論文 - 岩槻 健
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多臓器に存在する味覚受容体 招待あり
Iwatsuki K, Nakajima C
Clinical Calcium 28 992 - 997 2018年
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
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Identification of a vesicular ATP release inhibitor for the treatment of neuropathic and inflammatory pain 査読あり 国際誌
Kato Y, Hiasa M, Ichikawa R, Hasuzawa N, Kadowaki A, Iwatsuki K, Shima K, Endo Y, Kitahara Y, Inoue T, Nomura M, Omote H, Moriyama Y, Miyaji T
Proc Natl Acad Sci USA 114 ( 31 ) E6297 - E6305 2017年07月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
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Transcriptome analyses of taste organoids reveal multiple pathways involved in taste cell generation 査読あり
1. Ren W, Aihara E, Lei W, Gheewala N, Uchiyama H, Margolskee R, Iwatsuki K, Jiang P
Scientific Reports 7 4004 2017年06月
担当区分:責任著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
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Effect of essential amino acids on enteroids: Methionine deprivation suppresses proliferation and affects differentiation in enteroid stem cells 査読あり
2. Saito Y, Iwatsuki K, Hanyu H, Maruyama N, Aihara E, Tadaishi M, Shimizu M, Kobayashi-Hattori K
Biochem Biophys Res Commun 488 171 - 176 2017年05月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
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Dorsal horn neurons release extracellular ATP in a VNUT-dependent manner that underlies neuropathic pain 査読あり
Masuda T, Ozono Y, Mikuriya S, Kohro Y, Tozaki-Saitoh H, Iwatsuki K, Uneyama H, Ichikawa R, Salter MW, Tsuda M, Inoue K
Nature Communications 7 12529 2016年08月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本研究は、ATPの放出に関わるタンパク質「VNUT」に注目し、脊髄後角神経にあるVNUTがATPの放出と神経障害性疼痛に関与することを世界で初めて明らかにしたものである。実際に、脊髄後角神経のVNUTを作り出せないように遺伝子を操作したVNUT欠損マウスでは、ATPの放出と、神経損傷後の痛みが弱くなった。本研究成果は、2003年に神経障害性疼痛に対するP2X4受容体の重要性が発見されて以来、10年以上も謎であった、ミクログリアのP2X4受容体を刺激する仕組みを明らかにしたもので、慢性疼痛メカニズムの理解が大きく前進し、痛みを緩和する治療薬の開発への応用が期待される。
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味幹細胞の同定と培養 招待あり
岩槻健 他
化学と生物 54 ( 8 ) 543 - 547 2016年08月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(その他学術会議資料等)
内胚葉由来である味細胞は消化管の上皮細胞と同様に細胞死と再生を繰り返す細胞である。本総説では、味蕾周辺に存在する味幹細胞の探索に続いて味幹細胞の培養までの道のりについて概説した。さらに、消化管および味細胞研究の今後の展望を示している。
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Urothelial ATP exocytosis: regulation of bladder compliance in the urine storage phase
2. Nakagomi H, Yoshiyama M, Mochizuki T, Miyamoto T, Komatsu R, Imura Y, Morizawa Y, Hiasa M, Miyaji T, Kira S, Araki I, Fujishita K, Shibata K, Shigetomi E, Shinozaki Y, Ichikawa R, Uneyama H, Iwatsuki K, Nomura M, de Groat WC, Moriyama Y, Takeda M, Koizumi S
Scientific Reports 6 29761 2016年07月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
膀胱上皮細胞は単なるバリアとしてあけでなく、尿量を測定するセンサーとしても機能している。その機能はATPを放出する事で発揮されるが、どのようにATPが放出されるのかは分かっていなかった。本研究は、ATPトランスポーターであるVNUTを欠損させたマウスを用いて、野生型マウスと比較する事で、ATPの放出がVNUTを介するかどうかを調べた。その結果、VNUTは膀胱上皮に多く発現している事が分かり、膀胱上皮が弱く刺激された場合にはエキソサイトーシスによりATPが分泌される事が明らかになった。また、VNUT欠損マウスは膀胱に尿をためる事ができずに、頻尿になった。これらの事から、VNUTに依存したATPの放出は、膀胱上皮をリラックスさせ尿をため込むのに重要である事と結論した。
