月号 1 - 6 2023年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
現在、様々な大学間で教育研究のコラボレーションがおこなわれている。森林関係では、環境系、土木系、野外生物系の分野との共同研究が盛んだ。今回は建築学科の学生が大学演習林を訪れた。森林での体験実習をおこなうことにより、建築素材としてだけではない、樹木の魅力を学んだ事例として紹介した。
森林から産出される木材は、古来より建築材として主に利用されてきた。建築を学ぶ学生は、日頃からその木材に親しんでいる。しかしながら、その産地である森林には意外に出かけたことがないという学生が大半のようである。
そこで、今回は、東京農業大学の奥多摩演習林に建築学科の学生さんをお招きし、森林での学びを体験していただく機会を持った。
演習林に来訪されたのは、早稲田大学創造理工学部建築学科の古谷誠章教授の大学院生のみなさんである。みなさん森林の中の様々なことに関心を持ち、とても能動的であった。サンショウの葉の香りや、林床のスギ、ヒノキの稚樹などにも逐一みなさん関心を持たれていたことが印象的である。スギ林に入ったとたん、その梢を見上げ、「いいなあ、好きだなあ」と林内の風致を楽しんでいる学生さんもおり、こちらが嬉しくなるほどであった。
体験実習は、調査プロットを張り、毎木調査から始めた。みなさん、直径巻尺にも「ほお、便利ですね」と感心される。作業の飲み込みも早く、各自が効率よく動く。続いて、樹冠投影図の作成をおこない、森林土壌の断面の作り方なども説明したが、いずれも熱心に取り組まれていた。最後に50年生のヒノキを一本伐倒し、枝払い、玉切り作業をおこなっていただいたが、伐るたびに発散されるその芳香に、「いい香りー」と歓声をあげられていた。みなさんにはそれぞれ輪切りのコースターを持ち帰っていただいた。
今後も建築学との協働を続け、森林、樹木、木材の魅力と可能性はさらに広げていきたい。 -
都市近郊林における林業と森林アメニティ 招待あり 査読あり
上原 巌
森林科学 97 12 - 16 2023年02月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本森林学会
都市近郊林には、アクセスが容易である地の利から木材生産も含め、様々なメリットと可能性がある。本報では、その都市近郊林における現在の林業の状況とそこから創り出される森林アメニティ(森林の快適性、森林の恵み)について、
①田中林業(東京都檜原市)
②東京チェンソーズ(東京都檜原市)
③有限会社創林(埼玉県飯能市)
④中島林業(東京都青梅市)
の4つの林業体を報告した。 -
学術情報課程40周年記念「農大の殿堂」
上原 巌
東京農業大学 学術情報課程 1982~2022年における40年の歩み 1 ( 1 ) 16 - 18 2023年02月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要) 出版者・発行元:東京農業大学
東京農業大学の学術情報課程(学芸員・司書養成課程)の40周年記念にあたり、所感を記した。
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上原 巌
森林技術 969 32 - 35 2023年01月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本森林技術協会
カラマツは、わが国に自生する唯一の落葉針葉樹である。極陽樹であり、乾燥地にも生育し、成長がはやいため、建築材のほか、かつては坑木や電柱などにも利用された。根は浅根性で、凹地の少ない平坦地を好み、弱酸性の土壌で林分が成立することが多いことなども知られている。信州の亜高山などでは、あちこちにカラマツの実生を見かけることが多い。しかしながら、東京農業大学の奥多摩演習林においては、カラマツ植林地はあっても、その実生を見ることは極めてまれである。
そこで面積約120haの演習林内のごく一部でみられるカラマツの実生に着目し、その分布状況の特徴を調べた。
調査の結果、奥多摩演習林内でのカラマツ実生は、相対照度が高い林道脇の裸地に生育する個体が大半であった。実生がみられたのは、石礫が多く、しかし生育点の土壌硬度は1kg/c㎡未満の柔らかな箇所である。土壌pHは弱酸性(平均6.4±0.3)であった。樹形は匍匐型が多く、根系は発達し、T/R率は低く、斜面に適応した屈曲の樹形が過半数であった。また、カラマツ実生と同時にみられた植生は、リョウブ、ウリハダカエデ、シデ類、クマイチゴ、ケヤマハンノキ、オオバヤシャブシなどであった。 -
森林の環境回復 放置された森林の新陳代謝をはかるこころみ
上原 巌
東京農大 東日本支援プロジェクト 2022年度 成果報告書 1 ( 1 ) 8 - 9 2023年01月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:速報,短報,研究ノート等(大学,研究機関紀要) 出版者・発行元:東京農業大学
1.放置林の間伐実施のこころみ
東京農業大学では、2011年より相馬地方の森林に複数の定点観測地を設け、継続的に放射性セシウムの測定を行ってきた。その結果、2018年ころより観測地の樹木の枝葉などの採集サンプルからは、セシウム134(半減期約2年)、137(半減期約30年)ともに検出されないケースが少しずつ増え、自然種子散布による広葉樹、針葉樹の実生では、その双方が検出されない個体の増加もみられるようになった。これらの結果をふまえ、2019年からは相馬地方森林組合に作業委託をして、各地の私有林において間伐を実施してきた。2019年10月は相馬市今田地区のスギ林(36年生)、2020年12月には南相馬市原町区のヒノキ林(32年生)において間伐を実施した。いずれも50%の強度間伐の実施後は、林床の相対照度が20~30%前後に向上し、林床では20~30種前後の新生の樹木の実生が確認された。
2.広葉樹林における間伐の実施と間伐による林床植生の変化
上記のスギ林(2019年)、ヒノキ林(2020年)の間伐実施の結果をふまえ、2021年12月には、相馬市玉野地区のコナラ、クリ等を主林木とする広葉樹二次林において間伐を実施した。間伐率は50%である。ブナ科樹木を主体とした広葉樹林では、キノコの原木、薪炭材として福島県にとって極めて重要な樹種であり、その再生が強く望まれる。また、これまで実施したスギ、ヒノキなどの常緑針葉樹の人工林とは異なり、落葉広葉樹の二次林であるため、森林内および樹体内の新陳代謝の機構も異なるため、その結果が注目された。
間伐実施から半年後の2022年6月および11月の2回に分けて同林床の植生調査を行ったところ、40樹種以上の新生の樹木実生が確認され、その発生状況および成長スピードは、前年までのスギ、ヒノキ林の間伐後よりもさらにダイナミックであった。特にウルシ、コシアブラなどの陽樹のパイオニア樹木をはじめ、シデ類、カエデ類などの風散布樹木、そしてサクラ類、ミズキ類、ムラサキシキブなどの鳥散布樹木が確認されこと、コブシ、クロモジなどの薬用樹木も芽生え、過去2回の間伐では認められなかった樹種構成の多様性がうかがえたことなどが特徴的である。これらの実生の発生には、埋土種子の発芽のみならず、間伐による自然散布樹木の導入効果がうかがえた。
3.放射性セシウムの測定
植生調査とあわせて実生樹木枝葉や林床土壌を採取し、その放射性セシウムの測定もおこなった。マユミ、ムラサキシキブなどの鳥散布樹種や、アカシデ、イロハモミジなどの風散布樹木では非検出のものがみられ、またセシウム137が検出されたサンプルでも、数値は2000ベクレル以下であった。森林土壌では、落葉層では約700 Bq/kg、その下の腐植層では約5,000 Bq/kg、深さ5㎝の土壌層では約7200 Bq/kg、深さ10㎝層では2150 Bq/kgのセシウム137が検出された。
これらの結果から、当地の広葉樹林においても、落ち葉の腐植層から土壌の表層部に放射性セシウムが滞留していることがうかがえた。
4.今後の相馬地方の広葉樹二次林における展望
これらの結果をふまえ、今後の相馬地方における広葉樹二次林再生の施業方策としては、高木の伐採とその萌芽更新による若返り、新陳代謝をはかるとともに、間伐、除伐によって林内空間を開け、林床照度を高めることによって樹木の天然更新(風散布、動物散布等)を促進する手法が考えられる。 -
上原 巌
現代林業 2023年1月号 1 - 6 2022年12月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
森林、樹木の大切さや魅力を知ってもらうためにと全国各地で「木育」をはじめ、様々な野外活動や体験がおこなわれている。けれども、遠足や林間学校等での活動体験もあるものの、自分の暮らす身近な森林に入る体験は意外に少ない。また、現在は「香り」「アロマ」が一つのキーワードにもなっている。そこで、本報では、身近な森林の散策と樹木の香りをセットにした体験学習の事例を紹介した。
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多様化する森林アクティビティの最前線 ー森林療法のプログラムー (リレー連載:森林アメニティの新たな動向) 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 427 4 - 10 2022年12月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
森林療法のプログラムとして、
①森林の中で、「自分に居心地の良い場所」を見つける
②よい感触のものをさがす
③よい香りのものをさがす
④よい音のものをさがす
⑤森林の中で、おはなしをする
⑥森林の中で、「何かを見つける」
⑦森林で何かをつくる
⑧森林の中で作業を行う(作業療法)
⑨クライエントが提供する森林体験プログラム
の9つを代表例として紹介し、森林療法のプログラムを実施する上での基本的な心こころがまえ、留意点についても付記した。 -
コロナ禍の東京農業大学における代替実習 査読あり
上原 巌、根元 唯、佐藤孝吉
森林科学 96 28 - 31 2022年10月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本森林学会
新型コロナウイルス(COVID-19)は、中国・武漢市などで報告されて以来、2020年には全世界に拡大し、私たちの日常生活に様々な制限をもたらすパンデミックとなった。各学校現場においてもその影響を受け、インターネットを介在した配信教材による在宅学習への切り替え等の対応が行われた。
われわれ大学の森林関係の学科においてもそれは例外ではなく、教育の主幹である野外実習、フィールドワークについてもその代替措置が各大学で検討、講じられることとなった。
本報では、東京農業大学の森林総合科学科において、通常の演習林実習を大学構内での実習に代替した事例(2020年)と、演習林の代替地で実習をおこなった事例(2021年)の二つをご紹介し、それぞれの実習効果について検討、考察した結果を報告した。 -
森林と人との新しい関係 森林と人間が共に健やかに 招待あり
上原 巌
地域文化 142 10 - 15 2022年10月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:八十二文化財団
私たちの身近なみどりを活かした健康づくりは、実はさほど特別なことではない。私たちの日常生活の中でほとんど意識をせずにすでに行われていることである。例えば、家のプランターで花を育てたり、自宅の庭で野菜を育てたりすることは、植物の美や、作物の収穫の喜び、生きものを育てる達成感といった精神面だけでなく、手指をはじめとした身体のリハビリテーションにもなる。身近なみどりには、公園や緑地、寺社林のみどりなども含まれる。そのようなみどりの場所に出かけ、過ごすことが心身のリフレッシュや、日常生活のリセットの効用をもたらすのである。
森林における保健、休養の対象者は、観光客、保養客のようにお金を支払うことができる人ばかりではない。長期の経済低迷と今回のコロナ禍の影響により、仕事を失い、かつ自分の望む仕事に就くことができない方々が数多い。このような時であるからこそ、ガイド料のような特別なお金を払わなくても、また特別な場所に出かけずとも日常的にできる森林での保健休養、健康づくりが望まれる。もともと森林と人類との健康づくりは貨幣価値などのない先史時代から行われてきている。
かねてより「地域の時代」と云われてきた。様々な価値観が大きく見直される今だからこそ、従来のように中央からの働きかけを待つのではなく、自分の暮らす地域の自然、歴史、風土を生かした暮らしが再考される流れがある。今後は日常の生活や自己の生き方を、地域における自分の居場所、暮らしを大切にする時代になることも予想される。信州には、その基盤となる森林が各地域にある。
信州の森林の魅力とはなんだろう。それは端的に言って、多様性である。北は多雪地帯のブナ林から、南は暖帯のお茶畑まで、標高ではクヌギ、コナラなどの里山林から、高山のハイマツ群落まで、実に多様な森林の姿が信州ではみられる。また、中には、遺伝子的に貴重な植物種、動物種も数多い。
本報では、そのような自分たちの手による、自分たちの足元からの地域での健康づくりのこころみの可能性について、特に森林を活用した健康づくりを中心に考えた。 -
九州の里山での森林療法の研修会
上原 巌
現代林業 2022年5月号 1 - 6 2022年09月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
新型コロナウイルスの世界的なまん延とともに、森林における保健休養の意義も各地で高まっている。この状況下において、日本森林学会で1999年に提唱された「森林療法」もまた、その導入をはかる地域が増えている。
けれども、「一体どのように森林療法を地域に取り入れたらよいのか?」「うちの山林で、その森林療法はできるのか?」「特別な森林、特別な人材が必要なのか?」などの基本的な疑問を抱く地域も数多い。
そこで本報では、福岡県八女市の里山を活用した森林療法の研修会の事例を以下の通り紹介した。
森林療法の研修会をおこなったのは、福岡県八女市の黒木町。八女茶の産地でも有名な山間部である。地元のNPO法人山村塾(小森耕太理事長)の皆様とご一緒させていただいた。
研修会の場所は、コナラを主とした落葉広葉樹林である。林床には、ヒサカキ、ソヨゴ、イヌツゲ、チャノキなどの常緑低木や、コシアブラやハゼノキなどもみられ、コナラ、アラカシなどの落葉が豊富にある。当地で「自分の居場所」を林内でつくるプログラムをおこなった。手順は次のとおりである。
①4畳半程度の面積の林床の手入れをおこなう。ヒサカキ、イヌツゲ、ハゼなどを手鋸で除伐し、コシアブラやタラノキなどは残す。
②林床の落葉(乾燥したもの)を集める。
③間伐したコナラ、アラカシなどの幹や大枝の丸太をリレー運搬する。
④運搬したその丸太を井桁状に組む。
⑤そこに落葉を入れ、「落ち葉のこたつ」を作る
⑥林床に横臥し、落ち葉の布団をかける。
⑦日頃の生活をふりかえる自己カウンセリングをおこなう
なお、プログラムを行う上では、一番障害の重い方にあわせて行うことが肝要である。
コロナ禍をはじめ、現在の日常生活で様々なストレスを私たちは抱えている。また、職場などでも、心地よい場所が見つからないという方もいる。そこで、本事例のように自分の居場所を森の中に作り、そこで過ごすというシンプルなことも森林療法の一つになりうるのである。また、この事例でもわかるように、場所はどこにでもあるような森林であった。今回は広葉樹林でおこなったが、針葉樹林でももちろん行うことができ、特別なルールはない。
森林に語りかけ、あるいは働きかけ、一緒に心身の健やかさを取り戻していく。これが森林療法の基本である。
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日本の北限ブナ林と日本最古のブナ人工林を訪ねて ~ブナ林讃頌~ 招待あり
上原 巌
森林空間を利用した健康活動と森のアクティビティ 1 17 - 35 2022年09月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
ブナは日本の落葉広葉樹を代表する樹木である。極相(climax)の樹種であり、ブナ林の風景は、荘重さと華麗さの双方を兼ね備えている。また、ブナには生態学的にも利用学的にも、そして地域社会学的にもまだまだ様々な可能性がある。特に地域形成、地域文化としてのブナの力は大きい。
そこで、本報では、日本の北限のブナ林である、北海道寿都郡黒松内町、島牧郡島牧村のそれぞれの天然のブナ林と、亀田郡七飯町における人工ブナ林をそれぞれ調査し、その特徴とブナ林の今後の可能性を考察、報告した。 -
高齢者・障がい者のための森林のレクリエーション利用のてびき 招待あり
上原 巌
高齢者・障がい者のための森林のレクリエーション利用のてびき 2022年06月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
森林を楽しむことは広くすべての人に開かれている。うららかな陽射しでの春の散策。灼熱の都会から別天地の涼しい林間で憩える夏。虫の声や紅葉を楽しむ秋。そして、動物たちの足跡を見つける冬。四季を通して、森林は常に私たちをいざなっている。
では、年を追うごとに足腰が弱り、体力に自信を失いかけている高齢者、また心身に障害を抱えた方々は、いかがだろうか?森林に出かけることができているだろうか?また、高齢者、障害者がより楽しく森林を楽しむためにはどのようにしたらよいのだろう?
