論文 - 尾畑 やよい
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The presence of the Y-chromosome, not the absence of the second X-chromosome, alters the mRNA levels stored in the fully grown XY mouse oocyte(XY卵母細胞のmRNA発現プロファイルの変化はX染色体が2本存在しないためではなくY染色体が存在することによってもたらされる) 査読あり
Xu B, Obata Y, Cao F, Taketo T.
PLoS One 7 ( 7 ) e40481 2012年07月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
XY性転換雌マウスでは卵母細胞が形成されるにもかかわらず、この卵母細胞に妊性はない。その原因を解明する為にXX卵母細胞とXY卵母細胞間で遺伝子発現プロファイルを比較・解析した。その結果、XX卵母細胞とXY卵母細胞で、X染色体上の遺伝子群の発現量に差はないことが示された。一方、Y染色体上のいくつかの遺伝子がXY卵母細胞では高発現していた。このことからXY卵母細胞の機能不全はY染色体上の転写産物によることが示唆された。
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Contribution of intragenic DNA methylation in mouse gametic DNA methylomes to establish oocyte-specific heritable marks(卵母細胞特異的マーク確立に対する遺伝子内DNAメチル化の寄与) 査読あり
Kobayashi H, Sakurai T, Imai M, Takahashi N, Fukuda A, Obata Y, Sato S, Nakabayashi K, Hata K, Sotomaru Y, Suzuki Y, Kono T.
PLoS Genetics 8 e1002440 2012年01月
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Epigenetically immature oocytes leads to loss of imprinting during embryogenesis(後成的遺伝子修飾が未熟な卵母細胞は受精後の胚発生過程でインプリンティングの消失をもたらす) 査読あり
Obata Y, Hiura H, Fukuda A, Komiyama J, Hatada I, Kono T.
Jourmal of Reproduction and Development 57 ( 3 ) 327 - 334 2011年07月
担当区分:筆頭著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
インプリントの喪失はヒトでは多くの疾患を招くにもかかわらず、その原因や病因は明らかにされていない。本研究では、インプリントが不完全な卵母細胞ゲノムよりマウスが誕生したことを報告した。また、誕生したマウスにおいてインプリントが喪失していること、異常な表現型を呈することを報告した。すなわち、インプリント喪失の一因として、生殖細胞のインプリント異常があることが示唆された。
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Study on the mechanism of maternal imprinting during oocyte growth(卵母細胞成長過程における母方インプリンティング機構に関する研究) 招待あり 査読あり
Obata Y.
Journal of Reproduction and Development 57 ( 1 ) 1 - 8 2011年02月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
エピジェネティックおよびゲノム刷り込み研究の歴史や最新情報を概説し、核移植実験により明らかにされたマウス卵子形成過程におけるゲノムインプリンティング確立機構について述べた。
DOI: 10.1262/jrd.10-195E
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Deletion of Gtl2, imprinted non-coding RNA, with its differentially methylated region induces lethal parent-origin-dependent defects in mice(マウスにおいてインプリント遺伝子でノンコーディングRNAであるGtl2遺伝子とその父母アレル特異的なDNAメチル化領域の欠損は母親由来の場合のみ致死となる) 査読あり
Takahashi N, Okamoto A, Kobayashi R, Shirai M, Obata Y, Ogawa H, Sotomaru Y, Kono T.
Human Molecular Genetics 18 ( 10 ) 1879 - 1888 2009年05月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
非コード遺伝子であるGtl2のヘテロ欠損マウスの表現型と遺伝子発現解析を行った。その結果、父方欠損マウスでは生存が可能なのに対し、母方欠損マウスでは生後4週齢で致死となることが明らかとなった。さらに、ホモ型欠損マウスでは、生存が可能であった。母方欠損マウスでは肺の機能低下が認められた。また、この表現型にはGtl2遺伝子の下流に存在する、miRNAやsnoRNAが関与している可能性が示唆された。
DOI: 10.1093/hmg/ddp108
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Transmission of Y chromosomes from XY female mice was made possible by the replacement of cytoplasm during oocyte maturation(XY性転換雌マウスからY染色体を次世代に継承させることは卵成熟の際に卵細胞質を置換することで可能になる) 査読あり
Obata Y, Villemure M, Kono T, Taketo T.
