論文 - 菅沼 圭輔
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山田七絵著『現代中国の農村発展と資源管理―村による集団所有と経営』
菅沼 圭輔
アジア研究 68 ( 1 ) 58 - 60 2022年01月
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侯祺著『農民工と中国農村―都市部の農民工と農村部の貧困実態―』
菅沼 圭輔
歴史と経済 63 ( 3 ) 43 - 45 2021年04月
記述言語:日本語 出版者・発行元:政治経済学・経済史学会
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新しい食糧政策下における中国の硬質小麦主産地開発の課題 査読あり
菅沼圭輔
農村研究 - ( 112 ) 12 - 23 2011年03月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本論文では,華北平原の硬質小麦産地の事例を通じて,産地開発の実態を明らかにし,同時に市場調整政策が産地開発にもたらす影響を明らかにした。
第1,今世紀に入ってから,硬質小麦の普及と品質の標準化のために,流通企業と製粉企業が農家の組織化を進め,契約栽培システムを確立している。さらに,他社との競争に勝って原料を確保するために,無償の技術指導や販売奨励金支給を実施している。
第2,最低価格買付制度が産地価格を下支えする一方で,この制度や関税割当制度で買い入れた小麦を市場に放出して価格を抑制しているため,製粉企業等関連産業の利益が圧縮されている。
以上のことから,現行の食糧政策は生産を保護する側面を持つと同時に,関連産業の成長を圧迫する二つの側面を有していることを明らかにした。 -
中国農村における農民の就業移動と農業構造変動 査読あり
菅沼圭輔
農業問題研究 ( 66 ) 10 - 19 2010年12月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本稿では、農家調査を通じて収集したミクロデータを利用して、第1に農村の工業化や農民の自営業の拡大が、農業から都市部工業地帯への労働供給に及ぼす影響について分析した。その結果、農村内部で新たに工業化が進んだ地域では、地元での雇用機会が増えて農業から都市部工業地帯への労働供給が制限されることを明らかにした。
第2に、農業構造の違いが農家労働力の工業への転職に及ぼす影響について分析した。その結果、野菜栽培のような農業の労働集約化が進んだケースでは、(年齢の)若い労働力の工業への転職が遅れていること、水稲生産地域では、農作業の機械化とその外部委託が進展した結果、若い労働力はほぼ完全に農業から流出し、中年以上の労働力の転職も進んでいることを明らかにした。 -
中国東部地域における農場経営の展開に関する研究
菅沼 圭輔
(東京農業大学農業経済学会)農村研究第107号 2008年09月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要)
本稿では浙江省の三つの農場経営の事例分析を行い,第一に,農場経営は村を通じて借り入れる方法で設立されていることを明らかにした。第二に,農場経営は家族経営では参入できない新しい市場ニーズに対応した分野に参入し,農場経営は加工・流通を含めた多角的企業経営の一環として位置づけられていることを明らかにした。第三に,農場設立には,地方政府が関与して土地利用権貸借の仕組みを作り上げることが不可欠な条件であることを明らかにした。
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中国農政の転換と兼業化支援体制の再構築
菅沼 圭輔
農業問題研究学会 農業問題研究 第62号11~20頁 2008年07月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本稿では、今日の中国の兼業農業構造の特徴について明らかにし、政策的課題をしめした。そこでは、全階層的な兼業化が進行しており、耕種農業に専門化する農家の動きは発見されないこと、ただ、非農業部門就業者も農業に関与しており、被雇用兼業に従事する者も一定年齢に達すると還流して農業を継承する動きがあり、直ちに農業従事者が減少し、農地余剰が顕在化するような事態には至っていないことを明らかにした。
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農業産業化における契約取引システムの特徴と問題点―江蘇省のシルク産業の事例分析―
菅沼 圭輔
(福島大学経済学会)商学論集 第76巻 第3号 2008年03月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本稿では、中国の農業産業化において、産地をインテグレートする企業と農家の契約関係に関して、農家が従属的な地位しか得られていないという中国における論争に着目し、養蚕業に関するケーススタディを行った。その結果、企業と農家の取引関係を単に生産物の売り渡しだけでなく、無償の技術指導など全体を見た場合、必ずしも従属的と言えないことを明らかにした。pp.79-101
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1990年代の中国における食糧統制制度の転換とその意義-農家経済調査統計と食糧管理統計の検討-
菅沼 圭輔