現在は、ヴァーチャル・リアリティ(VR)の技術も格段に進歩しています。都市部のオフィスや、病院、福祉施設の室内であっても、森林の風景や音をいつでも楽しむことができる。生活に制限があり、屋内で過ごさざるを得ない方々にとって、VRは一つの清涼剤にもなることだろう
しかしながら、VRの環境はいつも同じである。何回再生しても、同じ風景や音が繰り返される。けれども、本当の自然の森林は常に変化している。一日、一時も同じ森林の姿、森林の世界はない。森林を楽しむためには、やはりその森林に実際に出かけて過ごすことが必要である。
このてびきは、そうした高齢者、障害者のみなさまが森林を楽しむためにつくられた。すべての人にとって、森林の世界がさらに広がることを願っている。 -
北海道弟子屈町川湯温泉での森林療法の計画
上原 巌
現代林業 670 1 - 6 2022年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国
全国各地で、観光や地域住民の健康増進を目的とした森林療法の導入を計画している市町村がみられる。本報では、北海道上北郡弟子屈町(てしかがちょう)での事例をとりあげた。
弟子屈町は、面積774平方キロ、人口7000人弱のまちである。1961年に町に制定された。縄文文化とアイヌ文化が色濃く残る地域であり、町内にはアイヌ文化の博物館もある。現在の主な産業は観光と酪農。町内には阿寒摩周国立公園があり、摩周湖、屈斜路湖、硫黄山のほか、コタン、和琴、川湯、摩周の4つの温泉がある。今回はそれらの名所周辺の森林の特徴から同町における森林療法の可能性を考えることになった。町を訪れたのは、コロナ禍の状況下における2020年8月下旬と2021年11月の2回である。
屈斜路湖周辺には保健保安林(1999年指定)があり、この土地の生き証人ともいえる巨木や大径木が保存されている。特にカツラ、キハダ、シナノキの大木が点在しており、いずれも萌芽更新木である。キハダは、アイヌの祭祀に使うイナウの材料にも使われ、シナノキの樹皮からは衣類も織られた。大木は、おそらくアイヌ文化によって守られてきた名残であろると考えられる。こうした木々を散策の道標として巡るだけでも、十分に森を楽しむことができる。いまなお残る大木とアイヌ文化の持つ当地の風土そのものが観光としても大きな魅力を持っている。
同町では、単なる観光ではなく、温泉と森林を活用し、来訪客だけでなく、地域住民の健康増進も計画している。町内の川湯温泉病院では、地域の自然環境と共に人々が健やかになることを目指している。 -
放置された福島の森林の新陳代謝をはかるこころみ
上原 巌
現代林業 2022年3月号 60 - 65 2022年02月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
東京農業大学では、2011年より福島県の相馬地方森林組合と協働して、相馬地方の森林に複数の定点観測地を設け、継続的に放射線量の測定を行ってきた。その結果、2018年頃より観測地の林床に新たに芽生える実生や、コナラなどの落葉広葉樹の萌芽枝などからは、放射性セシウム134(半減期約2年)、137(半減期約30年)ともに検出されないケースが少しずつ増えてきた。
これらの結果を踏まえ、適切な森林保育がなされないまま放置されている相馬地方の私有林を対象として、その森林の新陳代謝をはかり、かつ林床照度を高め、自然散布樹木の導入をはかることを目的に、筆者らは放置林の間伐を実施している。
2019年には、相馬市内の約30年生のスギ林において間伐を実施し、林床の照度の回復や、約40種類の樹木の実生の芽生えを確認した。この結果を受けて、翌年の2020年には、南相馬市内の約30年生のヒノキ林においても間伐を実施した。同ヒノキ林は植栽後に枝打ちや間伐などが未実施の典型的な放置林であった。50%の本数間伐を実施したところ、林床の相対照度は間伐前の0.7%から約19%に向上した。
2019年のスギ林の間伐の際には、その森林土壌の放射性セシウムの分析も行った。深さ5㎝の土壌層では、3250ベクレル/kgのセシウム137が検出されたが、深さ10㎝の土壌層では300ベクレル/kgとその数値は10分の1以下に減少した。今回の2020年のヒノキ林間伐の際にも同様に分析を行ってみたところ、土壌の深さ5㎝から10㎝にかけては、セシウムの濃度は約40分の1に低下した。これらのことから、森林内の放射性セシウムは、林床の土壌の表層の部分に依然として滞留していることがうかがえる。原発事故のあった2011年から数年間は、林床の落葉層のセシウム濃度が高かった。しかし、その後、その落葉層の分解がすすみ、現在では、土壌にセシウムは移行をしているようである。また、当初は、森林に放射性降下物質のセシウムが蓄積され、森林から里の田畑にセシウムが流出するのでは?と危惧がされていた。しかしながら、これまでのところ、大量のセシウムが森林から流出するということはなさそうである。その大きな理由の一つは森林の土壌の構造である。隙間が多く、有機物が多く含まれる土壌だけでなく、有機物が少なく、粘土質の多い土壌にもセシウムは強く吸着されている。しかしそのため、土壌自体が大規模に流出するような台風被害や、土砂崩れなどの際には、土壌と一緒にセシウムも運ばれてしまうことが危惧される。それには、通常の森林であってもそうであるが、下層植生がある程度繁茂し、土壌流亡を防ぐことができる森林保育をしていく必要がある。今回のこころみでも、下層植生がほとんど見られなかったヒノキ林床に、間伐によって20種類樹木の芽生えを確認することができた。
間伐半年後の2021年6月には、林床に約20樹種の新生の実生が確認された。特にアカメガシワ、ウルシ、コシアブラなどの陽樹のパイオニア樹木や、シデ類、カエデ類などの風散布樹木、そしてチャノキ、ムラサキシキブ、クロモジなどの鳥散布樹木が確認され、間伐による自然散布樹木導入の効果がうかがえた。
これらの結果をふまえ、今後の相馬地方における森林再生の施業方策としては、間伐、除伐によって林内空間を開け、林床照度を高めることによって樹木の天然更新(風散布、動物散布等)を促進し、従来の針葉樹人工林との天然広葉樹との「針・広混交林」化をすすめる手法も選択肢の1つとして提言をしている。
2022年新春には、新たに相馬市内の広葉樹二次林の放置林においても間伐を実施した。ナラ類を主体とした広葉樹林は、キノコの原木、薪炭材として福島県にとって極めて重要な樹種であり、その再生が強く望まれる。これまで実施したスギ、ヒノキなどの常緑針葉樹とは異なり、落葉広葉樹では樹体内の新陳代謝の機構も異なる。実際、ナラ類の萌芽枝からはセシウム134,137ともに非検出のものがみられるようになってきた。引き続き広葉樹林の再生についても考究し、取り組んでいきたい。
※なお、本間伐作業にあたっては、2021年度の「大学等の「復興知」を活用した人材育成基盤構築事業」の助成を受けた。
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文学作品にみる森林浴
上原 巌
森林技術 958 30 - 32 2022年02月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本森林技術協会
1982年に時の林野庁長官秋山智英氏によって提唱された「森 「森林浴」はいまや国境を越え、“Forest bathing”として世界各国に広がっている.しかしながら、実は、国内外の文学作品の中にも、「森林浴」の要素は数多く散見される。
そこで本報では、以下の6つの作品例について取り上げた。
「車輪の下」
「西の魔女が死んだ」
「人生論ノート」
「阿弥陀堂だより」
「森の少年」
「The Giving Tree」
森林には心身の回復に供するアメニティ(豊かさ)を持っていることは、数多くの文学作品のうちに描かれている。そして、これらの文学作品に共通してみられることは、いずれも日常生活とは離れた場所に、森林の癒しの場が存在し、人間はその双方を往来することである。「車輪の下」「西の魔女が死んだ」「森の少年」「The Giving Tree」では、いずれも主人公は日常生活とは距離を置き、森の中で一人で過ごすこと、自らをリセットする時間を過ごすことが共通している。ここに森林における自立や自己再生の要素があり、また、この点にこそ、現在の森林浴、森林の保健休養機能に関するポイントもあると考えられる。その他リンク: http://www.jafta.or.jp/contents/shinringijuts/24_month2_detail.html
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連載 森と健康 みどりのリレー 第1回 雨の日に思い出すこと 招待あり
上原 巌
森林技術 957 37 - 37 2022年01月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 出版者・発行元:日本森林技術協会
長野県山間部の社会福祉施設に勤務していた頃の森林療法での思い出を紹介した。
その他リンク: http://www.jafta.or.jp/contents/shinringijuts/24_month1_detail.html
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森林の環境回復 放置された森林の新陳代謝をはかるこころみ
上原 巌
東京農大 東日本支援プロジェクト 2021年度 成果報告書 10 - 11 2022年01月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要) 出版者・発行元:東京農業大学
1.放置林の間伐実施のこころみ
東京農業大学では、2011年より相馬地方の森林に複数の定点観測地を設け、継続的に放射線量の測定を行ってきた。その結果、2018年ころより観測地の広葉樹の萌芽枝などからは、セシウム134(半減期約2年)、137(半減期約30年)ともに検出されないケースが少しずつ増え、また、自然散布による広葉樹、針葉樹の実生では、その双方が検出されない個体も徐々に増加してきた。
それらの結果をふまえ、適切な森林保育がなされないまま放置されている相馬地方の私有林を対象として、その森林の新陳代謝をはかり、かつ林床照度を高め、自然散布樹木の導入をはかることを目的に、2019年10月に1回目の間伐を相馬地方森林組合に作業委託をして実施した。対象は、相馬市今田地区のスギ林で、1983年(昭和58年)に植栽されて以来、森林保育が行われていなかった36年生のスギ林である。
間伐を実施した結果、間伐率の段階ごとに林床照度には回復がみられ、間伐前の7%前後から、50%間伐区では約27%にまで相対照度が上昇した。また、間伐1年後の2020年11月に林床土壌の放射性物質濃度の測定をおこなったところ、林床の深さ5㎝の土壌からは約3250 Bq/kgのセシウム137が検出されたが、同じ場所の土壌でも深さ10㎝となると、300bq/kgと約1/10以下にその濃度が減少することが示された。林床には30樹種以上の新生の実生も確認された。
2.間伐実施後のヒノキ林の変化
前述のスギ林での間伐の結果をふまえ、2020年12月に、対象の樹種を変え、南相馬市内のヒノキ林において間伐を実施した。ヒノキ林は約30年生で、植栽後に枝打ちや間伐が未実施であり、間伐率は50%であった。
間伐を実施した結果、林床の相対照度は間伐前の0.7%から約19%に向上した。また、2020年6月に林床土壌を採取し、その放射性物質濃度の測定をおこなったところ、林床の深さ5㎝の土壌からは約21245 Bq/kgのセシウム137が検出されたが、同じ場所の土壌でも深さ10㎝となると、496bq/kgと約1/40以下にその濃度が減少することが示された。この結果から、当ヒノキ林においても、依然として土壌の表層部に放射性降下物質が滞留していることがうかがえた。間伐半年後の2021年6月には、林床には約20樹種の新生の実生が確認された。特にアカメガシワ、ウルシ、コシアブラなどの陽樹のパイオニア樹木や、シデ類、カエデ類などの風散布樹木、そしてチャノキ、ムラサキシキブ、クロモジなどの鳥散布樹木が確認され、間伐による自然散布樹木導入の効果がうかがえた。さらに、間伐に伴って野生動物の行動も活発化し、林内には果実入りの哺乳動物のフンが散見された。
以上の結果をふまえ、今後の相馬地方における森林再生の施業方策としては、間伐、除伐によって林内空間を開け、林床照度を高めることによって樹木の天然更新(風散布、動物散布等)を促進し、従来の針葉樹人工林との天然広葉樹との「針・広混交林」化をすすめる手法も選択肢の一つであると考えられた。 -
学校の先生方との研修会 -世田谷の街路を歩きながら- <連載>森林と健康 ー森林浴、森林療法のいまー 第26回 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 415 4 - 12 2021年12月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
森林療法を1999年に提唱して以来、20年余が経過し、国内外で様々な方々と森林療法の研修会を担当することがあるが、その中でも定期的に担当する各学校の教員との研修会について報告した。
環境教育、野外体験活動、課題発見学習など、森林が学びの場となることは現在では幼児教育からすでにスタートしており、幅広い活動、プログラムが今日までに作られている。また、学校教育において、森林を活用したプログラムは比較的に設定しやすい。
しかしながら、現在では、そもそも自然体験、野外体験があまりないという若い世代の教員も増え、それに追い打ちをかけるように、様々なリスク管理、補償問題などが圧力をかけ、その活動の減少を加速させている。森林での野外体験、教育活動、レクリエーションの企画をする前に、これらの現代の諸事情が二の足を踏ませている状況もうかがえる。
しかし、不登校などの生徒へのケア、先生ご自身の保養・休養、そして教職員間の人間関係の潤滑剤としての利用なども考えると、やはり森林には大きな包容力と可能性がある。
そこで本報では、その教員研修会でも、教員免許講習会での事例を紹介、報告した。 -
地域病院が所有する里山の整備 (放置林を森林療法の場に) 招待あり
上原 巌
現代林業 662 1 - 6 2021年07月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
現在、わが国では、各地域に適切な森林保育がなされないまま長期間の放置状態となっている「放置林」が増加している。それは、スギ、ヒノキ等の人工造林地のみならず、かつての里山や広葉樹二次林においても同様である。
その一方で、森林における保健休養や森林のもたらす風致作用の重要性と需要は高まりをみせている。一般のニーズはもとより、疾患や障害を抱えた人々の治療やリハビリテーションの場、環境としての需要も高まっている。
そこで本報では、東京近郊の地域病院において、約30年放置されてきた病院所有の広葉樹二次林を、保健休養のために整備した事例を取り上げた。
対象地は、東京八王子市に位置する医療法人永寿会(恩方病院・陵北病院)が所有する広葉樹二次林(面積約6ha)である。広葉樹林は、病院の南側に隣接して、高木層はコナラ、クヌギ、クリ、ケヤキ、エノキ、ホオノキ、亜高木層はイヌシデ、ヤマボウシ、アラカシなど、低木層は、エゴノキ、ヤマグワ、ヒサカキなどで、林床にはシノチクが繁茂している。立木密度は4000~6000本/ha前後で、整備前の林内の相対照度は5~15%程度であった。
これらの状況から、踏査、植生調査のあと、整備作業を委託された(株)東京チェーンソーズの皆様が除伐および間伐作業を行った。除・間伐の対象は、ヒサカキやアオキなど、林床を暗くさせる常緑樹を中心とし、作業後、立木密度は1500本/haとなり、林内相対照度は15~30%前後にまで向上した。林内の見通しも大きく改善され、最長で70m以上の直線距離を見通すことができるようになった。しかしながら、整備後であっても林床の樹種数は40種類前後をキープしている。除伐した材は休養ベンチを作って林内に設置し、間伐材はシイタケ原木、薪炭材として利用したほか、散策路の設置にも活用した。
今後は、同病院の患者、医療スタッフの休養空間、散策路をさらに整備し、同時に森林の生産物を活用した木育や作業療法などにも活用を行っていく予定である。 -
アメニティを享受できる森林空間とは? <特集>森林アメニティ利用の新しいかたち 招待あり
上原 巌
森林技術 951 6 - 9 2021年07月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本森林技術協会
”癒しの森林”または”森林の癒し”は、現在、森林・林業界ではちょっとしたブームであるが、その森林の持つ力(アメニティ)を引き出し、享受するには、どのような手法があり、そのような森林空間にはどのようなデザインが考えられるだろうか?本報では、下記の5つの事例を取り上げ、報告した。
①市民ワークショップの事例
②認知症の方の「森林回想法」
③森林での作業療法
④学校の先生の休養場所
⑤東京郊外の病院の森林
その他リンク: http://www.jafta.or.jp/contents/shinringijuts/23_month7_detail.html
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青森の若き医師との森林療法の研修会 <連載>森林と健康ー森林浴、森林療法のいまー 第25回 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 410 8 - 14 2021年07月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
1999年(平成11年)に日本林学会で「森林療法」という言葉が生まれてから20年以上が経過した。1982年に提唱された「森林浴」とならんで、森林療法はいまや市民権を得たといえるだろうか?その後よく使われるようになった“セラピー”という言葉も合わせると、21世紀の現在、森林療法は市民の間にもその名がある程度は定着してきていると言えそうだ。
しかしながら、もし何か市民の心にまだしっくりしないものがあるとしたら、それは森林浴とくらべて、末尾の「療法」という言葉に何か腑に落ちないものがあるのではないだろうか。
「療法」という言葉をつける以上は、その目的があり、対象者がいて、それに伴う効果がある。けれども、森林療法について、様々な効果、効用を美麗なグラフなどを度々目にすることはあっても、また様々なビジネス、投資企画でその名をみることはあっても、実際の事例報告は数少ない。
障害者、高齢者、児童などを対象とした社会福祉の面では幾つもの事例がある。しかし、医療面においては、少しずつ事例は増えてきているとはいえ、依然として森林療法、または森林そのものの活用には高いハードルがある。
そこで、本論では2015年に青森県で担当した医師会での森林療法の研修会の事例を報告した。
現在、医療での森林活用は、森林関係者の側からの事例報告が主となっている。しかしながら、このことが当の医師の側から、つまり医学会において、森林活用の事例報告が増えていけば、森林療法の普及は加速度的に広がっていくこと、特に地域病院において、地域の森林も活用した医療実践が萌芽し、その可能性が広がることに期待したい。特に現在は、全世界がコロナ禍での生活形態となってしまっているため、コロナ対応はもちろんのこと、医療従事者ご自身の保養、休養の場として、森林には高いポテンシャルがある。 -
森林を活用した障害者・高齢者の保健休養及びレクリエーションの今後の展開方向に関する実証的調査事業 招待あり
上原 巌
令和2年度 林業振興助成事業成果報告書 3 - 109 2021年06月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:会議報告等
障害者を含むすべての人々が同等に生活し活動する社会を目指す「ノーマライゼーション」の理念に基づき、障害等の有無にかかわらず国民の誰もがその人格と個性を尊重し、支え合う「共生社会」の実現が求められている。
このような社会背景の中、身体障害者(肢体不自由(上肢・下肢および欠損、麻痺)、脳性麻痺、視覚障害、知的障害)を対象とした世界最高峰の障害者スポーツの総合競技大会であるパラリンピックが、新型コロナウイルス感染症の影響により1年延期されたが、2021(令和3)年に開催されることとなった。1998(平成10)年の長野パラリンピック冬季大会の際と同様に、同大会が開催されることを契機に、障害者全体への理解へと繋げていくことが期待されている。
また、我が国の高齢化率は急速に上昇し、65歳以上の人口は29%弱(2020年)に達し、2040年には35.3%になると見込まれている。高齢者は身体の衰えなどの問題を抱えている場合が多く、活動が制限されることから、健康、医療、介護に対する関心が高まっている。
これらの課題に対応し、障害者及び高齢者(以下「障害者等」という。)への理解の深化と社会参加の実現のためには、様々な分野、機会を通じて必要な措置を講ずる努力をしていくことが重要である。
森林は、木材生産をはじめ、災害防止、水源涵養、生物多様性の保全など、様々な機能を有しているが、近年は森林の保健休養機能として、森林浴や森林療法など、人々の健康増進をはじめ、医療、福祉においてもその活用が広がり、高まりをみせている。また、近年では、トレイルラン、マウンテンバイクなど、郊外の森林環境を活用したアウトドア・スポーツもその人気を高めている。しかしながら、障害等の有無にかかわらず、すべての人が森林を活用し、その保健休養効果やスポーツ、レクリエーション由来の恩恵を享受できるためには、環境・施設の整備や、利用プログラム・ソフトの開発、そしてそれらをサービス・供給する体制の構築及び人材を育成が課題となっている。
さらに、新型コロナ感染症の感染防止の観点から人流の抑制や行動の制限が長期化し、日常生活においても相当のストレスを受けている現状を踏まえ、障害者等をはじめとする方々に対する森林での保健休養のストレス軽減の効果についても期待が高まっている。
本事業では、わが国における障害者等の森林利用の現状の調査分析及び障害者等の森林利用に関する調査・研究事例の収集を行うとともに、わが国におけるバリアフリー・ユニバーサルデザインに関わる法制度等の整備の流れを整理し、障害者等の森林利用の実態を明らかにすることを目的とした。また、これらの実態を踏まえ、障害者等が保健休養やスポーツ、レクリエーションの場として、森林空間の積極的な利用のために必要とする利用プログラムを開発するために必要な事項を明らかにし、その活動を支援する人材育成及び体制づくりを検討した。
これらの検討を通じて、障害者や身体に支障のある高齢者の森林を活用した保健休養及び森林レクリエーションの普及を図ることを目的としたが、コロナ禍において、障害者等の森林レクリエーションの課題や森林の保健休養機能が障害者等にもたらすストレス軽減等の効果を検証し、コロナ禍における森林の保健休養効果の障害者等への有効性についても検討をおこなった。
報告書の「Ⅱ バリアフリー、ユニバーサルデザインとは?」(3-21頁)
「Ⅳ 森林を活用した保健プログラムの立案・作成について」(59-109)を担当し、報告した。 -
放置された里山の整備と医療利用 <連載>森林と健康 ー森林浴、森林療法のいまー 第24回 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 409 8 - 13 2021年06月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
森林に市民がより親しむことは健康増進だけでなく、地域の森林を見直し、その健全度を高める上でも大きな意義を持っている。実際のところ、市民からみた森林の人気、またはイメージは肯定的に高まっていると思われるが、市民からはそれぞれの地域の森林の姿はどのように映っているのだろうか?もしかしたら、森林の実態よりもイメージだけが先行し、いわゆる「癒し」のイメージを持って森林を眺め、あるいは意識、想像している市民が多いことも考えられる。
しかしながら、わが国では、各地域に適切な森林保育がなされないまま長期間の放置状態となっている「放置林」が増加している。市民の森林の癒しのイメージの高まりの一方で、放置林も増加していることは、考えてみれば奇異なことである。また、放置林の増加は、スギ、ヒノキ等の人工造林地のみならず、かつての里山や広葉樹二次林においても同様にみられている。森林の人気が高まる一方で、放置される森林も増える。このことからは、現在の森林人気が、イメージ先行によるものであることを示唆しているともいえるだろうか。
けれども、森林における保健休養や森林のもたらす風致作用の重要性と需要の高まりは、一般のニーズはもとより、疾患や障害を抱えた人々の治療やリハビリテーションの場、環境としての需要でも高まりをみせている。
そこで本報では、東京近郊の地域病院において、約30年以上放置されてきた病院所有の広葉樹二次林を保健休養のために整備した事例を報告した。 -
「自然の中の数学」展の開催 ー東京農業大学「食と農」の博物館ー
上原 巌
森林技術 949 32 - 35 2021年05月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要) 出版者・発行元:日本森林技術協会
数学は、農学の各分野をはじめ、自然科学に携わる上であらためて言うまでもなく、欠かすことができない。得手、不得手にかかわらず、栽培面積、収穫量、経営面での収益、複利計算、そして実験実習での統計計算など、とかく農学と数学・数字には切っても切れない縁がある。森林に目を向けた場合にも数学は文字通りその森羅万象のすべてに存在していることが俯瞰できる。
そこで、身近な自然の中に存在する数学を紹介し、数学が苦手という方にとっても、トリビア的に魅かれるような博物館展示をこの度企画し、開催したので、その内容を報告した。企画では、フィボナッチ数列、フラクタル図形、対称性、コンストラクタル法則、樹形モデル、円周率、ベクトル、パターン、素数などの各数学テーマを、「スギやヒノキの枝葉には、こんなふうに自己相似形がみられる」「年輪にはこんなパターンがある」などと、それぞれ実物の素材を使って展示したことが特徴である。ちなみに、全国的にも数学を扱った企画展示そのものが珍しいとのことであった。