Proceedings of National Academy of Science of the United States of America 105 ( 37 ) 13918 - 13923 2008年09月
担当区分:筆頭著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
哺乳類では雌がXX雄がXYの核型を有しており、通常、Y染色体は、精子(父親)からのみ受け継ぐ。本研究では性転換雌マウス由来卵子(母親)から、世界で初めてY染色体を受け継ぐマウスを誕生させることに成功した。
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Endogenous siRNAs from naturally formed dsRNAs regulate transcripts in mouse oocytes(自然に形成されたdsRNAから生じる内在性siRNAがマウス卵母細胞では転写を制御している) 査読あり
Watanabe T, Totoki Y, Toyoda A, Kaneda M, Kuramochi-Miyagawa S, Obata Y, Chiba H, Kohara Y, Kono T, Nakano T, Surani AM, Sakaki Y, Sasaki H.
Nature 543 ( 7194 ) 539 - 543 2008年05月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
マウス卵母細胞には25-27塩基の短いpiRNAと21塩基のsiRNAが存在することを示した。ほ乳類で、内在性のsiRNAが存在することを示した最初の報告になった。これらのRNAは、レトロトランスポゾンの不活性化や遺伝子の転写後調節に寄与していることを示した。
DOI: 10.1038/nature06908
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Identification of genes aberrantly expressed in mouse embryonic stem cell-cloned blastocysts(マウスES細胞クローン胚盤胞で発現異常を示す遺伝子の同定) 査読あり
Jincho Y, Sotomaru Y, Kawahara M, Ono Y, Ogawa H, Obata Y, Kono T.
Biology of Reproduction 78 ( 4 ) 568 - 576 2008年04月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
ES細胞由来クローン胚における遺伝子発現解析を行い、正常受精卵と比較したときに、過剰発現している遺伝子と発現抑制を示す遺伝子を224ケ同定した。クローン胚の発生能は5%前後と著しく低いことから、本研究で同定された遺伝子とクローン胚の発生能の関係を考察した。
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Protocol for the production of viable bimaternal mouse embryos(生存可能な二母性マウス胚作製プロトコール) 査読あり
Kawahara M, Obata Y, Sotomaru Y, Shimozawa N, Bao S, Tsukadaira T, Fukuda A, Kono T.
Nature Protocols 3 ( 2 ) 197 - 209 2008年02月
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Long-term effects of in vitro growth of mouse oocytes on their maturation and development(マウス卵母細胞の体外培養がその成熟や発生に及ぼす長期的な影響) 査読あり
Obata Y, Maeda Y, Hatada I, Kono T.
Journal of Reproduction and Development 53 ( 6 ) 1183 - 1190 2007年12月
担当区分:筆頭著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
マウス卵母細胞の培養期間が個体発生に影響する可能性を報告した。種々のステージの卵母細胞を22日、12日、あるいは1日間、体外培養を行った後、核移植により成熟卵子を構築し、体外受精後、その発生能を比較・検討した。その結果、胚盤胞期への発生率および出生率に有意な差は認められなかった。しかし、誕生した仔の表現型解析から、培養期間が長い卵子の核から誕生した仔ほど体重が大きくなる傾向が認められた。体外培養中に生じた卵子核のエピミューテーションが、長期間経て、仔に影響することが示唆された。
DOI: 10.1262/jrd.19079
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DNA methylation imprints on the IG-DMR of the Dlk1-Gtl2 domain in mouse male germ line(Gtl2-Dlk1領域内にある父母アレル特異的なDNAメチル化領域のマウス雄性生殖系列におけるメチル化状態) 査読あり
Hiura H, Komiyama J, Shirai M, Obata Y, Ogawa H, Kono T.
FEBS Letters 581 ( 7 ) 1255 - 1260 2007年04月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
これまでに、我々は、精子形成過程におけるメチル化インプリントが個体発生に必須の現象であることを示して来た。本研究では、精子形成過程におけるメチル化インプリント領域のうちの1領域、Gtl2-Dlk1領域のDNAメチル化がいつ・どのように生じるのかについて解析を行った。その結果、出生前の精原細胞で高メチル化されていることが明らかとなった。またこのメチル化は生後も維持されることが示された。
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Disruption of parental-specific expression of imprinted genes in uniparental fetuses(片親性胚におけるインプリント遺伝子のアリル特異的発現の崩壊) 査読あり
Ogawa H, Wu Q, Komiyama J, Obata Y, Kono T.
