論文 - 亀山 慶晃
-
二次林下のアズマネザサの刈り取りがタマノカンアオイ移植株の生育・繁殖に与える影響 査読あり
中島宏昭, 久野直人, 増田 楓, 水庭千鶴子, 亀山慶晃
ランドスケープ研究 87 413 - 418 2024年06月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
多摩丘陵周辺の固有種であるタマノカンアオイの保全対策を検討するため、地形条件が異なる複数の調査区に移植実験をおこない、アズマネササが繁茂した二次林床下(無刈り取り区)とアズマネザサの刈り取りを行っている林床下(刈り取り区)において、個体レベルの葉数、着花の有無、着花数等を6年間モニタリングした。その結果、刈り取り区では各個体の葉数、着花率、着花回数が増加し、特に南向き斜面でその効果が大きくなることが示された。
DOI: 10.5632/jila.87.413
-
Dwarfism of Ficus microcarpa L.f. in the Ryukyu Islands, Okinawa, Japan 査読あり
Kameyama Y, Fujiyoshi M, Mizutani A, Kohno H
Plant Systematics and Evolution 310 12 2024年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
集団の遺伝的特性は自然選択と遺伝子流動のバランスで決定され、強力な選択圧は分岐自然選択による遺伝的分化を引き起こす。本研究では仲の神島(琉球諸島南西部)に生育する矮性ガジュマルに着目し、周辺諸島の個体を含めた共通圃場試験と遺伝分析によって、(1) 矮性形質は環境要因ではなく遺伝的要因で決まっていること、(2) 矮性集団と高木性集団は遺伝的に分化していること、(3) 両集団の間には遺伝子流動が存在しており、強い自然選択によって数百年~数千年前に分化したこと、などを明らかにした。矮性集団はいわゆるエコタイプであり、生態的種分化の過程にあると結論づけた。
-
Kameyama Y, Moriwaki H, Suzuki Y, Fujiyoshi M
Ecological Research 39 303 - 317 2024年01月
担当区分:筆頭著者, 責任著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
水田生態系における外来植物の侵入は、在来植物との種間交雑を介して生物多様性の減少を引き起こし得る。本研究では、(1) 1946年に侵入したアメリカタカサブロウが全国各地に分布を拡大していること、(2) アメリカタカサブロウは在来タカサブロウ(モトタカサブロウ)と交雑しており、多くの雑種後代が形成されていること、(3) かつて全国に分布していたモトタカサブロウは本州では極めて稀な存在になっていること、(4) 本州と沖縄のモトタカサブロウは系統的に異なっていること、などを明らかにした。モトタカサブロウとアメリカタカサブロウとの間には非対称的な交配親和性があり、それがモトタカサブロウの一方向的な減少に寄与しているものと推察される。
-
Shibata A, Kameyama Y, Kudo G
Plant Systematics and Evolution 307 55 2021年08月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
雌性両全性異株から雌雄異株への進化過程を明らかにするため、形態的雌性両全性異株のナニワズを対象に、全国レベルでの繁殖様式、花形態、遺伝的組成の調査を実施した。その結果、ナニワズは雌雄異株への進化の途上ではなく、ごくわずかな種子生産をする両性株が安定的に維持されていることが明らかとなった。自動自家受粉による繁殖保証は、集団の創始者として、両性株に有利に作用している可能性が考えられた。
-
タマノカンアオイの生育・開花に及ぼすアズマネザサの刈り取りの影響 査読あり
中島宏昭, 久野直人, 増田 楓, 平野友佳鈴, 亀山慶晃, 鈴木貢次郎.