<展示内容の紹介>
①フィボナッチ数列
②フラクタル図形
③対称性
④コンストラクタル法則
⑤樹形モデル
⑥円周率
⑦ベクトル
⑧パターン
⑨素数
⑩自然界の様々な造形・理論
森林・林業研究では、調査データから、近似曲線を引いたり、相関係数を求めたりすることが多い。森林、林学の学生の卒論、修論などでも、研究データの締めとして、近似式、危険率などを導き出して提示する、帰納法的な手法が一般的におこなわれている。しかしながら、同じ帰納法であっても、森林における現象や事象に潜んでいる法則性、規則性を見つける、あるいはそれらを施業や管理に活かすなどの演繹法的な手法も考えられる。
森林の世界が広く豊かなように、数学の世界も広く豊かである。相互の世界の魅力をより深く知ることによって、森林、林業にも新たなフェイズを見出すことができることと思われる。
その他リンク: http://www.jafta.or.jp/contents/shinringijuts/23_month5_detail.html
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「森林療法」で広がる森林環境、地域資源の新しい可能性 招待あり
上原 巌
森林保護学の基礎 (農文協 農学基礎シリーズ) 1 22 - 22 2021年04月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:農山漁村文化協会(農文協)
小池孝良・中村誠宏・宮本敏澄編著「森林保護学の基礎」におけるコラム「「森林療法」で広がる森林環境、地域資源の新しい可能性」を担当執筆した。
その内容は、以下の通り。
・森林療法の定義
・森林療法の2つのタイプ
・「地森地健」で農山村の再生へ -
「自然の中の数学」展の開催 -東京農業大学「食と農」の博物館-
上原 巌
現代林業 658 1 - 6 2021年04月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
東京農業大学の「食と農」の博物館(世田谷)において、「自然の中の数学展」という企画展を開催したことを報告した(開催期間は2020年10月9日~2021年4月11日まで)。
同展では、身近な自然の中に存在する数学を実物と共に展示し、数学が苦手という方にとっても、トリビア的に魅かれるような展示を心掛けた。ちなみに、全国的にも数学を扱った博物館展示は珍しいとのことである。
本展示では、様々な数学のテーマを、自然の素材を使って紹介したことが特徴である。たとえば、落葉広葉樹の樹形をはじめ、スギ、ヒノキなどの枝葉、シダ植物、海岸線、霜の形、植物の根系、血管・神経系、菌の形態に至るまで、自然界の様々な形には、自己相似の形のくりかえしがみられる。このくりかえしによる造形のことを「フラクタル」と呼ぶ。
また、対称性(シンメトリー)は子どもでもわかるカテゴリーであるが、林業上では、あまりにも左右非対称な樹形や、樹冠の偏平が見られる場合、その立地や密度の環境状態を示していることが多い。つまり対称形、非対称形は、林木の一つの環境指標ともなっている。
また、コンストラクタル法則とは、自然界の様々なところで見られる枝分かれの法則、流れの法則のことである。樹木の枝条、葉の葉脈、植物の根系などに、この流れの法則がみられる。
そのほか、素数、円周率、ベクトル、パターンなど、また、雪や塩の結晶、流線形や渦巻き、らせん状の構造など、自然界における様々な事象を数学的に紹介した。
森林、自然の中には様々な理論があり、また未発見の数多くの理論も同時に存在している。 -
コロナ禍における生活から森林レクリエーションを考える 連載:森林と健康 -森林浴と森林療法のいまー 第23回 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 405 8 - 13 2021年02月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
以下のような内容で、コロナ禍の生活における森林レクリエーションのあり方や可能性、特徴について報告した。
1.新型コロナウイルスの全世界的流行
2.森林、緑地の活用ニーズの高まり
3.公園緑地や寺社林のメリット
4.ヒトとサルの違い
コロナ禍における森林、緑地での人々の過ごし方 -
森林の環境回復 放置された森林の新陳代謝をはかるこころみ
上原 巌
東京農大東日本支援プロジェクト 浜通り地方の復興から地域創生への農林業支援プロジェクト 2020年度 成果報告書 5 - 6 2021年01月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要) 出版者・発行元:東京農業大学
1.森林における放射性物質濃度のモニタリングから間伐の実施へ
福島県の相馬地域の森林では、2011年3月の福島第一原発の事故以来、放射性物質濃度が高い場所があることが報告されている。しかしながら、その実情はいまだに明らかにされていないことが多く、地元、近隣住民からの精査の要望がいまなお高い。
そこで、東京農業大学では、2011年より相馬地方の森林に複数の定点観測地を設け、継続的に放射線量の測定を行ってきた。観測地の広葉樹の萌芽枝などからは、セシウム134(半減期約2年),137(半減期約30年)ともに検出されないケースが少しずつ増え、また、自然散布による広葉樹、針葉樹の実生では、その双方が検出されない個体も徐々に増加してきている。そこで、それらのモニタリング結果をふまえつつ、適切な森林保育がなされないまま放置されている相馬地方の私有林を対象として、その森林の新陳代謝をはかり、かつ林床照度を高め、自然散布樹木の導入をはかることを目的に、3段階(15%、30%、50%)の間伐を相馬地方森林組合に委託し、2019年10月に相馬市今田地区のスギ林において間伐が実施された。対象は、1983年(昭和58年)に植栽されて以来、森林保育が行われていなかったスギ林である。
2.間伐実施後のスギ林の変化
間伐を実施した結果、間伐率の段階ごとに林床照度の回復がみられ、その相対照度は間伐前の7%前後から、50%間伐区では約27%にまで回復しした。間伐1年後の2020年11月に、林床土壌の放射性物質濃度の測定をおこなったところ、林床の深さ5㎝の土壌からは約3250 Bq/kgのセシウム137が検出されたが、同じ場所の土壌でも深さ10㎝となると、300bq/kgと約1/10以下にその濃度が減少することが示された。この結果から、山林内においては、依然として土壌の表層部に放射性降下物質が滞留していることがうかがえた。
また、林床には30樹種以上の新生の実生が確認された。特にアカマツ、ウルシなどの陽樹のパイオニア樹木や、シデ類、カエデ類などの風散布樹木、そしてガマズミ、ムラサキシキブなどの鳥散布樹木が確認され、間伐による自然散布樹木導入の効果がうかがえた。確認された樹木は下記の通りである。
≪間伐1年後にスギ林床で確認された樹種一覧 2020年11月現在>
(落葉広葉樹)キブシ、ウリカエデ、ツクバネ、ハリギリ、ウルシ、アオハダ、クロモジ、マルバアオダモ、ヤブムラサキ、ムラサキシキブ、ナガバノコウヤボウキ、サワフタギ、アカシデ、コハウチワカエデ、ヤマモミジ、イロハモミジ、バイカウツギ、マンサク、ガマズミ、オトコヨウゾメ、コナラ、リョウブ、ヤマフジ、ヤマツツジ、コゴメウツギ、クリ、コナラ
(常緑広葉樹)イヌツゲ、シャリンバイ
(常緑針葉樹)アカマツ、ヒノキ、スギ、モミ
これらの結果をふまえ、今後の相馬地方における森林再生の施業方策としては、間伐、除伐によって林内空間を開け、林床照度を高めることによって樹木の天然更新(風散布、動物散布等)を促進し、従来の針葉樹人工林との天然広葉樹との「針・広混交林」化をすすめることが現実的であると考えられる。
3.ヒノキ放置林における間伐の期待
2020年には、前年の相馬市のスギ林における間伐実施と同様に、南相馬市原町区のヒノキ放置林において間伐を計画した(※本報告書作成時は、未実施)。同林分も相馬市のスギ林同様に約30年生の林分であり、植栽後の間伐、枝打ちなどの保育作業が現在まで行われていない。林内は暗く、その相対照度は平均1%未満であり、林床植生もほとんどみられない。ちなみに、この林分の横を流れる小川の放射性物質濃度の測定をおこなったところ、セシウム134、137ともに非検出であった。この放置林分が間伐によってどのように変化をしていくか、その結果が期待される。
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原発災害後の福島の山林の再生を目指して 間伐・針広混交林化のこころみ 招待あり
上原 巌
現代林業 2021年1月号 1 - 6 2021年01月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
福島県の相馬地域の森林では、2011年3月の福島第一原発の事故以来、放射性物質濃度が高い場所があることが報告されている。しかしながら、その実情はいまだに明らかにされていないことが多く、地元、近隣住民からの精査の要望がいまなお高い。そこで、東京農業大学では、2011年より特にその放射線量が高いといわれる同地方を中心とした森林に複数の定点観測地を設け、継続的に放射線量の測定を行ってきた。
2019年9月現在、観測地の広葉樹の萌芽枝などからは、セシウム134(半減期約2年),137(半減期約30年)ともに検出されないケースが増え、また、自然散布による広葉樹、針葉樹の実生では、共にその双方が検出されない個体も増加してきた。そこで、それらのモニタリング結果をふまえつつ、適切な森林保育がなされないまま放置されている相馬地方の私有林を対象とし、その森林の新陳代謝をはかり、林床照度を高めることを目的にして、3段階(15%、30%、50%)の間伐を相馬地方森林組合に委託し、2019年10月に実施した。対象は、1983年(昭和58年)に植栽されたスギ林で、コナラも混交している林分である。立木密度は2000本~2400本前後であり、樹高はスギ、コナラともに8~14m、胸高直径(DBH)は、双方とも15~25㎝であった。
間伐を実施した結果、間伐率の段階ごとに林床照度の回復がみられ、その相対照度は間伐前の7%前後から、50%間伐区では約27%にまで回復した。また、放射性物質濃度の測定では、林床の深さ5㎝の土壌から、2020年11月現在、約3250 Bq/kgのセシウム137が検出されたが、同じ場所の土壌でも深さ10㎝となると、300bq/kgと約1/10以下に放射性物質濃度が減少することが示された。この結果から、山林内においては、依然として土壌の表層部に放射性降下物質が滞留していることがうかがえる。
今後の相馬地方における森林再生の施業方策としては、間伐、除伐によって林内空間をあけ、林床照度を高めることによって樹木の天然更新(風散布、動物散布等)を促進し、従来の針葉樹人工林との天然広葉樹との「針・広混交林」化をすすめることが現実的であると考えられる。今回の間伐から1年後の2020年11月には、林床には約30種の新生実生が確認された。
今後は、スギ林に混交するコナラを残存しつつ、林床に芽生え、生育しているクロモジ、ハリギリ、アオダモ、カエデ類などの有用広葉樹のモニタリングと、分布密度を調べ、それらの育成も同時に行っていく予定である。 -
森林アメニティのすすめ -私たちの健康と森林ー 連載第11回 保健休養の傾向 招待あり
上原 巌
グリーンパワー 2020年12月号 8 - 9 2020年12月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:森林文化協会
連載「森林アメニティのすすめ -私たちの健康と森林-」の最終回として、
・現在の森林のアメニティの様相と傾向
・事例研究の積み重ねの大切さ
・森林の保健休養機能の今後の方向性
の3点について報告、記述した。 -
海外の森林療法の事例 ベルギー(2) <連載>森林と健康 -森林浴、森林療法のいま- 第22回 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 403 8 - 13 2020年12月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
ベルギーにおける森林療法の現地事例として、
①ソワーニュの森
②ゲント大学演習林
③NGO団体による実践事例
の3つについてを中心に報告した。 -
海外の森林療法の事例 ベルギー(1) <連載>森林と健康 -森林浴、森林療法のいまー 第21回 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 402 4 - 8 2020年11月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
ベルギーにおける森林療法の事例について、下記のとおり報告した。
1.市民の森と保健休養(Gent市)
2.自然の要素を取り入れた地域病院(Antwarp市)
3.王室樹木園とブナとオークの森林公園(ブリュッセル市) -
森林公園の「バリアフリー」と「ユニバーサルデザイン」(2) <連載>森林と健康 -森林浴、森林療法のいま-第20回 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 399 8 - 12 2020年08月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
各地の森林公園におけるバリアフリー、ユニバーサルデザインの事例として、
①神戸市立森林植物園
②愛知県立森林公園
の二つの事例を紹介した。 -
身近な自然観察 世田谷区の公園、緑地 招待あり
上原 巌
令和2年度 東京農業大学 教員免許状講習 1 1 - 10 2020年08月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:講演資料等(セミナー,チュートリアル,講習,講義他) 出版者・発行元:東京農業大学 教職課程
令和2年度の東京農業大学・教職課程主催の教員免許状更新講習会における「身近な自然観察 世田谷区の公園、緑地」のテキストである。
内容は、
1.森林の定義
2.森林の種類
3.身近な樹木の観察
4.農大構内での観察
5.世田谷区の緑地、森林
6.森林の意義
などである。 -
上原 巌
森林技術 939 26 - 29 2020年07月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本森林技術協会
森林療法(forest therapy)はアジア,ヨーロッパ,アメリカ,オセアニアに至るまで,いまや世界的な広がりを見せている。また,同時に,森林をはじめとした自然やそれらを活用した「セラピー」に関わりたい
という人は世界各地に見られる。これは現在の都市化社会を主体とした生活様式が抱える問題と,自然回帰志向,またそれらによる新規ビジネスの勃興の3 要素が融合した,現代社会に見られる一つの特徴であろう。
その中で本報では,ヨーロッパのベルギーにおける事例を報告した。
内容は、以下の通りである。
①ベルギーの森林と保健休養での活用
②自然の要素を取り入れた地域病院
③王立樹木園と、ブナとオークの森林公園
④大学演習林と市民の森
⑤市民による園芸療法、森林療法の実践 -
森林公園の「バリアフリー」と「ユニバーサルデザイン」(1) 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 398 4 - 9 2020年07月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
はじめに、バリアフリー、およびユニバーサルデザインの定義にふれたあと、東京都立砧公園、神戸市立森林植物園の2つの事例をとりあげ、そっれぞれの森林公園における現地調査の概要を報告した。
-
森林林業振興助成事業 令和元年度 成果報告書 森林を活用した障害者・高齢者の保健休養及びレクリエーションの今後の展開方向に関する実証的調査事業
上原 巌
森林林業振興助成事業 令和元年度 成果報告書 (日本森林林業振興会・全国森林レクリエーション協会・日本森林保健学会 共同) 1 1 - 57 2020年06月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:会議報告等 出版者・発行元:日本森林林業振興会
2020年度 事業報告 要旨
21世紀を迎えた今日、障害者を含むすべての人々が同等に生活し活動する社会を目指す「ノーマライゼーション:normalization」の理念に基づき、障害等の有無にかかわらず、誰もがその人格と個性を尊重し、支え合う「共生社会」の実現が求められている。
このような社会背景の中、2020年(令和2年)に身体障害者(肢体不自由(上肢・下肢および欠損、麻痺)、脳性麻痺、視覚障害、知的障害)を対象とした世界最高峰の障害者スポーツの総合競技大会であるパラリンピックが東京で開催されることとなった。1998年(平成10年)の長野パラリンピック冬季大会の際にも同様の現象がみられたが、同大会の開催を契機に一般の障害者スポーツへの関心が再び急速に高まっている。この機運を障害者全体への理解へと繋げ、さらにノーマライゼーションの普及、定着をはかっていくことも、今回の東京パラリンピックの開催趣旨、ミッションとしても重要な意義を持っている。 そして、障害者への理解がより深化したノーマライゼーション社会の実現のためには、様々な分野、機会を通じて必要な措置を講ずる努力をしていくことが重要である。
森林は、木材生産をはじめ、災害防止、水源涵養、生物多様性の保全など、様々な機能を有し、近年はその保健休養機能として、森林浴や森林療法など、人々の健康増進をはじめ、医療、福祉においてもその活用が広がり、人々の関心、ニーズも高まっている。また、近年では、トレイルラン、マウンテンバイクなど、郊外の森林環境を活用したアウトドア・スポーツも同時に人気を高めてきている。
しかしながら、前述したノーマライゼーション社会の実現のためには、障害等の有無にかかわらず、すべての人が森林を活用し、その保健休養効果やスポーツ、レクリエーションを享受できる環境・施設整備や、利用プログラム・ソフトの開発、そしてそれらをサービス・供給する体制の構築および人材面を育成することが課題である。
そこで、本事業では、わが国における障害者の森林活用の現状を調査分析するとともに、諸外国における状況と比較検討も行い、わが国における課題を抽出して、今後の展開方向をまず検討する。次に、森林の活用が障害者に及ぼす影響等を調査し、障害者が保健休養やスポーツ、レクリエーションの場として、その積極的な利用のために必要とする施設の整備や、効果的な利用プログラムを開発するとともに、その活動を支援する人材育成および体制づくりを検討する。これらの検討を通じて、障害者の森林を活用した保健休養および森林レクリエーション、スポーツの普及を図ることを目的とした。
<初年度 2020年度の内容>
1.わが国における障害者の森林活用の現状調査
わが国における障害者の森林活用の現状調査として、特に森林林公園等における障害者対応の状況の把握を行った。障害者が保健休養やレクリエーションとして森林公園等を利用するに当たっては、健常者とは異なったニーズや視点に立った施設整備や利用プログラムが必要となるため、まずはその障害者の森林活用の実態を把握することを目的に、全国の主要な31か所の森林公園(レクリエーションの森を含む)の管理者等に対してアンケート調査を実施し、障害者の利用状況、障害者に対応した施設の整備状況、障害者が利用できるプログラムの有無と内容を調査し、そのアンケート結果をふまえ、先進的な事例・モデル等を持つと思われる東京都立砧公園、神戸市立森林植物園、愛知県森林公園の3か所を選択し、現地調査を行った。
2.森林における障害者への対応の諸外国の現状調査
障害者が森林での保健休養やレクリエーション活動を行うために必要な施設整備のガイドライン等について諸外国での整備状況の文献調査を行い、その結果から、ベルギーにおける障害者の森林利用についての先進的な優良事例を収集した。
3.シンポジウムの開催
上記の1,2の調査結果を報告するシンポジウムを2020年6月2日に東京都内で開催 予定であったが、新型コロナウイルス(COVID-19)の発生・流行とその対策による緊急事態宣言発令のため、開催は中止となった。
次年度2021年度以降に開催を期したい。 -
上原 巌
森林技術 938 46 - 49 2020年06月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本森林技術協会
「森林療法」という言葉が,日本森林学会で1999年に提唱されてから20 年が経過した。この間,いくつもの派生語が生まれ,地域おこしビジネスへも分化し,さまざまな変遷が見られている。
森林療法のオリジナルの定義は,「森林療法とは,森林環境を利用したリハビリテーション,カウンセリング,療育,作業療法,代替療法など,森林を総合的に活用した健康増進および福祉医療のこころみ」であった(上原1999)。しかしながら,その森林療法を具体的にはどのように導入し,実践したらよいのかわからないというのが,20 年経っても各地における実情なのではないだろうか?特に,地域福祉の重要性がさらに高まっている今日,森林療法の意義と需要も高まっている。しかし,その森林療法の導入には,「特別な森林環境が必要とされるのか?」「何らかの認定が必要なのか?」と,その実施に向けて二の足を踏んでいる福祉団体,関係者が多いことが推察される。
そこで、本報告では,埼玉と福岡における「地域の山林と福祉」が融合した二つの事例を紹介した。いずれも,地域の何の変哲もない山林の活用事例である。ここであえて強調しておきたいのは,「森林療法は万人のた
めのもの」ということだ。たとえば,インドのヨガなども今や地球規模で世界中に広がったが,それは老若男女を問わず,万人が親しみ,取り組むことができたからである。もしヨガが特別のお金を必要とし,特定の権利や登録商標であったなら,かくも広がらなかったことだろう。森林療法も同様である。
現在の社会における貧富の格差をはじめ,障害,人種,性別などに左右されず,すべての人に広がり,親しまれていくことを願っている。本報の地域の山林と地域福祉が結び付いた事例は,その一端である。 -
福岡県八女市の山林での活動 <連載>森林と健康 -森林浴、森林療法のいま- 第18回
上原 巌
森林レクリエーション 397 4 - 7 2020年06月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
福岡県八女市の山林を活用した、地域の森林関係NPOと社会福祉NPOによる協働の森林療法(作業療法)の事例について報告した。
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上原 巌
現代林業 2020年5月号 1 - 6 2020年05月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
福岡県八女市黒木町の山林では、地元のNPO法人「山村塾」と、となりの柳川市のNPO法人「宝箱」が協働で発達障害、精神障害者の方々を対象に、地域の山林を活用した森林療法に取り組んでいる。
「宝箱」が森林療法をとりいれたのは2008年。2020年現在は、八女市の共有林を借りて、毎月2回のペースで森林療法を継続している。内容は、林地残材の丸太を搬出し、それを長さ1mほどに玉伐って運び、ボイラー資材にするという作業療法を主とするほか、林内のスギの落ち葉集めなども行い、それらはボイラーの焚き付けに使われている。山林での活動は、「見つける」「拾う」「運ぶ」「切る」「集める」などの単純作業に分割され、それぞれの利用者が各自の得意な活動に取り組んでいることがポイントである。山林での活動時間は、2時間程度。柳川市と八女市の往復の時間も入れると、半日がかりの活動である。
林地から搬出された材をボイラーで燃焼させた熱は、施設内の暖房をはじめ、介護入浴サービスの給湯などに利用されている。ボイラーの利用を始めてからは、さらに近隣の木工所やホームセンター、造園業者などからも木質残材が集まるようになった。
この地域の山林と福祉との融合は、何の変哲もない、どの地域にも見られる山林の活用であることが特徴だ。いわばどの山林であっても、森林療法の舞台となれることを示している。
現在の社会における様々な較差をはじめ、障害、人種、性別などにも左右されず、すべての人に森林療法が広がり、親しまれていくことを願っている。 -
地域の山林を利用した森林療法(埼玉県飯能での事例) <連載>森林と健康-森林浴、森林療法のいま- 第17回
上原 巌
森林レクリエーション 396 10 - 13 2020年05月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
「西川林業」発祥地である、埼玉県飯能市において、地元の森林活動NPOと東京の社会福祉法人の協働により、スギ、ヒノキ林を活用した森林療法を実践した結果を報告した。
活動を行ったのは、飯能市吾野地区のスギ、ヒノキ林であり、そのうち15年生の若齢ヒノキ林では間伐と搬出リレーによる作業活動も行った。
休養と活動を組み合わせた日帰りのプログラムであったが、社会福祉施設利用者の保健休養だけでなく、林産物の生産販売の可能性も得ることができた。 -
地域病院、社会福祉施設の事例 <連載>森林アメニティのすすめ -私たちの健康と森林ー 第2回目 招待あり 査読あり
上原 巌
グリーンパワー 2020年2月号 8 - 9 2020年02月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要) 出版者・発行元:森林文化協会
「森林は、私たちの心身を癒し、健康を増進する」-そんなキャッチフレーズを新聞や雑誌で時おり目にする。すべての人にそれが当てはまるとは言えないまでも、実際にはどのように森林が心身を癒す事例があるのだろうか?