FEBS Letters 580 ( 22 ) 5377 - 5384 2006年10月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
哺乳類では、ゲノミックインプリンティングにより、父方アリルからのみ発現する父性発現遺伝子と母方アリルからのみ発現する母性発現遺伝子が存在する。そのため、マウス雌性発生胚および雄核発生胚においては、父性発現遺伝子および母性発現遺伝子がそれぞれ発現していない。しかし、一部のインプリント遺伝子の発現が、これら片親性の胚でup-regulateされる現象を見出した。このことから、インプリント遺伝子の発現抑制に、父方アリルと母方アリルのトランス作用機構が存在するのではないかと示唆された。
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Oocyte growth-dependent progression of maternal imprinting in mice(マウスにおける卵母細胞の成長に依存した母方インプリントの確立) 査読あり
Hiura H, Obata Y, Komiyama J, Shirai M, Kono T.
Genes to Cells 11 ( 4 ) 353 - 361 2006年04月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
DNAのメチル化はゲノミックインプリンティングの分子機構に不可欠とされている。本論文では、マウス卵子成長過程において多くのインプリント遺伝子がメチル化されることを示した。またメチル化インプリントは卵母細胞のサイズに依存して、遺伝子個々のタイミングで確立することが明らかとなった。一方、卵母細胞を供試したドナーマウスのエイジングには依存しないことが明らかにされた。このことから、成体の卵巣内に存在する種々の成長ステージの卵母細胞インプリントは、微小な環境によって厳密に制御されていることが示唆された。
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Regulated expression of two sets of paternally imprinted genes is necessary for mouse parthenogenetic development to term(マウス単為発生胚が妊娠満期まで発生する為には2組の父方発現遺伝子の発現制御が必要である) 査読あり
Wu Q, Kumagai T, Kawahara M, Ogawa H, Hiura H, Obata Y, Takano R, Kono T.
Reproduction 131 ( 3 ) 481 - 488 2006年03月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
哺乳類ではゲノミックインプリンティングにより単為生殖で個体が誕生することはない。しかし、我々はインプリント遺伝子の発現を調節することによって世界で初めて単為発生マウスを誕生させることに成功した。本論文では、7番染色体上の父性インプリント遺伝子が、単為発生胚の妊娠中期から後期への発生延長に寄与し、12番染色体上の父性インプリント遺伝子が単為発生胚の妊娠後期から出生に至るまでの発生延長に寄与していることを示した。
DOI: 10.1530/rep.1.00933
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Paternal dual barrier by Ifg2-H19 and Dlk1-Gtl2 to parthenogenesis in mice(マウス単為発生に対するIgf2-H19およびGtl2-Dlk1による父方の二重障壁) 招待あり
Kono T, Kawahara M, Wu Q, Hiura H, Obata Y.
Ernst Schering Research Foundation Workshop 60 23 - 33 2006年
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(国際会議プロシーディングス)
精子形成過程でメチル化インプリントを受ける遺伝子群がマウス胚の発生に及ぼす影響について報告した。マウスでは単為発生は、妊娠10日前に致死となるが、卵子形成過程でメチル化インプリントを受ける遺伝子の発現を調節すると、その二母性胚は妊娠14日まで発生延長する。加えて、精子形成過程でメチル化インプリントを受けるH19-Igf2領域とGtl2-Dlk1領域をそれぞれ制御すると、これらの二母性胚は妊娠満期まで発生することが示された。これらの結果から、精子形成過程でメチル化インプリントを受ける遺伝子群は、単為発生胚が妊娠後期から妊娠満期へ発生するのを阻止していることが示唆された
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Nuclei of oocytes derived from mouse parthenogenetic embryos are competent to support development to term(マウス単為発生胚由来卵母細胞の核は妊娠満期までの発生支持能を持つ) 査読あり
Niwa K, Takano R, Obata Y, Hiura H, Komiyama J, Ogawa H, Kono T.