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オルガノイド培養系を用いた消化管生体モデルの導入 査読あり
大木淳子, 落合みやび, 山根拓実, 大石祐一, 粟飯原永太郎, 岩槻健
日本味と匂学会誌 22 ( 3 ) 2015年12月
担当区分:責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
消化管機能の研究は適当なin vitro培養系がなく解析が進んでいなかった。最近になり、三次元培養系(オルガノイド培養系)が開発され、生体内に近い状態で幹細胞および最終分化した消化管細胞が得られるようになった。本研究では、先行研究を参考に十二指腸、空腸、回腸、大腸からのオルガノイド培養を試み、増殖するオルガノイドを継時的に観察した。これらの組織から作製したオルガノイドには、幹細胞だけでなく、最終分化した腸管の成熟細胞も存在する事が確認でき、生体の良いモデルである事が分かった。
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Characterization of stem/progenitor cell cycle using murine circumvallate papilla taste bud organoid 査読あり
Aihara E, Mahe MM, Schumacher MA, Matthis AL, Feng R, Ren W, Noah TK, Matsu-Ura T, Moore SR, Hong CI, Zavros Y, Herness S, Shroyer NF, Iwatsuki K, Jiang P, Helmrath MA, Montrose MH
Scientific Reports 5 2015年11月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
解剖学的所見から、有郭乳頭にはLgr5陽性細胞が存在しており、そこから味蕾オルガノイドが作製できる可能性があった。本研究では、有郭乳頭から取り出した画分をもとに生体に近い形の味蕾オルガノイドの作製に成功した。我々はさらに、味蕾オルガノイドには少なくとも5種類の細胞周期の異なる細胞群が存在する事を見出した。今回提示する方法で、味蕾の幹細胞や前駆細胞の解析に利用できると思われる。
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Single Lgr5- or Lgr6-expressing taste stem/progenitor cells generate taste bud cells ex vivo 査読あり
Ren W, Lewandowski BC, Watson J, Aihara E, Iwatsuki K, Bachmanov AA, Margolskee RF, Jiang P
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 2014年11月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
これまで、味細胞の培養系は構築するのが難しく成功した例がない。我々は、新しい培養法であるオルガノイド培養法を用いて味幹細胞の培養に成功した。Lgr5あるいはLgr6陽性の単一細胞をオルガノイド培養系にてWntアゴニストなどの増殖因子等と培養したところ、種々の味細胞系列に分化する幹細胞/前駆細胞を増やす事に成功した。この培養系を開発した事で、今後味細胞の研究や呈味物質の研究が発展する事が期待される。
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Impairment of vesicular ATP release affects glucose metabolism and increases insulin sensitivity 査読あり
Sakamoto S, Miyaji T, Hiasa M, Ichikawa R, Uematsu A, Iwatsuki K, Shibata A, Uneyama H, Takayanagi R, Yamamoto A, Omote H, Nomura M, Moriyama Y
Scientific reports 2014年10月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
新規核酸トランスポーターVNUTの機能をそのノックアウトマウスを作製する事により調べた。これまで、in vitroの結果でVNUTは核酸を選択的に輸送するトランスポーターである事が分かっていたが、その生理的意義については不明であった。本論文ではVNUTを欠損させた動物を使い、血糖値やホルモンバランスについて調べた。その結果、VNUTはインスリンによるグルコース代謝に影響を与えている分子である事が明らかとなった。
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Correlation Between Activation of Prelimbic Cortex, the Basolateral Amygdala, and Agranular Insular Cortex During Taste Memory Formation 査読あり
Uematsu A, Kitamura A, Iwatsuki K, Uneyama H, Tsurugizawa T
Cerebral cortex 2014年09月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
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味覚とGPCR 招待あり
岩槻 健
ファルマシア別冊 50 ( 9 ) 885 - 887 2014年09月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(その他学術会議資料等)
基本5味のうち、うま味、甘味、苦味の受容体はGタンパク質共役受容体である事が最近になり分かってきた。これらの受容体の発見の歴史と、最新の知見について日本薬学会が発行する月刊紙に紹介した。
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味覚を介した栄養素情報の認知機構 招待あり