本報では、各地の森林を活用した治療やケアの事例を報告した。
まず治療では、精神疾患の治療や心身のリハビリテーションの一環として、またケアでは、障害者の療育活動の一環として、森林散策や森林での作業活動を展開している事例が各地でみられている。
1.地域病院での事例
北海道苫小牧市の植苗病院では、精神疾患の患者さんが、病院隣接のミズナラ林を使って、その林内環境でのカウンセリングや作業療法を実施している。ミズナラ林は病棟のすぐそばにあるため、患者さんは不安感も低く、四季の風致変化を楽しむことができる。この事例では、普段の病室内では聞くことのできない個々の患者さん内面の思いや過去の回想などをこの林内のカウンセリングでは聞くことができたり、森林の中では、医師と患者という関係性や障壁が緩和されたりと、森林という空間、場を共有し、その風致を享受できることも利点であることが報告されている。
また、静岡県浜松市の天竜病院では、病院隣接の公立森林公園を活用して、散策を中心に、PTSD(精神的外傷ストレス)を抱えた患者さんなどの治療を行っている。この場合、森林が何も言わない、沈黙の環境条件であることが重要であるとされている。過去の辛い場面をフラッシュバックしてしまう重度の患者さんにとって、様々なインストラクションや解説などよりも、森林が無言で受容するそのこと自体が、治療の環境としてまず適切なのである。定期的な森林散策によって、個々の患者さんは、心身のストレスを軽減する効果がはたらいたことが報告されている。
次に、鹿児島県霧島市の霧島桜ケ丘病院では、病院隣接のスギ、ヒノキの放置林に間伐、ツル切り等の手入れを行って整備をし、主に認知症の患者さんのリハビリテーションや作業療法の場として森林の活用をしている。患者さんにはご高齢の方が多く、かつての農林業の体験をお持ちの方も多いため、当初予想していたよりも森林環境はスムースにリハビリテーションの場として受け入れられたそうだ。実際、森林内にリハビリテーションの場が設けられてから、それまで室内でのリハビリには参加しなかった患者さんが自主的にその森林空間に出かけるようになったケースも見られ、森林療法の効果としては認知症に伴う障害行動の減少やコミュニケーションの活性化、短期記憶の回復などが報告されている。
兵庫県の姫路北病院においては、地域の複数の森林に出かけての精神疾患の患者さんの治療を行っており、長野県北相木村の診療所では、認知症の患者さんに、むかしのことをふりかえってもらう「回想法」を地域の山林で行っている。いずれの事例もご高齢の患者さんが中心であるが、それぞれの人生には森林が深くかかわっている場合が多い。各自の人生を振り返る場として、またそれぞれの患者さんを育んだ故郷としての森林は意義を持っており、回想の作用を患者さんにもたらしている。とりわけ長期間、病棟内から戸外に出かけることが少なかった患者さんにとっては、森林のもたらすその作用は、コミュニケーション面にも影響を与え、普段は壁を相手に話をしていた患者さんが、森の中では、ごく普通に他者と会話ができたことなども報告されている。
また、長野県の鹿教湯温泉病院では、リハビリテーションの一環として80年代より森林浴を取り入れ、温泉浴と組みあわせたこころみを行っている。
以上、これらの地域病院でのこころみは、いずれもその地域の無名の森林をそのまま活用していることにも特徴がある。様々な自然療法バブルの勃興とともに、一般には、認証を受けた“森林療法用の特別な森林”が必要とされるイメージがあるかもしれないが、決してそうではない。どの森林にも患者さんの症状に治療効果をもたらす可能性がある。また、同時に、転倒、ケガなどをはじめ、リスクやデメリットも同時に存在する。
2.社会福祉施設での事例
長野県の自閉症療育施設「白樺の家」や、発達障害者臨床福祉施設「親愛の里松川」では、地元の山林に出かけ、シイタケ原木の生産活動などの野外療育活動を行っている。各施設の利用者さんは、知的障害、精神障害、そして発達障害などを抱える方々である。森林での活動には、「歩く」「見つける」「運ぶ」「適合させる」「叩く」などの療育要素が含まれ、総合的、全人的な活動となっている。その結果、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚の五官のリハビリテーションを行うことなり、コミュニケーションが活性化し、感情が安定して、生活能力、社会性が涵養されたという効果が報告されている。
また、兵庫県の社会福祉施設「かがやき神戸」でも、施設のかたわらにあるアカマツ林の手入れ作業を行い、知的・精神障害者の野外活動としてその森林を活用している。手入れ不足の山林が各地にみられる今日、こうした森林での作業が「作業療法」として活用できることも特長である。
3.今後の森林アメニティの可能性は? 個々のニーズと森林アメニティの合致
働き盛りの企業人や教員の心の保養づくり、また一般市民を対象とした作業療法と森林散策、リラクセーションをミックスした活動なども各地でもちろん行われている。
わが国の近未来における「超高齢化社会」における健康づくりや、今なお増え続けている生活習慣病予備軍の予防医療などにおいても、森林の持つ保健休養効果はその意義と重要性を高めていくことだろう。しかしながら、ここで肝心なことは、「万人に効果をもたらす森林」はないということである。つまり、個々の持つニーズに対して合致する森林のアメニティ(恵み)をあてがう、組み合わせることが肝要であるということだ。例えば、何よりも静けさを必要とする人には静かな森林を、身体を動かすことを必要とする人には、アップダウンの地形のある森林環境を、職場でも森林の恵みを享受したいという人には、樹木の香りを、などのように、それぞれのニーズにできるだけ見合ったアメニティを適合させることである。
(引用文献)
上原 巌・清水裕子・住友和弘・高山範理(2017)森林アメニティ学.朝倉書店. -
森林環境の回復
上原 巌
東京農大 東日本支援プロジェクト 2019年度成果報告書 1 8 - 11 2020年01月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要) 出版者・発行元:東京農業大学
森林再生班 報告 “放置林の再生”
【これまでの経過と活動趣旨】
福島県の森林では、2011年3月の福島第一原発の事故以来、放射線量が高いことが報告されているが、その実情はいまだに明らかにされていないことが多く、地元、近隣住民からの精査の要望が高い。そこで、同年より継続的に特に南相馬市を中心とした森林に定点観測地を設け、継続的に放射線量の測定を行ってきた。
①林床におけるサンプルの採集
2018年2月の時点では、森林のリター層(落葉層)の放射線量の減少がみられ、リター分解の進行とともに放射性物質が森林土壌に移行していることがうかがえている。また、シイタケ原木の萌芽枝からは、2016年より継続して、Cs134,137ともに放射線量は検出されておらず、クロモジ(クスノキ科)、ヤマグワ(クワ科)、クリ(ブナ科)、コナラ(ブナ科)、イヌシデ(カバノキ科)、アサダ(カバノキ科)、ミズキ(ミズキ科)、サンショウ(ミカン科)、コクサギ(ミカン科)、ヤマフジ(マメ科)、アセビ(ツツジ科)、若齢スギ(ヒノキ科)、ウワバミソウ(イラクサ科)などの採集サンプルからは、Cs134は非検出であった。また、若齢のスギや遷移上のパイオニア種であるアカメガシワなどからは、Cs134、Cs137ともに非検出であった。
以上の結果から、
・放射性降物質の被害を受けた森林では、セシウム134が激減している。
・林床リターの放射線量は減少し、森林土壌の表層部に移行中。
・自然の広葉樹、針葉樹の実生では、ともにセシウム134、137の双方が検出されない個体も増加している。
・切り株の萌芽更新では、萌芽枝からの放射線量は検出されなかった。
・森林からの流出水から、放射線量は検出されなかった。
の5点が現段階までにうかがえている。
さらに今後の森林再生の施業方策としては、間伐、除伐により、林内空間をあけ、林床照度を高めることによって樹木の天然更新(風散布、動物散布)を促進し、従来の針葉樹人工林との天然広葉樹との「針・広混交林」化をすすめることが現実的であり、かつ将来の展望を持てるものであると考えられる。そのため、2019年度では、間伐、除伐などの適切な森林保育がなされないまま放置されている民有林に着目して、その林地において間伐、除伐を実施し、森林の新陳代謝をはかることを主目的とした。
②間伐対象地の調査:2019年9月
本プロジェクトの間伐対象地として選定された相馬市今田字権現182の鎌田重昭氏の所有林において、林分状況を調査した。
林分は、1983年(昭和58年)に植栽されたスギ林であり、コナラが混交している。立木密度は2000本~2400本前後であり、樹高はスギ、コナラともに8~14m、胸高直径(DBH)は、スギ、コナラともに15~25㎝であった。
林床の植生調査を行ったところ、主な下層植生として下記の木本植物が確認された。
エンコウカエデ、ヤマザクラ、アカマツ、コナラ、クロモジ、シロダモ、ウラジロノキ、ウルシ、アオダモ、ツクバネ、モミ、イヌツゲ、ハリギリ、コクサギ、シャリンバイ、ガマズミ、オトコヨウゾメ、ミツバアケビなど。その他、ササ類が繁茂している。
林分の土壌は、砂質壌土~埴質壌土である。なお、スギ立木には、間伐、除伐不足による風通しの悪さによって発生したと思われるコブ病が認められた。
林内の平均相対照度は7.4%(±13.8)であった。
③間伐の実施(2019年10月)
間伐種は本数間伐で、15%、30%、50%の3段階であり、間伐前後の比較検討も行った。間伐後、相対照度を再度測定したところ、間伐率の段階ごとに、照度が回復していることがうかがえた。
今後の予定
林分の今後の施業として、
1.スギ植栽林を、スギ・コナラ混交林を主体とした針・広混交林に仕立てていく。
スギ林に混交するコナラを残存しながら、林床における天然更新を促進し、種の多様性の増加をはかり、土壌流亡などを抑止する森林を形成していく。いわば、「人工植栽+天然更新」による森林の再生をはかる。
2.林床に芽生え、生育しているクロモジ、ハリギリ、アオダモなどの有用広葉樹を育成する。林床には有用広葉樹も数多く分布しており、それらのモニタリング、分布密度を調べながら、有用広葉樹も育成も同時に行っていく。
の二案を提案する。
福島各地の森林では、いまなお、放射性降下性物質による影響は残存しているが、森林の保育作業を促進することにより、森林自体の新陳代謝を活性化させていきたい。 -
健康と自然の癒し その表裏一体の流行 <連載>森林アメニティのすすめ ―私たちの健康と森林ー
上原 巌
グリーンパワー 2020年1月号 8 - 9 2020年01月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要) 出版者・発行元:森林文化協会
以下の3つの内容について、報告した。
「森林の癒し」への懐疑
「森林」の実験に垣間見えるもの
健康と森林の関係とはその他リンク: https://www.shinrinbunka.com/
-
森林療法とはなにか 招待あり
上原 巌
こころの未来 22 30 - 33 2019年12月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要) 出版者・発行元:京都大学こころの未来研究センター
以下の5つの観点を含めながら、森林療法のこれからの経過と現状について記述した。
1.森林浴・森林療法という言葉
2.「健康バブル」
3.森林療法の対象と目的
4.現在の森林療法の内容
5.学会における研究・調査 -
森林の癒し効果 招待あり 査読あり
上原 巌
グリーンパワー 2019年9月号 6 - 7 2019年09月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:森林文化協会
2019年6月22日(土)午後1時半より、東京農業大学・横井講堂において、日本森林保健学会、東京農業大学、森林文化協会の合同主催による、「森林と健康シンポジウム」が盛況に開催された。
シンポジュウムの趣旨は、森林の持つ多面的な機能が年々その重要性を増し、森林浴、森林療法をはじめとする市民の保健休養に対する関心、ニーズも高まっている今日、地域医療、メンタルヘルス、学術研究などの視点から、森林と人間とのかかわりの方向性、可能性について再考することを目的とした。また、日本森林保健学会創設10周年の記念開催でもあり、シンポジュウムは一般公開、参加費無料で実施された。
シンポジュウムの主な内容は、以下の通りである。
1.基調講演「森林と健康」 上原 巌
本シンポジュウムのテーマでもある、森林と人間の健康の関係について、国内外における医療、福祉、心理、教育などの実践、事例を主に報告した。特に地域病院、社会福祉施設、学校、森林公園などにおいて、それぞれ認知症、PTSD,会社員、教員などの各対象者とした森の保健休養事例を報告し、
①「森林=健康」のイメージが定着しつつあるが、森林も人間も様々であり、その差異は大きく、森林で健康になる場合もあれば、そうでない場合もあること
②健康は、森林環境の条件と個人条件がうまく合致した時にもたらされる
③万人に対する森林保養のレシピは作り難い
④森林別、個人別の事例を重ねていくことが現在は最も大切
⑤ムードに乗ったビジネス投資は危険
などのことを報告し、「森林環境の健全度と人間の健全度は比例する」という仮説の提示で総括した。
2.研究報告
次に、日本森林保健学会より、3つの研究報告が行われた。
はじめに東北医科薬科大学の住友和弘准教授より、「地域医療における森林利用」についての研究報告があった。森林散策と森林内の大気測定による揮発物質との関連性や、地域における森林散策の定期的な実施によって、地域住民の高血圧患者の割合と脳卒中死亡率が減少した事例などが報告され、また、この事例から、地域の森林資源を活用した健康増進は、今後の「人生100年時代」において有効な可能性があることも述べられた。
次に、東京大学・富士癒しの森研究所の竹内啓恵特任研究員が、「森林環境と心の健康づくり」について報告した。ご自身の経験から、森林におけるメンタルヘルス活用の重要性についてまず述べられ、その後、森林散策カウンセリングの実際の事例を報告された。森林カウンセリングの意義とカウンセラーの役割についても言及され、都市部の緑地を活用したメンタルヘルス対策の可能性についても提案された。
最後に、森林総合研究所の高山範理ダイバーシティ推進室長が、「森林浴の科学的効果」について発表され、森林浴の国内外における研究の現況や、各評価指標や手法について、また森林浴を中心とした環境づくりや幸福度の向上など、今後の社会における可能性について報告した。
第2部はパネルディスカッション。ディスカッションに先立ち、森林文化協会常任理事の沖浩様よりご挨拶をいただき、森林と健康という古くかつ新しいテーマについての大きな期待と、森林文化協会と大学、学会との連携の強化についてもお話しいただいた。
パネルディスカッションは、東京農業大学副学長、同大学稲花小学校校長の夏秋啓子教授、同大学森林総合科学科長の佐藤孝吉教授よりご挨拶をいただき、第一部での登壇者4名も加わって、おこなわれた。
テーマは、参加者全員にわかりやすく、かつ共通認識が持てるように、「幼少期の森林体験」、「自分の人生で印象に残っている森林体験」「今後の森林教育、研究に期待すること」の3つについて討議された。
登壇者からのご回答はそれぞれ百花繚乱で、ユーモアも時折織り交ぜながら、楽しくディスカッションが進行した。やがて、キーワードは、「多様性と多領域の融合」に集約され、様々な方が、様々な思い、目的で集まることにとって、より豊かな森林の保健休養機能が導き出され、その効果も高まっていくのでは?と、全員の意見が一致した。
最後に、会場からの質疑応答の時間をもうけたところ、
①森林療法が地域医療で定着するには?
②野外に出たがらない対象者を森に連れ出すには?
③森林での良い就職口はあるか?
④森林を活用したコーチングの可能性
などの質問が参加者から出された。
①については、まずは地域での実効数値、事例を重ねていくことが大切であること
②については、いきなり屋外に連れ出さず、室内でも緑のイメージを持つなどのステップから始めること
③については、就職することを考えるのも一案だが、自分で起業してみるのも一案
④については、心身を鍛える場としても森林は好適な環境である
などの回答が登壇者から回答された。
1980年代の初頭、「森林浴」という言葉が生まれ、その後、20世紀のおわりに「森林療法」という言葉が生まれた(上原:日本森林学会大会 1999)。これらの言葉は、現在の健康増進ブームと一緒に、さらに「科学的根拠」をキャッチフレーズにもして、再び脚光を浴びている。また、地方創生、地方再生の幟のもと、過疎化、高齢化がすすんだ地域においては、新たなビジネス、起業としての森林活用も声高に叫ばれている。今回の記念シンポジウムでは、各地の森林を活用した健康増進の様々な事例を紹介し、「森林と健康」について、幅広く考えた。その結果、森林は私たちの健康を増進する場所ともなりうるし、そうでない場所ともなりうる、その森林環境と保健休養を望む人の諸条件がうまく合致した時に健康増進、保健休養の効果が得られる、したがって、現在はその合致条件を考究する、個々の事例研究の段階にあることなどが話し合われた。
自らの健康づくりをはじめ、起業家、学生など、様々な方々がそれぞれの思いを持ってこのシンポジウムにご参加された。ご参加された皆様をはじめ、森林と健康に思いを馳せる一人一人の思いが、それぞれ近い将来、結実していくことを願っている。 -
森林の保健休養効果・森林療法についての研究を再考する 招待あり 査読あり
上原 巌
生物資源 13 ( 2 ) 10 - 24 2019年09月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要) 出版者・発行元:農学生命科学研究支援機構
以下の内容で、現在の森林の保健休養効果、および森林療法に関する研究について論考、報告した。
1.はじめに -森林は本当に人を癒すのか?-
2.保健休養環境としての森林の特徴
3.「森林療法」の登場
4.森林療法の発祥・経緯と現況
5.森林療法の対象と目的
6.現在の森林療法の内容
7.森林療法の現在の課題
8.森林療法の研究
9.森林療法を考える上での大きな課題:多様性、複層性、個人差
10.効果の測定における課題
11.森林の保健休養効果の測定の今後
12・今後の研究の方向性 -
フィンランドでの森林療法の研修会 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 387 4 - 8 2019年08月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
現在、森林浴(Shinrin-yoku)、森林療法(Shinrin-ryoho)は、国際的にも広がりを見せ、これらの言葉は、アジアだけでなく、いまやヨーロッパや南北アメリカ、オセアニアにまで拡大している。
それぞれの地域においては、国際シンポジュウム、セミナーなども活発に行われるようになってきたが、本報では、北欧の国フィンランドで初めて開催された森林療法の国際研修会を報告した。
国際研修会 International Forest Therapy Days 2018には、地元フィンランドをはじめ、ノルウェー、スウェーデンなどの北法諸国、そしてベルギー、イギリス、アイルランド、ドイツ、ポルトガルなどのヨーロッパの国々だけでなく、アメリカ、カナダ、シンガポール、インドなどからの参加者もみられ、参加は全員、インターネットを通しての申し込みであった。
研修会の講師は、スウェーデン、インド、アメリカ、シンガポール、そして日本(上原)など、海外からの人員がほとんどであり、研修会の参加者には、看護師、薬剤師などの専門職が多いことも特徴的であった。
講義内容は、筆者の基調講演に始まり、その後、ヨーロッパにおける薬用植物と伝統的民間療法、フィンランドにおけるサウナの文化、そして流行のマインドフルネスなどであった。筆者は連日、森林におけるワークショップも担当したが、筆者以外のプログラムでも、内観、瞑想、グループ・コミュニケーションなど、精神的で静かなプログラムのものが主体であったことが特徴である。
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「森林と健康」を再考する 招待あり
上原 巌
日本森林インストラクター協会会報 145 1 - 1 2019年07月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:日本森林インストラクター協会
現在、森林と関連付けた健康増進、健康づくりがちょっとしたブームとなっている。過疎化や高齢化で悩む地域の山村の振興策としても、森林を活用した健康ビジネスが模索されている。その森林健康ビジネスの基盤、キーワードには、「科学的」という言葉が垣間見られることも特徴である。科学的な手法によって、森林の保健休養効果を明らかにし、それによって、地域の森林はお墨付きや認証を受け、観光客、保養客が地域に来るようになり、地域にお金が落ち、若者の新たな仕事、働き場所としても森林が活用できるという構想であろう。でも、本当にそうなるのだろうか?
最も私が危惧していることは、その物事の核となっている「科学的手法」が、実は科学的ではなかったとしたら、一体どうだろう?ということである。例えば、地域の方々は、「科学的」という言葉を聞いてもその「科学」はいわばブラックボックスであり、核心のところを知ることがない。地域の方としては、「森林というものは、人が癒される場所であるということが証明されたのだ」と純真に思っているかも知れない。しかし、実際には、それは科学的な手法だったのではなく、「癒さ
れる場所」ということをいわば導き出すための舞台仕掛けを「科学的」と呼んでいたのだったとしたら、どうなるだろう?