ランドスケープ研究 84 687 - 692 2021年05月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
多摩丘陵周辺の固有種であるタマノカンアオイの保全対策を検討するため、アズマネササが繁茂した二次林床下(無刈り取り区)とアズマネザサの刈り取りを行っている林床下(刈り取り区)において、刈り取り後5年目から8年目までの継続調査を実施した。その結果、両区画間で生育パッチ数に大きな差異は認められなかったが、刈り取り区ではパッチあたりの葉数や花数が多く、その増加率も高いことが示された。アズマネザサの刈り取りはタマノカンアオイの種子生産数を増加させ、個体群の保全に寄与するものと考えられる。
その他リンク: https://www.jila-zouen.org/wp-content/uploads/2021/04/47.pdf
-
Moriwaki H, Takyu M, Kameyama Y*
Nordic Journal of Botany 38 e02632 2020年05月
担当区分:責任著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
群集レベルでの植物-訪花昆虫の相互作用と、特定の植物の繁殖成功度との関係には不明な点が多い。本研究では、異型花柱性の高山植物(ユキワリソウ)に着目し、群集レベルでの植物-訪花昆虫の相互作用は季節とともに増加するが、開花後期のユキワリソウは強い花粉制限に晒されていることを明らかにした。その背景として、訪花昆虫との形態的な不一致(口吻長の重要性)と、同時に開花する他の植物種とのポリネータを巡る競争が重要な役割を果たしていることが示唆された。
DOI: 10.1111/njb.02632
-
Isagi Y, Makino T, Hamabata T, Cao P-L, Narita S, Komaki Y, Kurita K, Naiki A, Kameyama Y, Kondo T, Shibabayashi M
Plant Species Biology 35 166 - 174 2020年04月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
マイクロサテライト遺伝解析とトランスクリプトーム解析により、小笠原に生育するムニンツツジの遺伝的多様性が著しく低く、有害変異が蓄積していることを明らかにした。その原因について考察するとともに、適切な保全策を提案した。
-
Kameyama Y, Nakajima H
Journal of Forest Research 23 ( 3 ) 190 - 194 2018年06月
担当区分:筆頭著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
クスノキの種子発芽と実生定着のための環境条件について調査をおこなった。その結果、クスノキの種子は落葉広葉樹二次林の林床でも発芽するが、アズマネザサの繁茂は発芽した実生の定着を妨げ、更新には定期的な刈り取りとギャップの存在が不可欠であることが示唆された。
-
Development and characterization of microsatellite markers for three pollination morphs of Cimicifuga simplex (Ranunculaceae) 査読あり
Toji T, Kameyama Y, Hirao AS, Itino T
American Journal of Plant Sciences 9 599 - 605 2018年03月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
多年生草本サラシナショウマのマイクロサテライト遺伝マーカーを開発し、3つのpollination morph(送粉型)が遺伝的にも明瞭に区分されることを明らかにした。
その他リンク: http://www.scirp.org/Journal/PaperInformation.aspx?PaperID=82892
-
Restricted female function of hermaphrodites in a gynodioecious shrub, Daphne jezoensis (Thymelaeaceae) 査読あり
Shibata A, Kameyama Y, Kudo G
Journal of Plant Research 131 ( 2 ) 245 - 254 2018年03月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
雌性両性異株とされるナニワズを対象として、野外集団における結果率、潜在的な有性繁殖能力、自家和合性、近交弱勢の強さなどを評価した。その結果、両性株の結果率は非常に低く、果実の半数以上が自殖によって形成されること、自殖種子には生育初期の段階で強い近交弱勢がはたらくことが明らかとなった。以上より、ナニワズは雌性両性異株から雌雄異株へと進化する過程の最終段階に近いことが示唆された。
-
Natural genetic differentiation and human-mediated gene flow: the spatiotemporal tendency observed in a long-lived Cinnamomum camphora (Lauraceae) tree 査読あり
Kameyama Y, Furumichi J, Li J, Tseng Y-H
Tree Genetics & Genomes 13 38 2017年04月
担当区分:筆頭著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
クスノキの遺伝分析により、(1)「日本」と「中国・台湾」に生育するクスノキは系統的に大きく異なり、両者は最終氷期以前に分岐したこと、(2)日本ではボトルネック効果によって遺伝的多様性が著しく減少していること、(3)近年の人間活動は地域内の遺伝的構造を不明瞭にしているだけでなく、少数ながら系統間の遺伝子移入(遺伝子汚染)を引き起こしていること、などを明らかにした。
DOI: 10.1007/s11295-017-1119-y
その他リンク: http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs11295-017-1119-y
-
Male-biased hermaphrodites in a gynodioecious shrub, Daphne jezoensis 査読あり
Sinclair JP, Kameyama Y, Shibata A, Kudo G
Plant Biology 18 859 - 867 2016年09月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
雌性両性異株とされるナニワズを対象として、有性繁殖能力や資源配分に関する調査をおこなった。その結果、(1)花=雄器官への資源投資は、両性株が雌株の2.5倍であること、(2)果実=雌器官への資源投資は、雌株が両性株の6倍であること、(3)両性株の果実生産能力は著しく低く、雌株の果実生産は強い花粉制限を受けていること、などが明らかとなった。以上より、機能的な観点から考えると、ナニワズは雌性両性異株よりも雌雄異株に近いことが示された。
DOI: 10.1111/plb.12463
その他リンク: http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/plb.12463/full
-
アズマネザサの刈り取りが放棄二次林の林床植生に与える影響 査読あり
中島宏昭, 鈴木貢次郎, 亀山慶晃.
保全生態学研究(調査報告) 21 51 - 60 2016年05月
担当区分:責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
関東地方の放棄二次林において、アズマネザサの刈り取り管理を再開し、3年後の林床環境(光合成有効放射吸収率、土壌含水率、地表面温度)と林床植生(種数、多様度指数、被覆面積)を調査した。その結果、(1)刈り取りによって総種数と木本種数、多様度指数が有意に増加すること、(2)草本種数に対する刈り取りの効果は小さく、(3)被覆面積は地形(土壌含水率)に依存することが示された。刈り取り管理の再開は必ずしも一様な結果をもたらすわけではなく、植物の生活史特性によって反応が異なることが示唆された。
DOI: https://doi.org/10.18960/hozen.21.1_51
その他リンク: https://www.jstage.jst.go.jp/article/hozen/21/1/21_51/_article/-char/ja/
-
早咲きのサクラ品種とカンヒザクラ地域集団の遺伝的関係 査読あり
金澤弓子, 亀山慶晃, 李 景秀, 濱野周泰, 鈴木貢次郎.