(福島大学経済学会)商学論集 第72巻第2号 2003年10月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本稿では、2000年に行われた穀物産地に対する流通統制と生産統制の実質的廃止という政策転換を受けて、農民の農地利用の自由度が高まったことを農家経済データの時系列的考察を通じて明らかにし、また食糧管理業務統計の分析から配給制度が廃止された1993年を転機として消費者保護の制度から産地保護の制度へ性格転換したことを明らかにした。pp.29-54
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中国における食糧の国内市場自由化の進展状況
小澤健二、手塚真、立岩一寿、菅沼圭輔
先物取引研究 第7巻 第1号 2002年12月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
中国では1953年以来、長期にわたり穀物流通統制が行われてきたが、それは同時に農民の農地利用と生産物の処分に関する意思決定を制約してきた。本稿では、2000年に行われた政策転換を境として,それ以前を増産刺激・流通統制制度と特徴づけ、転換以降を比較優位原則に基づく地域分業制度期と特徴づけた。その上で、政策転換直前までの湖北省と河北省という穀物主産地の動向を実態調査に基づいて明らかにし、最後に政策転換後の課題として品質を評価できる市場システムが未整備であるという問題点を提起した。共同研究部分はpp.45-64。
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農民の耕地請負経営権保有行動に関する一考察-市場情報探索の限界を重視した意思決定論的アプローチ
菅沼 圭輔
現代中国 (日本現代中国学会) 第76号 2002年10月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本論文では、中国農村で集団を構成する農民が家族数の増加に伴い割り換えを通じた利用権の追加配分を求める行動について、情報探索の限界概念を取り込んだ意思決定過程と解釈し、6ヶ所で行った農家経済調査の個票データを元に分析を行った。そして、農民が割り換えを求める意思決定を規定する要因として、地域労働市場の展開状況、農産物市場あるいは労働市場の理解度が存在することを明らかにした。pp.111-125
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中国の穀物主産地の現状と「農業産業化」の課題-湖北省調査報告
守友裕一、佐野孝治、菅沼圭輔
商学論集 第71巻 第1号 2002年8月 2002年08月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要)
本稿では、湖北省農村を対象として、①1995年以降の水稲産地価格低迷の中で政府統制の形骸化が進み、実態としては産地市場はすでに「自由化」された状態になっていること、②他方で、産地における構造的転換が進行しており、インディカ米の優良品種への転換や精米加工技術の面でも付加価値をつけようとする動きが見られる実態を明らかにした。共同研究部分はpp.99-116。
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中国農村における耕地利用権の平等分配システム-現状と問題点-
菅沼 圭輔
(社)中国研究所 中国研究月報 652号 2000年06月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本論文では、中国農村で利用権の平等分配原理が登場した歴史的経緯を明らかにし、また農家経済調査データを利用して、耕地利用権の平等分配制度の性格を明らかにすることを課題とした。その結果、(1)利用権の平等分配制度は人民公社体制下の主食分配原理を受け継いで発生したこと、(2)現実の平等分配制度は安定的な所得源泉を保証しているが、主食の分配という点では平等性を保障していないことを明らかにした。pp.4-21
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Foreign Investment Strategies of Japanese Food-Processing Firms; A Case Study of Raw Materials Procurement in China
TOYODA Takashi、SUGANUMA Keisuke
Jpn. J. Rural Econ, vol.2,2000 2000年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:英語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本論文では事例分析を通じて、食品加工企業における対中直接投資は、食料市場制度が未熟であることから、原材料調達過程における価格変動のリスクに直面していることを明らかにした。一面では日本企業は原料調達過程の内部化を進める傾向が見られるが、その動きは一部の事例にとどまっている。こうしたリスクは、企業における所有の優位性あるいは特定的資源の蓄積を基礎として克服されていることを明らかにした。
共同研究部分は、pp.25-33。 -
中国の水田稲作地域における農業構造の規定要因
菅沼 圭輔
(農業問題研究会)農業問題研究 第43号 1996年12月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本論文では中国の水田稲作地帯の一般的農村と兼業化の進んだ農村を比較することで、零細経営構造を克服する上での問題点を分析した。兼業化深化地域では機械化一貫作業を行う集団組織を設立したが、土地生産性の維持という面では有機質肥料投入の機械化が課題となっており、労働生産性向上という面では機械の利用効率向上が課題となっているなど、技術的・経営的問題が零細経営構造の克服のネックとなっていることを明らかにした。