いま、様々な代替療法、セラピーも一種の流行にある。けれども、その多くは、信頼性よりも利益を優先しているものが数多い。大きな流行を見せ、一見うまくいっているように見えても、やがてその実態から当事者、対象者双方の信頼性を傷つける結果となるかも知れない。また、その流行の立役者には、産業振興企画者、研究者、インターネット、マスコミの宣伝などが絡むことが多いこともこの種のビジネスの特徴である。
小生の経験もふまえ、森林と健康について総合的にまとめると、
①森林を活用して健康になる場合もあれば、そうでない場合もある
②森林も人も様々であり、その差異はいずれも大きい。
③森林環境と個人条件がうまく合致した時に、健康が増進される
④万人に良いレシピは作りにくい
⑤個人別の事例を重ねていくことが大切
⑥ムードに乗ったビジネス投資は危険
などのことが上げられる。 -
海外における森林療法の現況(2) 査読あり
上原 巌
森林科学 86 49 - 53 2019年06月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本森林学会
現在、森林浴(Shinrin-yoku)、森林療法(Shinrin-ryoho)は、国際的にも拡大し、それぞれの地域と国々において、国際シンポジュウム、国際セミナーなども活発に行われるようになってきた。本報では、前報のアジア編に続き、ヨーロッパにおける現況を、主にドイツ、フィンランドの事例から報告した。
ヨーロッパでの森林療法の国際会議、研修会の様子を簡単に報告したが、そのほかの世界の数多くの国々においても、森林を活用した健康増進は現在、国際的な共通テーマになりつつある。
今後の展望としては、ステレオタイプでねずみ講のような形態やプログラム、企画のビジネスが広がっていくのではなく、各国の歴史、風土、文化、森林、そしてそれぞれの国民性、民俗性の特徴が生かされた、森林での健康増進のこころみが、各国、各地域のペース、スタイル、方法で広がっていくことを期待している。 -
長野県伊那市のカラマツ林での冬季の森林散策 <連載>森林と健康-森林浴、森林療法のいま- 第15回 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 385 8 - 11 2019年06月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
本報告では、長野県伊那市において、冬季の森林散策の効果に着目し、伊那市職員を対象に森林散策を行い、その結果を報告した。
森林散策時の野外気温は0℃、また室内気温は20℃で、散策距離は500m、森林散策時間は30分であった。
このような条件下において、被験者のストレス値(唾液アミラーゼ)は、森林散策後に低下し、その標準偏差も減少した。
また、5名の森林散策であっても、散策後には、林床の土壌硬度が増加した。
これらのことから、冬季においても森林散策の効果は期待できる場合があり、また少人数であっても、その踏圧によって簡易散策路の設定が可能であることの双方の結果が示された。 -
森林の保健休養の「効果」をはかるには? <連載>森林と健康-森林浴、森林療法のいま- 第14回 招待あり 査読あり
上原 巌
森林レクリエーション 384 8 - 11 2019年05月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
森林における保健休養の効果の測定について、以下の4つの観点から考察し、記述した。
1.森林の保健休養の「効果」について
2.森林の保健休養を考える上での大きな課題:個人差と森林の多様性&複層性
3.線形代数:行列について
4.森林と人間の多様な要素と組み合わせ -
各地の森林での研修会・ワークショップ <連載>森林と健康-森林浴、森林療法のいまー 第13回 招待あり 査読あり
上原 巌
森林レクリエーション 383 8 - 11 2019年04月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
現在の国民の森林での過ごし方と、森林に対する国民のイメージについて、内閣府・林野庁が行った意識調査の結果から紹介したのち、保健休養のための森づくりの実践について、各地の放置林(針葉樹人工林、広葉樹二次林の2例)を活用したワークショップを紹介した。
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台湾の大学演習林と森林療法
上原 巌
森林技術 924 28 - 31 2019年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本森林技術協会
2013年に台湾で森林療法の著書が2冊発刊され、同年より、台湾での森林療法の研修会を定期的に担当するようになった。研修会は、台北のような都市部と地域の山村の、大きく分けて2か所の会場で行うことが多く、その参加者の傾向にも明らかな差異がある。都市部では、都市住民のメンタルヘルスや健康増進、生活習慣病の予防、健康増進など、みどりの環境を健康増進のために渇望している方が多く、山村部では、地域振興を目的とした参加者が圧倒的に多い。しかし、これは、台湾だけではなく、日本においても同じ傾向がうかがえるところである。
台湾においては、国家的な森林政策の一環としても森林での保健休養の推進に力を入れており、それは各地の大学および演習林においても同様の傾向がみられている。
本報では、2013年、2018年に訪問した、国立中興大学、国立台湾大学の二つの大学演習林と当地での森林療法の研修会の様子を紹介した。 -
都内での市民講座 <連載>森林と健康ー森林浴、森林療法のいまー 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 382 4 - 7 2019年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
東京都内における森林療法の市民講座の事例として、
①青梅市における市民講座
②世田谷区における区民講座
の2つの事例を紹介した。いずれも、住宅街に隣接する「身近な森林」を活用したこころみである。
森林浴、森林療法というと、そのための何か特別な森林環境が必要であるかのような印象が一般にあるが、その実態はイメージの世界である部分も大きい。青梅の森、成城三丁目緑地はその点において、特別な森林に出かけずとも、森林浴、森林療法の場となりうる典型例のような場であるといえる。より生態系的に優れ、多様性が高く、自然度の高い森林で過ごすこととは次元もその効用も異なる。しかしながら、都市の生活から可及的に訪れることができる森林として、また非日常の空間として、青梅の森や、成城三丁目緑地の森林は価値がある。都市部においても、そのような樹林地、緑地は点在している。
欧米には「Urban Forestry」という一分野があり、そうした都市部の緑の造成、活用、効能についての研究が進んでいる。今後、日本の都市部においてもその流れは広がっていくことと思われる。 -
フィンランドでの森林療法の研修会
上原 巌
現代林業 2019年3月号 1 - 6 2019年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
現在、森林浴、森林療法は、国際的にも広がりを見せている。日本から発信されたこれらの言葉は、アジアだけでなく、ヨーロッパや南北アメリカ、オセアニアにまで伝わっている。本報では、その広がりの中でも、北欧のフィンランドにおける森林療法の研修会の様子を紹介した。
「Forest Therapy Days in Finland 2018」
2018年8月に、フィンランドでは初めてとなる、森林療法の国際研修会「Forest Therapy Days in Finland 2018」が、ファンランド南部のエロントゥーリ村で開催された。ヨーロッパでは、2017年9月にドイツ・ウスダムで開催された国際大会に次いで2回目となる森林療法の集会である。ちなみに、今回の研修会の発起人は、地元フィンランドの主婦2名である。
今回の国際研修会の参加者は、地元フィンランドのほか、ノルウェー、スウェーデン、ベルギー、イギリス、アイルランド、ドイツ、ポルトガルなどのヨーロッパ諸国から、またアメリカ、カナダ、シンガポール、インドなどの国々からもみられた。全員インターネットを通しての申し込みである。
研修会の講師は、スウェーデン、インド、アメリカ、シンガポール、そして日本(わたし)など、海外からの人員がほとんどであった。様々な専門家や実践者から、森林療法に関する様々なことを学び、手作りでフィンランドの森林療法を構築し、普及啓蒙していこう、という心構えの研修会であった。講師、一般参加者には、看護師、薬剤師が多いことも特徴であった。
研修会の内容は、「森林療法とは何か? フィンランドにおける可能性」という小生の基調講演と日本における事例紹介、ワークショップに始まり、各講師からヨーロッパにおける研究報告、薬用植物の講義、マインドフルネス、コーチング、そしてフィンランドにおける伝統的な民間療法、サウナ(薪、木の香り)の歴史と効用などであり、個性的なカリキュラムが並んだ。また、座学のあとは、それらを聞き流すだけではなく、復習を兼ねての実習も行われた。実習は、森林散策をはじめ、林内でのお茶や、静かな内観の時間など、「静」のプログラムが多く、昨年のドイツでのノルディックウォーキングをはじめとした「動」のプログラムとは対照的であった。
フィンランドは「森と湖の国」と称され、各地に森林と湖がある。同時に、その自然環境には、「ムーミン」を生んだ国であることからもわかるように、「森には精霊が棲んでいる」「樹木には魂が宿る」という日本と類似したアニミズムの文化もみられた。
今回の研修会で最も良かったことは、連日静かな森の中で、心静かに過ごすことができたことである。自然も人の心根も美しい。忘れがたいフィンランドでの一週間となった。 -
海外における森林療法の概況(1)-アジア諸国編- 査読あり
上原 巌
森林科学 85 40 - 44 2019年02月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本森林学会
現在、森林浴(Shinrin-yoku)、森林療法(Shinrin-ryoho)は、国際的にも広がりを見せ、これらの言葉は、アジアだけでなく、いまやヨーロッパや南北アメリカ、オセアニアにまで拡大し、それぞれの地域において、国際シンポジュウム、セミナーなども活発に行われるようになってきた。
本報では、各国で最近開催された森林と人間の健康を考える国際会議、シンポジュウムを中心に、森林浴、森林療法の現在の国際的な趨勢についてアジアとヨーロッパの2回に分けて報告し、前半である本論ではアジア諸国(韓国、中国:台湾)における現況を報告した。 -
森林と人間の健康を考える国際会議(ドイツ、韓国、台湾)連載 森林と健康 -森林浴、森林療法のいま- 第11回 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 376 4 - 7 2018年09月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
2017年にヨーロッパ、アジアで開催された、森林と人間の健康を考える国際会議について報告した。
1.ヨーロッパ:ドイツ
2017年9月13日、14日に、ドイツ:Usedamで開催された「1st International Congress The Forest and its Potential for Health」について報告した。
2.アジア:韓国
2017年10月25日~26日に韓国・榮州市で開催された森林療法の国際シンポジウムについて報告した。
3.アジア:台湾
台北市の台湾林務局:国際会議場で開催された、森林と人間の健康を考える国際会議「森林療癒 國際検討會 2017 International Conference of Forest Human Health and Well-being 2017」について報告した。 -
ミシガン州立大学森林科での森林療法の講義・実習 連載「森林と健康-森林浴、森林療法のいま-” 第10回 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 375 4 - 8 2018年08月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
2017年8月21日~10月21日の2か月間、アメリカ・ミシガン州立大学農学部林学科において行った講義、実習について、報告した。
報告内容は、主に、ミシガン州立大学と林学科(Department of Forestry)の歴史、現在の概要、自分の担当した授業・実習「Forest Amenities and forest therapy」の概要、大学演習林などについてである。 -
森林のアメニティ <連載>森林と健康 -森林浴、森林療法のいま- 第9回 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 374 4 - 10 2018年07月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
以下の6つのトピックスについて、各地の事例をふまえながら、記述・報告した。
1.アメニティとは
2.現代のストレス社会とアメニティ
3.健康と森林
4.ヒーリング
5.森林のアメニティ
6.森林アメニティの今後の展望”地森地健:ちしんちけん” -
森林・樹木と数学 行列(マトリックス) 連載:サイエンス講座
上原 巌
現代林業 2018年6月号 56 - 63 2018年06月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
数学の行列(マトリックス)を利用した森林・林業の施業のあり方を基本的に紹介し、さらに多次元的な活用の可能性について記述した。
また、基本的なデータの処理方法として、差の検定(t検定)と相関係数の2つを紹介し、林学と数学とのコラボレーションについて解説した。 -
ドイツにおける森林での保健休養 -森林と健康の国際会議- 査読あり
上原 巌
森林技術 915 26 - 29 2018年06月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本森林技術協会
ドイツにおける森林を活用した保健休養について、
①ドイツの保養地の環境条件
②保健休養と木材生産の両立
の2点について記述し、あわせて、
③森林と健康に関する国際会議(1st International Congress The forest and its Potential for Health)の様子をいずれも写真を交えて、報告した。 -
中国・台湾における森林療法の研修会 <連載>森林と健康 -森林浴、森林療法のいまー 第8回 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 373 4 - 7 2018年06月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
2013年から行っている、台湾、中国での森林療法の研修会について報告した。
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森林調査の数学的アプローチ 連載:サイエンス講座
上原 巌
現代林業 2018年5月号 54 - 62 2018年05月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
林分の毎木調査、林分密度管理図(樹高、DBH,密度、収量など)、立木材積表、丸太の材積計算、樹幹解析などを取り上げながら、対数やロジスティック理論などを解説した。また、ベクトルを利用した樹木、林分生長の予想についても報告した。
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森林・樹木と数学 査読あり
上原 巌
現代林業 2018年4月号 42 - 49 2018年04月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
雑誌「現代林業」のサイエンス講座(不定期連載)にて、「森林・樹木と数学」をテーマにて、解説した。
主な内容は、
・フィボナッチ数
・フラクタル
・円周率 π
・コンストラクタル法則
・フラーレン構造
・葉の曲率
などにふれながら、主に樹形の変化について、施業と関連付けながら解説をおこなった。 -
海外における森林の保健休養の事例 : イギリス <連載> 森林と健康 -森林浴、森林療法のいま- 招待あり 査読あり
上原 巌
森林レクリエーション 371 4 - 7 2018年04月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
海外における森林の保健休養の事例として、イギリスにおけるグリーンジムの事例を、ロンドン郊外ハムステッド、ブリストル市の2か所の例を取り上げながら、報告した。
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森林・樹木・人間・未来をつなぐ 招待あり
上原 巌
Aroma Research 19 ( 1 ) 8 - 9 2018年03月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:フレグランスジャーナル社
東京農業大学・造林学研究室における樹木の芳香研究について、下記の内容で報告した。
1.造林学研究室の概要
2.研究の紹介
3.研究プロジェクト
4.香りの研究
5.今後の展望 -
海外における森林の保健休養の事例 連載 森林と健康 森林浴、森林療法のいま 第6回 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 370 4 - 8 2018年03月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
海外における森林療法の事例地を下記のとおり、報告した。
1.ドイツ
ドイツの保養地の特徴
ドイツの保養地の環境条件
海浜保養地ゲーレン
ゲーレンのブナ林
クナイプ療法の国際シンポジュウム
2.イギリスにおける保養地の事例
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森林と人間の健康を考える国際会議 査読あり
上原 巌
現代林業 2018年2月号 1 - 6 2018年02月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
ドイツは、国民的に森林散策が好まれている国であり、現在ではその健康増進目的での森林散策も再注目されている。本報告では、2017年9月に、ドイツ北部Usedamで開催された、森林と健康の国際会議「1st International Congress The Forest and its Potential for Health”を報告した。
また、おとなりの台湾においても、現在、森林療法、森林を活用した健康増進がにわかに脚光を浴び、国家的にも推進されている。2017年11月に台北市で開催された森林療法の国際シンポジュウム、および国立の保健休養林にて開催されたワークショップの様子もあわせて報告した。
日本の里山がそのまま、「satoyama」として今や欧米で受け止められているように、森林療法もまた、「shinrin-ryoho」として、各国で発展していくこと、特に自然・森林環境と健康増進がより正しい方向性,可能性を持って広がっていくことを期待している。 -
ミシガン州立大学・林学科での講義・実習を担当して(下) 査読あり
上原 巌
森林技術 911 32 - 33 2018年02月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本森林技術協会
2017年8月~10月の2か月間、米国ミシガン州立大学農学部林学科において担当した「FOR491:Forest Amenities and Forest Therapy」の講義・実習について、あわせて学生の様子や、大学構内の演習林、ミシガン州の林業の現況、ホストファミリーについても報告した。
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「森林と人の健康を科学する」ということ 招待あり
上原 巌
山林 1605 2 - 9 2018年02月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:大日本山林会
現在、森林の持つ保健休養効果について、特に健康増進面における情報が著しく増加している。
本論では、その健康増進面における情報過多の中、「科学的」という言葉をまず検証し、森林と人間相互の持つ多様性について考察した。
そして、現在は、森林の保健休養機能の科学的研究は、いまなお事例蓄積の段階途上にあることを報告した。 -
<連載 森林と健康 -森林療法のいま- 第5回> 近隣諸国における森林の保健休養の事例 招待あり
上原 巌
森林レクリエーション 369 4 - 7 2018年02月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
現在、「森林浴:Shinrin-yoku」「森林療法:Shinrin-ryoho」は、日本国内だけではなく、アジアの近隣諸国においても、近年脚光を浴び、急激に浸透している。
本報では、韓国、台湾、中国における、森林を活用した保健休養の現況を報告した。 -
ミシガン州立大学・林学科での講義・実習を担当して(上) 査読あり
上原 巌
森林技術 910 28 - 30 2018年01月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要) 出版者・発行元:日本森林技術協会
2017年8月~10月まで、アメリカ・ミシガン州立大学(Michigan State University:MSU)の農学部林学科(Department of Forstry)で講義、実習を担当したことについて報告した。
本項では、
1)ミシガン州立大学について
2)MSUの林学科
①学科の概要
②研究・教育の場の開放
③学生について
④研究室について
3)東京農大との姉妹校流
について主に報告した。 -
地域における森林療法導入の事例③ 地域病院の森林利用 招待あり 査読あり
上原 巌
森林レクリエーション 367 4 - 7 2017年12月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
兵庫県神崎郡福崎町の姫路北病院において、2014年春から取り組んできた森林療法の事例について報告した。
同病院においては、病院スタッフ対象の研修会を2回まず行い、森林療法の実践が可能な森林を病院近隣に4か所設定し、入院患者を対象に実施という流れで行った。
森林療法を実践してのメリット、デメリットにもふれ、今後、地域の森林を医療や健康増進に活用する可能性についても記述した。 -
地域における森林療法導入の事例 長野県伊那市のカラマツ林 招待あり 査読あり
上原 巌
森林レクリエーション 366 4 - 7 2017年11月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
長野県伊那市のカラマツ林をテーマに、カラマツ林内における空気清浄度の指標生物であるウメノキゴケ、林床のクスノキ科の樹木のクロモジ、伊那谷カラマツ・ブランドの創出などについて報告した。
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地域の自然を活用した健康づくり 招待あり
上原 巌
健康保険 71 ( 11 ) 20 - 25 2017年11月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要) 出版者・発行元:健康保険組合連合会
今日、ヘルスルーリズムは、欧米において発達し、特にドイツ、オーストリアにおいては、一定の環境条件、人的条件の基準を満たした保養地(Kurort)が各地に存在し、それぞれの地域の自然環境を健康増進、保養に活用している。
本報では、ドイツとイギリスの保養地を紹介し、また保養地において開催された二つの国際シンポジュウムを報告し、地域の自然・森林環境を活用した健康増進・保養について考察した。 -
台湾での森林療法普及行脚の旅 査読あり
上原 巌
現代林業 2017年10月号 1 1 - 6 2017年10月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
2017年3月上旬に、台湾森林保健学会の後援により、台湾の山村部(南投県:竹山鎮大鞍里頂)と都市部(新竹市)の2か所において、それぞれ森林療法の研修会を実施した記録を報告した
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地域における森林療法導入の事例①放置林の活用(福岡県八女市、長野県筑北村) -森林浴、森林療法のいま 連載「森林と健康」第2回ー 招待あり 査読あり
上原 巌
森林レクリエーション 365 4 - 7 2017年10月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
地域の森林のおける森林療法の導入の事例として、福岡県八女市、および長野県筑北村のそれぞれ西日本と東日本におけるワークショップの事例を報告した。いずれも地域の放置林を活用したものであり、森林の整備作業場での工夫や端材の活用などもあわせて報告した。
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森林の医療利用と地域振興 招待あり 査読あり
上原 巌
森林等地域資源を活用した山村振興対策に関する調査報告書 1 42 - 50 2017年10月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:一般社団法人 日本林業協会
地域の身近な森林を活用した医療利用について、北海道、鹿児島県のそれぞれ東日本、西日本における地域病院において、その周辺の放置林を活用した事例を報告した。
また、地域の森林と地域医療をむすびつけることにより、「地健地森」という新たな時代が到来することも期待した。 -
森林浴、森林療法のいま -連載:森林と健康 第1回ー 招待あり 査読あり
上原 巌
森林レクリエーション 364 4 - 7 2017年09月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
現在、日本各地で、地域の森林を活用した保健休養事業が企画されている。しかしながら、その大半が低迷、停滞をしており、いわゆる「看板倒れ」のものも多い。
そこで、本論では、
1.森林を活用した保健休養事業が低迷している地域の共通点
2.森林の保健休養事業の共通点
3.保養地グループ運営の問題点
4.事業の低迷・停滞の理由
5.打開策
などについての考察を報告した。 -
保健休養のための森づくりの実践:各地におけるワークショップ 査読あり
上原 巌
森林技術 2017年6月号 903 22 - 25 2017年06月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本森林技術協会
全国各地に「放置林(人工林、広葉樹二次林を含む)」が増加している今日、それらを活用し、保健休養のための空間づくりのワークショップを全国で展開している。
本論では、それらのうちから福岡県八女市、長野県筑北村におけるワークショップの事例を紹介し、その整備手法についても報告した。 -
保健休養の視点からの森づくり
上原 巌
森林技術 ( 900 ) 28 - 31 2017年03月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本森林技術協会
「生物多様性」の重要性が近年とくに指摘されるようになっており、その動きの中で、「多様性」の価値の重要性もまた指摘をされてきている。森林・林業界においても、森林の「多面的機能」はもとより、生物多様性の重要性が声高にされるようになり、単一的、画一的でない、視点、手法の森林・林業の重要性が指摘され、「多様性」が一つのキーワードともなっている。
本論では、その多様性の中で、“森づくりの多様性”について、さらにその中でも「保健休養のための森づくり」について、自分が取り組んできた事例から報告を行った。
2011年12月に林野庁・内閣府が行った「森林と生活に関する世論調査」によると、景観・風景を楽しむ、心身の気分転換、自然の中でのんびりなどの回答割合が過半数を占め、精神的な気分転換、リラックスなど、静的な過ごし方をする国民が多く、登山、森林づくりボランティアなどの動的なアクティビティで過ごすのは少数派であることが示唆されている。かつての登山ブーム、スキーブームなどは現在沈静化し、逆に、のんびり、ゆっくり過ごすことを希望する国民が多いことが現在の趨勢である。
以上のことから、保健休養を目的とした森林づくりのあり方を検討する必要性が示されている今日、これまで自分が取り組んできた保健休養のための森づくりに関わった北海道および鹿児島県における地域病院での事例を紹介・報告した。
2003年に林野庁が発表した「高齢社会における森林空間の利用についての調査報告書」によると、病院周辺の森林を活用したいと希望している地域病院が過半数以上にのぼることが明らかにされており、今回の報告事例は、その希望に応える事例となりえたこととも考えられた。
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里山林を活用した保健休養の可能性
上原 巌、大場龍夫、奥 敬一、高橋生志雄、田中 浩、松本康裕、箕輪光博、山本信次
里山林の持続的利用を通じた再生手法に関する調査 18 - 24 2016年11月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:日本林業協会
計8名の調査委員会のメンバーによる調査報告書であり、「里山林を活用した保健休養の可能性」の項(18~24頁)を執筆した。
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森林保健研究の概況と今後の展望
上原 巌
森林保健研究 1 9 - 11 2016年10月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本森林保健学会
要旨:昨今は,「健康ブーム」であり,その健康ブームの中心,キーワードになっているのは,「自然」である。「自然の摂理」「本来の自然」に従った暮らし方,生き方が私たちを健康に導き,「自然環境」の中にこそその答えがあり,健康を取り戻すことができるというコンセプト,自然に従った生き方や自然を享受した健康増進は,古今東西で云い伝えられてきている。たとえば,「医学の祖」と云われる古代ギリシャの医師ヒポクラテスは,自然と人間の関係性から健康にアプローチした医学者であった。ヒポクラテスは,天体条件からはじめ,季節変化,気象条件,居住環境の条件,植物環境,そして,各患者の生活習慣,様式,体質,性格,嗜好,毎日の運動状況などから,総合的に治療法を処方していく姿勢をとっていた。人間の病気は,「人間の内にある自然」と「外にある自然」との不調和から生まれると考えるヒポクラテスの姿勢は21世紀の今日でも参考になることが多々ある。現在の日本における身近な森林を活用した保健休養の実践例では,生活習慣病の予防,精神疾患の治療,障害者療育,地域病院における作業療法やリハビリテーション,メンタルヘルスのこころみなどが萌芽し,みられている。ヒポクラテスの時代であっても,現代であっても,人間の健康は自然がもとになっていることは不変であり,普遍である。現在我が国の農山村に放置された森林や里山,休耕田なども地域住民の健康作りや福祉活動,そして医療利用の一環として再生する可能性が潜在しており,特に福祉分野の視点においては,地域の身近な森林での活動を核として,地域コミュニティを再形成していくことが今後の新たな福祉や医療,保健休養の一つの形態,パラダイムにもなり得る可能性を持っている。身近な森林を住民自らが自主的に楽しめる生活が,これから少しずつ市民の手によって全国で萌芽する種まきを今後も継続し,本学会誌は,その役割の一端も担っていくものとする。
キーワード:森林,保健休養,ヒポクラテス,地域,医療,福祉,メンタルヘルス
Abstract: Recently, in our 21st century, “health boom” and “health movement” have been taken place. The base and keyword of them is NATURE. In all over the world, the concepts of nature guides us to healthier lives have been known. Then, we have still attempted to follow the nature to promote our health. Hippocrates was an ancient Greek medical doctor and a physician who approached the relationship between human and health and nature. He made his prescription by reconsidering and arranging astronomic matters, climates, dwell environments, vegetative environment, patients’ and clients’ lifestyles, characters, flavors, exercise conditions, and so forth. We can still learn his attitude reconsidering the balance of our inner nature and outer nature to promote our health. In present Japan, some attempts dealing with forest and nature have been sprout up in the social welfare, medical, psychological, educational, mental health fields, and so forth. Especially, in the social welfare field, rural forests have big possibility not only for promoting health, but also for making new community and paradigm “rural health is made by rural forest”. We the Society of Forest Amenity and Human Health Promotion in Japan continue and encourage the new sprout attempts. This journal is also going to act the mission.