園芸学研究 15 ( 2 ) 129 - 138 2016年04月
担当区分:責任著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
カンヒザクラは早咲きのサクラ品種の原種として重要である。本研究では、(1)由来が不明な早咲きのサクラ品種の原種推定をおこなうとともに、(2)カンヒザクラの遺伝的組成が地域集団(日本、中国、台湾)間で大きく異なること、(3)日本と台湾の早咲きのサクラ品種は、その大半が各地域に生育するカンヒザクラに由来する可能性が高いことを明らかにした。
DOI: https://doi.org/10.2503/hrj.15.129
その他リンク: https://www.jstage.jst.go.jp/article/hrj/15/2/15_129/_article/-char/ja/
-
Seasonal changes in pollen limitation and femaleness along the snowmelt gradient in a distylous alpine herb, Primula modesta 査読あり
Kameyama Y, Watanabe M, Kurosawa H, Nishimori T, Matsue D, Takyu M.
Ecology and Evolution 5 ( 22 ) 5352 - 5363 2015年11月
担当区分:筆頭著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
異型花柱性植物のユキワリソウにおいて、雪解け傾度を反映した訪花昆虫相の違いが、各モルフ(長花柱花と短花柱花)の花粉制限と機能的雌度を変化させていることを明らかにした。
DOI: 10.1002/ece3.1803
その他リンク: http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ece3.1803/abstract
-
Intrinsic and extrinsic factors acting on the reproductive process in alpine-snowbed plants: roles of phenology, biological interaction, and breeding system 招待あり 査読あり
Kameyama Y, Kudo G.
Plant Species Biology (Invited Paper) 30 3 - 15 2015年01月
担当区分:筆頭著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
植物の繁殖成功を決定する内的・外的要因について、開花フェノロジー、生物間相互作用、繁殖様式に着目してレビューをおこなった。
その他リンク: http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/1442-1984.12070/abstract
-
Development and evaluation of microsatellite markers for gynodioecious shrub, Daphne jezoensis (Thymelaeaceae) 査読あり
Kameyama Y, Hirao AS
Applications in Plant Sciences 2 ( 5 ) 1400001 2014年05月
担当区分:筆頭著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
雌性両性異種の林床植物であるナニワズを対象に、次世代シーケンサーを用いて10のマイクロサテライト遺伝マーカーを開発した。
DOI: 10.3732/apps.1400001
その他リンク: http://www.bioone.org/loi/apps
-
ネズミモチとトウネズミモチの交配親和性と野外における雑種形成の可能性 査読あり
亀山慶晃, 清田陽助, 中村朱里, 濱野周泰, 鈴木貢次郎.
保全生態学研究 17 147 - 154 2012年12月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
トウネズミモチ(外来種)とネズミモチ(在来種)の交配親和性と野外における雑種形成の可能性に着目して、開花フェノロジーの観察、人為的な交配実験、野外集団のAFLP遺伝分析、を実施した。両種の雑種形成は、環境条件の違いを反映した開花時期の差異(交配前隔離機構)と、遺伝的要因による種子の発芽、生育阻害(交配後隔離機構)によって抑制されており、トウネズミモチによるネズミモチへの遺伝的攪乱が普遍的かつ広範囲で生じている可能性は極めて低いことが示唆された。
-
Origins of early-flowering cherry cultivars, Prunus × kanzakura cv. Atami-zakura and Prunus × kanzakura cv. Kawazu-zakura, revealed by experimental crosses and AFLP analysis 査読あり
Ogawa T, Kameyama Y*, Kanazawa Y, Suzuki K, Somego M
Scientia Horticulturae 140 140 - 148 2012年06月
担当区分:責任著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
早咲き性のサクラ(アタミザクラ、カワヅザクラ)の起源を解明するため、人為的な交雑試験、野外試料の採取、それらのAFLP遺伝分析をおこなった。その結果、アタミザクラはカンヒザクラとヤマザクラの雑種第一代、カワヅザクラはカンヒザクラとオオシマザクラの雑種第一代であることが明らかとなった。
DOI: 10.1016/j.scienta.2012.03.030
その他リンク: http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0304423812001665
-
Development of microsatellite markers for Cinnamomum camphora (Lauraceae) 査読あり
Kameyama Y
American Journal of Botany (Primer Notes & Protocols) 99 ( 1 ) e1 - e3 2012年01月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
常緑樹木のクスノキについて、22のマイクロサテライト遺伝マーカーを開発した。また、開発手法の信頼性について検証するとともに、集団による遺伝構造の違いとその原因についても言及した。
DOI: 10.3732/ajb.1100231