岩槻 健, 植松 朗
Anti-aging medicine 10 ( 2 ) 028 - 035 2014年04月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(その他学術会議資料等)
我々の体には、各栄養素の摂取と消費の収支をモニタし、生体恒常性を維持する機能が備わっている。本総説では、味覚および内臓感覚の意義について概説し、味覚を介した栄養素情報の認知と摂食調節について紹介した。
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Microglia trigger astrocyte-mediated neuroprotection via purinergic gliotransmission 査読あり
Shinozaki Y, Nomura M, Iwatsuki K, Moriyama Y, Gachet C, Koizumi S
Scientific reports 2014年03月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
脳内の免疫防御システムをになっているのはミクログリアである。本研究では、ミクログリアがメチル水銀を察知し、MAPキナーゼ依存的にATPトランスポーターであるVNUTを活性化しアストロサイトに作用する事で、IL-6などの炎症性のサイトカインを誘導し、結果的に神経防御する事を明らかにした。同時に、本論文ではVNUTのノックアウトマウスを世界に先駆けて導入し、マイクログリアからのATPの放出がエクソサイトーシスである事も明らかにした。
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Endocrine taste cells 査読あり
Kokrashvili Z, Yee KK, Ilegems E, Iwatsuki K, Li Y, Mosinger B, Margolskee RF
The British journal of nutrition 2014年01月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
口腔内の味細胞は消化管に存在する内分泌細胞と非常に似た性質を持つ。その特徴の一つはGLP-1やグルカゴンを分泌する事である。今回、GLP-1に焦点を絞り味刺激により野生型マウスでは味刺激により味細胞がGLP-1を血中に分泌する事を示した。味覚受容体であるTas1r3をノックアウトしたマウスではGLP-1放出が観察されなくなる事を予想したが、予想に反してGLP-1の放出は見られた。この事から、味細胞からのGLP-1の放出には味細胞の関与は一部に過ぎない事が明らかとなった。
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Lgr5-EGFP marks taste bud stem/progenitor cells in posterior tongue 査読あり
Yee KK, Li Y, Redding KM, Iwatsuki K, Margolskee RF, Jiang P
Stem Cells 2013年05月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
Wntが消化管上皮細胞の再生に関与している事が最近明らかとなってきた。そこで、同じ内胚葉由来の味細胞の再生についてもWntが関与している事を、Wntの下流に存在するLgr5の発現をモニターする事で証明した。少なくとも有郭乳頭のTrench部位と味蕾の基底膜付近に味幹細胞/前駆細胞が存在する可能性があると結論づけた。
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Umami taste in mice uses multiple receptors and transduction pathways
Yasumatsu K, Ogiwara Y, Takai S, Yoshida R, Iwatsuki K, Torii K, Margolskee RF, Ninomiya Y
J Physiol, Vol. 590 2012年03月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
これまでの研究より、アミノ酸の味はGタンパク共役型受容体を介して伝えられ、その中でもうま味はT1R1/T1R3受容体によって感知されると報告されている。今回、T1R1/T1R3受容体の下流で機能するTRPM5チャンネル欠損マウスを調べたところ、うま味に反応する神経が存在した事からT1R1/T1R3受容体以外の受容体も存在する事が明らかとなった。薬理学的な解析の結果、mGluR系の受容体がその候補である事が示唆された。
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Peripheral chemosensing system for tastants and nutrients
Iwatsuki K, Torii K
Current Opinion in Endocrinology and Diabetes, Vol.19 2012年02月
担当区分:筆頭著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
消化管において味細胞と同様の化学感覚が存在し、それがホルモン分泌など生体恒常性の意地に重要な役割を果たしていることが明らかとなっている。また、それ以外にも”嚥下後の効果”と呼ばれる未だ解明できていない感覚が存在することが近年の研究により分かってきた。こうした中、本総説は味細胞や消化管栄養受容細胞について最新の研究内容を概説している。
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Detecting sweet and umami tastes in the GI tract
Iwatsuki K, Ichikawa R, Uematsu A, Kitamura A, Uneyama H, Torii K
Acta Physiol, Vol. 204 2012年02月
担当区分:筆頭著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
炭水化物やタンパク質が分解された時に生じる甘味やうま味物質は、いずれも口腔内の味細胞により感知される。しかしながら、これらの受容機構は消化管にも存在する事が近年明らかになってきた。それは、消化管に味覚受容機構を有する細胞が存在し、血糖値の抑制や消化の適正化に寄与しているからである。本論文では、著者らの最近の研究を中心に消化管での甘味とうま味受容の最前線を記述した。