Keywords: forest, health promotion, Hippocrates, rural, medical, social welfare, mental health -
研究の視点いろいろ -精緻な林分管理モデルづくりに向けて-
上原 巌
現代林業 24 - 29 2016年09月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
今後の日本の林分管理における、森林の変化予測(4次元スケールでの手法)、「健全な森林」の林学的意義、樹木の指標性解析、森林・林分構造のモデル解析アプローチなどについて報告、解説した。
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精緻な林分管理の指標 -天然更新の樹木を再考する-
上原 巌
現代林業 14 - 23 2016年09月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
林分管理の一つの指標として、林内における天然更新の樹木に着目し、その指標性をはじめ、森林の持つ「自己治癒・免疫機能」としての植生変化、「開放系林分・閉鎖系林分」、4次元スケールでの林分変化予測などについて報告、解説、提案をおこなった。
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森林環境の持つ保健休養機能の基礎的研究と応用研究
上原 巌
森林科学 ( 77 ) 43 - 46 2016年06月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本森林学会
日本森林学会大会におけるテーマ別セッション「森林環境の持つ保健休養機能の基礎的研究と応用研究」は第127回大会(2016年3月:於 日本大学)で12回目を迎え、森林科学研究の分野の中で、一般市民の関心が高い分野の1つである。
これまでの大会では、生理的および心理的なアプローチの基礎的研究をはじめ、臨床事例、研究手法、尺度開発、国内外の地域における事例研究などが発表されてきた。基礎的研究から、保健休養に供する森林環境の整備といったハードの課題、治療・保養プログラム作成等のソフトの課題、そして各臨床症例や、保養地事例などに至るまで多岐にわたった内容になっていることが特徴である。そのため、森林・林業関係者だけでなく、医療、社会福祉、心理、教育など、多領域の専門家とコラボレーションを行ってきていることも本セッションの特色であると言える。
森林環境は、一般市民の日常的な健康増進はもとより、職場における保健衛生や、医療、福祉、教育などの諸分野においても利用の可能性が大きい。
本大会のセッションでは、そのような視点から生活習慣病や心の健康づくりに供する森林、樹木の利用、活用手法などの調査研究に特に重点を置き、また森林環境の持つ保健休養機能についての研究アプローチについても検討、考究している現状について報告した。 -
東京農業大学・奥多摩演習林における造林学実習の紹介
上原 巌
森林技術 ( 889 ) 24 - 27 2016年04月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本森林技術協会
東京農業大学・奥多摩演習林における森林総合科学科学生の実習概要について報告し、あわせて2014、2015年に行った学生アンケートの結果も報告した。
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私有林への新たな造林支援を -多様な森づくりー
上原 巌
現代林業 2016年 ( 1月 ) 54 - 59 2016年01月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
造林の使命、目的をはじめ、森林環境における多様性、森林の生産性、現在における造林の課題、多様な造林目的などについて記述した。
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海外における森林での保健休養の取り組み
上原 巌
現代林業 2016年 1月号 1 - 6 2016年01月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
韓国、台湾、ドイツ、イギリスにおける森林浴、森林療法の事例を紹介した。
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身近な自然・森林で自らの健康を再考する -ヒポクラテスの姿勢に学ぶー
上原 巌
森林と林業 2015年9月号 4 - 5 2015年09月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:日本林業協会
古代ギリシャのヒポクラテスの思想から、現代の森林浴、森林療法に継承されているもの、また日本各地における森林療法の取り組みの萌芽状況について報告した。
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里山林の持続的利用を通じた再生手法に関する調査
上原 巌、大場龍夫、奥 敬一、高橋生志雄、田中 浩、土屋俊幸、箕輪光博、山本信次
里山林の持続的利用を通じた再生手法に関する調査報告書 2014年11月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:日本林業協会
平成25~26年度に行われた「里山林の持続的利用を通じた再生手法に関する調査委員会」の一人として同調査に参画し、同報告書のうち、「里山林を活用した保健休養の可能性」(pp.18-24)を担当執筆した。
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床土に木炭を施用した挿し木苗の養成試験
上原 巌
森林技術 ( 870 ) 32 - 35 2014年09月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本森林技術協会
木炭を混合した挿し床を設定し、挿し木苗の成長への影響を調べた試験結果を報告した。
供試材料は、ポプラ、イチョウの2樹種の挿し穂(20㎝)を用い、カラマツ、ナラ、オガ粉(ナラ材のオガ粉を固めたもの)の木炭をそれぞれ鹿沼土、黒土に混合した挿し床に挿し付けた。挿し付けは2013年5月上旬、掘り取りは同年10月下旬に行い、各挿し木苗の成長を観察し、根重と枝の伸長量などを比較した。
挿し穂の活着率は、ポプラの鹿沼土の挿し床では、カラマツ炭90%、ナラ炭85%、オガ炭85%、対象区65%、黒土の挿し床では、カラマツ炭70%、ナラ炭10%、オガ炭5%、対象区30%であった。
イチョウでは、鹿沼土の挿し床でナラ炭75%、オガ炭90%、対象区100%、黒土の挿し床では、ナラ炭35%、オガ炭45%、対象区5%との結果となった。
pHは、鹿沼土、黒土ともに全体的にやや酸性に変化した。 -
本の紹介 「清和研二 著 多種共存の森」 1000年続く森と林業の恵み 招待あり
上原 巌
森林技術 861 32 - 32 2013年12月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要) 出版者・発行元:日本森林技術協会
著者の清和先生とは,宮城県での視覚障害者を対象とした森林療法の仕事を一緒に担当させていただいたことがある。もちろん清和先生は森林生態学がご専門なのであるが,森づくりとその保健休養の効果についても興味をお持ちであり,そんなことからも本書のタイトルである「多種共存」の書き手としてのお人柄がうかがえる。
本書で清和先生は,天然林を一つの指標,お手本として論考とご研究を進められている。これまで林業界で云われてきた「尾根- マツ,沢- スギ,中- ヒノキ」といった単純な施業方法ではなく,個々の樹木,植物,動物,菌類の生存特性から森林が成立するメカニズムを考察し,実地に検証を行い,短絡的,近視眼的なゾーニングなどの手法ではなく,「生物多様性」が健全な森林の回復の主軸になることを導き出されている。この「生物多様性」を論拠にした森林づくりは,単相林で,間伐率,土壌養分などの要素からしか考えていなかった従来の施業方法の欠陥も明らかにし,今後の日本の森林の再生に大きな光を与えるものとなるが,その論
拠は本書に詳しく書かれている。
特に,「ジャンゼン-コンネル仮説」による,「親から離れるほど子ど
もの生存率は高まる」「親木の下では他種の子どもが生き残る」の検証などは一般の方々にとっても興味深い研究内容であり,森づくりの観点から従来の生態学の「棲み分け理論」とも結合していく流れには快哉感を覚えた。本書の中で清和先生が度々繰り返す「森が創られる仕組みは複雑にして精妙である」との言葉は,森林・林業界のすべての者があらためて胸に刻まなければならない言葉であろう。
最後に,本書を通して清和先生はご自身の生い立ちや日常生活における森林とのかかわり,そしてかつての巨木林への憧憬も語られている。はたして太古の巨木の森は還ってくるのか? 本書はその巨木の森への稚樹,後継樹を育てていく一つの道標にもなっている。 -
森林療法の最新トピックス(その3) ヒポクラテス、森林美学、そして森林療法
上原 巌
森林レクリエーション 319 4 - 7 2013年12月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
古代ギリシャの「医学の祖」であるヒポクラテスの思想、19世紀のザリッシュ、20世紀の新島善直、村山醸造の「森林美学」の思想から、現在の森林療法までの流れを概観し、今後の展望について記述した。
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森林療法の最新トピックス(その2) 地域病院における森林療法の事例
上原 巌
森林レクリエーション 318 4 - 7 2013年11月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリレーション協会
鹿児島県霧島市の霧島桜ヶ丘病院における、病院周辺のスギ、ヒノキ放置林を活用した、認知症患者対象の森林療法の事例を報告した。
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森林療法の最新トピックス(その1)-市役所職員を対象とした事例-
上原 巌
森林レクリエーション ( 317 ) 4 - 7 2013年10月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
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森の効能を知る -心と体を回復する森林療法の基礎知識-
上原 巌
Tokyo Walker 22 - 23 2013年10月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア) 出版者・発行元:角川マガジンズ
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森林の保健休養効果評価の一モデル
上原 巌
山林 1552 38 - 44 2013年09月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:大日本山林会
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照葉樹林での森林療法を考える
上原 巌
照葉樹林だより 34 2 - 3 2013年07月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:てるのは森の会
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現在の森林療法に思うこと
上原 巌
森林レクリエーション 311 1 - 1 2013年04月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
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森林療法 今後の可能性と課題
上原 巌
森林と林業 4 - 5 2012年12月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:日本林業協会
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ブックス 「エビデンスからみた森林浴のストレス低減効果と今後の展開 -心身健康科学の視点からー 招待あり
上原 巌
森林科学 66 51 - 51 2012年12月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要) 出版者・発行元:日本森林学会
「森林浴」という言葉が造られたのは、1982年(昭和57年)のことである。「森林でみどりのシャワーを浴び、心身をリフレッシュしませんか?」というキャッチフレーズであった。その後、「〇〇療法」「〇〇セラピー」という言葉も生まれてきた。とかく「科学」がキーワードとなり、宣伝の道具立て、舞台仕掛けともなる今日、森林浴についてもまた、「科学的検証」という言い回しを目にするようになった。
本書の著者である高山範理氏は、かねてより森林散策、森林風致の心身にもたらす作用について調査研究を重ねてきた研究者である。
本書において高山氏は、まずこれまでの国内外における森林浴に関するエビデンス・ベースの研究成果を振り返り、それらの結果から「心身健康医学:人間のこころとからだの有機的な関連性を科学的に解明しようとする学問領域」の視点に立ち、特に心理的効果についての考察を深めている。研究手法を心理的効果に重点を置いた理由としては、実際の森林浴に関わるプログラムや森林の環境整備には、心理的な知見が解釈容易であり、計画に反映しやすく、現場レベルで有用であることと、個人特性を考慮した分類では、生理的な差異の測定や抽出が非常に困難であることが考慮されている。
高山氏の実験の手法は、森林環境と都市環境の二対比較において、これまでの課題であった被験者の森林に対する印象、森林に対する知識や経験、性格、価値観、自己効力感などの「個人差」の側面から森林浴のストレス低減効果を考察していることに特徴がある。その研究成果をふまえ、高山氏はさらに現代の日本において急増している気分障害、不安障害などの精神疾患の予備軍となる神経症傾向にも着目し、その傾向を持つ被験者を対象にして、森林浴が気分変化などにどのような作用をもたらすかを調べ、神経症傾向の高い人々こそ、森林浴がより心理的に効果的な場合がある可能性を示している。
これらの分析結果をふまえ、本書の最後では、個人差に配慮したプログラムのあり方、森林環境の整備方策についても言及され、「心身相関:こころとからだの有機的相関性」をキーコンセプトにした、森林浴による心理的な健康状態の維持、増進、回復を目指されている。
今後の課題としては、天候をはじめ、森林の植生、樹木密度、林内照度などとの関連性といった森林ハードの問題と、より「効果的な」プログラムのあり方といったソフト面の課題があげられている。
森林浴の与える効果を簡単な紋切り型で片付けてしまうのではなく、関連する要素を一つ一つ検証して、エビデンスを構築していく高山氏の姿勢と手法には学ぶことが多い。森林浴の可能性と魅力をさらにひろげていく好著である。 -
地域のみどりの保全活動を通して健康づくり 英国のBTCVおよびグリーンジムの活動について
上原 巌
現代林業 566 1 - 6 2012年10月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
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英国のBTCVおよびグリーンジムの活動について
上原 巌
山林 1540 44 - 49 2012年09月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:大日本山林会
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森林を活用した保健休養 -森林療法の事例と課題-
上原 巌
山林 ( 1523 ) 2 - 11 2012年04月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(学術雑誌) 出版者・発行元:大日本山林会
森林療法の定義、概要をはじめ、福祉分野、医療分野、心理分野での各事例を報告し、地域の森林を核とした新たな地域コミュニティの可能性について記述した。
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森林と人間相互の健康を目指して 日本森林保健学会の活動
上原 巌
現代林業 ( 2011年11月号 ) 2 - 6 2011年11月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
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夏目漱石を癒したスコットランドの森
上原 巌
森発見 ( 22 ) 14 - 15 2011年09月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:大阪万博記念公園
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名著「生きがいについて」を生んだ軽井沢の森-神谷美恵子さんの事例
上原 巌
森発見 ( 23 ) 14 - 15 2011年09月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:大阪万博記念公園
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森林療法の魅力と可能性
上原 巌
地球のこども ( 2011年9月 ) 3 - 6 2011年09月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:財団法人 地球のこども
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現在までの森林療法の概要と今後の展望-その7- 地域の森林を活用した高齢者医療の事例
上原 巌
森林レクリエーション 2010年8月号 4 - 6 2010年08月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
地域の森林を活用した森林療法の1事例として、北海道中頓別町における、高血圧の高齢者を対象とした事例を報告した。
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緑のキーワード:森林療法
上原 巌
森林技術 2010年7月号 33 2010年07月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:日本森林技術協会
森林療法の定義をはじめ、1999年の日本林学会で発表された経過、今後の展望などについて記述した。
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現在までの森林療法の概要と今後の展望-その6- 高齢者を対象とした森林療法の事例
上原 巌
森林レクリエーション 2010年6月号 4 - 8 2010年06月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
高齢者を対象とした各地における森林療法の事例として、神戸市老人大学校、埼玉県日高市公民館における市民講座の事例などを紹介し、今後の高齢化社会における地域の森林を活用した健康増進の可能性について記述した。
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森林療法とは何か -その概要と地域における今後の可能性-
上原 巌
森林技術 2010年6月号 2 - 9 2010年06月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:日本森林技術協会
森林療法の概要と特徴、森林療法と森林浴の違い、行政におけるこれまでの動き、現在の森林療法の具体的な内容、学会における研究・調査、今後の展望などついて報告した。
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現在までの森林療法の概要と今後の展望-その5-
上原 巌
森林レクリエーション 2010年5月号 4 - 8 2010年05月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
北海道苫小牧市の植苗病院における、病院周辺のミズナラを中心とした雑木林を整備、活用して行った森林療法の事例を報告した。
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森林環境における保健休養および医療福祉利用
上原 巌
森林技術 2010年5月号 20 - 21 2010年05月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:日本森林技術協会
2010年4月4日に、筑波大学で開催された第121回日本森林学会のテーマ別シンポジュウム「森林環境における保健休養および医療福祉利用」の発表内容の概要を報告した。
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現在までの森林療法の現状と今後の展望 -その4- 医療領域における森林療法の事例
上原 巌
森林レクリエーション 2010年3月号 4 - 9 2010年03月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
病院に隣接されている森林公園を活用し、森林療法の実践を行った事例について報告した。
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現在までの森林療法の概要と今後の展望-その3- 視覚障がい者の方々との森林療法の事例-
上原 巌
森林レクリエーション 2010年2月号 4 - 8 2010年02月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
ある県における視覚障がい者を対象とした森林体験の様子、およびバリアフリー・ユニバーサルデザインの意義と現状などについて報告し、心身に障がいを抱えた方々を対象とした森林療法について記述した。
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現在までの森林療法の概要と今後の展望-その2- 障がい者福祉施設における森林療法の事例
上原 巌
森林レクリエーション 2009年12月号 4 - 9 2009年12月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
山間地域の社会福祉施設における、施設周辺の山林、特に放置林を活用した森林療法の事例、また住宅街に隣接した放置林を整備しながら行った森林療法の実践の事例を報告し、地域の森林を活用した森林療法の可能性について記述した。
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ワーズワースのロマン詩を育んだ風景とくまのプーさんが生まれた森を訪ねて
上原 巌
現代林業 2009年11月号 2 - 7 2009年11月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
イギリス湖水地方のワーズワースの住居周辺の自然環境と、童話「くまのプーさん」の作者のミルンが少年時代を過ごした、ロンドンから電車で1時間ほどのアッシュダウンフォーレストの2箇所について、またそのフットパス等についてレポートした。
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現在までの森林療法の概要と今後の展望 -その1-
上原 巌
森林レクリエーション 270 4 - 9 2009年11月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
1999年の日本林学会で発表された森林療法の定義をはじめ、以降の森林療法の経過、また森林の具体的な保健休養効果等について報告した。
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寺崎の樹型級を再考する(下)
上原 巌
森林技術 2009年7月号 28 - 30 2009年07月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:日本森林技術協会
寺崎が「樹型級」の編成に至るまでの経緯をはじめ、寺崎の考えた間伐種の分類、また、彼の樹型級のモデルとなった長野県浅間山国有林の現況、寺崎の樹型級の持つ造林上の課題等について記述した。
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連載:みどりの癒し~森林療法の効果と事例(その4:高齢者対象の事例)
上原 巌
せたがやクオータリー 2009年7月号 16 - 17 2009年07月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
高齢者を対象とした森林療法の効果と事例を紹介した。
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著名人の森林保養 漱石の滞在したスコットランド
上原 巌
現代林業 2009年6月号 1 - 6 2009年06月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
夏目漱石が1902年に保養・滞在したスコットランドのピトロッホリーを訪ね、その保養地の概要を報告した。
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寺崎の樹型級を再考する(上)
上原 巌
森林技術 2009年6月号 18 - 21 2009年06月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:日本森林技術協会
間伐は、林業の施業上重要な保育作業であるが、我が国の間伐作業にあたっては、寺崎渡氏の樹型級が定性間伐のみならず、定量間伐の際にも広く用いられている。しかしながら、その編成にあたるまでの経緯は、今日ではあまり知られていない。そこで、現在における間伐のあり方を再考する上においても、寺崎氏の樹型級の編成、また間伐種の分類に至るまでの経緯を改めて知ることは意義のあることと考え、寺崎氏の残した文献から、その経緯を考察した。
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みどりの癒し-森林療法の効果と事例 (その2:学校の先生方対象の事例)
上原 巌
せたがやクオータリー 2009年5月号 16 - 17 2009年05月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
森林療法の事例として、関東甲信越の中学校、高校の教員を対象に行った森林療法のワークショップの事例を紹介し、その効果のデータを報告した。
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みどりの癒し:森林療法の効果と事例 (その2 都市部の企業人対象の事例)
上原 巌
せたがやクオータリー 2009年3月号 2009年03月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
都市部の企業人を対象に、都市近郊林を利用して行った森林療法ワークショップの概要とその効果について記述した。
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連載:森林療法最前線 現在までの森林療法の概要と今後の展望
上原 巌
現代林業 2008年12月号 28 - 34 2008年12月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
森林療法が提唱されてから今日までの経過の概要、森林療法の具体的な内容、森林浴と森林療法の違い、森林療法と森林セラピーとの違い、森林療法の今後の展望などについて記述し、連載をまとめた。
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連載:森林療法最前線 山林作業は森林療法に組み入れることができるか?