Biology of Reproduction 71 ( 5 ) 1560 - 1567 2004年11月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
非成長期卵子と成熟卵子の両ゲノムを持つ単為発生胚を作出すると生殖細胞を持った胎仔へと発生する。本論文では、単為発生胚由来卵巣から、体外培養および核移植により作出された成熟卵子が、体外受精および胚移植後、個体発生支持能を持つことを示し、単為発生胚由来生殖細胞が、生殖資源となりうることを報告した。
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Birth of parthenogenetic mice that can develop to adulthood(成体まで発育可能な単為発生マウスの誕生) 査読あり
Kono T, Obata Y, Wu Q, Niwa K, Ono Y, Yamamoto Y, Park ES, Seo JS, Ogawa H.
Nature 428 ( 6985 ) 860 - 864 2004年04月
担当区分:筆頭著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
哺乳類では、生殖細胞形成過程で精子および卵子それぞれのゲノムが特異的な遺伝子修飾を受ける、ゲノミックインプリンティング機構によって、単為発生胚が個体へと誕生することはない。著者らは、ゲノム修飾を受ける前の非成長期卵子とゲノム修飾を受けた後の成熟卵子の両ゲノムを持つ単為発生胚を作出し、これらがインプリント遺伝子の発現改変により妊娠中期まで発生することをこれまでに報告している。本論文では、発生延長した単為発生胚でH19およびIgf2遺伝子の発現改変をもたらすことによって、単為発生マウスが誕生したことを報告した。
DOI: 10.1038/nature02402
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Production of functional oocytes in vitro(体外培養による機能的な卵母細胞の作出) 招待あり 査読あり
Obata Y, Kono T.
Journal of Mammalian Ova Research 20 ( 3 ) 2003年11月
担当区分:筆頭著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
マウス卵子形成の機構について最新の知見を概説すると共に、体外培養系で卵子を作出する様々な手法、特に著者らが報告した胎仔期の未分化生殖細胞から成熟卵子を構築する方法を中心に紹介した。
DOI: 10.1274/jmor.20.74
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Characterization and imprinting status of OBPH1/Obph1 gene: implications for an extended imprinting domain in human and mouse(OBPH1/Obph1の特徴とインプリンティングの状態:マウスとヒトに広がるインプリント領域の意味) 査読あり
Higashimoto K, Soejima H, Yatsuki H, Joh K, Uchiyama M, Obata Y, Ono R, Wang Y, Xin Z, Zhu X, Masuko S, Ishino F, Hatada I, Jinno Y, Iwasaka T, Katsuki T, Mukai T.
Genomics 80 ( 6 ) 575 - 584 2002年12月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
マウス7番染色体遠位部に位置するインプリント遺伝子kip2/Lit1領域は、ヒト11番染色体長腕に位置するベックウイズワイドマン症候群ローカスと相同性がある。本論文では、Lit1遺伝子から最も遠位に位置するインプリント遺伝子OBPH1がヒトおよびマウスにおいてもLit1遺伝子のCpGアイランドのDNAメチル化によって制御されていること、すなわちLit1遺伝子のCpGアイランドのDNAメチル化は、1Mbに及ぶ領域内のインプリント遺伝子の発現をコントロールしていることを示唆した。
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Domain regulation of imprinting cluster in Kip2/Lit1 subdomain on mouse chromosome 7F4/F5: large scale DNA methylation analysis reveals the DMR-Lit1 is a putative imprinting control region(マウス7番染色体F4/F5に座位するKip2/Lit1小領域内のインプリント遺伝子群の制御:大規模DNAメチル化解析はLit1の父母アリル特異的メチル化領域がこのクラスターのインプリンティング制御領域であることを推定的に示している) 査読あり
Yatsuki H, Joh K, Higashimoto K, Soejima H, Arai Y, Wang Y, Hatada I, Obata Y, Morisaki H, Zhang Z, Nakagawachi T, Satoh Y, Mukai T.
Genome Research 12 ( 12 ) 1860 - 1870 2002年12月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
マウス7番染色体遠位部に位置するインプリント遺伝子kip2/Lit1領域は、ヒト11番染色体長腕に位置するベックウイズワイドマン症候群ローカスと相同性がある。インプリント遺伝子の発現制御にはDNAのメチル化が主要な働きをしているが、本領域内の18のCpGアイランドがどのような修飾を受けているのかは明らかにされていない。本論文ではLit1遺伝子のCpGアイランドのDNAメチル化が、本領域内のインプリント遺伝子の発現制御の主体となっていることを示唆した。
DOI: 10.1101/gr.110702