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中国における農村市場の展開構造
菅沼 圭輔
(東北農業経済学会)東北農業経済研究 第13巻 第2号 1994年08月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
スキナーは戦前中国の農村定期市の分析から、標準市場圏モデルを提起した。本論文では、安徽省の農村を事例に実態分析を行った。その結果、改革後の今日、スキナーモデルが依然として通用すること、しかし鮮度保持がきかない鮮魚や、遠隔地販売が有利な米については、交通手段の発達を背景として、定期市を通じない新しい流通経路が発生していることなどを明らかにした。pp.1-20
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中国の食糧需給と食糧買付制度の改革-食糧産地の食管財政問題を中心に-
菅沼 圭輔
(社)中国研究所 中国研究月報 通巻537号 1992年11月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本論文では、穀物移出入・貿易動向と80年代の食糧管理制度の改革の状況を主産地の動向を中心に分析した。そして、現行制度では、主産地に食管赤字が累積する仕組みになっており、穀物生産の安定的発展を阻害する一因となっていることなどを明らかにした。pp.16-30
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農業生産合作化と農民分化
菅沼 圭輔
(日本現代中国学会)現代中国 第66号 1992年06月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本論文では黒龍江省を対象として、戦前、土地改革期,農業合作化期の各時期の農民層分解の実態を、農家経済における資金蓄積メカニズムに着眼して分析した。そして、従来,黒龍江省では、雇農から大農へ上昇する資金蓄積メカニズムが存在していたが、私有制を否定する合作化が進展したことで、こうした仕組みが崩されていく過程を実証的に明らかにした。pp.39-50
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1950年代の中国における農業生産合作化と家族経営に関する研究-東北・黒龍江省を対象として
菅沼 圭輔
東京大学 1992年03月
記述言語:日本語 掲載種別:学位論文(その他)
従来、中国農業の協同化・集団化については、制度分析が中心であり、農業生産力構造に着眼したものは無かった。本論文では、黒龍江省を対象として、戦前、土地改革期および農業合作化期の3つの時期について制度・農家経済・農法等の面から史料分析を行った。そして、合作社に普及された集約的農法は「収穫逓減」的性格を持ち、結果的に戦前の「大農」技術の再現に過ぎなかったことなどを解明した。
(博士論文) -
中国における“食糧大規模経営”-北京市順義県の集団農場の事例研究-
菅沼 圭輔
(日本農業経済学会)農業経済研究 第61巻 第2号 1988年09月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本論文では1980年代後半に形成されてきた穀物生産の規模拡大経営のメカニズムについて、北京市順義県の集団農場を事例に分析を行った。その結果、行政主導で設立された集団農場は、鎮・村2段階の運営体制より成り、地域的な農業企業的管理体であることを指摘した。また、その経営は、財政補助に依存しているが、経営面積の拡大やオペレーターの作業ノルマ引上げにより、経営の自立化に向けた改革が進んでいることを明らかにした。pp.96-105
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中国の農業生産における互助合作化論理の展開
菅沼 圭輔
(日本農業経済学会)農業経済研究 第59巻 第3号 1987年12月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本論文では、1950年代の農業生産合作化政策における中国共産党内の論争過程を分析した。その結果、合作化政策は、当初は篤農を核とした組織化により農業生産力の向上を目指していたこと、1953年以降,経済的に自立できない貧農を篤農に救済させる所得再分配機能を重視した組織化に大きく転換したことを明らかにした。pp.167-179
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農産物 商品化政策と農業生産互助合作化政策の展開-51・53年両決議を中心に-
菅沼 圭輔
(日本現代中国学会)現代中国 第60号 1986年06月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
本論文では1950年代の農業生産合作化政策を、農産物買付制度の農家経済との関連に重点を置いて分析した。そして、合作化は穀物の対国家販売を強化してその現金収入を農業生産手段の購入に結び付けるという蓄積メカニズムの形成を意図して行われたことを明らかにした。しかし実際には穀物の商品化率が低かったため、所期の目的を実現することができず、それが合作化推進のネックとなっていたことなどを指摘した。pp.42-47