上原 巌
現代林業 2008年11月号 28 - 31 2008年11月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
森林療法には、森林散策をはじめ、リハビリテーション、リラクセーション、カウンセリング、そして作業療法などの要素が含まれるが、森を健康な姿・状態にしていくために森の手入れ作業を行い、その手入れ作業が同時に「作業療法」として成り立つかを考えながら実施したワークショップの事例を報告した。
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連載:森林療法最前線 森林療法とアートとの融合
上原 巌
現代林業 2008年10月号 36 - 39 2008年10月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
2008年3月に東京農大キャンパスで行ったワークショップ「森林療法と芸術療法の融合」での内容を中心に、記述した。
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連載:森林療法最前線 教員のための森林療法
上原 巌
現代林業 2008年9月号 38 - 42 2008年09月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
教員の抱えるストレスの特徴をはじめ、関東甲信越の中学、高校の教員対象に行った森林療法のワークショップの結果を報告した。
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連載:「森林療法最前線」 市民対象の森林療法
上原 巌
現代林業 2008年8月号 32 - 35 2008年08月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
今日までに報告されてきている森林の保健休養効果の具体的な事例をはじめ、生活習慣病、メンタルヘルス対策としての森林療法の事例、一般市民を対象としたワークショップの結果などをまとめて報告した。
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森林と共に健康を目指す
上原 巌
森づくりフォーラム 2008年07月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:NPO法人森づくりフォーラム
2007年9月に認証されたNPO法人日本森林療法協会の活動内容と、同協会における森林作業と関連させた作業療法ワークショップ等について報告した。
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連載:森林療法最前線 高齢者対象の森林療法の可能性
上原 巌
現代林業 2008年7月号 36 - 39 2008年07月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
今後の我が国における高齢化社会で森林療法に対して期待されている事柄をはじめ、高齢者対象の実践事例などについて記述した。
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連載:森林療法最前線 北海道のある病院での取り組み -病院周辺の身近な森林環境を利用して-
上原 巌
現代林業 2008年6月号 36 - 39 2008年06月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
身近な森林環境を利用しての森林療法の試みでは、これまでに社会福祉施設や病院周辺の森林環境を活用した事例が報告されてきているが、施設や病院周辺に、最初から療法を実践するのに好適な森林環境があるケースは少ない。そこで本報では、身近な場所での森林療法の環境の確保や現地調査、環境整備を行いながら、療法空間を作り、森林療法を実践した病院の取り組みの事例を報告した。
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スギの隠れた能力
上原 巌
森林レクリエーション 2008年6月号 3 2008年06月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国森林レクリエーション協会
スギの花粉症を引き起こす1原因、スギの花・葉言葉、森林療法におけるスギの効用などについて記述した。
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森林セラピー研究会のあゆみ -森林を活用した心身の癒しと健康づくりに向け-
森林セラピー研究会
2008年06月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:森林セラピー研究会
2004年3月に発足した「森林セラピー研究会」の活動報告のまとめ。
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連載:森林療法最前線 「森林療法の現在における課題」
上原 巌
「現代林業」2008年5月号 28 - 31 2008年05月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
現在各地で始められている森林療法の取り組みにおける課題として、人材、森林環境、自在養成・研修会、プログラムの4点について述べ、今後の展望についても記述した。
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連載:森林療法最前線 ドイツの保養地を再び訪ねて②
上原 巌
現代林業 2008年4月号 30 - 33 2008年04月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
ドイツ・バイエルン州のクナイプ保養地(Kneipp Kurort)であるバート・ウェーリスホーフェン(Bad Woerishofen)、気候保養地(Heilkrimatische Kurort)であるシュバンガウ(Schwangau)、バーデン・ヴュルテンブルク州の温泉保養地(Baden Kurort)であるバーデンバーデン(Baden Baden)の3つの保養地を訪ね、その保養地概要やそれぞれの森林の概要について報告した。
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ドイツの保養地を再び訪ねて① 連載:森林療法最前線
上原 巌
現代林業 2008年3月号 34 - 37 2008年03月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
ドイツの保養地の種類、クナイプ保養地の環境条件、健康保険制度との関わりを簡潔に述べた。また、保養地の事例地として、ドイツ北部の海浜保養地ゲーレンの森林環境および保養散策の状況について報告し、あわせて、2007年5月に同地で開催されたクナイプ療法の国際シンポジュウム「Kneippiade 2007」での発表についても簡単に報告した。
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森林と野鳥と人間の健康
上原 巌
野鳥 2008年3月号 2008年03月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:財団法人 日本野鳥の会
自然野外環境、野鳥の生息環境、そして人間の保健休養の3要素の関連性について記述した。
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連載:森林療法最前線 森林療法研究会全国大会
上原 巌
現代林業 2008年2月号 38 - 41 2008年02月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
2007年8月に長野県信濃町で開催された森林療法研究会の全国大会の内容について報告した。
大会では、10団体の発表と4件の個人発表が行われ、団体発表では、地域における健康増進、自然体験と森林療法のタイアップ、心療内科と自然療法のタイアップ、保養事業としての試みの4カテゴリーが発表され、個人発表では、身近な里山を活用した病院の事例、森林における音楽療法を行った事例、森林療法とホリスティック医学、森林療法の現状と課題についての発表が行われた。
大会全体のまとめとして、今後は森林療法に供する森林環境のあり方と、それを担う人材の確保について慎重に検討していく必要性があることが確認された。 -
代替療法・自然療法・統合医療とホリスティック医学・医療
降矢英成・上野圭一・福岡博史・林真一郎・上原 巌
Holistic Magazine 2008 2008年02月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
2007年11月に東京で行われたホリスティック医学協会20周年記念シンポジュウムにおけるパネルディスカッションの内容を報告した。
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連載:森林療法最前線 東京・高尾の山での癒し+道づくりのワークショップ
上原 巌
現代林業 2008年1月号 36 - 41 2008年01月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
2007年6月に東京・高尾の分収林において、リラクセーションや道づくりのワークショップを行い、そのワークショップ中の唾液アミラーゼの変化や心理変化の様子を報告した。ワークショップの結果からは、通常の山林においても作業療法やリラクセーション環境としての利用が可能であることが示された。
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国民参加の森林づくりシンポジュウム 子どもと森をつなごう
上遠恵子,上原 巌,小西貴士,岡 信一,佐田智子
グリーンパワー 2008年01月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:森林文化協会
2007年10月27日に松山市愛媛県武道館で開かれた「国民参加のシンポジュウム 子どもと森をつなごう」において、ドイツにおける「森の幼稚園」(Waldkindergarten)の事例における保育効果や、日本における可能性を基調報告したほか、身近な森林環境を利用した子どもの保育・教育についてパネルディスカッションをした結果をまとめた。
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連載:森林療法最前線 北海道における森林療法の取り組み②
上原 巌
現代林業 2007年12月号 36 - 39 2007年12月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
北海道における森林療法の取り組みとして、鶴居町の山崎山林での事例と中頓別町における事例を取り上げた。
山崎山林は、私有林であるが、天然落葉広葉樹林下にトドマツ、アカエゾマツの植栽なども行い、複層林化を目指しているほか、タンチョウヅルの飛来する湖沼や、アイヌのチャシ(砦・祭事場)などの遺跡も保存されており、林業施業を行いながらの保健休養事業を展開している事例である。
また、中頓別町では、地域の中頓別病院の医師が中心になり、地域の温泉資源、アカエゾマツを中心とした森林資源を活用したNPO法人による森林療法の活動が展開されており、地域における健康増進と森林活用の事例として記述した。 -
連載:森林療法最前線 北海道における森林療法の取り組み①
上原 巌
現代林業 2007年11月号 34 - 37 2007年11月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
北海道における森林療法の取り組み事例として、上川郡下川町の事例を取り上げ、当地のNPO法人の活動概要とその特徴、また今後の可能性について報告した。
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学会報告:森林療法研究会全国大会
上原 巌
AROMA RESEARCH 18 ( 4 ) 94 - 95 2007年11月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
2007年8月に長野県信濃町で開催された森林療法研究会の全国大会の内容について報告した。
大会では、10団体の発表と4件の個人発表が行われ、団体発表では、地域における健康増進、自然体験と森林療法のタイアップ、心療内科と自然療法のタイアップ、保養事業としての試みの4カテゴリーが発表され、個人発表では、身近な里山を活用した病院の事例、森林における音楽療法を行った事例、森林療法とホリスティック医学、森林療法の現状と課題についての発表が行われた。
大会全体のまとめとして、今後は森林療法に供する森林環境のあり方と、それを担う人材の確保について慎重に検討していく必要性があることが確認された。 -
連載:森林療法最前線 視覚障がい者との森林体験の事例
上原 巌
現代林業 2007年10月号 38 - 41 2007年10月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
宮城県仙台市郊外の県立七ツ森森林公園を利用し、視覚障がい者を対象に森林体験を行った事例を報告した。
ワークショップを実施した結果、障がい者を対象とした森林体験では、森林環境の持つ多様な空間が体験できるよう、各障がいを考慮したインストラクションや説明を行う必要性があり、また単にユニバーサルデザインやバリアフリーといった要素にこだわるのではなく、できうる限り自然条件での体験ができるように企画、配慮を行うべきであることが視覚障がい者の参加者より示された。 -
連載:森林療法最前線 森林療法研究会の研修
上原 巌
「現代林業」 2007年9月号 32 - 35 2007年09月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
森林療法研究会における、森林療法の担い手研修、実際の症例(化学物質過敏症)の研修会の2つの事例を取り上げ、現在における森林療法のニーズ、課題についても記述した。
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連載:森林療法最前線 著名人の森林保養②
上原 巌
現代林業 2007年8月号 38 - 41 2007年08月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
ベートーベンのウイーン郊外の保養地バーデンでの滞在事例について、彼の日記の記述などから紹介した。また、夏目漱石、神谷美恵子、ベートーベンの3人の事例の共通点として、いずれも治療の困難な疾患や障がいの転地療養を目的として、自然・森林環境下での保養が行われ、その結果として、精神面での保養効果や安定化が得られたことをまとめた。
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著名人の森林保養① 連載:森林療法最前線
上原 巌
現代林業 2007年7月号 38 - 41 2007年07月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
夏目漱石(1867-1916)、神谷美恵子(1914-1979)の2名の自然保養地での森林保養の事例を当時の資料をもとに記述した。
夏目漱石の事例では、大都市ロンドンから、スコットランドの保養地ピトロクリ(Pitlochly)に転地保養し、その滞在が好ましかったこと、神谷美恵子の事例では、結核の治療に軽井沢に転地療養し、回復したことなどを報告し、自然・森林環境における保健休養の意義を述べた。 -
ドイツの自然保養地ゲーレン
上原 巌
現代林業 2007年7月号 1 - 6 2007年07月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
ドイツ北東の海浜保養地ゲーレンの概要をはじめ、当地のブナ林を主体とした自然保護区の森林環境について、また当地における保養散策、健康増進などについて、写真を織りまぜながら報告した。
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健全で美しい森林の効用 その保健休養機能の研究
上原 巌
新・実学ジャーナル ( 44 ) 1 - 3 2007年07月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:東京農業大学
森林環境の持つ保健休養機能について、その医療、福祉、カウンセリング分野等における事例、またそうした保健休養機能の高い森林環境の条件や、森林美学上の観点などについて記述した。
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連載:森林療法最前線 「住宅地における里山の再生と福祉利用の試み③」
上原 巌
[現代林業」2007年6月号 36 - 39 2007年06月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
神戸市における、放置林に除伐、間伐、散策道づくりなどの保育・整備作業を行いながら、森林での保健休養(森林療法)を実施した結果、知的障がいを抱えた参加対象者には、多動行動や異常行動の減少が、また精神障がいを抱えた参加対象者には集団行動やリラクセーションに積極的に関わるなどの変容がうかがえ、両障がい者ともに、他者とのコミュニケーションが促進されるようになったことなどを報告した。活動にあたった地域のボランティア参加者にも、里山の整備を通して、それまでにみられなかった新たな地域コミュニティが形成されたこと、また新たな課題などもあわせて報告し、里山の再生を核とした福祉活動と地域づくりの1モデルとして提示した。
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連載:森林療法最前線 住宅地における里山の再生と福祉利用の試み②
上原 巌
現代林業 2007年5月号 34 - 37 2007年05月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
神戸市郊外の住宅地に隣接するアカマツ・コナラ・アベマキを主とする二次林を再生しながら、当地における社会福祉施設(利用者は知的、精神、発達障がい者)における森林療法の取り組みの流れ、内容などについて記述した。
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森林環境の持つ保健休養の解明アプローチとその活用
上原 巌
森林技術 2007年5月号 22 - 23 2007年05月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:日本森林技術協会
九州大学で2007年4月に行われた第118回日本森林学会大会のテーマ別セッション:森林環境の持つ解明アプローチとその活用の内容(生理・心理分野などの基礎的研究、研究手法プログラム作成、臨床事例など)について報告し、森林環境の保健休養機能の持つ複雑な環境因子へのアプローチと、臨床研究の今後の2つの研究テーマの方向性、および社会における利用の可能性ついて記述した。
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連載:森林療法最前線 住宅地における里山の再生と福祉利用の試み①
上原 巌
現代林業 2007年4月号 34 - 37 2007年04月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
兵庫県神戸市郊外に30年以上放置されていたアカマツ・コナラ林の二次林を整備しながら、社会福祉利用と地域住民の健康作りを目指したプロジェクトの事例を報告した。
放置林内のゴミ拾い、踏査、枯損木の除去、除伐、間伐、散策路作り、休養空間作りといった整備作業から、森林空間の整備の進行に伴って、レクリエーションなどのワークショップができるようになるまでの経過を報告した。 -
地域の森林環境を活かした健康づくりと福祉利用 -高知における森林療法の可能性- pp.1-26.
上原 巌
平成18年度 四国森林・林業研究発表集 2007年04月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:四国森林管理局
森林療法の概要と、現在までの国内各地での事例を取り上げ、地域の身近な森林環境を活用しての健康増進の方法やその効果、また適地の条件について報告し、さらに四国・高知における森林療法の今後の展望、可能性について述べた。
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連載:森林療法最前線 身近な森林環境を利用したメンタルヘルスと健康づくり-ビジネスマンを対象として-
上原 巌
現代林業 2007年3月号 34 - 37 2007年03月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
都市部の企業から社員のメンタルヘルスの一環として、森林環境での保養の依頼を受け、森林療法のワークショップを行った結果を報告した。
ワークショップは、都市郊外の森林公園を利用して行い、午前中は個人で森林で過ごすプログラムを、午後はグループで過ごすプログラムを行う日帰り-1日の内容であった。
ワークショップの結果、12人の対象者(任意による参加者)には、緊張や興奮、疲労感、抑鬱感、不安感の緩和・減少と、爽快感の向上がそれぞれ認められ、特に不安感の減少効果が著しく認められた。
これらの結果から、身近な森林環境を利用しても、一般企業人を対象としたメンタルヘルス、健康づくりの可能性があること示された。 -
いわいずみ癒しマニュアル
上原 巌
2007年03月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:岩手県岩泉町
岩手県岩泉町における森林療法実践にあたっての指導者養成テキストとして作成した。
テキストの内容は、岩泉町の森林の概要と特徴、森林療法の概要、森林の保健休養機能についてこれまでにわかってきていること、森林の癒しの理由、森林療法の意義、環境設定、森林療法に必要とされるもの、実際のプログラム立案・作成・実行上の留意点について、プログラムの種類、町内のおすすめの森林環境などについて記述した。
A4版 46頁 -
平成18年度 国土施策創発調査 豪雪地帯における安心安全な地域づくりに関する調査
平成18年度 国土施策創発調査 豪雪地帯における安心安全な地域づくりに関する調査 検討委員会
2007年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:林野庁
平成18年度国土施策創発調査として実施された、「豪雪地帯における安心安全な地域づくりに関する調査」受託事業の報告書である。調査は、平成18年度の豪雪被害で浮き彫りとなった豪雪地帯の集落機能の低下や、雪処理の担い手不足等の課題に対処するため、平時の交流を基として緊急時の雪処理の担い手を含めた広域応援体制の活用・構築に関する検討を通じて、安心・安全で持続可能な豪雪地帯の形成を図ることを目的とした。
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連載:森林療法最前線 森林療法の医療グループ結成
上原 巌
現代林業2007年2月号 38 - 41 2007年02月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
「森林療法」に関心を持つ医療関係者の増加と、2006年6月に長野県軽井沢町で結成された森林療法研究会・医療部会の様子、天竜病院における、病院近接の県立森林公園を活用した森林療法の事例、東京の心療内科医による保養地の森林を活用した森林療法の事例、身近な里山を活用した知的、精神障がい者のデイケア・プログラムの事例などを報告した。
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連載:森林療法最前線 森林療法を進める上でのポイント③
上原 巌
現代林業 2007年1月号 36 - 39 2007年01月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
森林療法を実施する場所を選定する上での留意点、プログラム上での留意点、他の療法と比較した際の森林療法の特徴、実施上必要とされる「3つの多様性」などについて、報告した。
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森林療法のすすめ
上原 巌
ルネサンス 2007年01月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:日本ハーブ振興協会
生活習慣病、メンタルヘルス、福祉分野、医療関係、カウンセリング分野における森林療法のこれまでの事例と今後の可能性について報告した。特にメンタルヘルスの一環としての森林療法の導入については、実際の企業人を対象に1日森林療法のワークショップを実施したところ、特に気分評価の不安感が減少し、職場の同僚間におけるコミュニケーション、およびチームワークの向上などが認められた。同事例の気分評価では、そのほかにも、興奮と緊張、抑うつ感の緩和、爽快感の向上んどの観点においても有意差が認められた(p<0.05)。
また、森林療法の今後の普及のために、プログラムの構築や、専門資格の必要性などについても記述した。 -
連載:森林療法最前線 森林療法を進める上でのポイント②
上原 巌
現代林業 2006年12月号 42 - 45 2006年12月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
森林療法を実際に進めていく上での、対象者との接し方、留意点、問題点等について記述した。
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森林療法-身近な森林を活用した健康づくりと保養・医療.(癒される環境への生態デザイン)
上原 巌
ビオシティ ( 35 ) 58 - 63 2006年12月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
「森林療法」の定義と意義、健康増進、福祉分野、医療分野、カウンセリング分野などにおける森林療法の実際の事例、森林療法に適した環境条件、森林療法の進め方、今後の課題などについて総合的に報告した。
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連載:森林療法最前線 森林療法を進める上でのポイント①
上原 巌
現代林業 2006年11月号 38 - 41 2006年11月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
地域において森林療法のプログラムを始めるにあたっての留意点を報告した。
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連載:森林療法最前線 都市近郊の森林を活用したワークショップの事例-医療関係者と共に③
上原 巌
現代林業 2006年10月号 42 - 46 2006年10月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
東京・高尾の分収林内(スギ)において、医療・福祉関係者のグループによる森林保育のワークショップを行い、その前後による気分変化を報告し、森林保育作業によって得られる心理的効果について報告した。
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連載:森林療法最前線 都市近郊の森林を活用したワークショップの事例-医療関係者と共に②
上原 巌
現代林業 2006年9月号 38 - 41 2006年09月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
医療・福祉関係者を対象として、間伐体験をはじめとした森林保育作業を行ってもらい、また勤務先の病院、社会福祉施設等で適用可能な森林療法のプログラムを考案した結果などを報告した。
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連載:森林療法最前線 都市近郊の森林を活用したワークショップの事例-医療関係者と共に①
上原 巌
現代林業 2006年8月号 42 - 45 2006年08月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
医療・福祉関係者を対象に、東京・高尾の山林、雑木林を活用した行ったワークショップの事例を報告した。
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連載:森林療法最前線 森林療法ワークショップあれこれ③
上原 巌
現代林業 2006年7月号 44 - 47 2006年07月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
森林環境におけるリラクゼーション、自律訓練法、アートなど、静的なプログラムを報告し、森林療法の今後のあり方、活用などの展望も報告した。
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連載:森林療法最前線 森林療法ワークショップあれこれ②
上原 巌
現代林業 2006年6月号 44 - 47 2006年06月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
森林療法のワークショップのプログラムについて、特にグループでの活動プログラムを報告した。
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森の中でヒトは育つ.
上原 巌
21世紀愛知の子ども健康フォーラム 10 - 11 2006年06月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
幼児・児童の成長発達段階期における森林環境を利用した保育、教育の意義について記述した。
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連載:森林療法最前線 森林療法ワークショップあれこれ①
上原 巌
現代林業 2006年5月号 36 - 39 2006年05月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
森林療法のワークショップのプログラムについて、報告した。
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連載:森林療法最前線 日本における新たな保養地の萌芽③
上原 巌
現代林業 2006年4月号 36 - 39 2006年04月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
長野県信濃町における森林保養プログラムの概要、保養客のカウンセリングの事例、今後の森林保養の展望などについて報告した。
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森林療法-身近な森林を活用した保養と健康づくり
上原 巌
森林技術 2006年3月号 2006年03月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
森林療法の国内外の事例をはじめ、森林療法の適地となる森林環境条件、また国内各地の取り組みの現況について報告し、今後の森林療法の課題と方向性を示した。
pp.23-27 -
森林療法の現況と今後の可能性
上原 巌
グリーンスピリッツ 1 ( 2 ) 2006年03月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
森林の持つ保健休養機能についての最近の我が国の情勢をはじめ、それに伴う森林療法の概要と研究・調査面における現況を報告し、今後の森林・林業における可能性を論じた。
pp.8-9 -
連載:森林療法最前線 日本における新たな保養地の萌芽②
上原 巌
現代林業 2006年3月号 40 - 43 2006年03月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
長野県信濃町の森林保養事業に携わる人材養成、都市部からの保養客のモニター事業などを報告した。
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我が国の森林が健康増進に果たす役割
上原 巌
林業経済 58 ( 2 ) 2006年03月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
1980年代より提唱されてきた「森林浴」から「森林療法」に移行してきたこれまでの経過から、森林整備と行政、諸外国における森林の保健休養活動の事例、日本国内における先進的な取り組みなどについて述べ、我が国の森林環境の持つ今後の健康増進に寄与する可能性を論じた。
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森林資源を活用した「癒しと健康づくりプログラム」
上原巌
2006年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:宮崎県
宮崎県内における森林療法を活用した健康増進および保養プログラムを構築した。
担当部分:プログラムの対象、種類及び手法、環境の設定、プログラムの進め方 -
小野長寿の郷(仮称)市場地区 健康・交流施設計画フォローアップ調査報告書-里山を活用した代替療法の展開によるトータルな健康の創造をめざす健康・交流の郷づくり-.兵庫県県土整備局
上原巌
2006年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:兵庫県
兵庫県小野市市場地区における、里山を活用した健康・交流施設計画についてまとめた。
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福島県フォレストセラピー基本調査業務委託報告書
全国林業改良普及協会、上原 巌、山岸清隆
2006年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
福島県における県民の森林療法による健康増進を図るため、1つのモデルとして福島県民森林公園を活用したプログラムを提示した。
担当部分:「Ⅱ.フォレストセラピープログラムの具体的構想化に向けて」pp.17-70. -
連載:森林療法最前線 日本における新たな保養地の萌芽①
上原 巌
現代林業 2006年2月号 40 - 43 2006年02月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
日本における新たな森林保養のあり方を検討している地域として、長野県上水内郡信濃町を事例として取り上げ、当地における森林の保健休養事業の概要を報告した。
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日本における森林療法の現況と今後の可能性.地域づくり
上原 巌
地域づくり 2006年1月号 2006年01月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
森林療法の定義・概要および効果や、日本各地における事例を報告しながら、今後の森林再生と絡めての森林療法の可能性について提言した。
pp.27-29 -
連載:森林療法最前線 ドイツの森を訪ねて③
上原 巌
現代林業 2006年1月号 36 - 39 2006年01月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
ドイツ・バイエルン州の「気候保養地」についての概要と当地におけるリハビリテーション病院の様子、また日本国内において森林療法の導入が円滑にいっている地域とそうでない地域などを述べた。
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連載:森林療法最前線 ドイツの森を訪ねて②
上原 巌
現代林業 2005年12月号 36 - 39 2005年12月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
ドイツの各保養地で現在取り入れられるようになったノルディック・ウオーキングをはじめ、保養客の1日の過ごし方等について報告した。
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森林療法の可能性と課題
上原 巌
グリーンエージ 2005年11月号 2005年11月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
森林療法における医療的リハビリテーション、障害者療育、心理・カウンセリング、幼児保育の各分野における最近の国内外の事例と今後の展望を示しながら、工場緑化も含めた形態での森林・造園、緑化事業分野におけるその可能性、また森林療法の進め方について記述した。
pp.4-12 -
連載:森林療法最前線 ドイツの森を訪ねて①
上原 巌
現代林業 2005年11月号 36 - 39 2005年11月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
ドイツ・バイエルン州の保養地における保養形態と、その保養環境の整備等の状況について報告した。
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連載:森林療法最前線 森林公園を利用した心の治療の試み②
上原 巌
現代林業 2005年10月号 38 - 41 2005年10月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
東海地方の病院において、病院周辺の森林公園を活用し、定期的な森林療法を行うことによって、PTSD疾患を抱えた対象者に良好な変容が現れたことを報告し、身近な森林公園の環境下であっても治療効果が潜在していることを示した。
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植物の香りについて
上原 巌
AROMA RESEARCH No.23. 6 ( 3 ) 53 2005年10月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
身近な植物の香りについて述べた
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森林療法の現況と今後の展望
上原 巌
グリーンエージ 2005年9月号 2005年09月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
森林療法における医療的リハビリテーション、障害者療育、心理・カウンセリング、幼児保育の各分野における国内外の事例と今後の展望を示しながら、森林・造園、緑化事業分野におけるその可能性を論じた。
pp.4-7 -
連載:森林療法最前線 森林公園を利用した心の治療の試み①
上原 巌
現代林業 2005年9月号 34 - 37 2005年09月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
東海地方の病院において、病院周辺の森林公園を活用し、定期的な森林療法を行うことによって、PTSD疾患を抱えた対象者に良好な変容が現れたことを報告した。
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連載:森林療法最前線 森林療法はいまどんな状況にあるのか?
