Papers - YAMADA Susumu
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関東地方南部の水田における非栽培期の植物相に及ぼす水稲収穫時期の影響
山田晋
ランドスケープ研究 73 417 - 420 2010.05
Authorship:Lead author Language:Japanese Publishing type:Research paper (scientific journal)
非栽培期の水田は希少種を含む湿地植物の生育地である。この立地において,多様な植物が育まれるメカニズムを解明することは,生物多様性に配慮した農業を推進するうえで欠かせない。本研究では,水稲栽培時期の違いがその後の成立植生に影響を及ぼすという仮説を立てた。稲刈り前後の日射量変化を再現するため,夏季に耕作田から採取し日陰で保存した土壌を,秋季に時期を変えて全天下へ移動し,その後翌春まで発生個体の記録を行った。その結果,秋季には全天下への移動が遅い実験区ほど発芽個体数は減少したが,春季では,そうした差異がより不明瞭となった。種ごとの個体数の差異は,生活史(一年草/多年草),発芽適温,発芽から開花結実までの期間などから説明可能だった。
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Spatial and temporal variations in the use of rice-paddy dominated landscapes by birds in Japan
Amano T. Kusumoto Y. Tokuoka Y. Yamada S. Kim E.-Y. Yamamoto S.
Biological Conservation 141 1704 - 1716 2008.06
Language:English Publishing type:Research paper (scientific journal)
水田景観が広がる利根川低地域の32地点を対象として,土地被覆タイプの面積率が鳥類の種数と個体数に及ぼす影響を調査した。湿生の鳥類種の種数と個体数は,夏季には水田面積と,冬季には開放水面面積と正の相関が認められた。草原生種は休閑地・開放水面を含む複数の土地利用が混在している環境を好んだ。森林面積は,森林生種と林縁生種に影響をもたらしていることが分かった。IF:3.565
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大都市圏の耕作放棄水田における水田雑草群落復元に向けた継続的な耕起と代かきの効果
山田晋・大久保悟・北川淑子・武内和彦
ランドスケープ研究 70 453 - 456 2007.05
Authorship:Lead author Language:Japanese Publishing type:Research paper (scientific journal)
耕作水田の減少が著しい大都市圏では,限られたコストで水田に典型的にみられる植物種群(水田雑草群落)を維持・復元する必要が高まっている。そこで,東京都の耕作放棄水田において,省力的な植生管理である代かき管理,耕起管理を4年間実施し,成立植生を調査した。耕起管理では,管理の継続年数の増加とともに水田雑草群落構成種が減少したが,代かき管理ではそれらの減少はみられず,代かき管理の有効性が示された。
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Restoration of weed communities in abandoned rice paddy fields in the Tama Hills, central Japan
Yamada S. Okubo S. Kitagawa Y. Takeuchi K.
Agriculture, Ecosystems and Environment 119 88 - 102 2007.01
Authorship:Lead author Language:English Publishing type:Research paper (scientific journal)
近年の農法変化が著しい農耕地で,雑草種は減少傾向にある種群とされる。欧州では畑地雑草復元の取り組みが行われているが,水田を対象とした報告は少ない。そこで,放棄水田における耕作再開とその後数年の休耕による,水田雑草復元程度を観察した。耕作再開に伴い調査地周辺の耕作地同様の水田雑草群落構成種は速やかに復元され,休耕1年目に種数は最大化した。水田雑草の復元に休耕を組み入れた復田が有効であると考えられた。IF:2.308
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Landscape ecological studies for the conservation and restoration of the floristic diversity in Yatsuda agro-ecosystem
Susumu YAMADA
2006.03
Authorship:Lead author Language:English Publishing type:Doctoral thesis
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Management and micro-scale ground flora of secondary woodlands and their verges in the Tama Hills of Tokyo,Japan
Okubo S. Kamiyama A. Kitagawa Y. Yamada S. Palijon A. Takeuchi K.
Biodiversity and Conservation 114 2137 - 2157 2005.08
Language:English Publishing type:Research paper (scientific journal)
丘陵地林部では微地形や管理が林床植生に影響を及ぼすが,その組み合わせが成立植生に及ぼす影響は未解明であるため,両者を考慮した調査を実施した。尾根部,谷壁斜面部では植生管理強度に応じた植生変化がみられ,微地形による植生の差は不明瞭だった。一方,谷頭凹地では管理の違いが植生に及ぼす影響は小さかった。谷部の水田に接する急斜面において高木伐採と下草刈りによる強管理が行われると,植物種多様性は最大となった。IF:1.401
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丘陵地谷底水田に接する下部谷壁斜面下端の刈り取り草原における植物種組成と環境要因との対応
山田晋・大久保悟・北川淑子・武内和彦
ランドスケープ研究 68 675 - 678 2005.05
Authorship:Lead author Language:Japanese Publishing type:Research paper (scientific journal)
丘陵地谷部の水田に接する斜面草地は多様な植物相を育むことが知られているが,多様性に及ぼす要因の検討は行われていなかった。成立植生,環境要因の対応を多変量解析を用いて解析した結果,成立植生は光,水分条件とよく対応した。水分条件は,表層地質の帯水層と表土の厚さ,光条件は,草地の斜面方位と刈り取り管理に影響を受けると推測され,自然条件,人為条件の両方がこの草地の多様性に貢献していると考えられた。
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丘陵地の谷津田に接する下部谷壁斜面下端の草本植生の種組成と種の豊かさ
北川淑子・大久保悟・山田晋・武内和彦
ランドスケープ研究 67 551 - 554 2004.05
Language:Japanese Publishing type:Research paper (scientific journal)
丘陵地谷部の水田に接する斜面草地は,多様な植物相を育む立地として知られるが,その植物相を精査した事例は少ない。そこで丘陵地に代表的な凸型斜面下・谷型斜面下の斜面草地の植生を,上部の林床植生と合わせて調査した。その結果,草地の植生は既往の草地植生と比べ高い種多様性を記録した。両斜面タイプ間で大きく異なり,隣接する上部斜面の林床植生との共通種が多かったことから,斜面上部の植生の影響を強く受けて成立する立地であることが示唆された。
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多摩丘陵の湿性休耕田における農的粗放管理について
山田晋・北川淑子・武内和彦
ランドスケープ研究 65 290 - 293 2002.05
Authorship:Lead author Language:Japanese Publishing type:Research paper (scientific journal)
近年放棄水田の復田が盛んだが,復田コストの点から復田に適した立地の検討は行われていない。そこで,復田作業量の聞き取り,地上植生調査および地下の現存量調査から,放棄年数と管理コストの関係を調査した。復田作業のうち耕起,代かきは,それぞれ刈り取りの約4倍の労力を要し,これらが復田の主要な作業であった。大型抽水植物の根茎は放棄3年目に顕著に増加し,復田は放棄年数が短い区画で行うことが望ましいと考えられた。
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放棄水田における刈り取り,耕起,代かきが植生に及ぼす影響
山田晋・武内和彦・北川淑子
農村計画論文集 2 235 - 240 2000.12
Authorship:Lead author Language:Japanese Publishing type:Research paper (scientific journal)
放棄水田は湿地生植物の重要な立地である。そこで,放棄水田において異なる植生管理実験を1年間実施し,種組成を比較した。頻度の異なる刈り取り,耕起,代かきによって,出現種数に大きな違いはみられなかったが,種構成には違いがみられた。耕起,代かきにより,夏場1回,2回の頻度による刈り取りではみられなかった,いわゆる水田雑草群落の構成種が優占するようになった。