上原 巌
現代林業 2005年8月号 38 - 41 2005年08月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
森林療法の現在における状況と課題について、国内外の事例、国内の各地での研究会の様子、学会、地域行政における動きなどの観点から述べた。
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森林環境の持つ保健休養機能についての新たな研究の展開
上原 巌
森林技術 2005年5月号 2005年05月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
第116回日本森林学会における同名のテーマ別セッションでの①森林環境要素についての研究、②森林環境における生理的・心理的研究、③臨床研究の、各研究発表の内容の概要をまとめ、報告を行った
pp.20 -
森林環境を利用した保健休養と福祉利用.
上原 巌
エコ・グリーンテック2005公式ガイド 24 - 29 2005年05月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
地域の森林環境を利用した市民の保健休養のあり方と、医療・福祉分野における利活用の可能性について、国内外のこれまでの事例を取り上げながら、報告した。
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北海道帯広千年の森プロジェクト事業報告書.
帯広営林局
2005年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:帯広営林局
国内の森林療法の事例と、北海道帯広市の「千年の森」を活用した森林療法のワークショップ、およびシンポジウムの結果をまとめた。
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千葉県健康と癒しの森整備事業に関する調査報告書
香川隆英,朴範槙
2005年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国林業改良普及協会
千葉県内における森林療法を活用した健康増進および福祉活動について考察を行った。
担当部分:B.森林療法プログラムの構想に向けて -
ドイツのクナイプ療法の発祥地を訪ねて
上原 巌
観光文化 168 2004年12月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
ドイツの自然療法であるクナイプ療法の発祥地バード・ウェーリスホーフェン市の保養地環境および保養の現状、歴史的変遷等について記述した。
-
山歩きから健康作りを再考する.
上原 巌
山と渓谷 2004年12月号 235 2004年12月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
山登りと森林療法の共通性、森林散策の心理的効果などについて記述した。
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子ども、先生、学校のための森林療法の可能性について
上原 巌
健康なこども 2004年9月号 42 - 42 2004年09月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
学校教育現場における森林環境の教育とカウンセリング利用について記述した
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森林療法研究会の活動-長野県軽井沢町での取り組みから.
上原 巌
現代林業 2004年8月号 2004年08月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
2002年に長野県軽井沢町で発足した森林療法研究会の活動内容および発展状況、その後の全国での支部発足、今後の展望等について報告した.
pp.22-25 -
森林の癒し効果の科学的検証へ
上原 巌
科学 2004年8月号 2004年08月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
最近の森林療法研究の動向と新知見を提示しながら、今後の森林療法の科学的な実証研究の方向性を示した。
pp.941-942 -
森林療法の可能性
上原 巌
グリーン情報 2004年7月号 2004年07月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
森林療法における医療的リハビリテーション、障害者療育、心理・カウンセリング、幼児保育の各分野における国内外の事例と今後の展望を示した。
pp.38-39 -
子どもと一緒に森へ行こう
上原 巌
小六教育技術 2004年7・8月号 4 - 9 2004年07月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
小学校の教育現場における森林環境を活用した教育とカウンセリングの可能性について記述した
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福祉・教育現場における森林療法への期待と癒しのメニューづくりの意義.
上原 巌
2004年05月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:森林セラピー研究会・全国林業改良普及協会
社会福祉施設および学校における森林療法の実践事例と、今後期待される療法メニューについてまとめた。
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森林療法の可能性
上原 巌
広報 ( 12 ) 2004年04月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:岐阜大学大学院連合農学研究科
森林療法の現況と今後の可能性について報告した。
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森林療法研究会 1人1人の森林療法を追求
上原 巌
森づくりフォーラム 2004年03月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:NPO法人森づくりフォーラム
森林療法の概要と、2002年4月に長野県軽井沢町で発足した森林療法研究会の活動内容を報告した。
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身近な地域の自然環境を利用したセラピーの可能性-森林療法を中心として
上原 巌
農業と経済.2004年3月号 2004年03月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
身近な地域の里山、山林の環境を活用した森林療法の可能性として、リハビリテーション、障害者療育、心理・カウンセリング、幼児保育などを、国内外の事例を上げながら提示し、今後の展望を示し、今後の日本における地域活性化も含めての森林療法の可能性について論じた。
pp.47-54 -
本学学生の福祉現場実習前後におけるエゴグラムおよび自己評価の変化について.
上原 巌
東海女子大学紀要 23 199 - 203 2004年03月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
東海女子大学総合福祉学科および人間関係学科の社会福祉現場実習体験前後の学生のエゴグラム、およびSD法による自己評価を実施、その結果を報告した。社会福祉現場実習後は、母性が増加し、自己肯定感が高まる結果が示された。
-
平成15年度森林の健康と癒し効果に関する科学的実証調査報告書
下村洋之助,谷田貝光克,佐藤則之,上原巌
2004年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:林野庁
健康な男女20人を被験者とし、都市部、森林環境のそれぞれを3キロメートル歩行させ、その前後に血液検査および心理検査によって、免疫活性(NK細胞)、ストレスホルモンの変化(コルチゾール)、心理変化を測定した。調査の結果、森林環境での歩行後の方が都市部での歩行後に比べて、NK細胞が有意に活性化し、コルチゾールが有意に減少し、心理的にも安定化が得られる結果となった。
担当部分:現場での調査実施指導及び心理
検査の実施と評価、統計処理 -
ケアと森林
広井良典 上原 巌
看護学雑誌 2004年02月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
医療・福祉分野における森林環境の利用の可能性、今後の展望等について、これまでの事例を取り上げながら、検討した。
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森林活動による精神発達障害者の療育効果に関する研究-森林環境を利用した森林療法
上原 巌
グリーンレター ( 25 ) 2003年11月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
長野県山間部における精神発達障害者更生施設において、地域の山林環境を利用した療育活動を1年間展開した結果、調査対象者には障害行動やパニック行動、てんかん発作の減少、対人コミュニケーション能力の向上などが認められたことを報告した
(公益信託「富士フイルム・グリーンファンド」1998年度助成研究報告)
pp.72-73 -
平成15年度長野県エコメディカル&ヒーリングビレッジ事業『森の癒しマニュアル』
上原 巌
2003年11月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:長野県林務課
森林療法の実践マニュアルとして、森林の各効用、保健休養機能、森林療法の調査研究結果、保養カルテ等をまとめ、冊子を作成した。
-
平成14年度 高齢社会における森林空間の利用に関する調査報告書
箕輪光博,今井通子,大石康彦,下村洋之助,富岡幸生,森田えみ
2003年10月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:林野庁
全国の119の医療機関に対して高齢者の医療利用に関するアンケート調査を行い、医療面における森林活用の期待度と現在における課題を提示した。
89p
担当部分:共同研究につき、担当部分の抽出不可能 -
森林の効用とその利活用-森林療法の現場から-森林療法の環境とは-
上原 巌
グリーンエージ 5月号 2003年05月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
これまでの日本国内における森林療法の事例とその森林環境の条件等について記述し、新たな山林の活用形態の可能性を提示した。
pp.8-11 -
「生きがいについて」講読ゼミの試み.
上原 巌
東海女子大学紀要 ( 22 ) 119 - 131 2003年03月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
東海女子大学人間関係学部人間関係学科の演習において、神谷美恵子著「生きがいについて」の講読を1年間行った結果についてまとめ、報告した。
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森林の持つソフト機能-森林療法-森林利用の福祉・健康増進の提言
上原 巌
林業技術 平成15年2月号 2003年02月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
全国の里山や地域の山林を活用した森林療法の事例と今後の森林・林業界における可能性と展望を提言した。
pp16-19 -
連載:21世紀の森から福祉・医療を考える 森林療法の可能性
上原 巌
現代林業 2002年 12月号 48 - 51 2002年12月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
森林療法の現況と今後の展望、課題について報告した。
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連載:21世紀の森から福祉・医療を考える 市民グループ活動としての「森林療法研究会」の萌芽②
上原 巌
現代林業 2002年11月号 52 - 55 2002年11月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
「森林療法研究会」の軽井沢町におけるワークショップの様子を報告した。
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発達障害者福祉臨床施設「親愛の里松川」での事例④
上原 巌
月刊 園芸療法 2002年11月号 18 - 24 2002年11月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
長野県松川町の社会福祉施設「親愛の里松川」における、地域の自然環境を活用した園芸療法および森林療法の事例を報告した。
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連載:21世紀の森から福祉・医療を考える 市民グループ活動としての「森林療法研究会」の萌芽①
上原 巌
現代林業 2002年10月号 52 - 55 2002年10月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
長尾県軽井沢町で2002年4月に発足した「森林療法研究会」の概要について報告した。
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発達障害者福祉臨床施設「親愛の里松川」での事例③
上原 巌
月刊 園芸療法 2002年10月号 18 - 24 2002年10月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
長野県松川町の社会福祉施設「親愛の里松川」における、地域の自然環境を活用した園芸療法および森林療法の事例を報告した。
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発達障害者福祉臨床施設「親愛の里松川での事例②
上原 巌
月刊 園芸療法 2002年9月号 18 - 24 2002年09月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
長野県松川町の社会福祉施設「親愛の里松川」における、地域の自然環境を活用した園芸療法および森林療法の事例を報告した。
-
連載:21世紀の森から福祉・医療を考える 日米高校生の森林イメージの比較
上原 巌
現代林業 2002年9月号 52 - 55 2002年09月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
日本の長野県とアメリカのミシガン州のそれぞれの高校生を対象(計250名前後)に、森林イメージについて文章完成テストによるアンケート調査を行った結果を報告した。
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連載:21世紀の森から福祉・医療を考える 知的障害者更生施設「親愛の里松川」における森林療育④
上原 巌
現代林業 2002年8月号 50 - 53 2002年08月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
長野県松川町の知的障害者更生施設「親愛の里松川」における森林療法の効果と今後の展望を報告した。
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発達障害者福祉臨床施設「親愛の里松川」での事例①
上原 巌
月刊 園芸療法 2002年8月号 18 - 24 2002年08月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
長野県松川町の社会福祉施設「親愛の里松川」における、地域の自然環境を活用した園芸療法および森林療法の事例を報告した。
-
「森林療法」の可能性を考える
上原 巌
グリーンエージ 2002年7月号 2002年07月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
森林療法における医療的リハビリテーション、障害者療育、心理・カウンセリング、幼児保育の各分野における国内外の事例と今後の展望を示唆した。
pp.8-14 -
ノースカロライナCLLCにおける自閉症者に対する園芸療法②
上原 巌
月刊 園芸療法 2002年7月号 19 - 24 2002年07月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
アメリカ・ノースカロライナ大学付属の自閉症療育施設Carolina Living Learning Center(CLLC)における、環境の構造化を基盤とした園芸療法、および野外療育の事例について報告した。
-
連載:21世紀の森から福祉・医療を考える 知的障害者更生施設「親愛の里松川」における森林療育③
上原 巌
現代林業 2002年7月号 50 - 53 2002年07月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
長野県下伊那郡松川町の知的障害者施設「親愛の里松川」における森林療法の取り組みの事例を報告した。
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連載:21世紀の森から福祉・医療を考える 知的障害者更生施設「親愛の里松川」における森林療育②
上原 巌
現代林業2002年6月号 50 - 53 2002年06月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
長野県下伊那郡松川町の知的障害者療育施設「親愛の里松川」での森林療法の事例を報告した。
-
ノースカロライナCLLCにおける自閉症者に対する園芸療法①
上原 巌
月刊 園芸療法 2002年6月号 27 - 30. 2002年06月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
アメリカ・ノースカロライナ大学付属の自閉症療育施設Carolina Living Learning Center(CLLC)における、環境の構造化を基盤とした園芸療法、および野外療育の事例について報告した。
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連載:21世紀の森から福祉・医療を考える 知的障害者更生施設「親愛の里松川」における森林療育①
上原 巌
現代林業 2002年5月号 50 - 53 2002年05月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
長野県下伊那郡松川町の標高780mの山間部に新設された知的障害者更生施設における、地域の山林を活用した森林療育の概要を報告した。
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連載:21世紀の森から福祉・医療を考える 自然環境を利用した「保養」と「教育」の融合-蓼科保養学園(長野県)
上原 巌
現代林業 2002年4月号 50 - 53 2002年04月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
長野県蓼科高原における、保養と教育を融合した小学校の試みを報告した。
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連載:21世紀の森から福祉・医療を考える ドイツのヴァルトキンダーガルテン-森の幼稚園その2
上原 巌
現代林業 2002年3月号 48 - 51 2002年03月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
ドイツ・バイエルン州ミュンヘン市における「森の幼稚園」の事例を報告した。
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連載:21世紀の森から福祉・医療を考える ドイツのヴァルトキンダーガルテン-森の幼稚園その1
上原 巌
現代林業 2002年2月号 48 - 51 2002年02月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
ドイツにおける野外体験教育、保育である「森の幼稚園」の概要について報告した。
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野外環境を利用したカウンセリングの可能性.
上原 巌
長野県支部会報 ( 6 ) 1 - 2 2002年02月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:日本カウンセリング学会
身近な野外・自然環境の空間を利用したカウンセリングの可能性、特徴、事例、効果などについて報告した。
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連載:21世紀の森から福祉・医療を考える 森林を利用したカウンセリング効果③-森林散策カウンセリング事例その2
上原 巌
現代林業 2002年1月号 48 - 51 2002年01月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
森林散策をしながらのカウンセリング事例を報告した。
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連載:21世紀の森から福祉・医療を考える 森林を利用したカウンセリング効果②-森林散策カウンセリング事例その1
上原 巌
現代林業 2001年12月号 49 - 52 2001年12月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
森林散策をしながら行った1つの事例を報告した。
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ドイツ自然保養地における環境教育.
上原 巌
「みどりのこえ」 ( 16 ) 4 - 5 2001年12月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:長野県自然保護研究所
ドイツ・バイエルン州の自然保養地における保養客の様子と、当地における環境教育について報告した。
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連載:21世紀の森から福祉・医療を考える 森林を利用したカウンセリング効果①-森林カウンセリングとは
上原 巌
現代林業 2001年11月号 50 - 53 2001年11月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
森林環境をカウンセリング空間として利用する方法と可能性について述べた。
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連載:21世紀の森から福祉・医療を考える 「収容する福祉」から「共生する福祉」へースウェーデンにおける森林療育.
上原 巌
現代林業 2001年10月号 48 - 51 2001年10月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
スウェーデン・ルント市の自閉症療育施設における、地域の森林を活用した療育の概要について報告した。
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連載:21世紀の森から福祉・医療を考える 自閉症療育施設・白樺の家④-「白樺の家」における森林療育の意義
上原 巌
現代林業 2001年9月号 50 - 53 2001年09月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
自閉症療育における森林環境の活用の意義について記述した。
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連載:21世紀の森から福祉・医療を考える 自閉症療育施設・白樺の家③-自閉症Bさんの事例
上原 巌
現代林業 2001年8月号 46 - 49 2001年08月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
事例対象者Bさんの森林療育による変化を報告した。
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連載:21世紀の森から福祉・医療を考える 自閉症療育施設・白樺の家②-自閉症A君の事例
上原 巌
現代林業 2001年7月号 50 - 53 2001年07月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
事例対象者A君の森林療育による変化を報告した
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連載:21世紀の森から福祉・医療を考える 自閉症療育施設・白樺の家①-自閉症者と森の癒し
上原 巌
現代林業 2001年6月号 48 - 51 2001年06月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
長野県北安曇郡池田町の自閉症療育施設における森林療育の概要とその効果について報告した。
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連載:21世紀の森から福祉・医療を考える ドイツ自然保養地の森林散策(その4)
上原 巌
現代林業 2001年5月号 46 - 49 2001年05月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
ドイツ自然保養地における森林散策の概要について報告した
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連載:21世紀の森から福祉・医療を考える ドイツ自然保養地の森林散策(その3)
上原 巌
現代林業 2001年4月号 50 - 53 2001年04月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
ドイツ自然保養地における森林散策の概要を報告した
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ドイツの森林バイオマス利用-バイエルン州の事例から
上原 巌
現代林業 2001年3月号 1 - 6 2001年03月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
ドイツ・バイエルン州における森林・木材バイオマスの事例について、特に廃材の燃料化、ペレット生産を中心に報告した。
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連載:21世紀の森から福祉・医療を考える ドイツ自然保養地の森林散策(その2)
上原 巌
現代林業 2001年3月号 50 - 53 2001年03月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
ドイツ保養地における森林散策の概要を報告した
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連載:21世紀の森から福祉・医療を考える ドイツ自然保養地の森林散策(その1)
上原 巌
現代林業 2001年2月号 48 - 51 2001年02月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
ドイツに保養地における森林散策について報告した
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連載:21世紀の森から福祉・医療を考える 森林療法研究ことはじめ
上原 巌
現代林業 2001年1月号 50 - 53 2001年01月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
森林環境を利活用した「森林療法」の概要について記述した。
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森林の“癒し”に関する研究
上原 巌
林業技術.平成12年8月号 2000年08月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
長野県山間部に位置する知的障害者更生施設において、森林環境を中心とした療育活動を長期間にわたって行った結果、調査対象者には身体面、精神面共に向上的な変化が認められた結果を報告した。
第2回日本林業技術協会学術研究助成報告 -
長野県高校生の森林イメージ
上原 巌
信州の環境と教育 3 19 - 25 2000年03月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
長野県内の高校生約500名に森林のイメージについてのSD法によるアンケート調査を行った結果を報告した。特に森林環境に保健休養のイメージを抱いている高校生が多いことが特徴的であった。
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The Man'yoshu Anthology and the Wild Flowers of the Paddy Field Embankments.(万葉集と棚田の草花について)
上原 巌
Curtis's Botanical Magazine Vol.16 Part2 1999年05月
記述言語:英語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
伊藤精晤、馬場多久男共著の万葉集に登場する植物と現在の棚田にみられる植物についての論文を英訳した。
pp.139-147. -
ドイツ南部の営林署を訪ねて
上原 巌
林業技術 1997年12月号 33 - 35 1997年09月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
ドイツ・バイエルン州ミンデルハイム市の営林署を訪ね、同地域におけるトウヒ林(Fichte)を中心とした森林の概要と、鹿による植栽木の被害、また近年多く発生するようになった強風や大雨による気象害、虫害(Borkenkiefer)等、現在同署が抱えている課題について報告した。
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カナダ・バンクーバーの森を訪ねて
上原 巌
林業技術 1997年2月号 31 - 32 1997年02月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
カナダ・ブリティッシュ・コロンビア州のバンクーバー市を訪ね、同市における森林の状況と、州立公園およびブリティッシュ・コロンビア大学付属演習林における森林教育について報告した。
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奥信濃・内山和紙について
上原 巌
林業技術 1995年8月号 29 - 31 1995年08月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:
長野県下高井郡木島平村発祥の伝統和紙「内山和紙」の概要と歴史、内山和紙の主原料であるコウゾの挿し木栽培の方法について報告した。
挿し穂は、長さ20cm程度のものを、木島平村内に自生するコウゾから採取し、プランターに鹿沼土を入れ、切り口は楕円形切り返しで、挿し木を行った。また、発根促進ホルモンであるインドール酪酸も使用し、無処理の挿し穂と比較したが、その活着率には差がみられなかった。露地栽培、温室栽培の2区に環境条件を分けた結果、温室栽培の苗木には、1月初旬に休眠の解除が認められた。 -
新しい林業教育・授業の模索について
上原 巌
会報 ( 29 ) 57 - 61 1994年07月
記述言語:日本語 掲載種別:記事・総説・解説・論説等(その他) 出版者・発行元:全国高等学校教育研究協議会
農業高校における森林、林業教育の現状と今後の展望、ユニークな授業のあり方等について、事例を取り上げながら報告した。